繊研新聞 アーカイブ/就職・採用関連記事
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2011年12月の連載「どーなの!どーする!?ゆとり世代」
2011/12/14
〈連載〉 どーなの!どーする!?ゆとり世代―下 「異質はイヤ」で伸ばす 良い面の評価を
「ゆとり」という言葉自体がネット上で揶揄(やゆ)の意味を持つほど、ネガティブなイメージばかり先行してしまったゆとり世代。年の離れた上司からは「扱いにくい存在」かもしれないが、彼らと年の近い新世代の経営者は「ゆとり」という色眼鏡を取り除き、ポジティブな面を見つけ出している。
ケース(4) 柔軟で素直
「上の世代が、感覚の全く違う彼らのことを『ゆとり』と決め付けているだけ」と話すのは、メンズカジュアルメーカー・小売り、せーのの石川涼社長。「例えば、消費の仕方ひとつを取っても、若い世代のほうが断然優秀でしょう? いろんなツールや情報を駆使して、自分に必要な価値と効率を分析してお金を使っているし。既存の考え方が通用しない、新しい感覚が生まれているだけ」。ギャップに嘆くだけでなく「彼らの柔軟さを見るべき」だと言う。
メンズEC(電子商取引)サイトの「メンズスタイル」を運営する宇賀神政人社長は「彼らは、よく言われるように『何が何でも勝ちたい』『なにくそ』というハングリー精神は持っていない。だからといって決して伸びないわけではない」と話す。
ポイントは「勝ち負けよりも『異質でいたくない』という気持ちのほうが強い特性を理解すること」。何に対しても横並びを重視した教育で育ってきた分、人とのつながりを大切にし、自分だけ劣ることを極端に嫌う。だからこそ、同世代の誰かが活躍すると、自分も追いつこうと必死で努力をする。「1人~2人を集中して成長させれば、自然に隣の子も頑張る。ちゃんと彼らの気持ちを理解した育て方を意識すれば、素直にみんな伸びる」。実際に同社では入社3カ月の新人が、サイト運営の前線で活躍している。
若い経営者の言葉から見えてくるのは「決め付けない」ことの重要さ。キャッチーな「ゆとり」という響きに惑わされ、端からマイナスの先入観を持って接することはしない。素直に良い面を評価するからこそ見えてくることもあるはずだ。
もちろん、今まで挙げてきた例は、ゆとり世代に非があるケースも多い。だが、いつの時代でも「最近の若いやつは……」という愚痴があるのは同じだ。「あいつらは何を考えているのか全く分からん」と憤る前にまず考えてみて欲しい。あなた自身は彼らを理解しようとしているのですか。
2011/12/09
〈連載〉 どーなの!どーする!?ゆとり世代―中 深まる世代間ギャップ 守られたい願望も
新卒で入社したゆとり第一世代は、今年で社会人2年目だ。超就職氷河期を乗り越えてきた優秀な人材として、ファッション業界でも多くの期待を抱かれているのだが、実際に現場から聞こえてくるのは様々なギャップの数々だ。
ケース(2) そもそも服に興味が無い
ゆとり世代の特徴の一つとして「ファッションへの興味が薄い」と指摘する人もいる。「昔の業界人は無理をしてでもインポートやDCブランドを買う傾向が強かったが、最近はそういう服好きがいなくなってしまった」。ある大手アパレルの企画部長は、ゆとり世代のMD担当が言った「本当は経理志望で、MDなんかやりたくなかった」という言葉を聞いて、開いた口がふさがらなかったという。
ある靴メーカーの営業担当者いわく、「昔とはモテたいという意識が全然違う」。十数年前はモテたいからファッション業界に入ってくる人が大半だった。しかし、最近はモテたいというより「純粋に物だけへの興味が強い」傾向にあるという。「ファッションが好き、人と接することが好き」というアパレル業界の原点が失われつつある現状に不安を隠せない。
ケース(3)ハングリー精神が薄い
業界のグローバル化が進む中、ゆとり世代が担う将来を心配する声もある。海外との関係が深い大手アパレルの部長は、「同じ世代の外国人と仕事をすると、個性の違いに驚く」という。日本のゆとり世代は「草食男子と言われるように、みんなおとなしくて、何よりもマイペース」。対して、同世代の外国人は「何よりもハングリー」。日本のゆとり世代は真面目に働くのだが、見て覚えることを知らないマニュアル世代のため、「いまいち向上心に欠ける」と見られるようだ。
海外に関しては「留学などがあって以前より身近に感じている分、行きたくないわけではないみたい」との声も。ただ「自ら進んで手を挙げるやつがいない。リスクを取りたがらない、というのもあるが、『上司の下で守られながらだったら行きたい』と様子をうかがっている」という。
会社や上司にとって若い人材は財産。こうした世代間格差に驚くことが多いとはいえ、円滑に仕事を進めるためには、どんな世代とでも活発なコミュニケーションが欠かせない。「同業の人と食事に行っても、最後はいつも人材教育の話になる」と言われるほど、気にかけられている世代とも言える。
2011/12/07
〈連載〉 どーなの!どーする!?ゆとり世代―上 主張のなさ心配 服が大好き薄れ 貪欲さどう引き出すか
“ゆとり世代”の話で盛り上がったことはありませんか?――。学生時代から「新世代の若者代表」として注目を集めていた彼らも、すでに社会人としてのスタートを切っている。「軽く叱ったら翌日から会社に来なくなった」「アフター5の上司の誘いは華麗にスルー」といった極端な話題が先行して、価値観の違いが強調されているが、果たしてその実態はどうなのか? この連載では四つのケースに分けて、ゆとり世代の実態に迫る。
そもそもゆとり世代とはどのような人たちなのか。一般的には、いわゆる『ゆとり教育』を受けた世代とされ、87年生まれ以降の世代をさす。授業数削減などの話題が先行し、何かとマイナスイメージで語られることが多い。
消費のスタイルは、とにかく堅実。「車を買わない」「ブランド品も買わない」「趣味は貯蓄」といった傾向は近年の若者の特徴としてよく語られるが、ゆとり世代はこれにすっぽり当てはまる。バブル崩壊以降の失われた20年の中で育ち、好景気の日本を一度も経験したことが無い。ゆえに、消費を楽しもうという気持ちは薄く、どうなるか分からない明日のために精いっぱい備えるというのが彼らの生き方だ。
そんな彼らが注目を集めるのは、その「生き方」が社会人になってからの「働き方」にも表れているから。ファッション業界も例外ではない。服が好きで個性の強い人間が集まっていた一昔前とは違い、優しい半面、主張の弱いゆとり世代が入ってきて、さまざまな議論が生まれている。
ケース(1) 優しすぎ
「お客さんのために生地を1000円値下げしたいと言われて驚きました」と話すのは、ある繊維商社のアパレル事業部長。ゆとり社員は、その客がどれだけいい人かを訴えてきたという。「私だったら、喜んでもらうにしても次にたくさん買ってもらうことを見込めないと値下げはできません。確かに思いやりがあって優しいとは思いますが、次の利益が見込めないなら、それって会社にとって背任行為なんじゃないでしょうか」とあきれ顔だ。
あるメーカーの営業グループ長は部下のゆとり世代を「優しいのは分かるが、それは自己主張や押しの弱さが出ているだけ」と分析する。「何よりも貪欲(どんよく)さ、勝ち負けに圧倒的に弱い。営業職を続ける上で、そのままでいることは難しいし、いつか勝負しなければいけない日が来る。この先、社会にもまれていく中で、ゆとり世代だからこそ苦労する時期が来るのでは。私たちもバックアップを考えておかないと……」と早くも心配ごとが尽きないようだ。

