繊研新聞 アーカイブ/就職・採用関連記事
「繊研新聞」掲載記事から就職・採用関連記事の一部を掲載します。
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2011年07月の主な就職・採用関連記事
2011/07/29
【和 ジャパンムーブ・系図】 商品開発、人材育成へ産学協同プロジェクト 若い感性を生かしきもの市場広げる
大阪の東洋きもの専門学校とゴフクヤサンドットコム、阪急百貨店梅田本店がこの春、産学協同プロジェクトを開始した。専門学校の生徒がデザインした帯をゴフクヤサンが製品化し、阪急で販売会を実施したもの。若い感性をカジュアルの分野でダイレクトに生かした商品開発と、業界の次代を担う人材育成を兼ねた取り組みとして注目されている。
学校は授業の一環としてプロジェクトに参加するメンバーを選出。阪急の催事テーマ「春はロマンティック」にちなみ、約3カ月の準備期間でさまざまなリサーチを行った結果、「椿」をモチーフに選択。約200の案から86柄のデザインを選び、データを製作した。デザインした同校の2年生5人は自ら売り場に立ち、ディスプレーや接客も体験。イベント後にはアンケート結果の集計から、回答者のきものへのスタンスや年代別の、好みの色柄の傾向などを分析した。
プロジェクトの実施にあたり、生徒たちは実際の商品開発の速さや難しさ、一定の制限の中でのディスプレー表現、接客を通しての消費者の受け止め方などを目の当たりにした。「生徒たちは今回の経験を通して大きく成長した。今後もさまざまな形で活動を継続していきたい」と廣田眞知子副校長は語る。
同プロジェクトで製作した商品は、引き続きゴフクヤサンドットコムと、前売り卸の京商を通して販売されており、現在も売れ続けている。きもののさまざまな知識を学んできた若い感性から生まれた商品が、同世代を中心にきものへの興味を喚起し始めている。
2011/07/28
江蘇省のファッション振興イベント 南京で9月開催 海外との交流促進狙い
【上海支局】江蘇省のファッション産業振興を目的にした「江蘇国際服装節」(江蘇省政府主催)が9月7~9日、南京市の南京国際博覧センターで開かれる。江蘇省紡織工業協会などの運営で、毎年開催し、今年で13回目。今回は特に海外のデザイナーやブランドと省内企業の交流促進に力を入れる。
同省最大の紡織・アパレル関連展示会「中国江蘇国際アパレル、テキスタイル、ホームテキスタイル展」と、ファッションデザインに焦点を当てたイベント「江蘇ファッション・クリエーションウィーク」などで構成する。
アパレル、テキスタイル、ホームテキスタイル展は、展示面積を4万平方メートル以上に拡大し、ブースは前回の約1・5倍の1500に増やした。中央部分では同省の紡織、アパレル産業の発展と自主ブランドの育成などを紹介し、そのほか国際館、ブランド服装館、ホームテキスタイル館、テキスタイル館などで構成する。
今回のポイントは国際館のレベルアップ。海外ブランドの展示のほか国内ブランドと海外商社との提携促進の場としても機能させる。現在、イタリア、フランス、日本、香港、台湾のブランド企業が出展を検討している。
江蘇ファッション・クリエーションウィークは、海外有名デザイナーによるファッションショーや省内の学生を対象にしたファッションデザインコンテストの表彰式を開く。同省はファッション産業の人材育成を目的に学生のファッションデザインコンテストを毎年実施しており、今回は繊維関連の大学など14校の学生が参加している。このほか、デザイナーやブランド企業などによるセミナーも行う。
2011/07/28
そごうと西武百貨店に特別研修 尾州・テキスタイル・カレッジ
NPO(非営利組織)法人、尾州人材育成機構の「尾州・テキスタイル・カレッジ」は27日、2日間の日程で、そごうと西武百貨店の担当者らに特別研修を始めた。
両社のPB「リミテッドエディションバイアツロウタヤマ」など自主編集売場の強化・拡大を図る一環として、繊維の基礎知識とテキスタイル生産を学び、商品の差別化につなげるのが目的。
各店の婦人服自主編集売り場担当者、販売人事部も合わせ21人が参加。一宮地場産業ファッションデザインセンターでの講習に続き、28日はニッケ一宮事業所などの工場見学も行う。
2011/07/27
繊維ファッション産学交流会議で講演、シンポ 作る側も変化を/ビジネス教育が重要
繊維ファッション産学協議会は「第18回繊維ファッション産学交流会議」を都内で開き、「世界へはばたくファッション人材を育む産学連携」をテーマに講演とシンポジウムを催した。
産学シンポジウムでは、オリジナルのニット糸と製品の輸出に取り組む佐藤正樹佐藤繊維社長が「本当に作りたい物を作って自分で海外に売りに行き、匠の技や工夫、思いを語れば英語が話せなくても商談は成立する」と語り「今は売る側主導で、言われた物だけ作る生産現場も多いが、作る側も日本にしかない伝統技術や素材を使い差別化し、訴求法も自ら考えるべき」と加えた。
信田阿芸子日本ファッション・ウィーク推進機構国際ディレクターは「日本は基礎教育はしっかりしていて、クリエーションの水準も高いのに、数字が苦手な人が多い。服飾系の学校でもビジネス教育を重視してほしい」と発言。ファッションジャーナリストの山室一幸さんも「若手デザイナーの多くが数億円規模でいいと小さな世界に納まっているのに対し、日々の売り上げに敏感な“おしゃP”のブランドは一気に年商数十億円になるなど成功モデルになりつつある」と述べた。
人材育成では「日本での就職はさらに厳しくなるが、中国は販売員の指導や基本的なMDができる人材が不足し、就職先がたくさんある。学生も海外動向を知る必要がある。産学連携でできることもありそう」(信田さん)、「仮想現実の世界でのプレゼンテーションなどデジタルや日本の若い人が得意なことを生かしたファッションビジネスを考え、世界の頂点を目指してもいいのでは」(山室さん)などの意見が出た。
パリを拠点に仕事をしてきた田山淳朗さんは基調講演で「日本人は決められた枠内でのデザインは得意だが、海外で規格から外れた経験をすることも必要」「日本の学生はテーマが感性に偏り、時代や地域の概念が弱い点も欧米との違い」と指摘した。
また「ファッション界は10年ごとに全く違う価値観に変わってきた。生き残ったのは強いブランドでなく、トレンドの変化に対応できたブランドだ」と述べた。
2011/07/25
11年度経済財政報告 無形資産への投資重要 ブランド、組織改革で収益を
与謝野馨経済財政担当相が22日、11年度の年次経済財政報告書を閣議に提出した。報告書は、人材やノウハウ、ブランド構築や組織体制の改革などといった無形資産への投資に焦点を当てている。新興国が台頭し経済のグローバル化が進む中で、日本が経済競争力を保つために、今後一層の無形資産への投資を求めている。
報告書は震災後の経済を展望し、危機に強い経済への転換を提唱する。労働者のスキルやノウハウ、特許など無形資産への投資の重要性を指摘する。日本では、研究開発や著作権及びライセンスなどを含む「革新的資産」への投資が多い一方で、ブランド資産や企業固有の人的資本、組織構造の改革などの「経済的競争能力」への投資は、欧米先進国に比べ少ない。
また、ブランド構築や組織体制の改革による研究開発の収益率の引き上げのほか、海外人材の採用や、大学などでの人的資本形成など、人材育成と配置の重要性を指摘している。
原発事故で発生した風評被害への対応や、新たなブランドの構築、長期失業による人的資本の損失への対応強化、研究開発拠点の拡充の必要性も指摘した。
2011/07/23
【サタデーセンケン 今日のニュース】 第18回繊維ファッション産学交流会議 講演とシンポジウム
繊維ファッション産学協議会は「第18回繊維ファッション産学交流会議」を都内で開き、「世界へはばたくファッション人材を育む産学連携」をテーマに講演とシンポジウムを催した。
産学シンポジウムでは、佐藤正樹佐藤繊維社長が「本当に作りたい物を作って自分で海外に売りに行き、匠の技や工夫、思いを語れば英語が話せなくても商談が成立する」と語り、「今は売る側主導で、言われた物だけ作る生産現場が多いが、作る側も日本にしかない伝統技術や素材を使い差別化し、訴求法も自ら考えるべき」と加えた。
信田阿芸子日本ファッション・ウィーク推進機構国際ディレクターは「日本は基礎教育はしっかりしていて、クリエーションの水準も高いのに、数字が苦手な人が多い。服飾系の学校でもビジネス教育を重視してほしい」と発言。ファッションジャーナリストの山室一幸さんも「若手デザイナーの多くが数億円規模でいいと思っているのに対し、日々の売り上げに敏感なおしゃPのブランドは一気に年商数十億円になるなど成功モデルになりつつある」と述べた。
世界へ羽ばたく人材育成では「市場が急拡大する中国は、販売員の指導や基本的なMDができる人材が不足している。日本での就職は厳しいが、中国には就職先がたくさんあり、学生も海外動向を知る必要がある。産学連携でできることもありそう」(信田さん)、「仮想現実の世界でのプレゼンテーションなど、日本の若い人が得意なことを生かしたファッションビジネスを考え、世界の頂点を目指してもいいのでは」(山室さん)などの意見が出た。
パリを拠点に仕事をしてきた田山淳朗さんは基調講演で「日本人は決められた枠内でのデザインは得意だが、海外で規格から外れた経験をすることも必要」「日本の学生はテーマが感性に偏り、時代や地域の概念が弱い点も欧米との違い」と指摘した。
2011/07/22
JFW‐IFFで日本のものづくりセミナー 人材育成や海外展開が鍵 産地の若手が交流
繊研新聞社は20日、JFWインターナショナル・ファッション・フェア(IFF)会場内で、産地企業の若手経営者の交流を目的に「日本のものづくりセミナー」を開催した。海外展開の必要性や、技術の存続のために人材の獲得や育成が必要だという意見が出された。
富吉賢一前繊維課長による「繊維産業が向かうべき方向」と題した講演後、産地企業の若手経営者らによるパネルディスカッションを行った=写真。ものづくり面では「自分たちのもっている技術を消費者意識の変化にどう対応させていくのか」「企画提案力という新たなコストが求められている」といった悩みが相次いで報告された。国内回帰が言われているものの利益面で各社はぎりぎりの経営が続いており「高齢化での廃業が心配」と、技術を継承するための新たな人材確保が困難な状況が生まれつつある。「人が入らないと組織は活性化しない」といった意見と同時に「会議を開き現場の声を聞くことが重要になっている」「昨年から個人面接を始めた」と社員のモチベーションを上げるために様々な工夫をしていることが紹介された。
2011/07/20
主婦のスタッフ採用増やす ストンプ・スタンプ
輸入子供服のストンプ・スタンプは今夏から、求人情報サイト「しゅふジョブ」を通じた主婦のパート・アルバイト採用に力を入れている。
募集したのは5月上旬。本社の事務職として、時給制(1000円から)で週3日以上、午前10時~午後5時を基本勤務時間に募集し、100人以上の応募があった。面接すると、結婚前は大手企業に勤め、貿易実務の即戦力となる人材も見つかった。同社には以前から、家庭を持つバイヤーや販売員がおり、「社会経験が豊かで、数字にも強く、時間内に効率良く仕事を進められるなら積極的に活用したい」として、バイヤー、商品企画、プレスアシスタントで合計6人、販売員も1人を採用した。
応募した主婦の多くは、収入よりも「時間を有効に使って外とのつながりを持てる場が欲しかった」(バイヤーの大塚真代子さん)という。家庭事情による勤務時間の変更が難しい企業は少なくないが、「子育ての環境が同じ女性が他にもいるので心強く、刺激も受ける」(商品企画の岡野紘子さん)。
2011/07/20
SC協 初の合同企業説明会 12年の全国大会で併催
日本ショッピングセンター協会は、12年1月18~20日に横浜の「パシフィコ横浜」で開催予定の全国大会とビジネスフェアに併催して、大学生の就職率向上と会員企業の人材確保を支援する「SC業界合同企業説明会」を開く。同協会としては初めての試みだが、社団法人が学生の就職支援をするのは珍しい。
越村敏昭会長は「大震災からの早期復興支援に加えて、学生の就職環境が厳しい状況が続いており、経済活性化のためにも避けては通れない問題だ。就職希望先が大手に集中しており、流通業界や中小企業では人材不足感が根強い。学生への支援とともに、会員企業の人材確保に微力ながら支援する」ことを目的に開催する。
出展者のディベロッパー、テナント企業、SC関連企業から約20小間分を募って企業説明会のブースを設ける。ビジネスフェアに併設することで「SC業界について学生に説明しやすい」「自社の仕事の内容を具体的に説明できる」「ビジネスの現場を学生に見せることができる」などの利点をアピールしている。
学生の来場目標は600人。募集方法は、協会のウェブサイトや、関東在中の大学生を対象に延べ10万件のEメール配信。協会の冠講座実施大学(関東)に来場を促す。
2011/07/20
国内大手スポーツメーカーの海外アパレル生産 ASEANを拡大 素材調達含めコストダウン 海外拡販を見据え
国内大手スポーツメーカーが、コスト高や人材確保の難しさなどのリスクを抱える中国への偏重を避けるため、ASEAN(東南アジア諸国連合)でのアパレル生産拡大を進めている。素材の現地調達も含めたコストダウンも狙いだ。中長期的な成長戦略として、海外販売の拡大とも関連し、「どこで売るか」を踏まえた総合的なサプライチェーン作りに動き出した。
ミズノは3年ほど前から国・地域別の生産比率を見直している。13年までに、半分を占める中国は37%に、21%の日本は14%に下げ、6%のインドネシアを20%に、10%のタイを14%に引き上げる。デサントも「日本向け、海外向けともに、ASEANでの生産比率が高まる」とみる。アシックスも生産地としてインドネシア、タイ、ベトナムを候補に挙げる。
ウインウインで
要求の多さから、世界の製造現場で敬遠されがちと言われる日本のオーダー。加えて、アパレルの中でも物性や縫製の基準が厳しいスポーツウエアでいかに工場を確保するか。「工場側の技術や生産性向上につながるような、“ウインウイン”の関係でなければ難しいだろう」として、デサントは伊藤忠商事をはじめとする商社も活用するが、必ず定期的に主力工場を回り、技術指導する。中国の北京デサントの工場は国内自社工場のノウハウを積極的に注入してきたが、「将来は北京をハブにして他の海外工場の教育ができれば」と考えている。
ミズノは新規開拓よりも長年協力してきた工場での生産量を増やすため「心配は少ない」という。インドネシアには取引が15年ほどの工場があり、タイには約20年前にサハグループと合弁でウエア製造のタイ・スポーツ・ガーメントを設立している。
アシックスは「パートナーとして深く付き合える取引先を見つけたい」として、日本の繊維商社などを通じた外部工場の開拓や、資本関係を含めた提携など、幅広く検討している。
グローバル視点
「どこで作るか」という生産戦略は、「どこで売り上げを伸ばすか」という販売戦略にも深く関わる。
アシックスは15年度に海外売上高(シューズなど含む)を総売上高の70%に引き上げる考えで、核であるシューズに続き、アパレルを拡大する計画。同社は4月、アパレルの開発や生産・品質管理、ソーシングを目的にアシックス香港アパレル(AHA)を設立した。これまで、欧米市場などでは各海外販社が独自にライセンス生産しており、似たような素材も別々に仕入れていた。今後はエリアを越えて商品ラインアップや素材、縫製拠点を集約して効率化する。「ここが海外でのアパレルの成長を左右するため、スピードが重要」と、AHA代表の池田新執行役員アパレル・エクィップメント統括部統括部長は話す。
香港は、優秀な人材を確保しやすく、英語でコミュニケーションがとれ、中国、東南アジアに近いといったメリットがある。「日本と海外販社では品質への考え方もニーズも全く違う。本社のコントロールで日本の常識を持ち込むよりも、現地で直接、やりとりした方が早い」と指摘する。日本の特異性を理解した上で、グローバルな仕組みを作ることも重要になりそうだ。
アジアでの販売を拡大しているデサントは、現地への“産地直送”でリードタイムを短縮する方針だ。日本の倉庫に一度戻してから出荷していた商品で、「例えば、日本を通さず、検品を含めて中国で行う」ような仕組みを作る。素材は国内あるいは海外に進出している日系メーカーのものが中心で、ローカル素材の採用はほとんどない。材料にコストをかける分、物流などの付帯経費のロス改善で調整する。
2011/07/19
パルコ 昭和女子大と連携 学生の実習受け入れ
パルコはCSR(企業の社会的責任)活動の一環として、昭和女子大学と連携し人間社会学部福祉社会学科の「福祉キャリア演習」を受け入れる。本部と店舗のある東京・渋谷地区で文化や次世代の人材育成に貢献する。
演習プログラムは、学生とパルコの社員が共同でパルコのCSR企画を立案し、参加学生から経営層に企画提言する。期間は19~29日。実習は同学科の単位に認定される。
厳しい就職環境下で大学生に就業体験機会を提供するとともに、「エシカル消費やソーシャル消費といった社会性の高い消費を志向する風潮が強まっており、若い世代の消費意識を共有することが重要」(パルコ)として今回の取り組みになった。
2011/07/14
【日本のものづくり応援キャンペーン】 東北のメンズ工場 復興へ「攻め」の準備 日本人若手の採用増やす
東北には、メンズ分野は紳士スーツをはじめ、ドレスシャツ、カットソートップなどの縫製を担う工場が数多く存在する。現在まで生き残っている工場は技術や品質の高さだけでなく、他社に負けない強みを持つ。生産がピークを迎えていた3月に起きた大震災の影響を受けながらも、奮闘するいくつかの工場を追った。
節電ビズが追い風
カットソーOEM(相手先ブランドによる生産)のマルチョウ(東京都墨田区)は、岩手県奥州市に自社工場がある。内陸部のため津波の影響はなかったものの、工場内の棚が倒れ、電気・水道が止まり、ガソリン不足だったことで、直後2日間は操業停止をした。従業員は全員無事で3月13日に再開したが、3~4日は50%の稼働だった。高速道路の開通後すぐに本社から工場に人を派遣し、現場で直接指示した。
宮城県石巻市の協力工場は、カットソートップ1000枚分の原反が被害を受けたが、発注キャンセルを免れ、再生産できた。福島の協力工場は半壊したが、操業を再開しており、「復興の一助になればと仕事を回している」という。
地震の4日前に、繁忙期対策として導入したCAM(コンピューターによる生産)を稼働させた。1日2000枚分の生地を裁断する能力があり、これまでの工程での裁断待ちのしかかりなど生産ロスが削減できる。「もし導入が少しでも遅れていたら、追加生産要請に応じられず大変だった」(長谷川直樹社長)と振り返る。
その後、メンズ市場で起こった「スーパークールビズ」など節電特需の効果は大きかった。5月にアパレルメーカーなどから夏物の追加発注があり、7月末までポロシャツをはじめとした半袖カットソートップの生産は続ける。
今回の震災を機に、中国人の技能実習生・研修生を減らし、日本人採用を増やす方向に切り替えた。直後に中国人数人のうち半分が帰国してしまったこともあり、若い日本人を6人採用した。新規採用を10人まで増やし、CAM導入に伴い生産能力を増強する計画だ。これによって日産1000枚強(従来は700~800枚)となる見込み。「生産力も回復し、現場の絆も深まった。今後、新規取引先の開拓も進めたい」(長谷川剛常務)と意欲的だ。
福島県と青森県に自社工場を持つカットソーOEMの丸和繊維工業(東京都墨田区)は、福島の白河工場が大きな被害を受けた。建物のガラスや蛍光灯が割れ、ダクトが落ちてしまった。地震直後は断水でアイロンのプレスもできなかった。さらに中国人の技能実習生・研修生が全員帰国したこともあり、生産能力は半減した。
その分、主力アイテムのポロシャツなどは青森工場でカバーしている。震災を契機に、メード・イン・ジャパンを見直す機運が高まった。さらに東北製をアピールするスペシャルタグの要請もあり、プラスの効果はあるという。
津軽地区に集中
紳士スーツの生産が集中する青森の津軽地区は震災の影響は軽微だったものの、直後に混乱はあった。イージーオーダースーツのセンチュリーテクノコアの弘前工場は、地震発生時は、オーダースーツ生産の最盛期だったため、大きなダメージを受けた。主力の弘前工場には2500着の仕掛かり品があった。物流がマヒしていたので、3月に就任したばかりの森本尚孝社長自らがトラック便を手配し、新潟経由で東京へすべて納品できた。自社で開発した生産管理システムに加え、茨城にも工場があり、千葉に物流センターを配置していることでSCM(サプライチェーンマネジメント)が途切れなかったことが大きかった。
弘前工場は従業員が240人で日本人のみ。毎年、新卒者を定期採用しており、平均年齢は34歳と若い。場所も都市部周辺にあり、求人しやすい環境のため、地元の雇用を支える役割もある。
節電対策では発熱量と風の流れを計算した天井が高く、室内の熱源を減らすなどの省エネ設計が生かされる。「オーダースーツは量産型の既製スーツとは違い、1着1着受注生産なので究極のエコ商品である」との思いから、「これから攻めに転じたい」と強調する。
2011/07/14
【日本のものづくり応援キャンペーン】 座談会 東北六県縫団連青年育成会 未来を握るキーパーソンたち 絆、結束力、対応力そして継続 「ものづくり」勝負はこれからだ!
工場同士が連携して 佐藤克豊 サンライン社長(青森県南津軽郡)
魅力ある仕事にする 高橋康一郎 メンズアキタソーイング取締役営業部長(秋田県仙北市)
雇用継続で地域貢献 佐々木亮 大同衣料取締役部長(秋田県大仙市)
「世界」に向けた力に 永山龍大郎 永山産業社長室長(福島県白河市)
若手育て技術伝える 藤原功生 藤原洋装部長(秋田県横手市)
繊細さ加えて信頼を 山本美樹子 パルコモード取締役営業部長(山形県米沢市)
産地を守り地元守る 鈴木ゆかり 第一ほうせい取締役生産管理部長(山形県米沢市)
若手を毎年採用する 及川栄樹 及川被服常務(宮城県登米市)
日本最大の縫製産地・東北。東日本大震災はこの一大アパレル産地に大きな被害を与えた。そうした中、東北の工場の後継者たちでつくる「東北六県縫製団体連合会(縫団連)青年育成会」のメンバーたちは、日本のものづくりとメード・イン・ジャパンの未来を担おうと、高い気概と使命感を持ってビジネスに立ち向かっている。「あきらめる事を知らない!絆、結束力、対応力そして継続」「モノづくりの勝負はこれから! 未来を握るキーパーソンたち」をテーマにメード・イン・ジャパン、雇用、地域貢献などへの思いを語ってもらった。会員のうち3人は当日、青年会議所の被災地でのがれき撤去に参加したため参加できなかった。
(本記事は縫団連主催の第35回東北ミシンショー会場で開催した座談会に、その後の取材などを経て加筆した)
佐藤 スーツ、ジャケット、コート、ベスト、パンツなどメンズの既製服のアウターをトータルで生産しています。5月10日で、ちょうど設立10周年を迎えた若い工場です。進化した機器を取り入れて感性の高い、メード・イン・ジャパンを世界に発信していこうと考えています。今回のミシンショーにも社員全員で参加しています。
また、青森には従業員100人以上のメンズのEO(イージーオーダー)と既製服の工場が五つあります。いずれも元気な工場です。青森アパレル協議会としても、ものづくりに関する勉強会をしばらくぶりに再開しました。ものづくりに集中し、工場同士が連携して力を合わせて、発信を強めていきたいと考えています。
高橋 当社は秋田県仙北市、田沢湖近くにあります。レディス、メンズのジャケットやコート、ブルゾンなどの上物を中心に生産しています。仕事が薄い時期には、ワンピースやブラウスなども縫製します。「どんなアイテムでも作れる」、それが当社の売りだと考えています。アパレルメーカーから「こう言うのができるか」と投げかけられたら「できない」とは決して言わない。良い回答ができるように常に前向きに取り組むようにしています。これからもいろいろなアイテムに挑戦していきたい。そして品質の向上にも取り組んでいきたい。
当社は百貨店向けのメーカーとの取り組みが多く、トレンドを追いかける商品を多く手がけています。そのため、常に納期におわれており、それで培われた納期管理や生産管理も強みだと考えています。これに磨きをかけて、社員一同がんばっていきたいと思っています。
佐々木 メンズ主力の工場です。兄と共に経営に当たっています。当社の企業理念に「地域に貢献する」というのがあります。30年以上の歴史があり、微力ながら地元に貢献できているのではないかという実感を持っています。
当社は外国人技能実習生を受け入れていません。ここ6~7年、日本人を新卒で社員として採用してきました。この若い人たちが頑張ってくれ、職場に活気と明るさが出ています。若い力は素晴らしい、この若手と一緒に頑張っていきたいと思っています。
藤原 今年で創立23年を迎えました。主に婦人ブラックフォーマルを手がけています。従業員は30人弱ですが、CAD・CAM(コンピューターによる設計・生産)を導入し、小ロット・短サイクル生産に対応しています。
及川 当社も津波による大きな被害がありましたが、幸い社員にはけがもなく、今操業できることに喜びを感じています。
私は及川被服の常務であり、昨年10月からグループ会社の米山アパレルの代表取締役という重責を担っています。アイテムは学生服のズボン、官公庁、とりわけ警察官のズボンを主に扱うユニフォーム工場です。ユニフォームは、入学・入社試験の発表から入学・入社式までの短期間に納品しなければならない「超」がつく短納期が特徴です。しかも制服は規格を超えた、例えば体の大きい方やアレルギー体質の方にもすべて同じ色の製品を納品するという完全個別対応の小ロット生産です。これが当社の強みです。
山本 山形県米沢市に立地してます。社員数195人のボトム専門工場で、今は数少ない全員立ちミシンで作業し、自社発案の水平移動ハンガーシステムのタクト運転で各自複数台を動かし、仕掛製品を1枚づつ順次送り1ライン6~8人で完成品とする、国内では類のないものづくりをしてます。
一年半ほど前からイッセイミヤケの「プリーツプリーズ」の仕事を受けています。ボトム専業ですが、素材によってはその他のアイテムにも対応しています。
鈴木 米沢の第一ほうせいの鈴木です。社内では生産管理部長を任されています。当社は1890(明治23)年、織物問屋として創業しました。現在の第一ほうせいは1960年に設立しました。89年からは、きものの「ハイテク手縫い仕立て」をオリジナルで開発し、きものミシンと手縫いを合わせた縫製をしています。これは立ちミシンとパターンシーマー、ロボットなどを組み合わせたもので、手縫いでなければならない部分を手縫いするものです。生産性向上に加え、きものは直線縫いの部分が多いのですが、パターンシーマーを使うことでまっすぐに縫える。手縫いより強度も増し、品質のばらつきをなくすことにもつながっています。アイテムは長じゅばん、コート、はかまなど総合的に対応しています。
当社は社長、会長以外は全員女性の会社です。男性でなければならない仕事は当社にありません。入社以来、私も社長と共に入社面接をしていますが、日本の女性を美しく見せるお手伝いをするという経営理念から女性を採用しています。
永山 会社では社長室長を務めています。当社の将来に向けたフュチャービジョンの策定などを任されております。
工場は南湖工場(白河市)と、平田中央工場(石川郡平田村)があります。南湖はトップ、ジャケット、コート、ブラウス、ワンピースなどレディス全般を縫製しています。平田中央ではシャツを生産しています。自動機を活用してできるだけ効率的に生産する体制を築き、いろいろなブランドから信頼をいただいています。今期で43期、44年目に入っています。
昨年10月には外国人技能実習生の受け入れをすべてやめ、日本人従業員だけで再出発しました。一大決心でした。毎年新卒を継続して採用しており、若い人材を投入していきたいと考えています。
永山 現在の仕事は、アパレルメーカーから頂いたOEM(相手先ブランドによる生産)がメーンです。百貨店向けのメーカーが多く、小ロットで数量が付きにくい。同じ生地を使って、いろいろなアイテムを企画・生産し、その中で形も違う。一素材で3型、4型あり、合わせて百数十枚という仕事をいただくことがあります。生産性をどう高めていくかも考えていきたいと思っています。
今後は、単に「つくる」だけではなく、メーカーの企画担当の方々と一緒になって対話しながら、互いの強みを生かしてよりよい製品をつくっていきたい。工場の持つ技術力、ノウハウを生かして「こうすればよりコストを削減できる」「こうすれば効率的に生産できる」を提案する。それがブランドのメード・イン・ジャパンを後押し、ブランド力を高めることにつながると考えています。
国内市場が縮小する中で、QR(クイックレスポンス)でトレンドを追いかけるだけでなく日本の素材力、技術力を生かしてブランドが世界市場に打って出ていくお手伝いができればと思います。福島の仲間、育成会の仲間とともに仕事を任さていただきながら、世界にも打って出ていければと考えています。
鈴木 当社はきものの会社です。日本の伝統文化をまもる、米沢という産地を守る、そして経営理念である日本の女性を美しく見せるお手伝いをするという三つを大事にして経営を進めたい。産地を守るということは、地元を守るということであり、地域貢献にもつながります。
きものはお客さまの寸法を測り、誂(あつら)え、お届けする、すべて一点物です。柄の出し方ですべて違う。お客が着たい日に必ずお届けするということを一番大事にしていきたいと考えています。入社前、やまとで2年半販売の仕事をさせていただきました。今仕事ができるのも、売ることの難しさ、厳しさを知ったからでもあると思っています。それだけに、納期はしっかりと守りたい。伝統文化を守るためにもまずは着ていただきたい、そのためにも入り口でつまづくことのないように努力したいと思っています。
山本 震災の被害を直接受けた三県はもちろん六県のアパレル産業は皆様の声援と物心両面の援助を頂いて力強く、元気に復興しています。東北ミシンショーは、東北人の誠実さ、勤勉さ、そしてそこから生まれる東北のものづくりの良さを確かめ合う素晴らしい催しになったと思います。
当社は製品がボトムのみであることも条件の一つですが、小ロット、短サイクル対応のシステムの効果でお客の満足を頂いております。しかし、それに甘えるのではなく、東北人ならではの誠実さ、勤勉さなど繊細なところもプラスして期待される品質、決められた納期を実行していくことに一層努力したいと思ってます。
米沢は織物の産地でもあり、「米沢の生地を米沢の縫製工場で」という動きも最近では増えて来てます。米沢は上杉家の名君、上杉鷹山公が統治されたところで、「成せばなる 成さねばならぬ 何事も 成らぬは人の 為さぬなりけり」の教えを受けて、社員一人ひとり消費者に喜んで手に取って頂ける製品作りを心がけていきたいと思ってます。
そしてメード・イン・ジャパン、メード・イン・東北を呼びかけたいと思っています。
及川 10月で入社8年目を迎えます。東京の大学卒業後、そのまま今の仕事とは全く違う会社に就職し、サラリーマンをしていました。家業を継ぐことは全く頭にありませんでした。仕事に満足していたし、家業を次ぐリスクも重く感じていました。
転機は26歳。創業者の父に強く熱く説得され、根負けして泣く泣く帰郷を決めた。決めたからには、将来この決断が正しかったと言えるよう最大限努力しようと決めました。
実は会社の中身をまったく知らなかっもので出社初日、社員を見てびっくりしました。生産の中核を担うのは中国人研修・実習生。日本人はみなベテラン社員で50代女性。20代、30代の社員はまったくいない。「これから30年やっていけるのか」と疑問を感じました。その時からずっと持ち続けている私の原点になっているのが「若い社員と一緒に汗をかき、ともに信頼しあえる会社を作りたい」ということです。その年から新入社員の採用担当になり、ハローワークで話し、学校一校一校に出向いて、どんなに素晴らしい工場かを説明し、見学にも来ていただいた。以来、毎年8人ずつ社員を採用できるようになりました。今年も8人が入社しました。私はいま34歳ですが、若い人たちとともに頑張っていきたいという思いを強く持っています。
震災は大きな被害をもたらしました。外壁や屋根が落ちたり、駐車場は隆起してぐちゃぐちゃ、生地倉庫は全壊しました。なにより苦しかったのは研修生が出社の意志も見せずに帰国してしまったことです。そんな中、日本人社員は自分たちも被災し、ガソリンもないにもかかわらず出社してくれ、小雪舞い降る中で全社一丸になって操業再開に向けて努力してくれました。本当に心が熱くなりました。
3月11日から7日間、余震でも3日、計10日間停電で操業が止まりました。損得抜きに会社のために協力してくれる社員に触れて、いい会社にしていきたいという思いを改めて強くしました。
私はミシンもアイロンもやります。大きなビジョンを考えることも必要かもしれませんが、今は現場社員と心を一つにしていくことが大事だと考えています。若手社員と一緒に頑張り、恩返し、会社を繁栄させ、将来にわたって事業を継続させる。自分自身が成長することが会社の成長だと考えています。
藤原 小ロット・短サイクルに対応していくために、CADやCAMも導入しています。従業員も高齢化していますから、若い人たちに技術を伝えていきたい。そのために経営者として努力したい。
縫製の技術的なことに関していえば、よりよい製品を作るために、商社とメーカー、工場とが一体となってがんばっていきたいと思っています。「藤原洋装じゃなければ」とメーカーから選らばれる工場になりたいと思っています。
ブラックフォーマルの縫製は技術が必要ですので、今はベテランの社員と中国からの技能実習生が中心になっていますが、今後は若い社員を育て、技術を伝えていきたいと考えています。
佐々木 3・11で多くの会社が被災しました。こうした体験を乗り超えた会社は強くなると思っていましたが、及川さんの話を聞き、確かに社員との絆が強くなると改めて感じました。
当社は地域貢献を理念にしています。ですから、企業として永続する努力をしていきたい。我々は製造業ですが、製造業というのは地域の雇用への貢献が大きいものです。多めに雇用できるからです。当社も雇用・採用を継続してきました。大仙市は小さな地域ですから、多くの人数を雇用できる企業はなかなかありません。人件費は大きくなりがちですが頑張って雇用していきたい。そのためには適正な利潤を確保していかなければなりません。取引先と共存共栄を追求したいと思います。
売り手も買い手も、そして地域も良い、三方が良い会社になるよう努力したい。どこか一つだけ良いというのはどこかのバランスが悪く、必ずほころびが出ます。適正利潤を確保し、企業を永続させ、人材を採用して戦力化し、強い会社にしていきたいと思います。
高橋 みなさんに言われてしまいましたので同じことになります。「縫製工場を魅力ある仕事にしていきたい」、ただそれだけです。縫製工場はここ10年いろんな危機に直面してきたと思います。工賃が下げどまらない、仕事が激減する、こうしたことに直面し乗り越える中で、私は縫製を一生の仕事にする、これで食べていく覚悟がここ数年でできたと思いっています。
そのためにも若い人を採用していきたい。人材を戦力にし、魅力を感じてもらえるようにしたい。給料の面でも、仕事の中身の面も考えながらやりたい。
当社は外国人技能実習生が19人います。いろんな考え方があると思いますが、必ずしも悪いとは思っていません。使い方次第です。しかし、この制度がいつまであるかは分からない。それに対応できる柔軟な会社づくりをしていきたい。
工場を魅力ある職場にするということを前提に考えれば、やるべきことはたくさんあり、それをやりきれば、工場はどんどんよくなっていくのではないかと考えています。
佐藤 今日の出席者はみなこれから経営者になる人たちです。各社とも特徴のある工場です。いつも父親である社長の姿を見て育ってきています。まだまだ甘いとこころもありますが、細かいことだけでなく、どうやって企業を継続していくか、その覚悟は出来ているか、そうしたことを考えているということが強く表れたと思います。
育成会は震災発生後、いち早くメールで状況を交流し合い、励まし合うなど強い絆で結ばれています。みんなで強い意志を持って東北を発信地として進んでいきたいと思います。よろしくお願いします。
2011/07/07
【中国信息】 江蘇省 繊維・アパレル総生産額が初の1兆元 ブランド育成 内販 技術開発が実る 今後に厳しさ 四つの調整策
江蘇省の繊維・アパレル産業は昨年までの第11次5カ年計画期間中に総生産額が約2倍に拡大し、中国の省としては初めて繊維・アパレルが1兆元産業となった。有力企業によるオリジナルブランドの育成と内販の拡大、研究開発や人材育成への積極投資を原動力に、世界金融危機などの影響を最小限に抑え、成長を続けた。江蘇省紡織工業協会は今年からの第12次5カ年計画で、コスト上昇圧力に対応し、産業を高度化するため、先進技術の導入による生産効率の向上や地域内の産業移転、人材育成などを重点政策に据え、成長を持続させる考えだ。
江蘇省の繊維・アパレル産業の総生産額は昨年1兆521億元となった。年間売上高1000万元以上の企業数は約1万3000社で、就業人口は219万人余。省内の繊維・アパレル企業の利益総額は昨年までの5年間で約4倍に増えた。利益総額は556億元余で全国1位だった。
輸出上回る内販
昨年の輸出額は350億元。5年間で80%増えた。ただ、内販が輸出の伸びを大きく上回ったため、ピーク時に45%だった輸出比率は30%まで低下した。江蘇省紡織工業協会の謝明会長は、「クオータフリーの時も世界金融危機の時も、技術開発力や研究開発力に優れ、人材にも積極的に投資し、リスク対応力がある大手企業が重要な役割を果たし、産業をサポートし、健全な成長を支えた」と強調する。
08年秋のリーマンショックを機に中国の輸出産業の伸びは失速したが、中国政府はその対策として09年初頭には内需活性化の施策を打ち出した。江蘇省では、メンズのボストン(波司登)、毛紡績の陽光、ニット主力の紅豆といった大手企業がいち早くこれに対応して内販を強化、業績への影響を最小限にとどめた。大手がすばやく内販に大きくかじを切ったことが、第11次5カ年計画期間のとりわけ後半に江蘇省の繊維・アパレル産業の原動力となった。
江蘇省紡織工業協会が重視してきたブランド戦略の成果も大きい。中国には政府機関などで構成する「中国ブランド促進委員会」が、全産業を対象にブランドの力を評価、表彰する制度がある。その中で、国際的な影響力があるかなどを基準にした評価で最高ランクのブランドに贈られる賞「中国世界名牌」を江蘇省の繊維・アパレル業界ではメンズの「ボストン」(波司登)と毛紡織の「陽光」が受賞した。さらにボストンはこれとは別に、工業製品全般を対象にした「中国工業大奨」を今年4月、繊維・アパレルとしては初めて受賞した。
紡織工業協会の謝明会長は「この業界で最高の栄誉は江蘇省にある」と自負する。最高賞の中国世界品牌に次ぐ「中国名牌」を受賞したブランドも、江蘇省の繊維・アパレルには50以上ある。
江蘇省紡織工業協会は会員に対して早くから、ファッション構想、ブランド構想の重要性をを呼びかけてきた。その一環として、OEM(相手先ブランドによる生産)企業と国内外のデザイナーとの出会いの場としても機能させているイベント「江蘇国際服装節」を13年前から毎年秋に開いてきた。そうした積み重ねもあり、「ブランド意識をもち、海外ブランドに対抗して独自ブランド開発に挑戦しようとする機運が高まってきた」(謝明紡織工業協会会長)という。内販の拡大にはこうした背景がある。
江蘇省には毛紡績や綿紡績、カジュアル衣料、カットソー、ウールセーターやホームテキスタイルなど多彩な産地がある。産地の形をなす集積地は60以上あり、中国紡織工業協会が認定する産地は36カ所に達する。
にじむ危機感
第11次5カ年計画期間に順調に成長した江蘇省の繊維・アパレル産業。しかし、謝明会長は第12次5カ年計画期間は、「原材料、インフレ、金利上昇、元切り上げ、二酸化炭素排出抑制への圧力、労働力問題などで総合コストが大幅に上昇し、江蘇省にとっても新たな挑戦をするには厳しい環境で、自己調整をしないと遅れてしまう」と危機感をにじませる。その厳しい環境を乗り切るための重点施策として、先進技術の導入、労働効率の向上、地域内の産業移転、人材育成の「四つの産業構造の調整」を掲げる。
例えば、綿紡績1万錘を稼働させるのに中国全体では平均180~200人が必要だが江蘇省は60~80人。「最も進んだ企業」である無錫第一綿紡績は30人。綿紡績や化学繊維の大手のような「技術密集型、資本密集型で人手が少なくてすむ効率が高い企業を育てていく」。
また、江蘇省は「長江の南は発達しているが、北は基盤が弱い」。第11次5カ年計画期間に一部の企業が北部への工場移転を始めたが、第12次5カ年計画では「長江を渡って、北部へ投資を」の呼びかけと、それに向けた支援をさらに強める。江蘇省紡織工業協会はすでに産業移転促進の専門チームを設置。南部の市と北部の市をつなぐ場の提供のほか、コンサルティング活動や投資をしやすくする環境作り、土地確保などでの優遇税制などで産業移転を後押ししている。例えばポリエステル大手の恒力が、将来の事業拡大をにらみ、北部の宿遷で土地を確保するといった動きが見られる。
江蘇省には、繊維関連の大学や高校が多い。学生を江蘇省の企業に入れる活動や、入社後のステップアップを支援する活動を重視している。80年代にはすでに省独自の資格制度を導入した。例えば、入社2年目でアシスタントエンジニアの受験資格を得て、その後、段階を経て、10年で高級エンジニアになれるといった制度がある。高級エンジニアは自身が立ち上げたプロジェクトを自身が実行する権限と責任を有する。「プロとしての意識を高め、業界に入ってから具体的な目標をもってテップアップしていけるように」(謝明会長)するための資格制度も人材の確保と育成に力を発揮している。
第12次5カ年計画期間にはまた、環境、省エネルギー、CSR(企業の社会的責任)といった切り口の活動も強め、持続可能な発展につなげる考えだ。
2011/07/07
大手商社 アジア市場開拓進める 現地パートナーとの関係強化 成長の鍵握る海外収益拡大
大手商社はアジアでの展開を見据え、現地パートナーとの関係を強めている。中国市場での販売拡大のほか、ベトナムのビナテックスと提携した丸紅のように、日本向けのアパレル生産でチャイナプラスワンの開拓を目指す動きも出ている。大手商社にとって海外収益の拡大が成長の鍵を握るだけに、現地パートナーの開拓はさらに活発になるとみられる。
丸紅が活発な動き
丸紅は中国の上海紡織集団、ベトナムのビナテックスと相次いで提携した。上海紡織集団とは、衣料品、ライフスタイル関連商品の中国市場での販売拡大、ASEAN(東南アジア諸国連合)などからの調達強化、中国からの輸出拡大を目指す。ビナテックスとはユニフォーム、シャツを中心とした衣料品の日本向け拡大が狙いだ。「二つの提携は1~2年で効果が出るだろう」(矢部勝久執行役員ライフスタイル部門長)と期待は大きい。
有力パートナーとの関係強化を象徴するのが、09年の伊藤忠商事と杉杉集団との資本・業務提携だ。両社は繊維、アパレルビジネスで関係をスタートさせたが、事業領域を拡大する杉杉集団にとって、幅広い事業を手がける伊藤忠商事と組むことは大きなメリット。両社は資源、不動産など幅広い分野での協業をスタートさせている。
三井物産はカシミヤ最大手のオルドス集団と早くから深い関係を結んできた。繊維で始まり、資源など多岐にわたり、強い信頼関係につながっている。今後、三井物産が中国でアパレルブランドの投入を本格化させた時、強いサポートも期待できる。
繊維以外の可能性
大手商社は、チャイナプラスワンでのアパレル生産についても関心を高めているが、単純にコストの低い生産地を求めているわけではない。一般に新興国では繊維産業から出発し、その後、他業種にも進出してコングロマリット化することが多い。繊維を契機に取り組みをスタートさせ、今後、成長が期待できる企業、経営者との関係を構築。多岐にわたる事業分野での提携に発展させようという狙いが見える。
大手商社が急務とするのは、好調な資源に次ぐ収益事業の育成と海外収益の拡大。中国を中心とするアジアでの小売市場に参入する動きが活発になっている。三菱商事はこのほど、中国での商業施設運営事業の第1号案件として、現地ディベロッパー、陽光新業地産と合弁会社を設立。天津市で開発中の商業施設の運営に乗り出すことを明らかにした。同社は中国での不動産事業について、地域、事業内容ごとに最適な現地パートナーと協業しつつ、本格的な事業展開を開始する考えだ。
国際色豊かな人材を取り揃える大手総合商社にとっても、海外での収益拡大は容易ではない。マルチチャンネル・リテール戦略を海外でも実施しようとしている住友商事も「海外ではいかに現地パートナーと組むかが重要」(新森健之理事ライフスタイル・リテイル事業本部長)と言う。「現地の有力パートナーと組むことが欠かせない」との見方で各社は一致している。
海外事業へ経営資源を優先的に投入する流れが加速することは間違いなく、現地パートナーを開拓する動きは活発化しそうだ。
2011/07/06
溶着で新しい服作り 文化ファッション大学院大学
文化ファッション大学院大学は企業と共同開発した溶着機を使った新しい服の研究開発に5月から取り組んでいる=写真。今後、溶着による新素材の採用、並行して人材教育を進めるため、アパレル企業との協業も検討する。
服作りには、一般にミシン縫製、接着、溶着の三つの方法がある。溶着はミシン縫製で不可能な作りが可能なことから注目されている。ただ、溶着での生産は中国が先行しており、日本生産では今秋から部分的に溶着を使ったスポーツウエアが登場する見通しだ。
同大学ではファッションテクノロジーコースの実習室に溶着機3台を設置し開発を進めている。一部テープなど副資材を提供する協力企業の支援もあり、用途をスポーツウエアからファッションウエアに広げている。今後は「溶着による新しい服作りを確立したい」(稲荷田征教授)とする。
2011/07/04
【専門店のページ】 関西の婦人服専門店グループLCC会の「本音で話す会」 人の力生かし次の一手模索 地域に根差す専門店の今後 後継者や若手店長が展望語る
「人の力をどう育て、どう生かすのか」――関西地区に店舗を持つ婦人服専門店グループ、LCC会の会員企業が、地域に根差す専門店の今後の方向性を語り合った。「生き残りの方策はこれだと言い切れない」と悩みながらも、地域の情報や顧客のニーズをつかむスタッフの力を生かし、収益性を維持するための一手を模索する。専門店の後継者や若手店長たちが知恵を出し合い、将来の展望を切り開こうと励まし合った。
何に価値を置くのか
梅田(うめや) 販売単価がかなり落ちてきましたね。だからと言って、低価格路線に進んでも数量を売らないと今の規模を保てない。マス市場でうちが戦うのは難しい。マス市場とは外れたところで、「店と商品の価値を高めるためには何が必要か」を常々考えています。
山岸(婦人服飾サンアイ) この前、新規のお客様に「あなたのお店、意外と良い物置いているじゃない」言われました。店の中に入ってくれたことで、うちの良いところに気付いてもらえたのです。お客様は「あっちの店がいくら安い」とか、野菜みたいな感覚で店を選ぶ人がいるけれど、高くても良い物を求める人も当然いるんですよね。ですから最近は、店の特徴をしっかり出さないといけないなと改めて感じています。
とはいえ、周りの店と競争するには店頭に安い物を置かざるをえない。同質化を招くことはわかっていても、安い物も店に活気を生む一つの要素。省くわけにはいかないですが、例えば、上質な国産の物とか、軸になる部分は崩さずにやり続けないといけないなと実感しました。
杉田(ニューヤマモト) 私も変わらない軸は強みとして残していきたい。もちろん、激変する商売の環境に対して変わらなければいけない思いはあります。競合店は増え、お客様はセール慣れし、価格に対する意識は変わりました。
信貴(シンキ) 環境の変化は競合の構図だけでなく、売り方も確かに変わりました。1年の半分はセール期間で、割引した時しか物が売れない環境です。しかし、私たちのような店は大企業の戦略と同じようにやっていくべきではない。商業施設に出店している場合、仕方ない部分はありますが、例えばLCC会オリジナル品なら、他店にはない物なのでセール対象外として売ることも出来ます。
杉尾(スギオ) 私はすごく後ろ向きですが、個人的にはファッション小売業の環境はかなり厳しいと感じています。勢いのある業態はネット販売ですが、在庫を積めないと商売にもならないし、その体力はない。今のままなら、子供に継がせるのも迷ってしまう。一社だけでは、この難局は打破出来ない。私の考えは、スケールメリットを生み出せるLCC会に製造会社を作ってもらい、製販一体の仕組みが整えば、対抗出来るのではないかということです。
人材育成が一番大事
大谷(銀座屋) 販売員が生き生きと働ける会社にしていきたい。販売員が「これをやりたい」と自発的に仕事に向かえる環境です。仕入れについて言うと、セントラルバイイングで、スケールメリットが得られる形を優先していますが、販売員はそれを売らされている。各店で品揃えが違ったとしても、お客様と接している販売員の「これを売りたい」「こんなサービスを提供したい」というアイデアを吸い上げて、実践出来るようにしたいです。
信貴(シンキ) 仕入れはバランスが大事ですよね。本部の仕入れはドンと仕込むから、利益を作る部分としては大切ですが、各店仕入れは店舗スタッフの楽しみであり、やりがいです。読みが当たった時には褒める。褒めておくと、怒ることも出来ますから、繰り返しメリハリを付けながらスタッフを育てていかないといけないなと思っています。
岩崎(英里奈) やはり人材育成が一番。人の力がお客様を引き付けるわけですから。私にとって、商品は当然大切ですが、あくまでお客様に来ていただくきっかけです。
環境の変化はすごく速いので、先のことを考えてもあまり意味がないと思います。私は、変化に対応出来る若い社員の育成と、柔軟に動ける態勢を整えることこそが大事なのではないかなと考えています。
現在、従業員は約30人ですが、50人以上にして売り上げは10億円を目指したい。今、2店はSC内にあって、ナチュラル系とマルキュー系に挑戦しています。その業態で成長していけたらなと思っています。
既存業態も磨き直す
木戸(鈴屋) 鈴屋はこの2、3年、退店が先行しているのですが、あるメーカーさんから受けたご指摘に気付かされたことがあります。メーカーさんは「新業態への挑戦意欲は良いことだけど、スクラップしている既存業態は、店舗数を減らしたままで、もう伸ばす気はないんですか?」とおっしゃいました。私たちは「何か新しいことを」と安易に考えすぎ、積み上げてきたものを「もう一度、ブラッシュアップしよう」という考えが抜けていたかなと反省しているところです。既存業態を再度、磨き直す算段をする必要があると思っています。
一方で、これまでのしがらみにとらわれない商売の仕方も並行して考えていきます。会社も店の看板も変えるくらい覚悟を決めて取りかからないといけないでしょう。今ある物から新しい何かを生み出そうとしても結局、しがらみにとらわれて、思い切って挑戦出来ない。
多久(ブティックミツヤ) 私たちはいろいろ挑戦しているところです。30~40代向けの新業態や、アウトレット、飲食も経験し、どのやり方が私たちにとって一番正しいか、今の50~60代には何をどのように売ったらいいのかを模索しています。確かなのは、みなさんと同様に人材をどう育て、生かして、店の付加価値を高めていくことです。
梅田(うめや) うめやは路面店路線を貫きます。私たちは人を育てて、生かすのは路面店しか出来ないと考えています。定休日だって必要です。最近は、定休日を利用して、販売員と一緒にメーカーの展示会に行き、お客様のためにみんなで商品を仕入れる機会を作っています。「明日からまたがんばろう」と士気を上げていくような工夫をしています。もちろん、代休は取ってもらいますが、こうした工夫は定休日があってこそ。
出店意欲もありまして、人の集まるエリアの近くに店を出す“コバンザメ作戦”を考えています。インターネットも積極的に活用します。ただし、単に物を売るネット販売ではなく、“アナログ的なインターネットの活用”と言っていますが、例えばインターネットを活用してお客様からの予約を取って訪問販売をしてみたり、直接人との関わりが持てる内容で、地域密着の専門店としての活用の仕方を考えていきたいですね。(敬称略)
●LCC(ラ・クルーブ・クレアチュール)会
婦人服専門店同士の親睦を深める目的で発足し、40年以上経つ。現在、会員企業数は17社で、店舗総数は約100店。経営情報の交換や、商品の共同仕入れと生産にも取り組む。現会長は、兄貴分的な存在であるシンキの信貴豊長社長。月に一度、意欲的なメンバーが例会を開く。会長を中心に、この数年でメンバーの若返りを進め、活気のある場を作っている。
事務局の電話06・6671・3842(婦人服飾サンアイ)
2011/07/01
●第18回繊維ファッション産学交流会議
14日午後2時から、東京のアルカディア市ヶ谷で開く。基調講演で田山淳朗氏が「これからの日本のファッションに必要なこと」を話す。続いて「世界へはばたくファッション人材を育む産学連携」をテーマに、佐藤正樹佐藤繊維社長と信田阿芸子日本ファッション・ウィーク推進機構国際ディレクターらがシンポジウムを行う。参加費は8000円(税込み)。問い合わせは日本アパレル・ファッション産業協会内事務局、電話03・3275・0681。

