繊研新聞 アーカイブ/就職・採用関連記事

「繊研新聞」掲載記事から就職・採用関連記事の一部を掲載します。
(記事下部のリンクで同じ月の他の記事を表示できます。)文頭の日付は掲載日です。



2010年11月の主な就職・採用関連記事

2010/11/30
伊藤忠のグローバル人材育成 特殊語学派遣制度を導入
 伊藤忠商事は、総合職若手社員全員を中国語や特殊言語取得のため、4~6カ月、現地に派遣する制度を導入した。来年初旬から派遣をスタートし、年間最大100人程度の派遣を計画する。
 同社は99年から若手社員の英語力、国際的視野の育成を図るため、入社4年目までに総合職全員を海外に派遣する「新人海外派遣制度」を導入。これまでに700人以上を派遣してきた。今回の新制度導入は、従来以上に重要性が増している中国および新興国のビジネスを支える人材育成が不可欠と判断したため。
 中国語のほかロシア語、ポルトガル語(ブラジルなど)、スペイン語(中南米諸国など)、ベトナム語、フランス語(アフリカ諸国など)を想定している。
 同社は、中国ビジネスの歴史が長く、なかでも繊維カンパニーは、中国語人材の育成で先行してきた。00年代初頭から国内での中国語レッスンを実施。08年からは全社に先駆けて総合職若手社員全員を、中国語圏に6カ月派遣する研修を採用し、これまでに10人弱を派遣した。
 国内での中国語レッスンは今年から全社規模で実施しており、「現在、総合職社員の10%強が中国語を話せる」という。今回の新制度を導入することで、中国語とともに、特殊言語のさらなるレベルアップを進める考えだ。

2010/11/26
ワコールキャリアサービス、人材バンクと組み 中国進出企業に中国人留学生を
 ワコールホールディングスの人材派遣子会社、ワコールキャリアサービス(WACS、柏木裕之社長)は、在日中国人の人材バンク会社の世代継承活学社(京都市、蔡龍日代表)と業務提携し、日系アパレル・流通企業に、中国現地での幹部候補生などを紹介・派遣するビジネスを始める。
 消費市場としての中国への進出を狙う企業は増加傾向にあるが、商習慣の違いや組織運用の問題がネックとなり、中国人を幹部候補生として登用したいとする声も高まっている。しかし自社で募集しても、ふさわしい人材が集まりにくい。活学社は日本に滞在する中国人留学生をサポートするとともに、人材を日本企業に紹介している。
 登録者は約2万人で、多くが有名大学・大学院の学生かOBで、日本人スタッフとの両方の視点で、学歴・職歴・人柄を判断し、その企業に見合った人材を紹介する。これまでは機械やIT(情報技術)系企業向けが多かったが、多業種へ幅を広げることでより多くの人材の受け入れ口を探していた。WACSと組むことで、より精度の高い人材を紹介できる。
 WACSは主にワコールグループを中心に人材派遣を行ってきたが、活学社という豊富な人材バンクを得ることで、新たな日系アパレルや流通企業へのアプローチが可能となり、業績の拡大を図る。
 在留資格の変更など、外国人雇用に必要な手続きもフォローし、中国内での人材招請や、それに伴う教育・研修の手助けまで行う。必要に応じて、入社前のビジネスマナーやビジネス日本語研修の実施、入社後のアフターケアも行う。

2010/11/24
【人材】 外与 即結果より時間かけて 柔軟な企業風土継承
 OEM(相手先ブランドによる生産)を主力にした婦人服事業を拡大する外与(京都市)。1700年の創業から今年で310年を迎える。市場の動きに対応して基幹事業を、きものやテキスタイルなどからアパレル事業へと柔軟に変化させてきた。これを支えてきたのが、目先の結果にこだわらない独特の人材に対する哲学だ。
毎年必ず採用
 新卒採用は、景気の変動や業績にかかわりなく、毎年必ず男子学生を採用し続けている。ただ、「員数合わせはしない」と、あらかじめ採用予定人数は決めず、「良い人材がいれば採用する」考え方を貫いていると言う。  社員教育は、入社時の一般的な新入社員研修は当然だが、それ以外に「入社10年以内」「10年以上」という社歴別の研修や、MD(マーチャンダイザー)を対象にしたセミナーを毎月1回実施している。研修のテーマは半年単位、1年単位で設定するが、その内容は徹底した基礎教育においている。貸借対照表や損益計算書の見方などだ。
 同社の社員教育の考え方の基本について石井清常務は「目には見えない部分を信じている」と話す。「すぐに結果が出るようなノウハウやテクニックのようなものはやらない。ずっと続けて、少しだけでも残って、それが積もって身につき、企業文化になればという考え方が役員の共通認識」と言う。
 同社のアパレル部門の特徴は、素材背景を持ち、中国に二つの合弁の縫製拠点(厦門、杭州)を確保し、ODM(相手先ブランドによる設計・生産)、OEMでも中国を軸に自社で縫製・加工が出来ることにある。グループ外に発注する場合でも丸投げせず、自分たちで企画・生産する。デザイナー、パタンナーを多く抱え、自前の社員で構成しているからこそ出来る。それにより「価格や利益だけでないメリットを提供できる」ことにある。  石井常務は「当社は中小企業。中小規模ならではスピード感と社員一人ひとりの強さ、それを束ねた組織力こそが最大の強み。人材育成にかける時間も金も削らない」と話す。
MD対象に塾
 その分、実務や営業に関する教育は徹底してOJT(現場教育)が中心だ。先輩社員が日々の仕事の中で様々なことを教え、目標を設定し、ミーティングや日常の中でサポートし、目標達成を後押しする。その軸になるのがMDだ。
 同社のMDが担う役割と機能は非常に大きい。多くは35~40歳前後の「脂の乗り切った世代」。「アパレルの核はMD。これが強くなければ生き残れない」(石井常務)と位置づける。基礎的なビジネス単位の責任者として頻繁に中国に出張し、素材や縫製現場を見、営業から企画、生産、管理業務などまですべてをこなす。「苦しいことも多い分、評価も高い」
 そのMD13人ほどを対象に長年同社の現場を仕切り、引っ張ってきた前専務の高橋峰道取締役相談役が月1回のペースで塾のような研修の場を開いている。「なぜ外与は海外で生産するのか」などのテーマを、同社の業界内での立ち位置や事業戦略から解きほぐして説明する。知識を得る研修の場であるとともに、外与のDNAを継承する場でもある。
 研修などの座学とOJT、そして「塾」。これが三位一体となって絡み合い、「自分たちですべてやる、だから新しいものを提案できる」「外与は自分たちの会社、だから頑張る」という社風を支えている。

2010/11/24
文化ファッションインキュベーションがオープン ホール、展示室貸し出しも開始
 東京都渋谷区と文化学園が連携して運営する若手人材育成施設「文化ファッションインキュベーション」が22日、正式にオープンした。
 前日に開設した渋谷区文化総合センター大和田内にあり、10階に創業5年以内のデザイナーのための創業支援アトリエ、11階にショーや大型展示会用ホール、両フロアに貸し出し用の会議・展示会室などを配備。既にアトリエでは5組が活動中で、ホールや会議・展示会室の貸し出し開始を記念して式典とショーを行った。
 大沼淳文化学園理事長は「新しい文化の創造を担う拠点として、次代を担うクリエーターなどの人材を育成し、ファッションを志す人の網の目を作りたい」と述べた。桑原敏武渋谷区長は「渋谷はファッションの街と言われるが、行政としての施策がなかった。ファッションを中心とした文化の発信地となるため、若手の人材育成支援システムの構築と、企業や地域との連携強化に努めたい」とあいさつした。
 アトリエは11室あり、残る6室の来春からの入居者は、渋谷区ファッションデザイン産業支援関連施設運営協議会と文化学園の審査を経て12月末までに決定する。貸し出しスペースでは来年3月、新潟県の産地のイベントを開催する予定だ。

2010/11/16
〈トップに聞く〉 佐藤弘志 ブックオフコーポ社長 MD強め中古衣料販売確立へ エントリー層を開拓
 中古衣料販売を次の成長エンジンと位置づけているブックオフコーポレーション。店舗網を拡大中だ。アパレルの人材を積極的に採用してノウハウを入れ、「気軽に売り買い出来る洋服屋」という新しい価値を確立する。

 衣料は他のリユース店に比べて、まだまだMDで負けており、追いつくために人材を揃えている最中だ。洋服屋として成り立たすには、陳列、価格設定などアパレルならではのノウハウを学ばなければならない。これはブックオフのプロパー人材だけでは無理。本とは商売原理が異なるので、アパレルのノウハウにたけた人から学びたい。
 アパレルは本と粗利益率が似ているため、本に次ぐ我々の主食にしていきたい。売り上げは本以外の総合リユースの5割を考えている。

 ブックオフスーパーバザー川崎港町店は、オープン前に400人の行列が出来た。そのほとんどが洋服のセール目当てで、認知も上がってきた。とはいえ、まだ1回も洋服を売りに来たことがない人も多い。5000平方メートル超のとてつもない大きな売り場は、そういった人に足を運んでもらえるチャンスを生む。
 スーパーバザーは年間3~5店を出す。今月は茨城・荒川沖にオープンする。出店政策は、郊外ロードサイドの5000~6600平方メートル規模と、都市型の1650平方メートルクラスの2本立てで進める。都心型店舗も来年に名古屋・栄に出すことが決まっている。
 ブックオフは本や洋服などあらゆる趣味・趣向のエントリー層を広げるのが使命と考えている。消費者は徐々にこだわりが外れている。まだ中古を嫌がる人はいるが、それはブックオフが20年前に本で体験してきたこと。来店して見てもらえば、新品同様のきれいさに驚いて、しかも安い。心のバリアが外れる。同じように服でもこだわりを外してもらって、買い物の選択肢を拡大させたい。それが豊かな買い物につながると思う。

2010/11/12
〈トップに聞く〉 中西浩一 オンリー会長兼社長 塾開校でプロを育成 物作り・商人の神髄を
 商人としての哲学やテーラーとしての物作りへのこだわりを伝え、「お抱え洋服屋」としてのスーツの商売を担う若い世代を育成するため、「恩利(オンリー)塾」を開校した。成績優秀者の社員への登用、FCやのれん分けで独立できる人材も育成する。

 塾の場所には、9月に開店したフルオーダースーツ専門店「オンリー京都テーラー」と本社の3階部分を充てる。授業内容は仮の段階だが、一般科目と専門科目に分ける。一般科目は、京都の職人や伝統産業にかかわる人に、京都の物作りの神髄を語ってもらう。お客さんに信頼される商人としての基本から、他の業種でも通用する知識や考え方も学ぶ。専門科目は、物作りの基本から採寸技術、スーツの着こなしや販売に至るまでをトータルで教える。
 スーツのビジネスにかかわっていても、営業成績至上で、スーツに対して愛着の薄いサラリーマンがいるのは確かだ。これからのスーツビジネスを発展させるには、物作りの技術を理解し、本当の意味で商売が好きな“スーツビジネスのプロ”を育てなければならない。

 250人の社員は12月から13の班に分けて、半年から1年かけてこの塾で学習する。外部からの募集は来年4月から開始する。社会人やファッション専門学校の学生が対象となる。週1回2時間で、計40時間の授業となる。授業内容も固定化せず、塾生のレベルや希望に応じたものを取り入れていく。その中に優秀な人材がいれば、当然、社員として採用することもある。独立してビジネスを行う人材が出てくるだろう。
 どのビジネスもそうだが、“人”の問題が最後は物を言う。物があふれる社会だからこそ、商品の価値、魅力を消費者に伝えられる人材が必要だ。店を大きくし、増やしていくという小売業があってもいいが、それがすべてではない。顧客との密接なつながりこそ、これからの小売業に求められる。

2010/11/12
渡辺哲也経産省製造産業局クール・ジャパン室長に聞く 「日本」をブランド化 ファッションなど生活文化を世界へ
 政府が6月に閣議決定した「新成長戦略」で、「クール・ジャパン」が成長分野に位置付けられた。経済産業省に省内だけでなく他省との連携を推進するためのクール・ジャパン室が設置された。11年度予算概算要求で同室は約23億円を要求、新たな政策作りを始めている。渡辺哲也経済産業省製造産業局クール・ジャパン室長に聞いた。
――クール・ジャパンの定義は。
 クール・ジャパンというとオタクなど特定の分野を思い浮かべる人もいるかもしれない。経済産業省としては、日本にあるファッションをはじめアニメ、食、地域の物作りなど世界から関心をもたれている生活文化をクール・ジャパンとしている。クール・ジャパン戦略では、「日本」をブランド化し、日本の生活文化を世界に展開していきたい。政策運営では省内だけでなく外務省、農水省、観光庁などとも連携していく。
 日本の良い物と海外の成長市場の橋渡しができていない。これは多くが中小企業でマーケティング、販路開拓ができていないからだ。新政策では、この部分の支援を考えている。
 日本のファッションは中国などで人気が高い。ファッションはシンボリックな意味があるし、デザインだけでなく日本素材の良さも一緒にアピールできるのではないか。
――今までも政府は海外市場開拓を支援してきたが。
 これからは狙う市場の特性に合った取り組みをしっかりやりたい。来年度予算の要求で考えているのは中小ファッション企業、流通業者、メディア、プロデューサーなどでチームを作り市場調査、市場開拓を行い、実際のビジネスにつなげたい。海外市場を開拓し続けていくには、海外に売りにいける人を育てるだけでなく、次のクリエーションや物作りを支える仕組み作り、人材育成をする必要がある。
――来年度の組織要求でクリエーティブ産業部の創設を要求している。新組織ではファッションと物作りを所管する部署が局をまたぐことに繊維業界から不安の声も出ている。
 一体でできるいい形を考えているところだ。

2010/11/09
販売代行のスカイスケープ アウトレットで成長
 アウトレットを中心に販売代行店を展開するスカイスケープ(東京)は、「販売代行業は小規模の会社が多く、立場が弱く、将来性や社員の福利厚生面でも不安材料が多い。人材を財産として、社員の豊かさと雇用の拡大に努める」(石崎良一社長室長)として09年2月に設立した。
 現在、東日本や北海道の主要なアウトレットモールと一部ファッションビルに時計やバッグ(海外ブランド含む)、カジュアルなど7社の販売を代行している。アウトレットモールは都市から離れているため、スタッフの雇用や管理などを背景に販売代行会社を活用するケースが多い。同社はクライアントとの太いパイプに加えて、「無借金経営で利益は社員に還元する」立場を堅持して成長。初年度の営業収益は5億円。
 販売効率を上げるためには売り場での販売力・接客力が欠かせないことから、独自の人材教育とクライアントと連動した育成に力を入れている。一方、ブランドごとにマネジャーを配置していることと、店舗のエリア担当者などきめ細かい販売体制も成長を支えている。

2010/11/05
文化ファッションインキュベーション 物心両面で若手を育てる 渋谷をファッション発信拠点に
 文化学園が東京都渋谷区と連携して運営する若手人材育成施設「文化ファッションインキュベーション」が22日、グランドオープンする。渋谷区文化総合センター大和田の10、11階に設けられるスペースはアトリエや商談室、ショーや展示会、会議用など、デザイナーの創業を支援するためのもの。先行してアトリエでは9月から5組が活動しており、残る6室は現在、来春からの入居者を募集中だ。
 「日本では学校を出た後、制作や発表を続けてビジネスを学び、起業準備するための支援体制が弱い。ファッション産業の振興を重点方針とする渋谷区とともに、若手が活動しやすい環境を提供し、軌道に乗るまでの支援を強めたい」と大沼久美子文化ファッションインキュベーションゼネラルマネージャー。
 文化学園管理本部開発室室長を兼ねる同氏は、開発に当たって入居者の活動に必要な環境作りに配慮した。アトリエ内に可動式の作業台や什器、デスク、棚など付帯設備を完備するほか、中央の共用商談ラウンジ、ショーや展示会用のレンタルスペースを入居者に無料で貸し出すなど支援体制を整えた。「素材メーカーからの一部資材提供も決まり、広報や営業活動のアドバイスなど物心両面で支援していきたい」と話す。
 渋谷駅から徒歩5分の立地で、アトリエ賃料は月7万3500~13万円弱。会議・セミナー・展示会用スペースは1~3室使用(約60~約180平方メートル)で9~21時のレンタル料が4万5000~14万円弱、150人規模のホールも19万円弱と区の運営する施設のため格安の設定だ。「渋谷をファッションの情報発信地とするために、貸し出しの対象はアート系からファッションを基本とし、施設全体で世界に通用するデザイナーやアーティストの育成・支援に力を入れる」構えだ。
 アトリエの入居期限は3年から、コンテスト準備など事情があれば最大5年。現入居者は20代前半~40歳近くまでで、福井県の鯖江で生産する眼鏡のブランドなど5組。15日が締め切りの2次募集も「渋谷に縁があり創業5年以内なら年齢や実績は問わず、世界で活躍する意欲と、国内産地の底上げにつながる日本での物作りへのこだわりを基準に選びたい」という。1年ごとに活動状況などを審査し、より多くの有望な人材を排出したい考えだ。

2010/11/04
中堅レディスアパレルの中国進出 成功のカギは中国人スタッフ 自前で育成、現地化支える 日本上回る店舗網
 中国内販で成果を上げるレディスの中堅アパレルが出始めた。アイアは「ココディール」「ストラ」で百貨店に約85店の直営店舗網を持ち、中国法人が黒字化。約80店体制の「オリーブ・デ・オリーブ」は、今年の年商が1億3000万元(1元=12円)、税引き前利益率は10%、来年には中国で第2のブランド開発にも着手する。日本企画へのこだわり、現地企画の推進と、商品政策は対照的だが、成長の根本にあるのは、時間をかけて自ら市場を開拓する姿勢で、自社のノウハウを会得した中国の人材を育成している。

●アイア 商品は日本流
 約4年前に上海法人を設立。レディスヤングカジュアル、ココディールで日本の倍以上の約60店、キャリアブランド、ストラは約25店に広がった。毎年、30~40%の増収を続けている。「人材は中国、組織・企画は日本式」というのが、同社の中国戦略の根幹だ。
 10年前からアジア市場を見据えて、日本で中国人を採用し、アイアの企画や販売の経験を積ませてきた。その人材が中心になって日本人董事長のもと、中国市場への進出を担った。彼らが中国での人材教育も進め、上海のオフィスには現在26人の現地採用スタッフが在籍し、200人以上の販売員を採用している。
 中国での販売にあたって、最も苦慮したのが、現地の法体系だ。「中国では商品1型ずつ、生地と製品の見本を検査局に提出し、表記に間違いがないことが確認されないといけない」ため、「多品種小ロットの日本のレディスアパレルにとっては、大きな経費になる」(萩島宏社長)。検査のために月5万元の経費負担や、20万元の罰金を課されたブランドもあるほどで、「一物二価は当たり前」という。
 こうした事情は「合弁や卸売りを通じた市場開拓では理解できなかったし、対応しきれなかっただろう」としており、「中国の人材を確保しながら、自分たちが手探りで模索する」独資での進出が、成長を支える要因と見ている。
 企画も自前が原則だ。「中国人の趣向に合うものの勝負では中国ブランドに勝てない。商品やイメージはあえて、あこがれを持ってもらえる日本流でいい」と判断した。現地法人の社員が展示会ごとに来日して、企画に生かす。販売手法は現地化するが企画は変えなかった。その結果、日本ではファッションビル中心の2ブランドが、中国の百貨店で地位を確保している。顧客層も日本より5歳ほど高く、ココディールが30歳前後、ストラが35~40歳が中心。価格も日本より5000円ほど高くなっても売れている。

●オリーブ・デ・オリーブ 現地企画推進
 04年に現地法人を開設した中堅レディスブランドの先行組だ。直営店は台湾にも20店、韓国には合弁会社を通じて60店、中国も来年には日本を超す100店体制になるなど、アジア進出を積極化させてきた。そんな同社でも「台湾、韓国での経験があったのに、中国本土市場は苦戦した」(渡邉兼久上海オリーブ貿易有限公司総経理)。
 04年9月に上海に最初の直営店を出すと、3カ月ほどは、オープン景気もあって、月間300万~500万元を販売したが、翌年春夏になると、売り上げは3分の1に落ちた。「台湾、韓国は所得水準も日本に近く、あこがれや共感もあり、日本の企画で売れた」という。しかし、中国では対象は20~30代。ピュアヤング層の多かった日本のオリーブでは「サイズが小さく、色もシンプル過ぎた」ため、06年からは中国企画を導入。08年からはシーズン約350型の全商品を中国企画にした。すると売り上げ、利益ともに毎年、約30%増となり、07年には初めて上海オリーブが黒字化した。
 成功を支えたのは、日本で経験を積んだ中国人スタッフが、日本の事情を理解しながら、現地化させたことだ。商品企画のリーダーは、日本のオリーブで企画と販売を経験した人材で、そのスタッフが中心となって、現地採用の社員に、日本のブランドコンセプトなどを伝えた。今では上海のスタッフが日本向けとは別の生産工場を開拓し、独自に生産管理もしている。待遇と社内コミュニケーションにも力を注ぎ人材を安定させている。黒字化が安定した08年からは業績に連動してボーナスを毎年、大幅アップさせた。上海法人スタート時の8人のスタッフは、今でも本部で働き続けている。中国1号店の店長も今でも在籍し、販売のリーダー役だ。
 人と企画の基盤ができたことで、売上高も06年度の3000万元から08年7000万元、09年9000万元となり、11年度は2億元を計画する。来年には、「百貨店に出店しているイメージを生かし」て、量販店ゾーンの市場にも新ブランドを出し、300店規模の事業を構築する考えだ。

2010/11/02
〈インタビュー〉 文化服装学院学院長 大沼聡さん 教育改革へ 卒業生との協力強めて
 文化服装学院は同校の卒業生で作る「すみれ会」(コシノヒロコ会長)を4月から分離・独立した。併せて同学院の卒業した指導者で作る連鎖校協会との関係も明確にし、3日の総会から新たな一歩を歩み出す。

――会の位置づけを。
 卒業生が交流し、刺激し合う場、つまり同窓会です。卒業生が交流し、ネットワークを作り、支え合い、刺激を受けて決意を新たにする大切な場ですが、今後はそれだけでは不十分で、服飾・アパレル業界全体の活性化や在校生との交流、学校との連携なども視野に入れて相互に協力していくことだと思います。日本の高等教育の改革には偏差値や学校名による学校の評価を変える必要がある。次は卒業生の活躍や産業界への貢献度も含めた評価になると思います。ですから同窓会と学校の関係を再構築するのです。
――従来は下部組織的だったが。
 学校という商品を使用したユーザーが卒業生。採用側の意見も大切ですが、卒業者の声は学校教育を向上させる上で非常に重要な情報です。卒業生の協力で学校が改良されていく好例は米ハーバード大学です。成功した卒業生による寄付金で奨学金などの制度が充実しています。慶応大学のOB会のように学校の理事を選出する母体組織になっているケースもあります。
――期待する活動は。
 学校と卒業者が接する時間を増やして距離を縮めてほしい。卒業生同士の懇親・交流、ネットワーク作りと助け合いも旺盛でないと自立できないでしょう。すでに卒業者のイベント案内や告知も広がっています。国際的な活動、人脈作りも期待しています。すみれ会は韓国、台湾にもあり、今後は中国本土にも誕生する可能性があります。人脈や人的能力によるところが大きいファッションビジネスの発展に役立つはずです。
――会の独立性の保障は。
 活動内容は独自に決めていけばいい。資金的な裏づけもあるので、すみれ会の活性化、発展が学校が社会と結びつき、教育内容の向上につながる。そうした好循環を期待しています。