「繊研新聞」掲載記事から就職・採用関連記事の一部を掲載します。文頭の日付は掲載日です。
2004/12/22
05年度予算案 経産省繊維産業対策費 3割増の18億円確保 技術開発などに力点
財務省は20日、05年度予算原案を内示した。経済産業省の予算額は一般会計で8113億円、前年度予算比で539億円の減少となっている。新産業創造戦略を核とした競争力強化に向けて、科学技術振興費が1401億円(前年度予算比24億円増)、人材育成対策費も186億円(59億円増)へ増額が認められた。
繊維産業対策費は厳しい財政事情の中でほぼ概算要求をキープし、前年度比約3割増の約18億円を確保した。約5億円の増額分は技術開発支援関連。概算要求には中小繊維製造事業者自立事業の助成額は含まれていない。技術関連支援では先行的に実施している4プロジェクトに加え、新たに4プロジェクトの技術開発を支援する。
川中の構造改革対策では展示会事業支援に前年度と同額の5億6000万円、SCM(サプライチェーンマネジメント)推進対策に前年度と同額の4400万円を計上した。SCMでは情報化モデル支援事業の支援と成果の普及を行う。
輸出振興対策費も前年度と同額の1億9000万円が盛り込まれた。前年度に続いてテキスタイルやアパレルの海外展示会(上海)でジャパンパビリオンを実現するとともに、ニューヨークや上海などにコーディネーターを配置して商談につなげる。
人材育成対策では経産省が新規に計上した製造現場における中核人材の育成費(11億9000万円)で繊維関連の取り組みを支援する。工場長のような人材を育成するため1件当たり3年間で1億円程度を計上する。
絹需要振興費は2900万円。
中小企業対策費では1274億円(31億円減)を確保し、新規にシニアアドバイザーに12億円、販路開拓コーディネート事業に1億円を計上。知的財産保護では788億円(10億円増)を確保した。
今後、復活折衝を経て24日には臨時閣議で政府原案として成立する予定。
2004/12/17
人材投資促進税制を創設 経産省関係の税制改正 企業の再編・再生も支援
与党が15日決めた05年度税制改正大綱のうち、経済産業省関係の税制改正の特徴は産業競争力の源である人材に対する企業の投資を促進する人材投資促進税制の創設だ。
企業が組織選択や再編・再生を円滑に行えるようにLLP(有限責任事業組合)制度を創設し、産業活力再生法関連税制も2年間延長する。
中小企業・ベンチャー企業の活力向上のため、中小企業新事業活動促進法(仮称)により、創業・経営革新・異分野連携支援策を統合し、エンジェル税制も延長する。
人材投資促進税制は教育訓練費を増加させた企業に、増加額の25%を法人税から控除する。中小企業では教育訓練総額の2分の1(上限20%)を乗じた額の控除を選択的に認める3年間の措置。
次期通常国会に法案を提出する予定のLLP制度は出資者の有限責任を確保し、内部自治の徹底と、出資者に直接課税する「構成員課税」の三つが特徴。LLPへの法人課税はない。個人同士、個人と企業、複数の異業種など多様な共同事業が可能となる。
産業活力再生法関連税制は、革新設備の特別償却、欠損金の繰戻還付、営業譲渡の際の不動産所得税の減額などの優遇措置を実施する。革新設備を導入した場合に一定割合の特別償却が認める特別償却率は事業再構築計画・経営資源再活用計画30%、共同事業再編計画40%、事業革新設備導入計画24%。
産業競争力強化のため企業再生関連税制の充実や特別法人税の課税停止措置の延長、外国子会社合算税制の見直しもする。企業再生の円滑化を図るための税制措置では私的整理で債務免除が行われた場合に、資産評価損の損金算入と期限切れ欠損金の優先的利用を認める。債務免除益への課税の回避が可能となる。整理回収機構や中小企業再生支援協議会が関与するか、私的整理ガイドラインに基づく私的整理が対象。特別法人税の課税停止措置は企業年金積み立てにかかる特別法人税の課税停止を3年間延長する。外国子会社合算税制の見直しでは2重課税を排除するため、配当を損金算入できる期間を5年から10年に、欠損金の繰越期間も5年から7年にそれぞれ延長し、合算対象の留保所得から直接的な人件費の10%相当の控除を認める。
中小企業新事業活動促進法は現行の中小企業支援3法を1本化する。設備投資減税を拡充し、新経営革新計画承認企業のすべてに7%の税額控除か30%の特別償却を行う。自己資本を充実できるように留保金課税停止の特例措置も新設する。譲渡益を2分の1に圧縮してベンチャー企業の発展を促すエンジェル税制は2年間延長する。
2004/12/17
人材投資促進税制 基本は増加額の25%控除
繊維関連企業も対象となる人材投資促進税制は05年4月から施行される。人材育成に積極的に取り組む企業の教育訓練費の一定割合を法人税から控除する、税額控除の仕組みで、制度は大企業対象の基本制度と、中小企業向けの特例の二つからなる。中小企業に手厚い仕組みで、基本制度と特例のいずれかを選択できる。
基本制度は教育訓練費を前2事業年度の平均額(基準額)より増加させた企業について、増加額の25%に相当する金額を当期の法人税額から法人税額の10%を限度に控除する。
中小企業の特例は教育訓練費を基準額より増加させた場合、教育訓練費の総額に対し、増加額の2分の1に相当する税額控除率(上限20%)を乗じた金額を当期の法人税額から法人税額の10%を限度に控除する。中小企業では地方税(法人住民税)でも適用する。
税額控除額の例としては基準額1億円の企業が教育訓練費を2000万円(20%)増加させた場合には、基本制度では500万円、中小企業特例では1200万円の税額控除となる。4000万円(40%)増加させた場合には、基本制度で1000万円、中小企業特例では2800万円の税額控除となる。
税額控除の対象となる費用は講師・指導員経費、教材費、外部施設使用料、研修参加費、研修委託費の五つの経費。人件費は対象にしない。
人材投資促進税制による減税規模は120億円前後になる見通し。日本企業では研修費用の給与総額に対する割合が欧米の約2分の1、中国の約5分の1に落ち込んでおり、中期的な政策として企業内人材育成の促進が必要になっている。
2004/12/08
約8000人の就職決定 経産省ジョブカフェ事業
経済産業省が発表した11月26日時点の若年者雇用支援「ジョブカフェ」事業の現状によると、来場者3万3337人、登録者5万1968人、就職決定者7851人となった。ジョブカフェは情報収集から適職診断、研修、職場体験・紹介まで就職促進サービスを1カ所で受けられるセンターで、7月から業務を開始した。
経産省は04年度予算52億5000万円を計上し、全国15モデル地域で事業を委託している。
2004/11/16
東京・横山町 学生が問屋に興味持った 活性化事業が進む 18日にファッションショー
「昨年は文化さんに任せっきりだったが、今年はわれわれ街の人間が中心になってやる」。2年目に入った東京・横山町現金問屋街の活性化事業が、18日に開催する「トンヤdeサファリ」のイベント(会場は東実健保会館)で大詰めを迎える。
「1年目は(連携先の)文化服装学院の学生さんが来るだけで街の雰囲気が明るくなった、若返ったと喜んでいたが、今年は問屋側が積極的に学生を受け入れ、活性化事業3年目へステップアップする自信がついた」と、活性化委員会の小嶋晴三郎会長(横山町奉仕会会長)。今年は双方向性の取り組みが強まって、4月には活性化委員会のメンバーが文化服装学院に出向き、ファッション流通課程の学生1200人を対象に「問屋概論」の講義を9回実施。5、6月には文化の学生が横山町の問屋23社で一人ずつインターンシップ(実習教育)を行い、「うち、10人ぐらいは(横山町に)就職しそう」という。問屋街の新聞やホームページ、広報ビデオの作成にも学生が参画している。
イベントでは、スタイリスト科の学生が126社の問屋の中から選んだ商品により、ファッションショーでコーディネート提案。小嶋会長は「都心に立地する横山町は、品揃えの広さと深さ、新鮮さを備えた“ファッションの部品メーカー”が集まった街。周辺にはバッグやかばん、靴、ベルトなど関連業者も多く、これらをうまく組み合わせることにより、魅力的なコーディネーションと売り場作りができる」と、全国の小売業者に来場を呼びかける。当日はファッションビジネス科の学生が「問屋街調査報告」、活性化委員会が「活性化中間報告」を行う。
2004/11/02
【FBへの提案】 IFIビジネス・スクール学長 尾原蓉子 求むクリエーティブ・デイレクター いよいよ「人」で勝負の時代 トータル・マネジメントで競争優位を
時代はマネジメントへ
ファッション・ビジネスの心臓部は「マーチャンダイジング」と言われてきた。適品・適時・適価・適量・適所の“5適”に演出を加えて、刻々と変化する状況に対応し利益を追求する仕事は、このビジネスを象徴するダイナミックな世界であり、目先の収益確保のための最重要業務である。
しかし、昨今の産業の成熟と競争激化により、「売れるものを売る」だけでグローバル競争に勝ち、かつ持続する収益を確保することは困難になってきた。「顧客が喜んでくれるもの」(自分が思い入れ、共感を持ってもらいたいもの)を提供することで「熱中顧客」を創造すること、それをブランドに構築して長期的に持続する顧客価値を追求することが不可欠になりつつある。
言い換えれば「商品中心」ではなく、「顧客中心」でビジネスを組み立てる時代、「モノ」ではなく「顧客の感動や体験」で勝負する時代、すなわち「顧客セントリック」(顧客を中心に置く)ビジネスの時代に入っているのだ。いよいよMD一辺倒から脱皮し、事業全体をマネージするマーケティングとマネジメントが重要な時代の到来と言える。
「戦略」「方向性」明確化が重要
「勝ち組」企業の共通項は何か? それは明確な戦略、方向性の存在であり、それを遂行する「やる気のある人材」、すなわち社員の存在である。すぐれた戦略は、まず「コスト競争力」と「高付加価値」のどちらで勝負するかを明確にしている。
次いで企業としてのクリアな戦略ポジション、すなわち「何をやるのか、何をやらないのか?」を社内の隅々にまで徹底していることだ。第3には、これらが一貫した整合性をもってマネージされていることだ。
経営トップが企業の諸活動を統合し、個々の組織が一つの共通ベクトルに向けて動くことが重要だが、特にファッションの世界ではビジネス(数字)以外の面で、一貫したコンセプトやデザイン表現を商品から店舗まで徹底することによる「ブランドイメージの確立と維持」が競争優位を生む源泉となる。
企業活動全体を感性面で統率するクリエーティブ・ディレクターが今、日本のみならず世界のファッション業界が最も必要とする人材である。グッチ社再生の貢献者トム・フォードが有名だが、躍進中の米国コーチ社のリード・クラッコフ氏もブランド・イメージ確立とブランド価値増幅に貢献した好例であろう。
クリエーティブ・ディレクターとは、端的に言えば、「顧客の目に触れるすべてのものをイメージやデザイン面で統一し、すぐれた感性的優位性を創出し発展・進化させていく仕事」である。顧客が目にするものとは、商品の色やデザインからコレクション、店舗の設計やVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)、ロゴ、ラベル、広告宣伝に至るまでのすべてである。
クリエーティブ・ディレクターに求められる能力は多岐にわたるが、その最大のものは「ビジョン構築力だ」とコーチ・ジャパン社長のイアン・ビックリィー氏は言う。日本では、ブランド・プロデューサーへの呼び声も高い。これは顧客ターゲットの絞り込みや顧客価値の設定に、クリエーティブ要素を合体させてマネジメントの視点からブランド構築をディレクションする仕事であり、これも事業全体のディレクションや運営にかかわる人材である。
人が育つには3つの条件
「人」が育ってプロのレベルに到達するには、三つの条件が必要である。第1は、すぐれた教育機関の存在。IFI(ファッション産業人材育成機構)では「実学」をモットーにプロの育成に取り組んでいるが、これに磨きをかける第2の条件がある。それは実践の場、すなわち企業の現場だ。人それぞれの能力を見極め、適材配置のもとに厳しい、しかし公平な評価で人材を磨き、大胆な登用を行う。企業の組織教育能力とでも言うべきものだ。IFIの卒業生の目立った活躍はこのケースが多い。
第3の条件は「本人の意欲・意志」。私はこれが最も重要と考えている。トム・フォードにしてもリード・クラッコフ氏にしても、たまたますぐれた教育を受け良い企業にいたということだけではあれだけの仕事はできなかっただろう。そういった仕事をしたいという高い目標と強い意志を持ってキャリアに取り組んだから、チャンスが与えられ、そこで自身の力量を発揮できたのである。
この3条件がスパイラル的に作用しながら、キャリアアップを促し支援するのが、理想的な人材育成の仕組みといえる。企業力は人間力。「ファッションの目利き」ばかりでなく、「人材の目利き」も不可欠だ。日本の競争力強化のために、企業としての人材の意図的な開発を強く求めたい。
2004/11/01
〈情報ピックアップ〉 来年度から販売員コース
コロムビア・ファッション・カレッジ(岐阜市)は05年度から、販売員コースを新設する。店舗作り・管理や買い付け、接客などを学び、販売士資格取得などをめざす。
同校は高等課程服飾教育科の中に、ファッションビジネスやファッションアパレル、ファッションビューティー、カラーコーディネーター、ホテル・ブライダルのコースがあるが、販売職の求人が増えているため新コースを設けた。「学生が力を付け、販売職の正規社員として採用してもらえる」(石井直子学校長)のを狙う。
2004/10/26
【記者の目】 出願が急増する繊維製品品質管理士 業種に変化、社会的信用も意識 企業も組織的取り組みへ
先頃、今年度の繊維製品品質管理士(TES)試験の合格発表が行われた。04年度は1494人が出願し、全5科目に合格したのは358人。合格率24・0%という狭き門は、ほぼ例年どうりだが、出願者の急増ぶりが話題になっている。昨年比で22・6%増、5年前に比べると46・3%増だ。業種別ではアパレル・商社・卸、職種別では営業や商品企画担当が、新たに主流となっている。今年度の合格者は、試験実施団体である日本衣料管理協会が登録原簿を作成し、11月1日付で「繊維製品品質管理士証」を交付する。(田所 明治)
学歴、年齢を問わず
TES制度は81年度に、通商産業省(現経済産業省)告示に基づいて誕生した。企業活動の合理化、消費者利益の保護、企業と消費者の信頼関係の改善などが目的だった。
97年11月で通産相認定の効力が切れたが、それ以降は日本衣料管理協会の主要事業として、業界主導で運営している。日本ボディファッション協会、日本百貨店協会、日本専門店協会など33の主要業界団体に、学識経験者が加わってTES制度推進協議会を組織し、同制度の運営と関係業界などへ普及する役割を担っている。
TES資格を得るためには、日本衣料管理協会が実施する認定試験に合格しなければならない。学歴、年齢を問わず、だれでも受験できるのが特徴で、学生の受験も多い。
ただ、応用能力が試される「事例」と「論文」は、どうしても現場経験の豊富な社会人が有利という傾向が出ている。
短答式で問われるのは、「繊維に関する一般知識」「家庭用繊維製品の製造と品質に関する知識」「家庭用繊維製品の流通、消費と、消費者問題に関する知識」の3科目。1回目の試験は82年に行われ、今年度で23回を迎えた。
4回目から、一度に全科目で合格しなくても、一定期間(3年)内に満たせばよい、という「取り溜(だ)め」制度が導入されたことも、日常業務に追われる社会人にとっては朗報だった。
総合的教育を担う
したがって、3年、あるいは4年計画で取り組む受験生も少なくない。とはいえ、講習会をはじめ組織的な援助を強め、資格取得者の飛躍的な増加をめざす企業や団体が増加するにつれて、「一発合格」を期待する声が高まっていることも否定できない。
ちなみに、アオキインターナショナル(認定有資格者12人)の子会社となって、親会社の支援のもとに初めて11人の受験生を送り出した紳士服専門店、トリイ(本社名古屋市)の例をみると、4科目合格者が4人、3科目が2人。彼らは“もう一息で一発合格”の域に達している。
TESは確かに「品質管理」に関する試験であり、資格である。しかし、今では、その域を超えて、繊維・ファッションに関する総合的、全般的な教育の役割を担っている。大学の繊維学部が激減し、業界団体の教育も十分に機能しているとは言い難い。企業内教育は、リストラ、合理化の嵐が吹き荒れる中で、後退につぐ後退から脱し切れていない。といって、人が財産であることは、論をまたない。来るべき飛躍の時に備えるためにも、人材育成は焦眉の課題だ。
こうした社会的な背景が受験者の急増、企業の組織的な支援の強化に結びついている。紡績・織物はじめ川上関係や検査団体に代わって、アパレルや小売り関係に主役が移っていることも理解できる。
職種で見ても、最近は企画や営業などの増加が目立つ。同じ小売りでも、品質管理担当だけでなく、店頭に立つ販売員が有資格者という例も増えている。
「ISO9000」を取得している事業所、国際展開している企業・団体が熱心、という傾向も見逃せない。TESの有資格者がいなければ、社会的にも、消費者からも信頼されない、ということだ。この結果、TES合格を昇進・昇格の条件とする企業が増えていると考えるべきであろう。日本衣料管理協会はTES専門のホームページ(http://www.tes-shikaku.jp)を開設し、出願者の急増に対応している。
2004/10/09
【中国信息・閑話休題】 人材不足
華南地域の繊維業界だけでなく、上海や江蘇省、浙江省など繊維産業が集積している地域では、どこも人材難に陥っているようだ。とりわけ深刻なのが、日本語を話せる縫製技術者、テキスタイルの経験者、日本向けOEM(相手先ブランドによる生産)の経験者といった、複数のスキルを持った人の不足だ。
中国で事業を行っている縫製メーカーや企画会社のトップに聞くと、手塩にかけて育てた人材が「独立しました」、あるいは「同業に転職しました」という話は、ごく普通に聞かれる。これまでもよく聞かれた話だが、人材確保のために高額の給料を払うようになってきているだけに、トップの悩みは深刻だ。
ある企画会社のトップは、「独立したり転職したりする風土があるだけに、新卒で採用し会社になじんでもらい、定着させている」と苦労を語る。豊富な労働力だけが独り歩きしがちな中国だが、「付加価値を生み出す人材はどこの国でも不足する」ということを、改めて認識した。(浅)
2004/09/30
【メンズリポート】 販売員教育、接客サービスの重要性増す
百貨店のメンズでは今まで以上に販売サービスが重要性を増している。商品、環境面の充実はもちろんだが、ブランドの顔として顧客と最前線で接する販売員の実力がより一層、問われている。大手アパレルでもトレーナー制度を導入するなど販売員教育を強化している。プレタゾーンをはじめ紳士靴の平場まで接客に力を入れている。また、専門店でもパターンオーダーによるカスタマイズなニーズへの対応が必要になっている。
三陽商会 店長が主役の店舗運営
百貨店のメンズフロアでトップクラスの売り上げの伸びを続ける三陽商会の「バーバリー・ブラックレーベル」は店長を主役とした現場発想の店舗運営がブランドの成長を支えている。鶴博幸ディビジョン長に販売員教育の重要性とブランドの方向性を聞いた。
販売員教育は店長など未来の幹部をみんながめざせるよう、ブランドビジネスの在り方、利益構造、顧客第一主義など、通常なら教えないようなことまで詳しく教える。まず、すべての新人販売員は必ずディビジョン長の1日がかりの研修を受ける。そこでテストをする。事前に店頭のOJTの段階で先輩スタッフや店長にアドバイスを受け、予習を積んだうえで研修に臨む。ブランドの理念、利益を出すための消化率や経費の考え方、ライセンスビジネスの仕組み、ブランドにおけるイメージの大切さなど一緒に検討を重ねながら教えていく。現店長のなかには「研修のときのノートを3年経っても繰り返しみてチェック」するなど、その後も役立っているという。
接客で重視するのはチームワーク。「よく客は人に付くといわれるが、それには疑問がある」と強調する。2~3年前は顧客をたくさんもっているのがいい販売員だった。それでは、目当ての販売員がいない場合、機会ロスになる。そのため、客が来店したときは複数で会話するようにしている。個人のお客というよりブランドに愛着をもってもらうのが目標という。
ディビジョン制でブランドを一元管理しているとはいえ、地域や店舗特性によって客層が違う。店長の裁量も大切にして、客層にあった接客を心掛けている。ヤングのブランドでお辞儀の角度までマニュアルでガチガチに決めてしまうのは良くない。
店長を核としたブランド運営を強化するため、半期に1度、ショップ別方針会議を実施している。エリアごとに店長を集め、半年間どう戦うか、顧客管理、接客、人材育成(次代の店長づくり)などを報告してもらう。成功事例を共有化し全体のレベルアップを図る実践的な場となっている。
今後、ブランドのセレブ化を進める。商品のこだわり、上質化はもちろんだが、ショップの大型化を促進する。132平方メートル以上のゆったりした空間づくりで、大人(主に30代)にも満足する接客をめざす。
ジョイックスコーポレーション 「スタッフトレーナー」新設
顧客と接する最前線にいるのが販売員。この人たちがどれだけ戦力になるのかが、店頭の売り上げを左右する。そのために必要なのがレベルの高い販売員教育だ。ジョイックスコーポレーションは00年に「スタッフトレナー」制度を新たに設けた。スタートは1人だけだったが、現在は10人。「ポールスミス」「ポールスミスコレクション」など全国200の店舗、700人の販売スタッフの教育を担当する。
基本はオン・ザ・ジョブ・トレーニング。スタッフトレナーの位置づけは「先生」ではない。教えるのではなく、同じ目線で問題を一緒に解決するというのスタッフトレナーの基本的なスタンスだ。そこには「店舗の主役は販売スタッフ」(同社)という考え方が貫かれている。
一つの問題が発生すれば、まず現場とスタッフトレーナが何度か話し合う。顧客への説明、修正部分、新たな対応策はあくまで合意のものとして作られる。スタッフトレーナが上から指示すれば、すぐに解決するという見方もあるが、「自主性」を引き出すことをまず最優先させる。指示待ちではない、解決能力を持つ販売スタッフが最終的には売り場に貢献するからだ。
どの業種かを問わず、新人販売員が短期間で辞めてしまうことが多い。ショップにとっては痛手だ。同社のショップは新人の定着率が高いのが特徴。新人は社内研修を受けたあと、店舗に配置される。自身がまず1カ月間の行動目標を立てて、担当のスタッフトレーナーが援助する。1カ月後には到達度を本人と検証、次の目標を決める。こうした目標設定・検証の取り組みを3カ月、6カ月、12カ月と繰り返す。
ショップに送り込まれた新人は、慣れないゆえの悩みも多い。フォローに重点を置いた、こうした取り組みを続けることが、新人販売員の不安を解消、結果として退職率を下げることにつながっている。
ゼニア・ジヤパン 靴の基本、徹底的に
ゼニア・ジャパンは、靴コレクションの刷新を受け、モノだけでなく足の構造なども理解したうえで販売できる靴専門家が必要と判断し教育体制を見直した。担当の杉本佳洋MD部シューズプロジェクトマネジャーは、「たまたま販売する靴がゼニアの靴であっただけで、どんな靴でも販売できるくらいの実力がつくように教えている」と靴販売の基本を徹底的に教え込んでいることを強調する。
対象は店舗面積が99平方メートル以上で靴のコーナーがある17店舗の販売員。百貨店側の担当販売員にもできるだけ受講するようにすすめている。研修は2日間で、事前に靴と足の基本をまとめたテキストを配布し、初日にテストをする。それに合格しないと研修が受けられない。
講義は、シューフィッターの中級レベルで、接客ノウハウなど、より実践的な内容で行われる。専門用語が数多く使われるため、事前に共通言語として専門用語の認識が必要なる。テキストが事前に配布されるのはそのためだ。
研修の後は、現場での実習がある。杉本氏が、各店舗を回って指導するのは物理的に無理があるのでリポートになる。15名分を提出しなければならない。リポートにした理由は、もう一つある。ゼニアはスーツを主体とするアパレルブランド。販売員が、靴を販売する機会は、スーツに比べれば少ない。リポートにすれば、書くときに接客を振り返ることになるので、1回の経験が5回、10回分に相当することになる。
リポートは、靴を見に来た人がどんな人で服装をしていたか、履いていた靴と手入れの具合などから始まり、ゼニアとして何が提案できるか、そして売れなかった場合はなぜかといったような項目で構成されている。杉本氏が15人分のリポートをみて、今後の対応策なども含め納得できれば合格となる。この時点で、接客の仕方を身につけている人が多いという。
新コレクションの販売から1年が過ぎ、フォロー研修も始まっている。来年からは、販売員を指導できる上級クラスの販売員育成にも着手していきたい考え。
トモエ商事 正しいサイズを見抜く
靴は一人ひとりの接客に時間がかかるが、一度信頼してもらうと固定客になりやすい。商品はもちろんだが、靴の場合、販売サービスが重要な位置を占める。「より親切に、より丁寧に、より心を込めて」と接客のモットーを語る紳士靴卸、トモエ商事のベテラン販売員・山本徹さん。
山本さんは現在の京王百貨店新宿店を担当する前はそごう横浜店が長かった。入社10年後、そごうの研修会で元銀座ヨシノヤの布施孝盛さんとの出会いが大きな転機となったという。「今までの経験をいったんゼロにして接客技術を学びたい」と弟子入り志願した。まず、シューフィッターの講座で基本を学んだ。しかし、資格取得してもそれだけではまだ50点。熟練の先輩から教えてもらい、自分の経験を積んで100点に近づける。
お客が売り場に入る前にから接客は始まっている。お客の身長、体格、靴の状態を見て、サイズがあっているか、あってないならどのサイズが合うかを弾き出す。足が見れないときは手の肉付きを見て判断する。ほとんどのお客はサイズが合っていない。8~9割は本当の足のサイズより大きいものを履いている。年配の方は連れの奥さんに小さくなったといわれるのを嫌がる。その場合、足のサイズを測定する。計ったことがない人が大半なので、信頼感が増し、正しいサイズを納得して購入してもらえる。また、マイ靴べらを常備しており、試し履きの段階で足の状態を素早くつかむ。
接客では適合、適応、順応を心掛けている。座った状態できついか、ゆるいか。歩いてみてどうか。使って見てどう変化するかまでを説明する。「履ける靴と歩ける靴は違う」ので、十分に歩いてもらう。お客にじっくり考えてもらう時間を与え、決して無理強いしないようにする。履くシーンも聞き出しながら、営業の外回りで1日中歩くとか、豪華客船での旅行でレストランに行っても恥ずかしくなく、かつ動きやすく履きやすい靴がほしいとか、用途によって薦める。
京王百貨店は60代、70代のシェアが高い売り場なので、足の悩みや健康志向の顧客が多い。店舗の客層に合わせ、値頃な価格(2万5000円~)のパターンオーダーで固定客の増加をめざす。
麻布テーラー 「マスターテーラー」導入
メンズスーツのオーダー専門店、麻布テーラー(本社大阪市)が昨年から導入したのが「マスターテーラー」制度。採寸技術の優れたベテラン社員、MD企画の経験者など30年近くの経験のある50代中ごろの店舗スタッフがマスターテーラーと呼ばれる。1年目は3人体制だったが、今年になり3人を増員。現在は大阪、東京、福岡の六つのショップに配置している。
店舗運営での店長を補佐、新人販売員の教育が主な役割だが、実際の接客の場面でマスターテーラーの力が発揮される場面が多い。長い経験を生かした接客技術で、顧客を獲得し固定客化する。
20代、30代の販売員との違いは、まずウエアリングやコーディネートなどフォーマルの細かい決まりごとに精通していること。そして、なで肩や怒り肩の人の補修方法など、人の体の状況に応じたアドバイスも的確にできることだ。顧客にしてみれば「オーダーする」という行為は不慣れなもの。どうしても不安感が付きまとう。その中で、若い販売員では対応が十分にできない場面も出てくるわけだ。技術と経験を備えたマスターテーラーがそういう場面に対応することで、「不安」は解消される。同時に若い販売員とっては、マスターテーラーが店舗内に控えているため、安心して接客ができる。
この制度を導入したこともあるが、顧客が新しい顧客を紹介するケースが目に見えて増えてきた。会社の同僚、友人はもちろん、マスターテーラーに接した20代の顧客が、同じ世代である自分の父親を店舗に連れてくることも少なくない。
ショップの課題は「顧客満足の最大化」。店舗と、そこに働くスタッフのレベルをあげていくことがその答えとなる。同社は今後東京地区での出店に取り組む。面積、人員配置などで問題がなければ、新店舗にはマスターテーラーを配置する考え出店に合わせ、当面は10人まで増員する予定。
2004/09/29
阪急百貨店新人事制度 65歳までの再雇用を実施 10月から1年契約で 能力で優遇「マイスター」制度も
阪急百貨店は10月からスタートする新人事制度で、10月以降に満60歳の定年を迎える社員を対象に、65歳までの再雇用制度を実施する。「エルダー社員」として1年契約で処遇する。新人事制度では再雇用制度とともに、能力や技量の高いベテラン社員を対象にした「マイスター社員」、中途採用者の処遇の明確化とプロフェッショナルの育成を目的とした「プロ職社員」など各種制度も併せて導入する。
再雇用制度で対象となる社員数は、04年度の16人をはじめとして、07年の50人や09年度の60人など今後5年間に約160人。8年間に321人が対象となる。契約は1年ごととし最長5年、65歳まで更新できる。
勤務する時間や日数は、本人の希望に応じて1日、週、月単位で決定する。給与は年俸制を採用、働く日数に時間給を掛けたもので年俸を決める。「マイスターエルダー社員」と呼ぶ能力や技量の優れたベテラン社員には待遇も厚くする。
年俸は「特定エルダー社員」で平均200万~350万円前後、マイスターエルダーで300万~400万円、最高で現職時の約半分、500万円前後になる。
マイスター社員制度は、40歳以上のキャリア社員を対象に実施する。ベテラン社員の経験や知識を活用、若手社員のスキルアップに役立てる。マイスター社員になるには、「マイスター認定委員会」の承認がいる。マイスター社員になると、再雇用時にはマイスターエルダー社員として処遇する。
プロ職社員制度は、これまで暫定措置として対応してきたものを新人事制度の中に明文化した。ファッションディレクションなどクリエーティブ性の高い部門に適用する。
再雇用制度は、すでに大丸が00年から、高島屋と阪神百貨店は01年から、それぞれ65歳までの再雇用を実施している。地方百貨店の山形屋は70歳までの再雇用を採用。松屋は78年から再雇用ではなく、定年延長に着手、98年から65歳までに定年を延長している。
団塊世代が定年を迎える「07年問題」(1947年生まれが対象)にどのように対処していくのか、流通業界各社の対応が注目される。
2004/09/27
【ファッションスクール】 少子化、業界の変化に大手校はどう対応 イメージ宣伝と教育サービスの向上を両輪に新たなチャンスをつかむ
18歳人口は09年に現在の141万人から121万人に減少し、大学が受け入れ可能な人数とほぼ同じになる。大学全入時代を迎える。分野を問わず学校の淘汰(とうた)がさらに進むことは間違いない。服飾系教育機関には日本の繊維アパレル産業の現状も響いている。80年代から90年代初頭、ファッションビジネス(FB)は若年層にとってあこがれの世界の一つではなかったか。しかし状況は一変した。メディアを活用したイメージ訴求で認知度が向上し、FBの拡大に沿って大きく成長した有名校はどのように対応しようとしているのか。
モード学園 2010年までに3分野を確立
モード学園(谷まさる学長)は、ファッション系、IT(情報技術)系、医療・福祉系の3領域で専門校を展開している。10年までにこの三つの教育事業を完全に確立することを当面の経営目標としており、ファッション教育に軸足を置きながら総合化する戦略を進めている。
04年度の学生数は学園全体で1万5300人、ファッション系3校(東京、大阪、名古屋)の合計は5600人。学生数で文化服装学院に並ぶ国内最大手校である。高校の就職指導に頼らず、学園の感度に合う子を自力で集めることに注力した結果、テレビCMを軸とする大量のイメージ宣伝で有名になった。
現在、3分野が揃っているのは大阪だけ。東京モード学園のみの東京で今後、総合化をどのように進めるのか注目されている。
同学園の理事で東京モード学園の校長である青木稔氏は「従来とは大きく異なる環境のうねりを感じる」として(1)18歳人口の減少(2)専門学校と大学の境界の崩壊(3)脱・学校としてのIT教育革命(4)実学教育先進国アメリカの日本進出(5)非課税法人を取り巻く環境変化(6)生涯学習ニーズの増大――などを列挙し、「厳しさだけでなく新たな発展のチャンスがあふれる時代」を強調した。
「中身が肝心」(同)で“洋裁学校のスタイルからの脱皮”をモットーに建学した以上、就職の保証を最重視する教育サービスの高度化の努力は常に欠かせないという。学生の勉学意識や産業界の人材ニーズの変化に対応し、教育プログラムを毎年見直すために「カリキュラム革新会議」を設けているのはその一つの表れだ。「時代が目まぐるしく変わるのだから、テキストは毎年変化して当然」(同)の発想がある。
実学重視のため外部講師が多くなっているが、授業や指導内容を丸投げせず統一した基準による標準化にも注力している。産学協同の教育推進では、3カ月間のインターンシップと企業とのタイアップ型授業“ケーススタディー”の2本立ての態勢を確立し、イトーヨーカ堂の「メイドインジャパン」での協業のように、企業側の打診をきっかけに協業を始めるケースも増えている。
今後、求人ニーズはピュアなクリエーターと効率徹底追求型の人材に二極化する、というのが同学園の見方。単なるスペシャリストではなく、エキスパートを育てる志向でその双方に応えていくとしている。
バンタンデザイン研究所 個別指導の徹底続ける
来年が設立40周年のバンタングループもイメージ訴求を柱に拡大してきた大手校だ。中心のバンタンデザイン研究所(東京、菊池織部理事長)のファッション学部昼間部の04年度学生数は1100人である。
同校は「少子化が進んでもファッションにこだわる若者は減らない」(福原洋取締役第二事業部部長)と見る。潜在層を掘り起こすことが大切で、「型にはまらない人材を生み出せる」(同)バンタンの校風の宣伝に引き続き力を入れる。
内容面では(1)“ワントゥーワン”と呼ぶ募集から卒業までの一貫した個別指導態勢の充実(2)卒業生をアシスタントとして起用し、卒業後も技術指導を受けられる態勢を今年から整備(3)海外校との提携などで2、3年の間に国際的なインターンシップを開始――に取り組んでいる。
中でもワントゥーワンはバンタンのシンボルという。1人の学生に兄貴的な存在の27~30歳の専任スタッフが張り付き、学習のモチベーション維持、職業観の確立から人生相談まで行う。スタッフ1人当たりの学生数が100人と多いが、密度の濃いコミュニケーションで「(バンタンに)選ばれた人、と意識づけていく」(同)。校外のファッションコンテストでの近年の好成績で成果は確認できているとしている。
同校は学校法人ではないため専門教育の世界で異端視される傾向もあった。しかし教育改革の急速な進展で環境は様変わり。「教育委員会が公立学校の運営を企業やNPO(非営利組織)に委託する教育特区の動きなどで事業拡大の機会は増えそう」(同)と話す。
専任教員を置かず全員が業界のプロである点も強みという。企業の課題を取り込んだ授業スタイルが自然に定着しているが、これら非常勤講師にビジネスチャンスを提供する。事業開発にも着手する考えだ。
2004/09/18
企業価値研究会を設置 経産省
経済産業省は経済産業政策局長の私的研究会として企業価値研究会を設置した。企業固有の経営資源の過度な流出を防止する観点から、敵対的M&A(企業の合併・買収)に対する適切な対応策やコア人材の引き抜き防止策のあり方について検討する。
検討項目は第1段階が現状把握、第2段階が対応策の検討、第3段階が対応策の提示。最終提言は来年3月中旬の予定。
2004/09/17
概算要求810億円 若者自立戦略会議技継承の拠点整備
経済産業省など関係府省で構成する若者自立・挑戦戦略会議は、05年度概算要求として810億円(前年度予算額526億円)を計上し、年内にアクションプランをまとめる。
新たに取り組む施策はフリーター・無業者に対する意欲喚起に202億円(110億円)、成長分野を支える人材育成に71億円(21億円)、企業内人材投資促進に13億円など、合計351億円(150億円)。ものづくりの技を継承する拠点整備を全国30カ所程度で進める。産学官で構成する人材育成地域協議会で訓練コースを開発。人材投資促進税制も創設する。
フリーターなどが手軽に学べる機会を提供するため、ワンスポットサービスセンター「ジョブカフェ」などを活用した「草の根eラーニングサービス」提供の仕組みも整備する。
2004/09/15
【人財】 転機迎えた人材派遣業 成長続くも差別化課題 改正派遣法で役割増す
雇用形態の多様化とともに、人材派遣業界の存在と役割が大きくクローズアップされてきた。今年3月1日から、改正労働者派遣法が施行されたのに伴い、派遣企業にとっては、より機動的に派遣サービスの活用が可能となり、派遣社員も幅広い職種・業務で従来よりも長期間、就労できるようになった。一方、人材派遣業が増加することで、企業間競争が激しくなり、さまざまなトラブルも目につくようになった。人材派遣業界は今、量から質への転換を軸とした差別化の時代を迎えようとしている。
売り上げ2兆円超
今年2月発表の平成14年度労働者派遣事業報告集計結果によると、労働者派遣事業は前年比36・6%増の6551事業所、特定労働者派遣事業は18・4%増の8104となった。事業合計は26・7%増の1万4655となり、平成7年以降では最大の伸びとなった。
実際に派遣された派遣労働者数は、一般労働者派遣事業で常用雇用労働者が19・3%増の18万7813人、常用雇用以外の労働者が13・2%増の35万4824人、特定労働者派遣事業で常用雇用労働者が6・5%増の15万781人となった。
派遣労働者の割合を業務の種類別に見ると、派遣労働者数は、一般労働者事業では「事務用機器操作」「財務処理」「取引文書作成」「ファイリング」「テレマーケティング」、特定労働者派遣事業では「ソフトウェア開発」「機械設計」「事務用機器操作」の順になっている。
労働者派遣事業の平成14年度の売上高は、前年比15・5%増の2兆2472億円で、平成7年のほぼ倍となった。
こうした人材派遣事業の拡大は、活用する企業、団体の雇用に対する考え方など、人材派遣事業を取り巻く環境の変化、なかでも行政サイドにおける規制緩和に負うところが大きい。バブル崩壊後のリストラクチャリングの中で、企業、団体は明らかに正社員を減らし、パート、契約社員の比率を高めている。改正労働者派遣法も、雇用形態の多様化が時代の趨勢(すうせい)であることを前提に、雇用政策上、人材派遣事業の適正かつ円滑な運営を意図したものだ。
営業・販売職3年
改正労働者派遣法のポイントは、「職業の拡大」「期間制限の延長」「手続きの簡素化」の三つ。中でも製造業務への派遣の解禁が画期的内容とされる。営業職、販売職を中心とする自由化業務も、期間制限がこれまでの1年間から最長3年までに延長された。
ファッションビジネスにとって、営業職、販売職の派遣期間延長の影響が注目される。これまでは、営業に外部の人間は使わないという拒否反応が強かったが、人材派遣業界は「3年間だと、戦略立案ができ、一定の成果も期待できる」と営業職、販売職の派遣に力を入れ始めている。派遣業界が、派遣社員を系統立てて教育し、スキルアップさせることが課題となる。
今回の改正労働者派遣法では、正社員への道が開けるテンプ・トゥー・パームの事前面接が解禁されたのも大きな特徴。事前面接ができることにより、派遣の活用先はその人の資質、可能性を判断する材料が得られ、派遣業界も活用先が求める人材に沿った教育を行うことができる。話題の新卒派遣は、女性では増えているようだ。
改正労働者派遣法の施行は、人材派遣業の経営戦略にも影響を与え始めている。人材派遣事業は、規模が大きくなるにつれ、きめ細かなニーズに対応せざるを得ないため、派遣はもちろんのこと、紹介、再就職支援、アウトソーシングなど、「総合人材サービス業」としての色合いを強めることになる。人材のグローバル化に対応するため、海外の人材サービス業と提携するケースも増えている。総合化とは逆に、活動地域や職種を絞った専門特化型をめざす人材派遣業の増加も目につく。いずれの場合も、派遣社員のスキルアップが求められることには変わりない。
業界が急成長した結果、業界内外でのトラブルも生じるようになった。このため、社団法人・日本人材派遣協会(尾野博会長)は昨年5月、「社会への貢献と信頼を得るため」と題する「日本人材派遣協会憲章」を制定した。その中で、「公正、透明、自由な競争を行う中で、社会的に有用な派遣サービスを開発・提供し、派遣社員・顧客の信頼に応える」とうたっている。まさに「サービスの開発」と「信頼」が、今後の成長のカギとなる。
2004/08/28
経産省税制改正要求 目玉は人材投資促進税制 数百億円規模の税控除
経済産業省は05年度税制改正要求の目玉として数百億円規模の人材投資促進税制を創設する。来年度税制改正要求の重点は(1)新産業創造戦略を核とした産業競争力の強化(2)中小企業・ベンチャー企業等の活力向上(3)エネルギー・環境政策の推進――の3点に置き、人材投資促進税制は産業競争力強化の最重点施策になる。
人材投資促進税制は人材育成費用について税額控除などの措置を創設する。日本企業の人材投資が減少し、熟練技術者の技術移転も難しく、人材の国際競争力では中国に後れを取りつつあることなどが背景にある。企業が長期的効果を見据えて人材投資を行える税制上の促進措置を創設するのがねらい。対象は競争力強化のための人材育成費用。社内人材育成に要する費用や人材育成外部委託費、人材育成に必要な人件費などを含む。
産業競争力対策ではLLP(有限責任事業組合)制度の創設、産業再生法関連税制の延長、金融所得課税一元化の推進、企業年金等の積み立てにかかわる法人税の撤廃もめざす。LLP制度は創業、事業再編、産学連携、高度サービスの振興を図るのがねらい。出資者の有限責任、内部自治が徹底できるLLPについて、課税せず、出資者に直接課税する仕組みを適用する。金融所得課税一元化では未上場株式なども一元化の対象とする。特別法人税は99年度から04年度まで凍結中の年金積立金の運用段階を対象とした特別法人税1・73%を廃止する。
中小企業・ベンチャー企業の活力向上対策では中小企業支援3法を中小企業経営革新等総合支援法(仮称)に統合し、設備投資減税、留保金課税の停止措置の拡充・見直しを行う。エンジェル税制も延長する。
商業地での固定資産税負担についても引き下げなどの適正化を図る。
2004/08/28
特許庁 05年度知的財産政策関連概算要求 迅速審査へ増員
特許庁の05年度知的財産政策関連概算要求は1202億円で前期予算額の3・9%増となった。世界最高水準の迅速・的確な特許審査実現対策では782億円(3%増)。現在26カ月かかる審査順番待ち期間を08年に20カ月台、13年には11カ月を達成する。
今後、80万件に及ぶと予想される審査待ち案件を処理するため、任期付き審査官を05~09年度の5年間に毎年100人、合計500人増員する。登録調査機関への民間企業参入の環境を整備するとともに、従来技術調査の外注を前年度の19万件から20万件に拡大する。
情報システムの最適化に280億円(3・7%増)、工業所有権情報・研修館事業の拡大など迅速化の基盤強化に133億円(38・5%増)を要求する。
地域・中小企業の知的財産活用に対する支援対策では29億円(20・8%増)。地方経済産業局ごとに地域知財戦略本部を新たに設置し、新規に2億1000万円を要求する。中小企業特許先行技術調査支援事業は前期比倍増の4億8000万円。
日本ブランドの確立と模倣品対策では39億円(14・7%増)。意匠審査にかかわるサーチ環境の実現に新規1億9000万円、商標審査での不明確商品、役務調査レポートの作成に新規1億2000万円を要求する。アジアにおける模倣品対策には9億6000万円(11・6%増)。
知的創造サイクル活性化の環境整備対策では工業所有権情報・研修館事業の推進に133億円(38・5%増)を要求する。知財関連専門人材の育成や特許電子図書館を通じて開放特許情報(約5万5000件)の提供や有効活用を図る。
2004/08/28
経産省税制改正要求 目玉は人材投資促進税制 数百億円規模の税控除
経済産業省は05年度税制改正要求の目玉として数百億円規模の人材投資促進税制を創設する。来年度税制改正要求の重点は(1)新産業創造戦略を核とした産業競争力の強化(2)中小企業・ベンチャー企業等の活力向上(3)エネルギー・環境政策の推進――の3点に置き、人材投資促進税制は産業競争力強化の最重点施策になる。
人材投資促進税制は人材育成費用について税額控除などの措置を創設する。日本企業の人材投資が減少し、熟練技術者の技術移転も難しく、人材の国際競争力では中国に後れを取りつつあることなどが背景にある。企業が長期的効果を見据えて人材投資を行える税制上の促進措置を創設するのがねらい。対象は競争力強化のための人材育成費用。社内人材育成に要する費用や人材育成外部委託費、人材育成に必要な人件費などを含む。
産業競争力対策ではLLP(有限責任事業組合)制度の創設、産業再生法関連税制の延長、金融所得課税一元化の推進、企業年金等の積み立てにかかわる法人税の撤廃もめざす。LLP制度は創業、事業再編、産学連携、高度サービスの振興を図るのがねらい。出資者の有限責任、内部自治が徹底できるLLPについて、課税せず、出資者に直接課税する仕組みを適用する。金融所得課税一元化では未上場株式なども一元化の対象とする。特別法人税は99年度から04年度まで凍結中の年金積立金の運用段階を対象とした特別法人税1・73%を廃止する。
中小企業・ベンチャー企業の活力向上対策では中小企業支援3法を中小企業経営革新等総合支援法(仮称)に統合し、設備投資減税、留保金課税の停止措置の拡充・見直しを行う。エンジェル税制も延長する。
商業地での固定資産税負担についても引き下げなどの適正化を図る。
2004/08/27
05年度経産省概算要求 繊維政策、技術開発を推進 人材育成も後押し
経済産業省は26日、05年度予算の概算要求をまとめ、同日開いた産業構造審議会(経産相の諮問機関)総合部会に報告、了承された。一般会計要求額は9931億円で、前年度予算を14・8%上回り、石特会計(石炭並びに石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計)を除いた一般経費は5216億円(前年度予算比15%増)。
同省は、来年度の経済産業政策の重点を(1)新産業創造戦略を核としたイノベーションの創出(2)中小企業の活性化と地域経済の再生(3)アジア経済圏の構築など戦略的な通商政策の展開(4)エネルギー環境政策の推進――の4点に置き、特に人材投資促進減税の創設(数百億円規模)、科学技術振興費、連携支援など市場に挑戦する中小企業支援関連、地域ブランド関連などの課題にメリハリをつけて概算要求を編成した。
このうち繊維産業対策は技術開発支援を重視し、04年度に比べ約3割増の約18億円を要求する。約5億円の増額分は技術開発支援関連。要求額には中小繊維製造事業者自立事業の助成額は含まれていない。技術関連支援では先行的に実施している4プロジェクトに加え、新たに5プロジェクトの技術開発を支援する。
川中の構造改革対策では展示会事業支援に前年度と同額の5億6000万円、SCM(サプライチェーンマネジメント)推進対策に前年度と同額の4400万円を要求する。SCMでは情報化モデル事業の支援のため、尾州など数カ所の産地に集中的にシステムを投入する。
輸出振興対策も前年度と同額の1億9000万円を要求する。前年度に続いてテキスタイルやアパレルの海外展示会(上海)でジャパンパビリオンを実現するとともに、ニューヨークや上海などにコーディネーターを配置して商談につなげる手法を検討する。
人材育成対策では同省が新規に要求する製造現場における中核人材の育成(要求額35億円)で繊維関連の取り組みを支援する。工場長のような人材を育成するため、1案件当たり3年間で1億円程度を要求する。
絹需要振興にかかわる概算要求は2900万円。
ファッション・クリエーション力強化対策と自立支援対策では質の充実を図る。自立事業は03年度に総額30億円、04年度に総額50億円を助成したが、05年度はより効果的な執行を通じて、川上の自立をさらに加速させる考えである。
2004/08/05
経済省産業構造審議会 人材育成減税を実施 地域ブランド確立 EPAとWTOの戦略活用も
経済産業省の第4回産業構造審議会は3日、総会を開き、同省の「05年度経済産業政策の重点施策」について自由討議を行い、出された意見を参考にして重点施策実現に取り組むように提言した。中期的な経済産業政策の方向性として、日本ブランドの創出と高信頼性社会の構築をめざす。
05年度政策の重点施策は(1)新産業創造戦略を核としたイノベーションの創出(2)中小企業の活性化と地域経済の再生(3)アジア経済圏の構築など戦略的な通商政策の展開(4)エネルギー環境政策の推進の四つ。
新産業創造戦略を核としたイノベーションの創出では人材の育成のため、人材投資減税に取り組む。知的財産保護へ営業秘密の漏洩(ろうえい)や意図しない技術流失を防止するための具体的策を検討するほか、模倣品・海賊版対策の強化や世界最高レベルの迅速・的確な特許審査も実現する。コーポレートシステムの改革に向けLLP(有限責任事業組合)の創設など企業組織法制も整備する。ICタグ活用による産業競争力の強化も進める。
中小企業の活性化と地域経済の再生では、効果的で分かりやすい施策体系構築へ、経営革新法、中小創造法、新事業創出促進法の3法を整理統合する。地域ブランドの確立を通じた地域経済の振興を図る。
戦略的な通商政策ではEPA(経済連携協定)などで東アジア地域の成長力を日本経済の活力に取り込む一方、WTO(世界貿易機関)ドーハラウンドの枠組み合意を受け、WTOルールの戦略的活用も推進する。
エネルギー環境政策ではエネルギー消費伸び率の著しい民生・運輸部門の対策を強化する。水素社会の実現に向けての燃料電池・水素関連技術の開発・普及や、アジア地域におけるエネルギー環境政策も推進する。
自由討議では、委員の寺島実郎日本総合研究所理事長兼三井物産戦略研究所長から「アジア広域連携に広げているのが特徴。通商政策だけでなく、アジア共通プロジェクトを明確にすることが大切。方向性を提示するだけでなく、例えばエネルギーや環境問題で国民に選択を提示し、国民に考えさせる報告書が必要」、田中太郎近鉄百貨店相談役からは「経営の厳しい都市部の商店街や、環境対策としてISO(国際標準化機構)認証を取得している企業への税制面を含む支援が必要」などの意見が出された。
これに対し、中川昭一経産相は「人材育成減税はぜひ実現したい」と述べ、審議会会長の奥田碩日本経団連会長が「人材育成・少子化への全政府的対応、アジアとの経済連携とWTO推進での政府と経済産業省のリーダーシップ、エネルギー問題への国家戦略としての取り組みが特に重要」とまとめた。
2004/07/21
【人財】 青葉台東急スクエア 「販売塾」の販売員養成 「さすが」と言われる人材輩出 “自給自足”と地域共生
「優秀な人材の自給自足」と「地域との共生」を目的に、商業施設の青葉台東急スクエア(横浜市)は昨年秋からユニークな販売員の養成講座「販売塾」を開いている。塾では潜在的な求職人材を掘り起こし、およそ2カ月間で「さすが、といわれる販売員」を育て、慢性的に人材不足に悩むテナントに紹介する。有料講座だが、すでに昨年9~10月と今年4~5月の2回開講し、1期生4人、2期生8人が塾を卒業した。このうち1期生3人、2期生4人が施設内のファッションショップに就職し、1人は、いきなり店長として活躍の場を与えられた。施設側は「開講の度に課題点も出てくるが、一つひとつ解決することで塾の精度も上がり、新しい人材育成の場と期待している」という。
○潜在的求職者をプロの販売員に
販売塾は、施設を運営する東急電鉄グループの東急マーチャンダイジングアンドマネージメント(TMM)とコンサルタント企業のワンスアラウンドが共同して開講している。企画・運営のワンスアラウンドの鈴木定芳社長は「ファッション専門店で売れる販売員は慢性的に不足しており、その一方で、子育てなどが終わった主婦が、もう一度、活躍の場が欲しいと思っても、なかなか機会に恵まれない、という潜在的求職者も多い。こうした人材を募って、販売の現場に役立つ実践教育を行った後、人材不足に悩むテナントに紹介する」という事業を計画していた。TMMも「販売力のある人材を発掘することで、施設全体の接客力と販売力を高めたい」という双方の思惑が一致し、販売塾を開講する運びになった。
塾生には地域貢献も一つの目的を持っていることもあって、「限定的ではないが、施設周辺地域に住んでいる」ことを条件に募っている。
○7回の受講後に卒業検定
塾の概要は毎回10人程度を募集し、塾長兼講師にワンスアラウンドのインストラクターの兼重日奈子さんが担当。受講期間は1カ月半で、週1日、2時間半の講座を7回開講。8回目に行う卒業検定に合格して卒業する。受講料は2万円で、施設内に就職できた場合、受講料の半額を「就職祝い」として返済する。2期目はオープンな講座として、施設内の店長やテナント企業の人事担当者を対象に、聴講・参観が可能とした。これは「塾の内容を広く理解してもらい、塾生の就職がより効果的に促進することと、テナント企業の社員教育・研修にも役立ててもらいたい」と、第1期から担当しているTMMの加藤千里さんは語る。
講座の内容は、販売員の仕事の基本から実践、1日販売体験など、兼重さんを中心にして作ったカリキュラムで進められる。2期目には現役店長から、現場の状況や「私(店長)が出会って困った販売員」など、実際に働く上での心構えなど、実体験を下に話してもらう時間も作った。兼重塾長は「塾生一人ひとりの性格や特徴をつかみ、その人に合った販売スタイルを、どう作り上げていくか」に全力を注ぐ。塾生から得意、不得意や自己性格分析などを提出してもらい、「何を自分の武器にするかを気付かせる」ことにも気を使う。毎回の受講日、塾生はテーマに沿ったスピーチを行う。例えば「この1週間で他人から“ありがとう”といわれたこと」や「ファッションへのこだわり」などがテーマになった。「人前でスピーチをすることによって自分の魅力を見つけ、自信をつけさせる。販売塾は、販売技術の教育に加えて人生塾」と兼重さん。
○自分で情報を取る人材を育成
ただ、7回の講座で「何もかも教えることはできない」ことは確かだ。優れた販売員になるための入り口に立った段階であり、「優れた販売員になるためには、就職してから自分で情報をとり、自分を磨くことに積極性をもたないと駄目。販売塾はそのような人材に育成する場」としている。
これまでに12人が卒業した。「実際は手を離れてからが大変」と兼重さん。就職先の独自の運営方法などに戸惑うこともあるようだ。卒業後のフォローアップでは、電話やメールなどを使って悩みの相談に乗り、解決策をアドバイスする。近く、1期生の同窓会を開く予定だ。卒業生が困ったことや悩みを次回のカリキュラムに生かし、短期間でより優れた販売員が育つような講座内容に改善していくためだ。
第3期の開講を10月に予定している。
2004/07/02
中小企業基盤整備機構が発足 支援企業売上高25%増へ
独立行政法人中小企業基盤整備機構(SMRJ、鈴木孝男理事長)が1日発足し、中期目標の概要を明らかにした。目標では施策支援対象企業の売上高を今後5年間に25%伸ばすほか、同機構の事業費や職員を削減して効率化を図る。
SMRJは国の中小企業施策の総合的実施機関である中小企業総合事業団、地域振興整備公団、産業基盤整備基金の三つの特殊法人が統合して発足した。「中小企業総合事業団の持つ強みであるソフト、地域振興整備公団の持つハード、産業基盤整備基金の持つ資金力を融合して、全国に470万件ある中小企業や地域に役立つ組織」(鈴木理事長)にする。
中川昭一経産相は1日に定めた中期目標で、創業・既存中小企業の新事業展開の促進、経営基盤の強化、経営環境変化への対応などを指示した。中期目標は5年間弱の期間で成果が見えるように項目ごとに数値化され、毎年、第3者機関の評価を受け、最終年度には5段階評価を受けることになる。独立行政法人として取り組む事業は民間的手法で運営する。
SMRJの主な業務は創業・経営革新支援のためのファンド出資、「なんでも相談ホットライン」によるワンストップサポート、小規模企業共済・倒産防止共済制度、産業用地の提供など。
中小繊維製造業者自立事業を実施してきた中小企業総合事業団の機能も中小企業基盤整備機構に移行した。
全国の各ブロックごとに九つの支部を設置し、中小企業・ベンチャー総合支援センターでのサービスを充実、同センターには約600人の専門家を登録している。昨年度は窓口相談者が年間1万件を超え、専門家の派遣回数も3000回を上回っている。総勢880人の職員の5割以上を地方支部に配置し、中小企業や地域の顧客に密着して迅速な支援体制を強化する。
専門家の派遣体制充実のため職員の人材育成のほか、外部人材活用、全国9カ所にある中小企業大学校での研修教育を活用する。外部の専門家は数千人を登録している。副理事長には村本孜成城大学教授が就任した。
2004/06/28
04年度MOT教育開発に27機関選定 経済省
経済産業省は04年度に技術経営(MOT)人材育成プログラムの開発を行う27機関を選定した。東京大学、東京工業大学、早稲田大学など20機関、民間教育機関は東レ経営研究所など7機関。東レ経営研究所の提案名は「世界シェア・ナンバーワンの東レ炭素繊維“トレカ”の研究開発・事業戦略を中心としたMOTプログラム」。
採択機関はMOT教育の担い手となる講師人材やディレクター人材の育成、MOT教育の普及啓発も実施する。
2004/06/22
ファッションスクール 存在価値アピールに懸命 産学協同に活路求める
18歳人口の減少と止まらない就職難――4年制大学・短大、専門学校を問わず学校はサバイバル競争下にある。服飾系の教育機関も同様で、各校は産学協同型教育の推進で存在意義を内外に訴求し、活路を開こうとしている。
繊研新聞社がこのほど実施した「ファッションスクールアンケート」(回答数45校)によると、回答したほとんどの学校が何らかの産学協同に取り組んでいる。学校の中には実学教育の充実をめざし、90年代半ば以降、産学協同型授業を一部で導入しているところもあるが、小規模校を含め、この傾向が全体を覆うようになったのはここ1、2年だ。「02年から増え始め、03年度はかつてない規模になった」(文化服装学院)という。企業・団体側から協同を打診するケースが目立って増えている。
急激な増加の背景には、生き残りのために企業・団体との結び付きを強化したい学校側と、優秀な人材の確保と学生参加により組織・事業の活性化を期待する産業側の思惑の交差がある。産業界が学校に長年強く求めてきた“即戦力の人材育成”に直結する動きであり、産学ともにこの動きを歓迎し、今後も拡充していく方向だ。
産学協同は、学生数の多い大手校で導入に拍車がかかっている。
モード学園は「ケース・スタディ」と呼ぶ授業の充実を今年度の重点施策に据えた。これは企業が学生に自社の課題を与え、授業としてその実践に取り組むもので、東京校で昨年先行して導入した。「そこで認められれば当然、就職に有利なので、学生の勉学意欲が増す」(東京モード学園)という。杉野学園やバンタンデザイン研究所でも、企業の課題を取り込んだ形態の授業の開発が本格化している。
文化服装学院は、単なるイベントにとどまるものは排す方針で企業・団体に対応しているため、協同の中身は自然に濃くなり、産学協同の位置付けを年々高めている。
2004/06/22
若年対策113億円 経済省04年度予算
経済産業省は04年度予算に若年者対策として113億円を確保し、政府がまとめた「若者自立・挑戦プランの強化の基本方向」や関係府省と連携して実施する。
同予算はワンストップサービスセンター「ジョッブカフェ」整備に52・5億円、高度専門人材育成に32・2億円、創業・起業支援による就業機会の創出事業に28・7億円を交付する。
基本的方向は製造現場やサービス産業の人材育成に向けて産学連携やベテラン人材の活用に取り組むなど6施策からなり、年内に行動計画をまとめる。
2004/06/11
三越の人材会社 プロネット ソリューション型が重点 グループ外の事業も本格化
三越グループの人材会社、プロネット(熊澤公一社長)は、教育事業を基盤にしながら業容を拡大する。ソリューション型(問題解決型)の事業を開発し、グループ外への攻めも本格化することで、5年後に年商60億円の規模をめざす。
教育のノウハウ生かす
中期戦略の柱はソリューション型の事業開発だ。三越本体からの受注待ちではなく、「人材教育のノウハウを生かしながら、接客・販売分野でクライアントが抱えている悩みや問題を解決する仕組みをつくり、グループ外にも積極的に提案していく」(長﨑和夫取締役総務部長)。
ソリューション型の基盤になるのが、人材教育の事業だ。昨秋に開設した「三越リテールアカデミー」では、本体の教育部門と連携しながら、営業現場の人材教育を実施している。下半期だけで1200人以上が受講する大掛かりな講座だ。着地管理も重視しており、プロネットの講師が店舗を回っている。
本体関連では、取引先の派遣店員など三越の店頭で働く人材の基礎教育も担っている。新規の事業では、日本百貨店協会が立ち上げたプロセールス制度の講座も開設している。自社が雇用する人材の教育も強めている。リーダーとなる人材や販売のプロフェッショナルの養成を重視しており、無料の基礎教育に加え、販売関連の有料講座も開設した。
外部向けの事業では5月から、「販売力アップ研修」を立ち上げた。これまでも本体の取引先から依頼され、アパレルや食品関連の販売員教育を引き受けてきたが、接客・販売関連の教育で悩みを抱えている企業が多いため、外部向けに教育事業を体系化した。基本接客からCRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)サイクルまでの実践的な講座を用意している。
サービスミシュランも
三越で実施してきた「サービスミシュラン」も外部に提案する。覆面調査員が年4回、店舗のサービスを総合的に調査して採点・評価するもので、7年の実績がある。対象店と競合店の合計で全国40店分のデータを蓄積している。
すでに郊外型SCや三越の提携店から依頼を受けているが、百貨店やSC、専門店チェーンなどを対象に外部向けを本格化する。総合評価に基づき、必要な教育研修も提案していく。
レジ業務の請け負い事業も広げる。独自のシフト制やスタンバイ制などの仕組みをつくっており、本体の売り場ではコスト削減や待ち時間の短縮による苦情減などの成果をあげている。外部では、すでに東急ハンズなどから受注している。
プロネットの年商は約35億円で、受注先は本体が6割、三越のグループ企業が3割、外部が1割になっている。本体向けを柱にしながら、外部向けを本格化することで、5年後に本体5割、グループ企業1~2割、外部3~4割の体制をつくる。
2004/06/10
自分の販売スタイル身につけて TMM開設の「販売塾」 顧客の笑顔がわたしの自信 第2期生8人が卒業
商業施設の青葉台東急スクエア(横浜市、東急マーチャンダイジングアンドマネージメント=TMM運営)が開設しているファッションコーディネーター養成講座の「販売塾」が優秀な販売員を教育・育成する場として注目されている。8日に第2期生の卒業検定を行い、塾生8人がそろって合格・卒業した。このうち2人が同施設内のファッション店への就職が内定しており、即戦力として期待されている。また、残りの6人も施設内の人材募集店舗に紹介される。
販売塾は「地域との共生」や「人材の自給自足」を目的に、地域の潜在的な求職人材を掘り起こし、販売技術とサービスマインドを備えた即戦力を育て、こうした人材を施設内テナントに紹介することで、慢性的になっている優秀な人材不足という問題を解決するねらいから、03年秋を1回目としてスタートした。開設に当たってはコンサルタント会社のワンスアラウンド(本社東京、鈴木定芳社長)と組んだ。第1期生は4人が卒業検定に合格し、2人が施設内で活躍している。
2回目は4月6、7日にオープン講座を開き、4月13日を第1回目に、週1回、2時間半の講義や実践を7回実施し、このほど卒業検定となった。塾長にはワンスアラウンドで販売インストラクターをつとめる兼重日奈子さんが担当。徹底的に現場にこだわる臨店指導で「あなただけの販売スタイル」を確実に身につけさせているのが特徴だ。
第2期生には東京・世田谷や横浜など幅広い地域から集まり、20代~50代の中には子育てなどで離職していた主婦もいて、再就職したいという要求にも応えている。
8日の卒業検定で、実際の売り場に立って接客した塾生の一人は「接客でお客様と話しをしたのは学生時代のアルバイト以来。とても緊張して、試着までにはいかなかったが、お客様と話しができただけでも少し自信がつきました」と、紅潮しながら話していた。
鈴木定芳社長は「販売員のサービスはその人の人格以上にはなりません。自分を磨くことで、よりよいサービスができるのです。販売は人を幸せにできる仕事です。自信をもって店頭に立って活躍してください」と、はなむけの言葉を贈った。
2004/06/03
IFIビジネス・スクール ネットワーク事業着手 修了・卒業生を対象に コミュニティー形成へ
IFI(ファッション産業人材育成機構)は今月中旬をめどに、ビジネス・スクール基幹プログラムの修了・卒業生らを対象としたネットワーク事業に着手する。IFIビジネス・スクールが開校して今年で7年目を迎え、マスターコース(全日制)が05年度から1年制へ移行するのを機に、修了生らのコミュニティー形成やキャリアアップを支援する。ネットワーク構想は2000人を超える修了・卒業生、1000人に達する講師経験者を中心に、関係業界、企業を組織化し、相互メリットのある仕組みづくりを目指す。
活動の柱は(1)ネット上で相互に情報発信するコミュニティー形成(2)修了・卒業者のためのブラッシュアップ講座、テーマ学習会の開催によるキャリア形成支援(3)教材開発、講師協力といったIFI活動の参画、支援――の3点。すでにIFIとコミュニティーに参加する人の情報交換をスムーズに行うためのメール配信システムを整備し、同ネットワークのためのインフラ整備に着手した。
ネットワーク事業の第1弾として、5日にマスター・コースの修了・卒業生と在校生、講師による情報交流会「IFIホームカミングデー」を開く。「米国ファッション小売業最新動向」をテーマとした尾原蓉子学長の講演のほか、修了・卒業生による現況報告、討論の場を提供し、参加者のキャリア形成に結び付ける。
また、来年度のマスター・コースの年間カリキュラムが明らかになった。ファッションビジネスの基本知識と理解の基本講座、専門スキルの理解と習得のキャリア講座、リーダーシップ、マネジメントに関する講座の三つで編成している。実践的な学習方法で、モノ、ビジネス双方の視点からファッションビジネスを学び、考える力を養うカリキュラムを採用した。
2004/05/29
日本繊維輸入組合 中国関連の情報収集などを強化
日本繊維輸入組合が27日の通常総会で決めた04年度の事業計画によると、ASEAN(東南アジア諸国連合)や韓国とのFTA(自由貿易協定)締結を視野に入れながら、調査や人材育成に取り組む。
今年度の強化事業は中国との繊維通商摩擦や商標法・移転価格税制についての情報収集、日中航路EBSの運賃是正、繊維消費動向調査など。中国紡織品進出口商会との定期協議を継続しながら、繊維製品リサイクルアクションプランの実施や海外繊維製品リサイクル事情調査、海外展示会への参加にも取り組む。
2004/05/29
高島屋の人材会社 C&C 顧客本位を実現 CSCシステム広げる グループ外からも受託
高島屋グループの人材会社、センチュリーアンドカンパニー(C&C)は、新機軸の販売業務請負システム「センチュー・セールス・コラボレーション・システム」(CSCシステム)の対象を広げる。現在、11売り場の販売業務を担っており、年内に倍増を見込む。
まとめて請け負い
CSCシステムは売り場の販売業務をまとめて請け負う仕組み。百貨店の平場などでは取引先が単独で販売員を配置するか、プール制(人材会社が紹介した販売員を複数の取引先が共有)などの体制を組んでいるが、取引先にとっては労務関連の経費や作業負担が重く、売り場にとっては顧客本位を徹底できないという問題がある。
例えば単独配置の場合、商品は取引先ごとの陳列が中心になり、それぞれの販売員は自社の商品だけを売ろうとする。顧客からみれば分かりづらく、商品を選びづらい売り場になってしまう。プール制の場合、この問題点は薄まるが、取引先にとって労務関連の負担が重い。
CSCシステムでは、売り場を構成している取引先とC&Cが個別に業務委託の契約を結び、C&Cが売り場全体の販売業務を担う販売チームを組む。販売員はすべてC&Cの雇用者なので、売り場の全商品を平等に扱う。このため、商品を顧客本位で並べ換えることも可能になる。
接客クレーム激減
取引先は固定費と予算超過額に対応したインセンティブ費をC&Cに支払う。固定費は売り場全体の販売額に占める自社商品の比率で決まる。労務関連の作業負担をなくせるだけでなく、取引先は人件費を流動化できる。販売を一元管理するため、多くの場合、売り場の人員も削減できる。
最初に導入した高島屋立川店の売り場(取引先は3社)では、初年度から顧客の接客クレームがゼロになり、売り上げも前年比8・5%増という成果をあげた。人員体制を7人から5人に減らしたことで、人件費は15・7%減となり、インセンティブ費を含めても8・1%減少した。
現在は高島屋以外の百貨店も含め、11の売り場に導入している。クレーム激減への評価が高いため、売り場数の大幅な増加を計画する。
受付業務も外部へ
C&Cは受付やレジ要員などの人材派遣と販売スタッフの派遣・紹介、研修、外部委託(CSCシステム含む)の事業を柱にしている。売り上げは高島屋グループ内が6割を占めるが、「各種の事業開発によって当面はグループ外の比率を5割、中期的には6割に高めたい」(竹中紳悟取締役関東事業部長兼企画室長)という。
受付関連のレセプションデスク事業では、百貨店水準のサービスが評価され、東京・台場のアクアシティやダイヤモンドシティのSCなどに人材を派遣している。研修では日本百貨店協会のプロセールス資格制度の講座を担当しており、今後はグループ外の百貨店や専門店を対象とした販売員研修の事業を強める。
2004/05/24
【ファッションスクール・ほうかご】 出会い求める縫製業者
衣料品の生産で高付加価値や短納期、小ロットが求められる場合に、国内の縫製工場や加工場を活用するメーカーが増えている。東海地方の縫製工場やニッターを取材する中で、アパレルメーカーが国内生産を見直す動きに触れることができた。
そうした工場が共通して抱える課題に、若い世代の獲得・育成がある。
日本国内の工場とはいえ、現場で作業するのはほとんどが中国人の研修生や実習生だ。彼女らを指導する技術者は高齢で、まもなく後継者がいなくなるという不安がある。「技術者がいなくなれば、国内生産は立ち行かなくなる」と、ある経営者は話す。自らブランドを立ち上げたり、新たなOEM(相手先ブランドによる生産)のあり方を探ったり、といった試みを成功させるには、技術を身につけた、あるいはその意欲のある若手の存在が欠かせない条件になる。
中国で量産態勢を構築したある縫製企業は、一方で国内のセレクトショップ向けの商品開発を事業化しようとしている。そこではファッション感度のある若い人材が必要だ。
しかし、縫製企業を就職先に選ぼうとする専門学校生はほとんどいないのが悩みだ。「専門学校と縫製業の出会いの場が欲しい」との声は、ファッション産業の発展にとって検討する価値があるのではないだろうか。(近)
2004/05/24
【ファッションスクール】 産学協同ラッシュの文化服装学院 真剣味ある相互交流が大切 “社会的役割”を実感 教育向上に効果の吟味必要
服飾系の専門教育機関で産学協同ラッシュが続く。企業・団体が自らの課題を解決するため積極的に取り組み始めたことが最近の特徴だ。最大手校の文化服装学院では昨年秋から始めた横山町・馬喰町問屋街活性化プロジェクトが各種メディアで紹介されて以降、産学協同に関する問い合わせが一気に増えた。ただ、中には安上がりなイベント目当ての打診もあり、最終目的は何か、教育の向上にどんなプラス効果があるのか、内容の吟味が欠かせなくなっている。
かつてない規模
同学院で産学協同の相談窓口を務める、宇野明美教務部教務一課課長は「03年度は当学院史上、かつてない規模で多種多様な産学協同が実現した年だった。02年度から増え始め、昨年ピークに達した。今も問い合わせは頻繁にある」と言う。
学校と企業・団体の産学協同は、これまでは産業界のニーズに対応した人材育成を図るため、学校側が実学教育の一つの方法として進める形態が大半だった。しかし、ここ1、2年は産業界側の熱心さが目を引く。
この背景には、日本の繊維ファッション産業が抱える現実がある。国際競争力のある産業・企業の構築が合言葉だが、条件とされる構造改革は途上にあり、また人材の育成もなかなか進まない。バブル崩壊以降の新人採用減やアウトソーシングの活用による効率経営のデメリットも表れ、外部からの刺激――企業間の協業や学校の力を借りて活性化しようという機運が盛り上がってきた。国内製造業の再生や商店街の活性化を掲げる“官”の各種助成事業も後押ししている。
多様な打診を歓迎
「産学協同は専門学校の本来の使命。近年の広がりは、当校の実績が社会的に認められている証し」と宇野さんは見る。
ファッション流通専門課程のすべての科が参加する横山町・馬喰町の問屋街活性化委員会との協業(03~05年度)では、学生の目がとらえた現金問屋街の現実と可能性を率直に伝え、問屋街の自己改革を後押しする役割を果たしている。現金卸経営者の話を聞く講義や企業研修が始まるなど、相互交流も進んだ。
98年に完成した新校舎の存在も大きい。訪れた大手スポーツメーカー社長の「新宿に、こんなに大規模なファッションの学校があったのか」の一言をきっかけに、協同が始まった事例もあった。「ラグジュアリーブランドの販売員研修への協力など、従来の枠を超えた交流も生まれました。さまざまな打診があるのは大歓迎です」(宇野さん)。
同学院では、産業界のニーズに応える産学協同事業を今後も積極的に行う方針だ。
18歳人口の減少で入学者の確保に懸命な大学との競合が激化する中、この本格展開で専門学校の存在価値を発揮しようとしている。独立行政法人化した国立大学や日本市場をねらう欧州の学校などライバルは増えるばかり。大手校といえども気が抜けないというわけだ。
お互いに本気で
しかし、中には学生を客寄せに利用するのが目的の安易な提案もある。宣伝費は限られておりタレントを起用できない、それなら若くて元気な学生に参加してもらい、イベントを盛り上げようという発想からのカッコ付きの「協同」である。同学院は相談を受ける際に“どのような方法で、最終的に何をしたいのか”質問しているが、答えに詰まる人もいるという。宇野さんはバブル期に盛んに開かれたファッションコンテストの例を引きながら、「名前だけの人材育成では意味がない。お互いに本気でやらなければ」と強調する。
産学協同は、既存の教育計画との整合性をつけるため学科に取り込み、単位を認定するものと、希望者選択制の“ゼミプロ”の大きく二つに分類し、対応している。単なるコンテストだけの協同は基本的に行わない姿勢である。
取り組みの可否は、大沼淳学院長と5人のグループ長、2人の事務部長で構成する最高決定機関、運営会議で決める。当然、年度ごとの教育計画に沿って他の授業に支障がないように導入しなければならず、「時間的にも余裕を持った提案を」と、企業・団体に呼びかけている。
「文化祭やオープンカレッジ、卒展などを見学する中で、当学院をよく知っていただくことも大切です。どんな協同がありうるか、一緒に考えながら進めるのが理想」と宇野さん。
今後は、提案を受け入れるだけにとどめず、(1)インターンシップ(就業体験)としての活用(2)各学科目の充実計画に沿って協同を呼びかける(3)産学協同ノウハウの確立――を柱に、さらに充実を図るとしている。
2004/05/19
【人財・登場】 グリース代表取締役 井手秋子さん 販売塾・広報塾をスタート 広報と接客販売は“車の両輪”
幅広く受講対象に
長く広報や人材教育の仕事をしてきて、つくづく思うことは、情報を発信する広報活動と店頭での接客、販売は、まさに“車の両輪”だということですね。メディアを介してブランドや店のイメージが高まっても、店頭でのCS(顧客満足)が不十分では、期待する成果は得られないでしょう。
そんな思いが募って、先ごろ「販売塾」「広報塾」をスタートさせました。
店頭に立っている販売員のかなり多くが、派遣で働いているのですが、教育も決して十分とはいえないようです。また、学生、特に女子短大生の就職が依然として氷河期といわれるように、厳しい状況が続いています。しかし、事前に一定の販売技術を身に付けておけば、何かと有利ですね。結婚、出産など事情があって退職し、再就職をめざす人たちにも、同じことがいえるでしょう。
ですから、この販売塾は、学生、新卒、第2新卒、有職者、主婦並びに企業から受講を認められた人、というふうに、けっこう幅広く対象にしています。基礎研修を終えれば、店長や副店長などをめざすスキルアップ研修も用意してあります。終了生のクラブも、いずれも1コースの定員が8人以内という少人数制で、じっくり身に付けてもらおうという考えです。とはいえ、オープン形式で、途中からでも受講が可能なようにカリキュラムも工夫してありますので、次の開講サイクルを待たなくてもいいわけです。
サポート態勢も充実
大学の学生課や就職課などともタイアップし、現場の生の声を聞きながら進めていくわけですが、実は、希望者には就職情報の提供など終了後のサポート態勢も作ってあります。ファッション業界専門の人材サービス会社と提携していますので、そこへ登録するのも可能ですね。
また、商業施設の運営会社やSPA(製造小売業)型のアパレルメーカー、セレクトショップ、専門店チェーン、商店会加盟店など、ネットワーク先は多岐にわたっていますので、希望するところへ自由に応募できるようになっています。
さらには、キャリア形成を継続的に支援していくために、終了生が任意加入できるクラブを結成し、情報交換や交流会、スキルアップセミナーなど、多彩に開催します。
広報塾では、衣・食・住・遊といった生活文化産業など生活者とダイレクトに接点を持つ分野で、基本的広報活動ができる人材を育成していきます。
いで・あきこ 中堅ゼネコンや神戸ファッションマート、神戸ファッション情報資料室などを経て96年2月に独立、02年6月グリースを設立して代表取締役。
2004/05/19
【人財】 玉屋 社員比率アップへ 定着率高めCS追求 売り切る力を重視
店頭スタッフのパート・アルバイト化は進む一方だが、人件費は安くても離職率は高いのが一般的。結局、新たな人材探しで採用コストは膨らみ、教育の手間もかかりがち。そのためアパレル専門店の中には、パート・アルバイトから社員に切り替える逆の動きも顕在化している。“アルバイト店長”といったキャリアアップや報奨金などの制度でモチベーションを高め、定着率を上げている企業もある。顧客満足(CS)を高め、固定客を獲得するには社員化で定着率を上げることが欠かせないからだ。そうした企業の一つである婦人服専門店の玉屋(本社大阪市)の人材活用を追った。
店頭で増やす
玉屋のアルバイトは現在約400人。店頭でのアルバイト比率は6割を占める。もっとも、「200人採用しても1年以内にはほとんどが退職する」ほど定着率は低い。人事担当者にとっては頭の痛いところだ。
売れる店づくりには商品の企画力やブランド力が求められるのは当然だが、販売スタッフの接客サービスや人間的魅力も顧客を引き付ける重要な要素。パート、アルバイトだからといって接客サービスの質が低い、人間的な魅力が薄いというわけでは決してないが、社員とアルバイトでは企業に対する帰属意識などで差が生まれやすい。
そのため、現状の4割にとどまっている店頭での社員比率を6割にまで高めていく方針を打ち出した。今年4月採用の社員は前年度の63人から92人に増やし、来年4月には120人を超える規模にまで拡大。社員を増やすことで戦力として安定化し、CSを高めていく考え。
こうした積極的な社員採用の背景には首都圏での出店強化もからんでいる。
同社の店舗数は04年2月期末で118店。そのうち、東京23区内の店舗は10店未満。収益基盤の拡大には首都圏の店舗増は欠かせない。
しかし、現状では「首都圏での知名度は低い」(竹田篤史専務)のは否めない。「ディベロッパーから出店依頼のくる」ブランド・店舗価値を創造するには、社員比率を増やし「プロフェッショナルの育成」が求められる。
管理は契約社員
社員比率を上げれば当然、人件費は増える。都心のファッションビル中心に出店している専門店にすれば、人件費は家賃と並ぶ固定費の最大費目。粗利益率との関係もあるが、売上高に占める家賃と人件費の比率が「3割を超えると収益上、苦しい」という見方もあり、店頭のアルバイト比率を増やす専門店は後を絶たない。玉屋にしても、こうした問題は避けて通れない。事実、同社も01年4月には35歳以上の全社員を契約社員化し、成績給制度や年俸制を導入している。これらの制度は「業績連動型で社員のモチベーションを上げるのが目的」。とはいえ、総額人件費の軽減と無関係ではない。
契約社員は1年契約で、給与は年俸プラス業績加給の一時金が基本。店頭に立つ契約社員の場合、年俸の80%を個人予算の達成度で決め、残り20%を消費者モニターを使った接客などの顧客満足の査定評価で決める形だ。契約社員になれば大幅な給与の上昇も期待できるだけに、当初約100人でスタートした契約社員も、現在は150人に増え、正社員とほぼ同数。事業部長も契約社員であり、人事や経営企画などの管理部門の人材も契約社員がほとんど。若手は正社員で、ベテランが契約社員という図式は珍しいケースでもある。
その結果、導入前には対売上高比率で17%台だった人件費は15%台に低下し、固定費の削減で損益分岐点を下げる効果があったのも事実だ。
もっとも、販売スタッフの社員化については「むしろ積極的な人材投資」で、オリジナル商品を軸にしたSPA(製造小売業)化を推進している同社の戦略が背景にある。玉屋の粗利益率は04年2月期で48%。これを今期は50%に引き上げる目標を掲げており、収益性を高めれば人材コストも吸収できるからだ。
離職率の高いアルバイトの場合は、「常に売り場に新人が配置されていることにもなりかねない」だけに、教育コストも膨らむ。仕入れ商品に比べ利益率は高いとはいえ、SPAの推進には在庫リスクはつきもの。ブランド価値・店舗価値を上げ、売り切る力を高めていくうえでも、社員による顧客満足の徹底は不可欠だ。玉屋の新たな実験が始まる。
2004/05/19
【人財・登場】 グリース代表取締役 井手秋子さん 販売塾・広報塾をスタート 広報と接客販売は“車の両輪”
幅広く受講対象に
長く広報や人材教育の仕事をしてきて、つくづく思うことは、情報を発信する広報活動と店頭での接客、販売は、まさに“車の両輪”だということですね。メディアを介してブランドや店のイメージが高まっても、店頭でのCS(顧客満足)が不十分では、期待する成果は得られないでしょう。
そんな思いが募って、先ごろ「販売塾」「広報塾」をスタートさせました。
店頭に立っている販売員のかなり多くが、派遣で働いているのですが、教育も決して十分とはいえないようです。また、学生、特に女子短大生の就職が依然として氷河期といわれるように、厳しい状況が続いています。しかし、事前に一定の販売技術を身に付けておけば、何かと有利ですね。結婚、出産など事情があって退職し、再就職をめざす人たちにも、同じことがいえるでしょう。
ですから、この販売塾は、学生、新卒、第2新卒、有職者、主婦並びに企業から受講を認められた人、というふうに、けっこう幅広く対象にしています。基礎研修を終えれば、店長や副店長などをめざすスキルアップ研修も用意してあります。終了生のクラブも、いずれも1コースの定員が8人以内という少人数制で、じっくり身に付けてもらおうという考えです。とはいえ、オープン形式で、途中からでも受講が可能なようにカリキュラムも工夫してありますので、次の開講サイクルを待たなくてもいいわけです。
サポート態勢も充実
大学の学生課や就職課などともタイアップし、現場の生の声を聞きながら進めていくわけですが、実は、希望者には就職情報の提供など終了後のサポート態勢も作ってあります。ファッション業界専門の人材サービス会社と提携していますので、そこへ登録するのも可能ですね。
また、商業施設の運営会社やSPA(製造小売業)型のアパレルメーカー、セレクトショップ、専門店チェーン、商店会加盟店など、ネットワーク先は多岐にわたっていますので、希望するところへ自由に応募できるようになっています。
さらには、キャリア形成を継続的に支援していくために、終了生が任意加入できるクラブを結成し、情報交換や交流会、スキルアップセミナーなど、多彩に開催します。
広報塾では、衣・食・住・遊といった生活文化産業など生活者とダイレクトに接点を持つ分野で、基本的広報活動ができる人材を育成していきます。
いで・あきこ 中堅ゼネコンや神戸ファッションマート、神戸ファッション情報資料室などを経て96年2月に独立、02年6月グリースを設立して代表取締役。
2004/05/14
知財専門職大学院構想 内閣府・知財戦略調査会
内閣府が12日に開いた第19回知的財産戦略専門調査会で、知財専門職大学院の創設が検討の俎上(そじょう)に上った。
知的財産関連の人材不足は、現在の5万人から将来は10万人規模に拡大する見通しで、多様な専門家の急速な育成が課題となっている。今後要求されるのは、ビジネスと知財の融合分野でビジネスを支援できる問題解決型人材である。
知財専門職大学院も問題解決型人材の育成が目的。習得年限は2年で社会人にも門戸を開放し、習得単位数は30~50単位との案も提案された。
2004/05/14
経済省・ISOサービス分野での標準化 日本発国際規格制定の検討指摘
経済産業省が発表した「ISO(国際標準化機構)サービス分野の標準化の動向」は、08年頃までに国際規格の浸透が予想されるため、体制整備と「日本発国際規格」の制定を検討すべきだと指摘している。
ISO(本部ジュネーブ)のサービス分野の協議と作業を行っている消費者政策委員会(COPOLCO)は今月開くプラハ総会で、意見を調整する。
苦情対応マネジメントシステム(ISO10002)は早期に国際規格化をめざす。
COPOLCOで検討している日本発の国際規格は健康福祉、コンテンツ・レジャー、事業支援、人材育成の分野。サービス標準化で先行する欧州では、標準化とサービス市場統合や産業競争力強化で連動している。
2004/05/11
“モノ作りと創造性結合で強さ発揮を” IFIが経営者向け夏の講座
IFI(ファッション産業人材育成機構)ビジネス・スクールは7月2~4日、静岡県御殿場の経団連ゲストハウスで、“物作りと創造性の結合で日本のファッション企業の国際優位性を確立しよう”と呼び掛ける経営者向け講座「第7回エグゼクティブ・コース」を開く。
「日本が持つ“強さ”はどこにあるのか」「日本企業はどのように独自性を組み上げるべきか」など、実践的に学び合うものにするという。
カリキュラムは「モノづくりの能力構築とアーキテクチャー戦略」(藤本隆宏・東大大学院経営学研究科教授)、「自社に全プロセスを内蔵する、発信型ファッション企業――ザラ」(石倉洋子・一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授)、「サービス・マネジメント・顧客のニーズをふまえたシステム・コンポーネント戦略――シマノ」(竹内弘高・一橋大学大学院国際企業戦略研究科長)で構成する。日本固有の文化的資産を生かす事業創造をテーマに討論会も行う。
尾原蓉子学長は「日本の強み発揮は物作りなしに考えられない。流通革新と同時に製造段階の重要性を見直すべき。メーカーズシャツ鎌倉など先進事例を多数紹介し、今後の経営に役立ててもらう」と強調している。
同講座の定員は50人で参加費は1人32万円。申し込み締め切りは6月4日。問い合わせはIFI、電話03・5610・5701。
2004/05/10
知的財産保護の官民合同訪中団 中嶋経済省製造産業局次長が法整備など要請
経済産業省の中嶋誠製造産業局次長は、9~16日まで中国を訪問する知的財産保護官民合同代表団について、「繊維・アパレル製品を含む不正商品を排除する法整備や取り締まりの強化を要請することが目的」と語った。
現在、日本での模倣品・海賊版被害の約半分は中国からの輸入品とされている。一昨年、第1回知的財産保護官民合同訪中代表団を派遣するなど、政府・民間の様々なレベルで改善要請や支援活動を行ってきた。この結果、「税関などでの実務的な改善点は見られるものの、中国は依然として日本企業への被害が最も大きい」(中嶋次長)状況が続いている。
再犯者対策の強化などを要請するとともに、制度整備や人材育成への協力も申し入れる。「輸出品への不正品の審査制度の導入なども要求したい」(同)という。今回の官民合同ミッションは経済産業省と国際知的財産フォーラムが派遣するもので総勢約60人、中嶋氏も政府関係者として参加する。
2004/05/08
04年度にデザイン人材育成事業実施 経済省
経済産業省は04年度に、高度デザインマネジメント人材育成事業を実施する。
「次世代デザイン人材育成に関するビジョン」を受けたもので、同ビジョンは、次世代デザイン人材育成の段階を(1)デザイン提案能力を取得する「基礎」(2)デザイン実践能力を取得する「向上」(3)デザインプロデュース能力を取得する「実践」――の3ステージに区分し、有機的に連動させるべきと指摘。基礎と向上のステージでは欧米で実施しているプロフェッショナルプラクティス教育が有効とし、専門職大学院の創設も想定する。
04年度事業では同教育の実現をめざして、シラバス・カリキュラムの作成、モデル校の選定、試験的実施などに取り組む。業種別向上ステージやキャリアアップを評価する仕組みも議論していく。
2004/04/28
【ファッションスクール・ほうかご】 長期的な戦略を
専門学校と産業界などとの連携事業が最近、かなり目立つ。産業界側の働きかけを見ていると、インキュベーション(ふ化器)的側面はあまりない。どちらかといえば、創造的な新商品開発やアイデアを「若い力」に求めていることにある。
この動きの背景には、新卒採用を抑えてきたこと、リストラの名のもとに人材を放出してきたことも影響しているはずだ。社内に創造力のある人材がいないからこそ、取り組むのだろう。
業界の現状の動きに合わせた人材育成のために実践教育を強化している専門学校側は、おおむね積極的に連携事業にかかわっている。実学の良い機会というわけだ。学ぶ点も多いようで、学生の勉強意欲も高まったと見る学校は多い。基本的には前向きに参画すべきだとは思う。
とはいえ、日々の課題や校内ファッションショーの作品制作に加え、連携事業の課題に取り組むわけだから、大変だ。突如飛び込んできた連携事業により、通常カリキュラムの進行が混乱することもあるようだ。
なかには、「若い力」が振り回されただけに見える事業もあった。長期的な戦略を持ち、目指すところを、連携先としっかりと話し込むことを学校側に求めたい。(勧)
2004/04/28
仕事を選ばずまず就職 能率協会04年度新入社員意識調査
気に入った会社や仕事に固執せず、まず就職し、企業の中で自己成長を図る――日本能率協会が実施した意識調査による04年度の新入社員の姿勢だ。また、自己成長への支援を上司に期待する一方で、転職・独立でさらに成長を図りたいという意欲も強かった。
調査によると、フリーターについて何らかの形で認める人が91・9%と大半で、「社会として認めるべきでない」は7・1%と少数だった。他方、自らの就職活動に当たって「気に入った会社や仕事よりも就職することを最優先に考えた」が64・4%と最も多く、「フリーターになる覚悟で臨んだ」の31・6%を大きく上回った。
成長の支援者として期待する人は「直属の上司」の35・8%、「社会人10年以上のベテラン(上司以外)」の29・8%が多く、実際に仕事の面倒をみてくれる人は「社会人3~5年の先輩」の38・7%が「直属の上司」の25・1%を上回った。
一方、転職・独立の可能性を考えている人は69・3%と大半を占め、ここ数年間と同じ傾向となった。その中で「なるべく早く」または「いずれ転職・独立したい」人は01年度の30・6%から04年度は25・6%と漸減傾向にある。
転職・独立の理由を性別でみると「やりがいのある仕事をしたい」が男性で58・7%、女性で61・9%と過半を占めた。「よりよい労働条件」は女性が23・7%、男性が17・1%で、「より高い収入」は男性が16・1%、女性が6・8%だった。
2004/03/29
フレックスジャパンと文化服装学院 人材育成で連携 シャツ講座に講師を派遣 ΙFFで作品発表
シャツメーカーのフレックスジャパンは、4月に文化服装学院が開設する「シャツ講座」に講師を派遣、授業で製作した作品の発表機会の提供など人材育成で協力する。カリキュラムは、フレックスの専門店向けカジュアルシャツを企画するライブ営業部と文化服装の教員が話し合い、作った。アパレルデザイン科メンズデザインコースの3学年約50人が履修する。
今回の取り組みは「消費者のためにデザインすることの難しさを知ってもらいたい」とするフレックスと、「企業がどういった人材を求めているか知りたい」とする文化服装の思惑が一致、実現した。
シャツの基本知識(機能・役割・構造)を学んだ後、4人1組でシャツの企画・生産(プレゼンテーション用のスワッチから最終製品まで)をする。自由な発想で、販売を想定した商品を作り、その違いを学ぶ。出来の良い作品については、7月に開かれる「インターナショナル・ファッション・フェア」(IFF)のフレックスのブースに出展、バイヤーに評価してもらう。実際に売れた場合は報酬を支払う。企画担当者だけでなくパタンナーや工場の技術担当者も講義をする。工場見学や1週間程度の企業研修も予定されている。
文化服装は、授業で一企業とこれだけ協力するのは珍しい事例で、「学校と業界全体が活性化する契機になれば」と期待を寄せると同時に、「3年くらい継続し、学生が変わっても同じような効果が得られるか検証したい」としている。
2004/03/26
IFI、全日制マスター・コース 1年制へ移行
IFI(ファッション産業人材育成機構)は05年度から、基幹コースの全日制「マスター・コース」を1年制へ移行する。マネジメント、リーダーシップに関する講座を強化し、「リーダーの育成」を明確にするのが狙い。
期間は従来の1年制(企業派遣生)と2年制(一般生)の併用から1年制へ統一し、対象も企業経験者を原則に、成熟度とキャリア意識の高い人に絞る。バイヤー、マーチャンダイザー育成に加え、リーダーシップ、事業計画立案の能力を身に付けた人の育成をめざす。
2004/03/22
ファッションスクール 相次ぎ中国へ 人材育成ニーズ高まる
ファッションスクールの中国進出が相次いでいる。世界の工場・マーケットとして成長する中国の専門教育の強化、有能な人材発掘・育成の課題に応える面もある。
エスモードは今年9月、エスモード北京を開校する。2月にエスモードパリと杭州・紹興市の精巧集団が、開校に関する契約を結んだ。パリをはじめ、エスモードジャポン東京校、同大阪校など各国に学校を構えるが、中国は初進出。11カ国・17校目にあたる。
北京校は、西城区の精巧ファッションプラザに隣接する学校跡を、中国近代建築第一人者や同済大学建築研究所が修復して開設する。3年コース、総合科(デザイナー、パタンナー)で60人を募集。プロ向けの短期専門コースも開く予定だ。デザイン、パターン教師をパリから派遣し、現地の専門家や学識経験者らでハイクオリティー教育をめざす。
ここ数年、エスモードパリに対し、中国各地の有名大学、企業から提携やフランチャイズの申し込みが殺到していた。パートナーの精巧集団は北京中心街にSC(総面積25万平方メートル)やホテル、事務所を建設中で、完成する06年に紹興市から北京に本部を移す予定だ。織機2000台、スタッフ1000人を擁する精巧テキスタイルのほか、建築鋼材加工業、不動産、ディベロッパー業、教育機関経営などをグループで手掛ける。
昨年9月、上海に進出した文化服装学院は、姉妹校提携を結んでいた上海の東華大学服装学院と合弁で、「東華大学―日本文化服装学院・服飾デザイン専攻科」を開校した。1期生は1クラス(34人)でスタートしたが、応募者が多いため9月から2クラスに増員する。
杉野学園も昨年10月、上海プリーツと提携して「上海徳瑞思美服飾進修学校」(上海ドレスメーカー学院)を開校した。2年制で杉野学園ドレスメーカー学院の実践的な服飾教育を供与している。
2004/03/19
ヨーカ堂、一足早く入社式
イトーヨーカ堂グループは18日、都内のホテルで入社式を開いた。ヨーカ堂161人をはじめ776人の新入社員が参加した。鈴木敏文代表取締役会長は「デフレの克服は流通業の責任であることを知ってもらいたい」などとあいさつした。
定期採用数はほぼ前年並みだが、今後、2000人余りを中途採用し、今期は全体で3000人がグループに入る予定。来春にはヨーカ堂500人を含め1200人を採用する計画。当面、ヨーカ堂で年間7、8店の新店出店などに備える。
2004/03/17
【人財・登場】 マツモト社長 松本孝二さん 求められる専門知識 生涯学習で絶えず自分を磨く
成長を継続するためには人材が重要です。新しい時代に必要な人材を育成していかなくては、この環境を乗り越えるのは困難です。
商談できる英語力
当社は新卒を定期的に採用し、育成してきました。新入社員にいつも言っているのは、生涯学習の必要性です。「人間は絶えず勉強することが大切」なのだと。当社では海外出張は日常的で、ヨーロッパには今月も7人が出張し、年間にすると延べで70人とか80人が欧州に行っている計算になります。中国や韓国は国内の延長のような感覚で、いつも社員が行っています。そこで通訳を介して商談していたのでは、意思の疎通に時間も手間もかかってしまいます。1人で訪問し、通訳なしで商談できる程度の英語力は必要でしょう。新入社員であっても、いつでも海外出張に出掛けられるよう、入社してすぐにパスポートを取得させます。語学を磨くことも生涯学習なのです。
説得できる理論を
これからは専門知識を持った人材が求められようとしています。当社は企画やシステムの充実に取り組んでおり、デザインの分かる人材、システムの分かる人材には能力を発揮してもらおうとしているところです。また、営業にしても、商品知識が要求されています。ものができるまでの過程を熟知して、お取引先にきちんと説明し、提案できる――それが信頼につながるのだと思います。そして、「今はこういう傾向ですが、来年はこうなりますよ」と、自分で勉強して理論付けて説得することも必要です。
どんな職種であれ、いろんな機会を見つけて、きちんと勉強する姿勢が大事ですね。
現在、当社では1億円を投資し、6月1日からの稼働予定で、新システムの構築に取り組んでいます。大手チェーンストアや地域の有力専門店などでは、しっかりした情報システムが構築されており、システム武装しなければ対応できなくなってきました。システムの活用で商品の精度を高めることができますし、営業マンが出先から端末でデータを取り出すことができるようになります。訪問先での問い合わせにスムーズに応対できますし、照会に時間や手間もとられません。効率的に、より高度なサービスを提供できるようになります。営業マンの役割も変わってきます。常に勉強しようという姿勢、そして人間的な魅力。絶えず自分を磨き続けることが重要なのです。
まつもと・こうじ 1937年9月生まれ。62年マツモトに入社し、78年から社長。
2004/03/16
キャリアアップで新しい自分見つけよう お役立ち公開講座紹介します
国境を超えた競争の中、あらゆる場面で“人財”の重要度が高まっている。要点は自分に今、何が求められるのか客観的に見つめ、自発的に新しい技術や知識を吸収しようとする姿勢である。新人、ベテラン問わず、常に向上心を持ち、未知の世界を開く気概に燃える人材をどれだけ抱えるか――このことに産業と企業の未来がかかっている。“生涯勉強”の精神でキャリアアップを目指す業界人、学生のみなさんに有益な講座をまとめて紹介する。
服作り分かる営業 マロニエファッションデザイン専門学校 企業の意向でカスタムメード
「営業マンをクリエーティブな集団にしたい」――。アパレルメーカーのA社がマロニエファッションデザイン専門学校と組んで、営業マンやMD(マーチャンダイザー)の研修に取り組んでいる。研修カリキュラムは、A社の意向を取り入れたカスタムメード。7回の講義と実習で商品企画や服作りを学んだ。
「プランナー研修会」と題したカリキュラムは、服作りの現場を知ることに重点を置いている。取引先との商談で仕様の修正など即答できるように生産、企画知識を持つためだ。社内でのMDとデザイナー間のコミュニケーションを密にすることもねらいとした。このため服作りの実践を重視し、パターンメーキングの講義と実技、イラスト制作、縫製仕様の研究と縫製実習、他社製品との比較分析やマップ作成、商品企画書の作成などの内容で組み立てられた。A社の53人が受講、費用はすべて会社が負担した。
この成果を受け、引き続きマロニエファッションデザイン専門学校と「プランナー研修会・応用編」に取り組む意向だ。
店長育成 大阪文化服装学院でPOP作成、経営学ぶ 専門店のダンカン
男女向け重衣料を扱うカスタムオーダー専門店の「ダンカン」(本社福岡)。関西地区で店舗数を増やしているが、それを支えているのが人材。育成の一環として、大阪文化服装学院の社会人向け講座を昨夏も店長クラス3人が受講した。
VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)を学んだ西宮店の足立直也店長。レイアウトやディスプレー、お客の導線作りなどで自身の工夫を加えた。「ゆっくり落ち着いて見たいはずだから」とこれまで前面にあったレディス売り場も奥へ移動。実績が認められ関西でのレディス担当として本社との窓口を務める。
店頭のPOP作成技術を高めようと、堺筋本町店の内田洋一店長は、コンピューターの活用法を受講。ソフトの基本、文字レイアウトのコツを確認したことで、応用技術を上げた。外注していたチラシも、場合によっては手作りで対応する。
店舗経営を受講した三宮店の石井徹哉店長。無駄な経費を抑えるローコスト経営に取り組んだ。照明代や物流の見直しから、接客技術を上げ、お直し代を軽減すること、パート教育強化など間接的な面まで改革している。
アパレル生産 BUNKAファッション・オープンカレッジ 稲荷田征氏ら講師に
文化服装学院はファッション関連で最大規模の講座数と受講者数(年間約2600人)を誇る「BUNKAファッション・オープンカレッジ」の打ち出しを04年度から抜本的に強化する。全講座を受講目的別に分かりやすく分類する一方、業界の第一線で活躍する人向けの専門コースを充実させた。講座数は140から170に一気に増えた。「20、30代の業界人のスキルアップが日本のファッション産業の未来を左右する。ここに向けたメニュー拡充は専門教育機関としての務め」と、井手口和子教務部生涯学習課課長。
「アパレル生産・流通講座――業界の専門家から学ぶ生産ビジネス」シリーズが重点で、物作りの独自性を磨くには生産から流通までトータルの理解が欠かせないと考え新設した「アパレル生産講座」がその柱となる。稲荷田征(元三陽商会技術部専門部長)、小野宏(ワコール技術革新本部部長)氏ら12人の特別講師がアパレル生産の流れに沿って5月中旬から05年2月まで15回にわたり実施する。生産の中国シフトも意識し、貿易、物流、中国事情についても詳しく解説する。
実用性の高い講座として各企業に中堅クラスのフォローアップ研修としての採用を呼びかけているところだ。
このほか継続講座では、希少な存在の丸編み(カットソー)専門講座が人気。パターン技法の面白さを図画工作感覚で実感してもらうために新たに導入した実験講座は、すでに同学院生の申し込みが殺到しているという。
テキスタイル体験学習 尾州・テキスタイル・カレッジ 仕上げまでの基礎を
愛知県一宮市の尾州・テキスタイル・カレッジは繊維・テキスタイルの基礎を体験を中心に学ぶユニークなカリキュラムを特徴とする。年間11回開講する定期講座(4日間)に加え、企業の要望に応じて「特別カレッジ」も開講している。
繊維原料やテキスタイルの知識がアパレルメーカーや小売業でも求められている。03年度の同カレッジの定期講座ではアパレルメーカーが受講者の27%を占め、百貨店・小売業も30%を占める。原毛や撚糸、織り、編み、染色、仕上げの基礎知識を体験を交えて学べることが人気につながっている。機械設備や講師を務める技術者は、毛織物産地である尾州のインフラを活用、ビジネスに結び付くノウハウを取り入れているのも特徴だ。
特別カレッジは相手方の要望に沿ったオーダーメードのカリキュラム。三越の「カシミヤマイスター」では同カレッジがカシミヤに絞った内容で2日間の講座を受け持った。そのほか、合繊メーカーやテキスタイルコンバーター、大手アパレルなど企業の経営戦略に沿って特別研修カレッジを実施している。
04年度も定期講座、特別講座、訪問講座を計画しており、人材教育の一環としてテキスタイルの実践的な知識を呼びかけていく。
目利きバイヤー育てる IFIビジネス・スクール 多彩な実践的講座
IFI(ファッション産業人材育成機構)ビジネス・スクールは「実学」を学ぶ場として、88年に本格開講した。分かるだけではなく、できる能力を身につけるのを目的に各コースを継続的に開いており、いずれも企業の第一線で活躍している講師、独自に開発した教材活用など実践的な教育が特徴だ。
基幹コースの一つであるプロフェッショナルコースは、MD(マーチャンダイザー)、バイヤーを目指す人のための夜間の半年間のコース(1講座で全25回、定員25人)で、04年度前期は4月1日から開講する。
顧客分類、競合店調査、商品分類など事例を通してビジネスを学ぶ「ファッション・マーチャンダイジング」、MD向け「MDのための商品企画の実践」、バイヤー向け「ファッションバイイングの実践」の3講座のほか、前期にレディス、後期にメンズの「アパレルの商品知識」を開設する。
いずれも5~6人のチームによる演習をカリキュラムに必ず組み込んでおり、ここ数年はSPA(製造小売業)など企業動向を反映した今日的な課題にも焦点を当てている。
修了者は延べ1000人を超えており「様々な企業の人との出会い、ものの見方を学んだ」というように現場での成果を上げるようになっている。同講座をMD、バイヤーの教育の一環として位置づける企業が少なくない。
今後はVMDや素材知識など内容を絞り込んだ短期の特別講座も充実させる考えだ。
実践英会話講座 ミエ・エファップ・ジャパン
広報専門職の養成校ミエ・エファップ・ジャパン(東京・広尾)はこのほど、カリキュラムの中から英語だけを抜き出し、世界で活躍する業界人向けの特別講座「広尾ビジネスイングリッシュスクール」を立ち上げた。現在の会話力、スキルアップの目的別の多彩なメニューが特徴。「ブッシュの戦争をこのまま許していいのか」――平和への熱い思いを授業でもストレートにぶつけるダミアン・キングスレーさんをチーフにビジネスで要求される英会話力を鍛える。ダミアンさんは同校とは別に3月、恵比寿に日常英会話を楽しく学ぶ教室も設けた。
プロ向けパターン講座 織田学園
CAD(コンピューターによる設計)を使いこなしたいというベテランのパタンナーに好評なのが織田学園(東京・中野)の「アパレルCAD」セミナーだ。東レの「クレアコンポ」の使用方法を基礎から学ぶ講座だが、大手アパレルメーカーの生産部門に長年在籍した鈴木長五氏が監修するため、日常の疑問や機器メーカーの開発状況についても気軽に聞くことができ、CADパターンの世界により親しむ機会が得られる。この講座受講をきっかけに「独立起業して世界のアパレル企業から仕事を受注できるパタンナーを目指す」と決意したベテランもいるほどだ。土曜午後の全5回コース。04年度の日程は未定。
「クリエイティブスタジオ」 バンタンキャリアスクール渋谷校
「就職に求められるレベルより上のカリキュラム」と、バンタンキャリアスクール渋谷校が自負するのが「クリエイティブスタジオ」。通常の服飾コースよりも多いアイテム製作を課すことで、企画職としての就職を有利にするため設けている。「技術を研究するためにアパレルメーカーの社員が通うこともある」(同校の生田目裕司氏)という。
2004/03/09
繊維人材育成研究会 04年度実施講座決定 選択と集中、即実行
経済産業省は繊維人材育成研究会の第4回会合を開き、04年度に各地の繊維リソースセンター(RC)とファッション産業人材育成機構(IFI)が国の助成を受けて実施する人材育成事業の大枠を決めた。「各地域・分野を見直し、選択と集中で効果的に人材を育成するのがねらい。諮問だけでなく、直ちに実行する」(北村俊昭製造産業局長)考えだ。
助成は100%補助と2分の1補助を合わせ約1億3000万円で、割り当ては今後、繊維課が詰める。
提案された講座に加え、中小企業総合事業団の助成による生産・在庫管理の講座も行う。トヨタの看板方式の導入を進めるPEC産業教育センターに委託し、個別企業の工場現場を指導する。04年度は10社程度で実施する予定だ。
事業団の専門家派遣事業の活用も促進する。繊維専門家をアドバイザーとして事業団に登録し、中小企業の状況に応じ、問題解決のため継続的に派遣する。
大枠が決まった講座は、浜松ファッション・コミュニティセンターと繊維リソースいしかわが、IFIの開発した「創業・起業促進型人材育成システム」を活用し、事業戦略・MD関連の講座を実施する。講師はIFIビジネススクールからの派遣に加え、SPA(製造小売業)やセレクトショップなどの第一線で働き、素材も分かるバイヤーも登用する。備州など他産地事業者も対象にする意向だ。
大阪リソースセンターは、新たに短繊維織物と二次製品の二つのコースで専門的講座を開く。国際ファッションセンターはニットのパターン、デザインの講座を新設。倉敷ファッションセンターは既存のパタンナー育成のコースを拡充、新規販路開拓や生産管理などのコースも新設する。IFIはアパレルや小売業を主対象に、既存の3コースを実施する。
研究会は今後の実施状況をみて、今秋以降、会合を開き、講座の評価基準、スーパーコーディネーター育成、専門人材のマッチングシステムなどを論議する。
2004/03/09
IFIの創業・起業型育成システム 04年度本格活用へ 浜松、石川、愛知でも
ファッション産業人材育成機構(IFI)が経済産業省の委託を受け開発した「創業・起業促進型人材育成システム」の本格的な活用が始まる。浜松ファッションコミュニティセンターと繊維リソースいしかわの二つのセンターが、04年度に同システムを活用した講座を開く。
中小繊維事業者の自立を促進するためのカリキュラム、教材は、事業戦略の課程を重点に、受講者に合わせ、長期でも短期でも実施できる構成が特徴。IFIでも事業戦略課程に絞り込み実施する方向だ。
重点の事業戦略では、必要なスキルとして、市場と自社の認識、ターゲットと商品の特定、顧客価値の特定、事業計画立案を上げ、これに沿う講義内容になっている。プログラムの実証を行った繊維リソースいしかわ(03年9~12月)や、一部を利用し愛知県商工部が主催した「創造的マーケッター養成講座」(03年6月~04年2月)も事業戦略の課程を柱に、自社の強み・弱みの把握、店頭での消費者調査、百貨店バイヤーとのディスカッションなどを経て新規事業計画を立案する講座を実施した。愛知のマーケッター養成講座は来年度継続実施する。
2004/03/09
【IFI起業・事業革新シンポジウム】 国内製造業の自立支援 人材育成システム発表
ファッション産業人材育成機構(IFI)は2月23日、東京・両国の国際ファッションセンターで「IFI起業・事業革新シンポジウム」を開いた。冒頭、セレクトショップのトップから小売業の視点を学ぶ基調セッションを行った後、事業革新に成功した有力企業4社が自社の事例を紹介した。最後にIFIが経済産業省から委託され開発を進めてきた「創業・起業促進型人材育成システム」の概要を報告し、産業を挙げて人材育成に取り組む意義を強調した。
基調セッションのテーマは「消費者はどんな商品と物作りを求めているか」。報告者がユナイテッドアローズ(UA)の重松理社長、聞き手が佐藤繊維の佐藤正樹専務、コーディネーターがIFIビジネス・スクールの尾原蓉子学長。
重松社長は「ここ5年で、海外旅行などで世界のラグジュアリーブランドに触れる機会が増え、お客様が日本の製品と海外のブランドを横並びに比較するようになった」と消費者の選択眼の進化を強調。「その見る目、価値観は通に近い」という。「個のMD」の必要性の一方で、「雑誌、販売スタッフに追随した同質的な物を好む民族性のような側面は変わっていない」とも。
これに対応した同社のMDは、「店頭から顧客の生の声を反映させたアナログの機能と、UA独自の市場に対する供給姿勢を調整する」ことであり、「今ない物を充足するとともに、顧客の期待を、ある意味で裏切る先駆性」が特色という。その先駆性は次の市場を開拓、創造するテストマーケティングの要素が強いが、独自性のある定番商品がどれだけあるかが重要になる。「セレクトショップの強さは、進化し続ける定番を持つこと」という。
一方、小売業の物作りは「顧客に流されて、どうしてもブレが出てしまう。現場や顧客を知り過ぎての弱点もある。本当に良い物だという説得力、何とか顧客に知ってほしいという意思はメーカーに及ばない」という。
日本の製造業に対しては「このメーカーでなければ絶対に作れない競争力、どこにも負けない技術が求められる」と指摘し、その上で、「小売業と一生付き合っていけるようなブランディングが重要」と述べた。
2004/03/03
デサントと文化服装学院 「ルコック・スポルティフ」でゼミ開講 優秀者は商品化や就職への道筋作る
デサントと文化服装学院がタッグを組んだ。デサントのブランド「ルコック・スポルティフ」のゼミが5月から開講されることが決まった。最終的には生徒の作品が商品化されるかもしれない。
両者はこれまで、さまざまな取り組みを行ってきた。最近では02年のソルトレークシティー冬季五輪で、石岡瑛子さんのデザインしたまゆ型コンセントレーションウエア「コクーン」のサンプル作りや、筋肉のトータルバランスを考えた「パワーコンポ」の開発に、文化服装学院の文化・服装形態機能研究所などがかかわってきた。これには研究、試験、開発という作業を、デサント独自ですべてはできなくなっている厳しい事情もある。
こうした流れの中で、文化服装の卒業生であるデザイナーの田山淳朗さんがルコックで協業した背景もあって今回のゼミ開講となった。実際、生徒に事前アンケートを行ったところ、ルコックの人気が高かったという。
ゼミは4月に3年生25人を定員に公募し、その際提出するデザイン画などをもとに決定する。5月から講義に入り、最初はスポーツウエアの基礎知識やブランドのケーススタディー、スポーツに要求される機能などを学ぶ。
6月には10人程度をインターンシップで東京本社に受け入れ、デザインの現場などを見せる。その後、5人ずつ5チームに分かれて商品製作に入る。「競技」「スポーツカジュアル」「近未来的」という三つのテーマから選択し、ウエアやシューズなど各チーム5アイテムずつを製作する。完成した作品は文化祭で発表する。
デサントとしては企業とは違う発想が出てくることに期待している。優秀作品は商品化して発売したり、入社への道筋を作るなど生徒のやる気を引き出す考えだ。両者の取り組みは1年限りではなく、来年以降は別のテーマで実施する。これを機にデサントも定期的にインターンシップを行い、優秀な人材育成と獲得につなげたい意向だ。
2004/02/28
経済省「人にやさしいものづくり」人材育成 カリキュラムなど作成へ
経済産業省は、来年度に「人にやさしいものづくりのための人材育成に関する実態調査」結果を踏まえ、事例を収集してケーススタディーの教材を開発する。人間生活工学研究センターでは「人にやさしいものづくり」を推進する人材育成研修事業をスタートする。
同省は02年度補正予算で、「人にやさしいものづくり」に必要な知識や技術は何か把握するため、電気機器、日用品などの業種を対象にアンケート・ヒアリング調査を実施した。この調査結果をもとに、標準的な教育カリキュラムと個別技術の授業明細を開発した。
来年度は、人間生活工学研究センターが研修事業を立ち上げ、企業のニーズを踏まえて作成した「標準的カリキュラムに基づく講座」案の12講座を開設する予定だ。初年度は学識経験者を講師に、試験的な実施となるが、05年度以降は来年度開発するケーススタディー教材も活用し、本格的に企業の人材育成を支援する。
今年度実施したアンケート調査によると、「人にやさしいものづくり」のために知識・技術が「必要」という企業が、ほぼ100%となった。必要な素養・知識・技術としては「生理や心理、身体特性に関する知識」81%と、「ユニバーサルデザインや『人へのやさしさ要素』などの全般的な素養や知識」79%を挙げた企業が多かった。人材は約80%の企業が不足感を感じている。
ヒアリング調査では、人間生活工学への期待の高さとともに、人材の絶対的な不足で、人材育成は急務とされたが、社内研修などで基盤研修まで取り込めない実情も明らかになった。
これらの調査結果を踏まえ、作成した34の授業明細には、受講者が目標とする到達レベルに必要な学習内容が示され、参考図書や今後の学習の方向性など支援情報も盛り込まれ、各企業の研修講座にも活用できる。
2004/02/26
【ファッションスクール・まなびや】 大塚テキスタイルデザイン専門学校 糸作りから“素材のプロ”養成
大塚テキスタイルデザイン専門学校は、わが国では珍しいテキスタイルデザイナー育成専門の教育機関だ。63年に大塚末子きもの学院の隣に開設され、バウハウスを彷彿(ほうふつ)させるモダンな校舎で独自の教育を行ってきた。現在の昼間部80人、夜間部50人ほどの学生の中に美大など大学卒業生や社会人経験者が占める割合は高く、テキスタイル開発を根本から深めたいという目的意識を明確に持った人が集まる学校であることがわかる。
手作り感覚を重視するファッショントレンドも後押しして、糸作りから学べる同校への問い合わせは近年、増えているという。教務主任の春日泰浩さんは「最近は服の販売の仕事を通じ興味を持って飛び込んでくる人が目立ちます」と語る。
昼間部にはテキスタイルデザイン科(3年制)と工芸科(2年制)、夜間部にはプリンティングデザイン科とウィーピングデザイン科がある。中心のテキスタイルデザイン科はカリキュラムをニット、プリント、織りの3本柱で構成。オパールや塩縮、リップルなどの加工テクニックも実地で学べる。教室の多くは工房風で、じっくりと制作に打ち込める。授業が終わった後も学校に残る学生が少なくない。
卒業後の進路はアパレル企業の企画職が多いが、大手自動車メーカーやインテリア関連からも求人がある。ただテキスタイルデザイナーとしての就職はまれ。「職種として認知度がまだ低い。素材からの差別化にとってテキスタイルデザイナーは欠かせないことを強調したい」と春日さん。
時代に即した教育にも力を入れる。テキスタイルデザイナーの仕事は、生地開発や図案作りにとどまってはならないと考え、服作りの全体を把握する授業を拡充。その一つが03年から始めたパターンメーキングの授業。原糸・生地開発から製品までトータルでこなせる人材を育成できるようになった。新しい素材の活用法を考える産学協同型授業も04年度からスタートする。
<メモ> 理事長・校長=大塚尚人▽所在地=東京都新宿区須賀町10▽電話番号=03・3357・3671。
2004/02/26
【ファッションスクール】 産学で取り組む人材育成 文科省「先進教育事業」に指定の2校 ビジネスにぐっと接近
服飾系教育機関が“実践的教育”を強めてきたのに呼応して、産学で人材育成に取り組む動きも広がってきた。大阪文化服装学院とマロニエファッションデザイン専門学校の産学連携の取り組みもその一例。SPA(製造小売業)業態やセレクトショップ業態に対応する教育カリキュラムの開発を両校ともに進めており、文部科学省の「平成15年度専修学校先進的教育研究開発事業(教育方法の研究開発)」に抜てきされた。両校の産学連携による人材育成の事例を紹介する。
大阪文化服装学院 実践ショップ 事業化視野に
パルと協同で4年目の挑戦
大阪文化服装学院が、パルグループと協同で進めている「実践的店舗経営実習」は今年で4年目になる。大阪・梅田のHEPファィブ6階にあるパルの店舗内などに、オリジナルショップを開設し、仕入れから販売まで「ショップ運営のすべて」を実践で学ぶものだ。カリキュラムは、4~8月に店舗運営に必要な知識を改めて学びながら、マーケティング調査、ショップコンセプト作り、商品の調達を進める。9月に実際にショップを立ち上げて、翌年2月まで販売に挑む。この全期間でパルの指導を受けながら、売り上げ予算の達成を目指す。
これまでの実績は別表の通り。約半年間で1500万円前後を売り上げるなど結果を出している。また、家賃や人件費など店舗運営経費を差し引いても黒字を確保してきた。
これまでは、「売れる店作り」「売り上げの取れる店」を重点にしてきたが、今年度はファッション感度の高い層を対象にした提案型ショップの運営に挑んでいる。また、初めてPOS(販売時点情報管理)システムを導入したほか、動画情報によるスタイリング提案をするためのプロジェクターを設置して、実践ショップを進化させている。将来的には、実践ショップそのものが本当の事業プランとして採用される可能性も出てきている。
マロニエファッションデザイン専門学校 11社が学生を個別指導
「企業アドバイザー制度」導入
「デザイン学科の学生であっても、作品ではなく商品を作るビジネス感覚やコスト意識も必要」との認識からカリキュラムの革新を進めているのが、マロニエファッションデザイン専門学校。その取り掛かりとして、02年度から卒業制作展の内容を大幅に変更した。服そのものを競うファッションショー形式を止めて、ショップ企画に基づく商品制作と店作りをトータルに評価するコンテストに切り替えた。
この卒業制作展は、個々の学生によるショップ企画案の提出から始まる。その中から選ばれた優秀企画提案者が、プロデューサー役となって対象学生にプレゼンテーションし、学科・専攻の枠を超えたチームを編成する。このチームで、商品、器、、什器、販促ツールに至るまで作り上げていくものだ。
学生オリジナルの事業プランをよりリアルなショップ開発、商品開発にしていくために導入したのが「企業アドバイザー制度」。今年度は、企画アドバイザーとして11社が担当チームを持ち、進行状況に合わせて個別指導を行った。このほか、技術アドバイザーとして別途11社が企画プレゼンテーションの映像制作などで協力している。卒業制作展の内容変更をきっかけにして、教育カリキュラムは前期に基礎教育を終え、後期に企業アドバイザーによる「企業コラボ」と、専攻の枠を超えた「学内コラボ」で応用を実践するように変わってきている、という。
なお、今年度の卒業制作展で提案された15のショップ企画は、審査員から「全体に完成度が高い」と評された。特にグランプリ作品は「企画から店作り、服の提案に至るまで、全く矛盾なく表現できていた」と高い評価を得た。各ショップ企画とも、商品を生産するための縫製仕様書や裁断指示書など、店舗運営面では売り上げ予算書や販売マニュアルなども作成している。同校では今後、これらのショップ企画を販売することも検討している。
2004/02/26
起業・事業革新シンポに350人 IFI
ファッション産業人材育成機構(IFI)は23日、東京・両国の国際ファッションセンターで「IFI起業・事業革新シンポジウム」を開き、定員を大きく上回る350人が来場した。
IFIが経済産業省から委託されて開発を進めてきた「創業・起業促進型人材育成システム」の報告会で、重松理ユナイテッドアローズ社長による基調講演「消費者はどんな商品とものづくりを求めているか」の後、IFIが人材育成システム開発にあたって調査した国内18社のうち大正紡績、カイハラ、センチュリーテクノコア、フットマークの4社が事業革新の取り組みを具体的に説明した。
IFIは、このほど起業・事業革新に必要な5課程12項目からなる「人材育成スキル標準と教育プログラム」を組み立て、事前に調査した伊、仏、米の教育機関や自立化に成功した国内川中製造業18社のヒヤリング内容、繊維リソースいしかわなど各地のリソースセンターでの実証実験の概要を紹介した。
2004/02/23
青葉台東急スクエア 2回目の「販売塾」4月開校 商業施設が販売員育てる 卒業生が施設内店舗に就職も
東急マーチャンダイジングアンドマネージメント(TMM)が運営する商業施設の青葉台東急スクエアは、コンサルタント会社のワンスアラウンドと共同でファッションコーディネーター養成講座「販売塾」を開く。開講は4月13日で、今回は10人を募集する。受講料は2万円。1カ月半の間、週1日2時間30分の講義を7回受講し、卒業検定試験を行う。4月6、7日にオープン講座と事前説明会、面談を実施する。
03年秋に第1回目を実施した。今回は施設内の店長やテナント企業の人事担当者も講座を聴講、参観できるようにし、人材紹介やスタッフ教育の促進につなげる。
商業施設に入るテナントでは販売力のある優秀な人材の採用に積極的だが、実際にはそうした人材が常に不足していることに頭を悩ましている。1回目では4人の卒業生が同塾の検定試験に合格。このうち2人が施設内のアパレルテナントに就職し、講座で学んだ高い接客技術を生かして活躍、高い評価を得ている。商業施設を運営するディベロッパーの間では優秀な人材の育成と確保への関心が高く、今後、販売塾のような人材育成講座が増える可能性がある。
販売塾は、地域の潜在的な求職人材を掘り起こし、販売技術とサービスマインドを備えた即戦力を育て、そうした人材をテナントに紹介することで、慢性的になっている優秀な人材不足という問題を解消しようというねらいから始まった。
子育てなどで離職していた主婦の再就職したいという要求に応えながら、同時にSCの接客力と販売力、サービス力の向上を図ろうという一石二鳥のプロジェクトでもある。塾長は大手の婦人服専門店で店長経験があり、1児の母親でもあるワンスアラウンドのインストラクター、兼重日奈子さんが当たる。「楽しく、実践的なカリキュラムで自分らしさを大切にした接客技術を身につけることができる」内容とした。修了時の卒業試験に合格すれば、施設内の人材募集店舗に紹介する。
2004/02/10
ファッションビジネス各社の05年新卒採用計画 本社調査 優秀な人材の獲得めざして 産業の未来を左右
05年春入社に向けた学生の就職活動が本格スタートした。雇用形態の多様化が進んでいるが、正社員で優秀な人材をどれだけ擁するかが企業の未来を左右するだけに、ファッションビジネス(FB)業界でも新卒採用の経営戦略上の位置付けを引き上げるところが増えているようだ。
そのことは、繊研新聞社の「05年新卒採用計画調査」の従業員の雇用形態に関する設問で「正社員比率を下げる」という回答が目立った昨年とは一変し、「現状の正社員比率を維持する」という答えが過半数を占めたことに象徴されている。
しかし、各種メディアが実施する大学生の就職希望ランキング調査で、FBの中心を担う繊維アパレル企業は上位にほとんど姿を現さない。日本経済新聞社のランキングで100位以内に顔を見せるアパレルはワコールとミキハウスだけだ。中小企業が多く知名度の点で他産業に比べ不利な面もあるが、産業全体の厳しい状況の反映という側面が大きい。
各社個別の積極的なアプローチとともに、日本のFB全体が未来の担い手たちに他産業に勝る仕事のやりがい、将来への展望をアピールする取り組みが欠かせなくなっている。
2004/01/31
FB業界の05年新卒採用 計画未定が半数 増加目立つアパレル 〈本社調べ〉
繊研新聞社が03年12月~04年1月に実施した、ファッションビジネス関連の「05年新卒採用計画」調査(有効回答112社)によると、04年の新卒採用内定者人数は03年並みの傾向にある。05年の傾向は多くの企業が採用計画数を未定としているため流動的だが、人数を明らかにしている企業では大幅に増やす計画のところもあり、採用の手控えによる人件費抑制を見直し、若い力で組織を活性化する動きの強まりを反映する結果となった。
03年と04年の1月時点での内定者数を比べると、アパレル関連、小売業とも全体では大きな増減は見られない。しかし、オンワード樫山が290人を365人に、フランドルが170人を401人に、など大幅な増加も見られる。03年は02年の採用人数を上回っていたので採用手控えからの脱却傾向は続いているとみていいだろう。
05年の採用計画は回答企業の半数が「採用の予定はあるが人数は未定」としており、中小企業が多いFB業界では直近の業績が採用活動に大きく影響することを印象付ける。
計画人数を明らかにしている企業だけを比べると、アパレル関連では増加20社、減少9社、小売業関連では増加9社、減少7社という結果になった。
新卒の採用形態については、4月の一括採用が82社、通年採用が16社。職種別採用の有無は、「あり」が66社、「なし」が36社だった。
今後の従業員構成については、「正社員比率は変わらない」の61社に対し、「正社員比率は下がる」が38社となっている。昨年の調査では、正社員比率は下がる回答が半数近くを占め、雇用形態の多様化がFB業界でも進む気配を見せたが、今回の調査では正社員の重要性が再認識されているとも受け取れる結果となった。
企業の存続と国際競争力を確立する条件の第一は、優秀な人材の確保にあるとの認識の広がりをうかがわせる。
採用の際に人事担当者が重視すること(複数回答)では、第1位が「明るさ、元気さ」で93社、次に「コミュニケーション力」が73社と続く。FB企業の圧倒的多数が新入社員に組織活性化の役割を求めていることがわかる。
2004/01/30
経済産業省第3回繊維人材育成研究会 RCとIFIは特性生かし連携 次回に来年度実施事業確定
経済産業省は28日開いた繊維人材育成研究会の第3回会合で、来年度に各地のリソースセンター(RC)とファッション産業人材育成機構(IFI)が、国の補助金を受けて実施する教育プログラム案を議論した。
前回の会合で委員から指摘のあった「もっと産地特性を生かせ」などの意見を反映し、「前回より的が絞られた」(松田正夫委員長)プログラム案をたたき台に、繊維課と各教育機関の間で検討し、次回の会合で実施プログラムを確定する。
論議の中で、山本健介繊維課長は、人材育成事業のために経済省の来年度予算案で1億5000万円程度確保したことを明らかにした。
改めて提案されたプログラム案に対しては、「さらに産地の特性を生かせ」「IFIは原点に戻り、誰に何を教えるのかはっきりさせるべき」「実地研修の重視を」「ニット分野のプログラムが少ない」などの意見が出された。山本課長は「RCは産地の特徴を生かしたプログラムに特化、分業し、IFIはこれまで培った教育ノウハウをRCに提供、連携する形が望ましい」とし、基本方向を示した。
検討作業では今回の議論の反映だけでなく、教育専門家など「外部の知恵」も生かすことを確認した。
また、「自ら企画・製造し自ら販売する」自立化をめざす中小企業を支援する人材育成事業の基本については、「将来も生き残れる企業を引き上げるのか、ボトムアップを狙うのか、はっきりさせるべき」「生き残るレベルにない企業を引き上げる意味があるのか」「生き残りに向けた自立化の機会を与える意義も大切」などの意見が出された。
今回、提案されたプログラム案の総事業費は約3億円。これに対し、繊維課は、経済省の一般会計で7000万円程度、中小企業総合事業団の繊維関連基金の取り崩しで6000万円程度を確保した。
地方自治体の補助金の活用も含めて、2分の1の補助であれば、カバーできる規模だ。100%補助の要望もあったが「100%は無理」「受講無料では受講生のモチベーションが下がる」との意見があった。
2004/01/26
【ファッションスクール】 授業が変わる、学校が変わる 産学協業型授業 就業体験 学生の発想、企業にメリット
産業界の人材育成ニーズに応える服飾系教育機関の動きが、いよいよ具体化してきた。企業・団体の課題を期間限定で取り組ませる産学協業型授業の展開と、学生に企業実務を経験させるインターンシップ(就業体験)の長期化――という二つの流れがある。国際的な競争力を確立するためには優れた人材の確保が不可欠。企業・団体側の真剣味も増している。
ザ・ギンザと共同で販売
杉野服飾大学の鈴木明ゼミナールは、ザ・ギンザと共同で「ザ・ギンザ・プロジェクト スギノファッションカレッジ」に取り組んできた。昨年12月17日、東京・銀座の資生堂本社ビルで、同ゼミ生7チームの提案を審査するサンプル検討会が開かれ、銀座本店に似合うブランドとして「ライフ」チーム(奥村冴子代表ほか5人)が選ばれた。ザ・ギンザ側との相談で量産・販売計画を決めた後、2月下旬~6月上旬に店頭で実際に販売する。冬物と春物の入れ替え期には全チームの優秀作品が店頭ディスプレーにも使われる。
このプロジェクトは、鈴木教授が「マーケット・インの発想に立った次代のクリエーターを育てたい」として、ザ・ギンザに企画書を提出して実現した。清原、桐生産地コーディネーターの福田敏雄氏、桐生産地11社、東京ソワール協力縫製工場16社の協力でサンプル作りや量産の態勢を整えたことが大きい。
商品化を前提として練り上げた企画・態勢を評価するように、初回のプレゼンテーションとサンプル発表の2回にわたる検討会にはザ・ギンザからは川島拓生社長をはじめ、バイヤー、店長の多数が出席し、実際の商談と同じ雰囲気の真剣味あるものとなった。
セレクトショップを協業先に選んだ理由として鈴木教授は「マーケット・イン発想の作り手を育成したい。メーカーと組むのではなく、売り場と組むことにこだわった」と話している。この協業は04年度も継続する予定だ。
同ゼミは今治タオル産地とも組み、実践型の授業を行っている。2月19、20日に青山ベルコモンズで開かれるイベント「進化するタオル文化」(四国タオル工業組合主催)では、タオルを使った新発想の商品を発表する。
一方、東京モード学園がフランドルなど各分野の企業の協力で03年秋から実施している「ケース・スタディー」授業も04年度本格化する。企業側の問題意識を学生にそのままぶつけることで、学生から新鮮な発想を得ることも期待できると好評だ。実践的な授業のため優秀な学生が顕在化し、採用活動の効率化に直結するなど、企業側のメリットも大きい。
長期のインターンシップ
従来は1~3週間程度だった企業研修をもっと長くする傾向も、服飾系専門学校の一部に表れている。モード学園が典型例だ。01年度から3カ月間のインターンシップを一部で導入した名古屋校は02、03年度には出席数などの基準を満たす学生全員を対象にした。仕事に対する問題意識の形成で短期と長期では効果が違うとして、今後3年のうちに、東京校、大阪校でも導入するとしている。想定しているのは2月下旬~5月下旬(名古屋校と同じ)で、学生は最高年次を企業実務の体験から始めることになる。期間中、毎土曜に校内で報告会を開き、学校側の指導は貫くという。インターンシップの充実に春休み時期を充てるほどの取り組みには、当然、就職支援の狙いもある。
優秀な学生だけを集めてパワークリエーター育成を目指す文化ファッションビジネススクールもインターンシップを重視している。1年次にDC系アパレル企業を中心に4週間の企業研修を実施するだけでなく、2年次にビジネス学科を含め選択制で長期のインターンシップを行う。行きたい企業への交渉を各自に課す点がユニークだ。自分自身を知り、自発性を養う教育と位置づけている。
鈴木明・杉野服飾大学教授
ショーで学習の成果を発表して満足する時代ではなくなりました。学生が一番感動するのは、自分の企画がプロに認められ、店頭で売れることですから、その機会を与えていただき、本当に感謝しています。若い人のアイデアを引き出す仕事はとても楽しい。国内外のアパレルビジネスの経験を生かし、将来のファッションリーダーの育成に今後も頑張ります。
2004/01/26
自立のための知恵を披露 起業・事業革新シンポ IFI、2月23日に開催 先行企業やファッション小売りリーダーが報告
ファッション産業人材育成機構(IFI)は、経済産業省から受託した「創業・起業促進型人材育成システム」の開発を終え、報告シンポジウムを2月23日、東京都墨田区のKFC(国際ファッションセンター)ホールで開く。同システムは、繊維製造業者が自ら企画・製造し販売する「自立化」を支援するもので、経済省が進める繊維製造業者自立化施策の一環でもある。シンポジウムも自立事業への応募企業や取引先の参加を主な対象としている。参加(無料)申し込みはIFIホームページ www.ifi.or.jp/schoolから。
同システムの開発にあたり、創業・起業にはどんなスキルが必要か、スキル標準を策定した。このため、国内の先行事例と海外の教育機関の調査を実施した。
シンポジウムでは、面談調査した国内二十数社の中から、大正紡績(近藤健一取締役販売部長)、カイハラ(貝原良治代表取締役会長)、センチュリーテクノコア(森本尚孝常務)、オムツカバー縫製業のフットマーク(磯部成文社長)の4社が自立への経験を披露する。
基調セッションでは「消費者はどんな商品とモノづくりを求めているか」をテーマに、佐藤繊維の佐藤正樹専務が重松理ユナイテッドアロー社長に聞く。コーディネーターは尾原蓉子IFIビジネススクール学長。
同事業はシステム開発後、リソースセンターでの実証実験も実施した。シンポジウムの最後のセッションでは、事前調査の結果やスキル標準、システム概要の紹介に加え、石川リソースセンターでの製造業二世対象の実証なども報告する。
2004/01/24
経済省 繊維基金活用の改正法案、今国会に提出 月末にも閣議決定 自立事業に150億円
経済産業省は、中小企業総合事業団の独立行政法人への移行に伴い、繊維関係基金を廃止・縮小する法改正案を、今通常国会の予算関連審議の冒頭に提出するため準備を進めている。審議を最優先で進めるため、現在、与党へ法案の説明をしており、今月末か2月早々には閣議決定され、2月下旬から国会審議が始まる見通しだ。
法改正は、急速な環境変化の下で「業界の深刻な危機感と強い意欲に応え、スピードをもって集中的に施策を実行する」(北村俊昭製造産業局長)ためで、中小繊維製造業者自立事業に150億円が向こう数年間、集中的に投入される。
法改正では、繊維振興基金と繊維人材育成基金を廃止し、このうち政府出資金は中小企業基盤整備機構の一般出資金とする。同時に、それに相当する額を一般経理から繊維経理に積立金に繰り入れ、中小繊維製造事業者自立事業に充てる。民間出えん金はそれぞれ振興・人材育成業務で使う。また繊維信用基金はすでに新規保証がないため、債務保証業務に必要な額だけ残し、それ以外の政府出資金は他の2基金と同様に自立事業に充て、民間出えん金は返還する。信用基金の民間出えん金は約7億円で、うち5億円強を返還する。
北村局長は、この法改正の背景について「昨年、策定された繊維ビジョンは、企業経営も政策も従来のようなペースでは間に合わないとの危機感でつくられた。今年度、自立事業に法改正前、前倒しで30億円を充てたのは、最大限、スピードに配慮した結果」と説明し、スピードある実行が繊維施策の最重点であることを強調した。
2004/01/23
05年春に新卒4年ぶり採用 イオン
イオンは、05年春に新卒採用を4年ぶりに再開する方針を固めた。04年後半に実施する中途採用と合わせて500人規模で、05年春の新卒採用は300人程度になる見込みである。グループ全体では1000人の採用を計画している。
同社は、IT(情報技術)の活用でパートに任せられる仕事が増えてきたため、この間、薬剤師を除いて新卒採用を凍結していた。
03年10月末時点の社員数は1万4800人で、01年2月末比で2000人減っている。しかし、出店の加速に伴い、将来の店舗責任者の人材が必要と判断した。
2004/01/08
03年度市場規模は31%増 人材協が03年度再就職支援事業調査
人材紹介事業391社で構成する日本人材紹介事業協会(江島優会長)の再就職支援協議会(森下一乗代表幹事)はこのほど、03年度再就職支援事業の市場規模調査結果を発表した。
同調査によると03年度の市場規模は前年比31・3%増、420億円となった。電機や自動車・機械業界での大口雇用調整は一巡したが、大手企業の継続利用や中堅企業での活用が拡大し、雇用流動化時代を反映して、福利厚生的なサービスとして恒常的に利用されるケースが増えた。また、再就職支援会社活用給付金など失業対策の公的費用により、中小企業や産業再生指定企業の失業者の再就職支援を民間委託する案件が増加している。
04年度以降については現在、国内114万人の非自発的失業者のうち、民間の再就職支援サービス利用者は4%に過ぎず、潜在ニーズは大きいという。
同協会は「団塊世代向けニーズにより07年ころまで高い成長が続く。米国の03年度市場規模約12億ドル(約1300億円)の半分、600億~700億円の規模まで成長は可能」と予測している。
2004/01/01
赤峰幸生氏の私塾「インコントロX」 〝手作り〟の人材育成めざす 歴史や文化含め物本位で学ぶ場
メンズ業界の人材育成を目的とした赤峰幸生氏の私塾、「インコントロX」に、少人数ながらやる気にあふれた業界の現場で働く人たちが集まっている。参加者は、30代を中心にセレクトショップの店長や百貨店のバイヤー、アパレルメーカーの企画担当などさまざま。
大半の塾生が参加費(半期8万円)は自腹。「社内には紳士服の基本的な知識を学べる場や仕組みがない」「日常の業務に追われ、表層的なことしか身につかない」と悩んでいる人が多いことが背景にある。
03年7月からスタート。半期の仕上げとして出された課題、「共通の古い映画をテーマにスタイリングをグループ単位で作成する」ことに塾生は真剣かつ生き生きと取り組んでいた。
講師の赤峰氏は「手作りの人づくりがしたい」という。「売り上げ数字や効率ばかりを追求している現状に危機感」を持っており、「物そのものへのこだわりを文化や歴史まで踏まえて伝えたい」と強調する。マーケティングやトレンドの話ではなく、イタリアや英国と日本を比較しながら、服飾文化をはじめ食、住も視野に、服作りやコーディネート、素材選びについて講義する。なるべくデッドストックの生地見本やビンテージの商品サンプルを使い、体感してもらうことを重視している。