「繊研新聞」掲載記事から就職・採用関連記事の一部を掲載します。文頭の日付は掲載日です。
2005/12/03
講師に投資ファンド松木氏ら IFIの経営者向け講座
ファッション産業人材育成機構(IFI)ビジネス・スクールは来年1~3月、マネジメントコース「戦略とマネジメントⅡ~プロフェッショナルな経営・戦略の統合と事業価値経営」を3部構成で実施する。
実践編講座では、MKSパートナーズの松木伸男社長がM&A(企業の合併・買収)と企業再生視点から日本のファッション流通の魅力を語る。ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長による「事業価値経営の実践」をはじめ、各社トップ級の講義で経営の要点を集中的に学ぶ。定員25人。
問い合わせは電話03・5610・5701。
2005/11/29
人材育成へ「大学院」開校 月星化成
シューズ製造卸の月星化成(福岡県、田中義久社長)は、シューズ流通・小売りの人材育成に向けた社内組織「月星大学院」(多田鉱学長)を開校した。
月星大学院ではシューズに関するコンサルタント養成や店舗スタッフの教育を狙い、社内外の人材育成や、小売店に向けたカリキュラム作成(店頭レイアウト、靴作り体験など)を通じた業界活性化支援、行政機関・各種団体への講師派遣・産学協同などを実施する。
「月星大学院・研修センター」として、延べ床面積約888・平方メートルの研修・宿泊施設を設け、同社の人間生活工学実験センターとの共同事業を強化=写真。研究内容を月星大学院シューズ科学研究所に集約する。
2005/11/29
専門職大学院 ファッション分野で初開設 文化学園が来年4月から
ファッション分野で日本初の専門職大学院が来春に誕生することが決まった。文化学園(大沼淳理事長)が06年4月に開学の予定で文部科学省に設置を申請していた「文化ファッション大学院大学」が12月5日付で認可される見通しだ。
産業のニーズに応える高度な人材育成のよりどころとなり、ファッションビジネスの社会的地位向上に貢献する面をもつ大学院大学で、学長には大沼淳文化学園理事長が就任する予定。
ファッションビジネス研究科だけの単科大学院で、ファッションクリエイション(入学定員50人)とファッションマネジメント(同30人)の2専攻で構成する。学位は専攻学科名を付けた修士(専門職)となる。
大学院大学の認可に伴い、文化ファッションビジネススクール(BFB、03年度に開設)は次年度の学生を募集しない。BFB卒業生を順次、大学院大学に移行させて発展的に解消する。
2005/11/21
「トンヤdeサファリ」イベント開く 問屋街活性化委と文化服装学院 協力関係を継続
東京・横山町、馬喰町の現金問屋の協同組織、問屋街活性化委員会と文化服装学院が、同学院で共同プロジェクト「トンヤdeサファリ」イベントの活動報告・発表とファッションショー=写真=を開き、03年から3年間進めてきた協業をほぼ終えた。
バイヤーらを集めたイベントでは文化服装学院ファッション流通課程の学生がプロモーション映像や問屋街調査報告、問屋街から仕入れた文化祭でのショップ報告、問屋街の商品をスタイリングしたファッションショーを行った。
同プロジェクトは問屋街活性化をめざした産学協同事業。同学院は実地調査や実際の商品に接する研修を実践、問屋街は同学院との協業による認知度の向上、講師派遣による講義などで、相互にメリットを享受する取り組みを進めてきた。同学院生の問屋街への就職も03年度まで1、2人だったが、04年度には15人に増えた。
3年を振り返って野島喜一郎問屋街活性化委員会副会長・東京問屋連盟理事長は「2、3年という期間では目に見える活性化というわけにはいかないが、今後の活性化をめざす契機になった」と指摘。問屋街自身による活性化への取り組みにも力を入れるという。
共同プロジェクトは正式には来年3月までだが、その後も協力関係を続けていく。
2005/11/02
異業種の経営者集め「エスプレッソ塾」 “濃く薫り高い”人脈を 企業塾ドゥーイング
エスプレッソのように濃く薫り高い人脈をつくりませんか──人材教育、企業コンサルタントの企業塾ドゥーイング(大阪
市、古川沙智子代表)はこのほど、アパレルなどの小売業・サービス業の経営者、弁護士などを対象に「エスプレッソ社長発展塾」を大阪で開いた。異業種の経営者が意見交換できる場を設けることで“孤独な”社長を応援。互いのビジネスの発展をめざす。第1回は“これからの売り方”をテーマに設定。起業したてや起業予定者のショップコンセプトなどをもとに、本当に魅力あるものかどうかを検証するなど、参加者全員でブレーンストーミングした。今後は月1回のペースで開き、次回は11月15日、“取り上げられるプレスリリースのツボ”をテーマにする。来年2月には東京でも開く予定。2年で売上高を5倍にしたというカフェオーナーの講演会なども考えている。
「同業者はライバル」「部下に相談できない」など孤独な社長が多いうえ、相乗効果が見込める異業種交流会が少なかったことから企画した。同社は00年に創業。これまで大手セレクトショップ、レディスSPA(製造小売業)などの店舗指導、社員教育などを手掛けている。ホームページアドレスは www.do-ing.org/kigyo/
2005/10/28
尾州テキスタイルカレッジ 開講4年目 受講者500人超す
ザ・ウールマーク・カンパニー・アジア開発センターが主宰する尾州テキスタイルカレッジが、開講4年目で受講者500人を突破した。
同カレッジは02年にスタート。テキスタイルに特化した人材育成講座で、産地のベテラン技術者や設備を活用し、体験しながら学習できるのが特徴。3日間・8講座のレギュラーコースのほか、企業のニーズを取り入れた特別カリキュラムも実践している。
テキスタイルに精通した人材を育てることが商品の企画提案力を高めるとして、特に百貨店や大手量販店、専門店チェーンなど小売業やアパレルメーカーの関心が高く、同カレッジに定期的に社員を送り込んでいる。
20、21日のイトーヨーカ堂向け特別コースで、創立以来の受講者が500人を超えた。同社の特別コースは3回目。30歳前後の新任の衣料品バイヤーらが2日間の講座を熱心に受講した。
2005/10/26
レディスリクルートスーツ ジャケットはコンパクト化 うっすらストライプ柄も登場
百貨店のレディスリクルートスーツは、コンパクトなジャケットが主流になりそうだ。黒が圧倒的な人気だが、グレー系も構成比で2割前後まで増えている。無地が中心だが、今年はうっすらとしたピンストライプも登場した。
伊勢丹は、コンパクトタイプのジャケットに力を入れる。丈は昨年より2~3センチ短い56~57センチが商品構成比の5割を占める。コンパクトジャケットが増えたことから、短い丈と相性の良い二つボタンが人気だ。構成比は、6割を超えている。人気の色は圧倒的に黒。
毎年力を入れているオリジナル商品は、サイズ対応企画の「マイシルエットスーツ」に丈を2センチ短くしたスーツを新たに加えた。また、生地に「スーパー120」を用い、ディテールにメンズ仕様を取り入れた「こだわり上質スーツ」も出す。
雑貨では、間仕切りに収納機能を持たせたバッグを初めて販売する。また、スーツと写真撮影、就職活動指導をセットにしたパックやカラーリスト資格を有する社員が顔写りの良いシャツを選んでくれるサービスなども用意している。売り上げは前年比10%増をめざす。
西武百貨店池袋店は、定番のボックスシルエットのスーツを揃える。面接官に好印象を与えることを重視して、ベーシックなものを厚くした。今年は「アリスバーリー」など3ブランドで、上質な生地を用いた5型のオリジナルスーツを出す。1型あたり100着前後を用意する。価格は平均より高い3万4000円前後。今年は、デザイン性や就職活動後の着用も考えて、ストライプ柄を強化した。構成比で2~3割を品揃えする。ストライプは、細いグレーで遠目には無地に見える。色は黒が人気。ボトムは丈にこだわったスカートを揃えた。ひざが少し見える程度の58センチを中心にしている。ボトムの売れ行きは、パンツとスカートが半々。売り上げは前年比20%増を目標にしている。
2005/10/26
【ファッションスクール・ゼミナール】 大阪モード学園メイク・ヘア学科販売技術専科 化粧品販売の専門技術 就職の可能性広げる
大阪モード学園は、今年度の10月からメイク・ヘア学科の2年生を対象に、化粧品の接客技術を詳しく教える「販売技術専科」をスタートさせた。アパレル・化粧品業界で販売技術研修を手掛けるモードコンシェルジェ(高橋伸枝社長)が講義するもの。受講者に来春のインターンシップ活動前に本格的な知識を身に付けてもらい、就職活動の可能性を広げてもらうのが狙いだ。
販売技術専科の講座は、週1回2時間のプログラムで半年間行われる。基礎的な知識とともに、通常の授業ではなかなかカバーできないクレーム処理対応、接客ロールプレイングなどを学ぶことができる。
有料のオプション講座として受講者を募集したところ、対象学生全体の3分の1にあたる22人が集まった。希望者はもっといたのだが、自ら主体的に学んでもらうため、選考面接を用意した。受講期間中も真剣さに欠ける場合は厳しい対応をしていく方針だ。
就職採用において経験者が優遇される傾向が強まっている中、学生にとってインターンシップの重要度はますます高まっている。その機会を大きく広げられるものとして、学園側は同講座に期待している。
販売技術専科を加えたのは、姉妹校の東京モード学園が04年度から先行導入した結果、就職率が7割以上に上がったことがきっかけだ。ファッションビジネス学科生も受講していることや、1年単位で講義をしている点など、大阪モード学園と内容は若干異なるが、インターンシップ参加した企業から逆指名を受けるケースもあったそうだ。
2005/10/26
レディスリクルートスーツ ジャケットはコンパクト化 うっすらストライプ柄も登場
百貨店のレディスリクルートスーツは、コンパクトなジャケットが主流になりそうだ。黒が圧倒的な人気だが、グレー系も構成比で2割前後まで増えている。無地が中心だが、今年はうっすらとしたピンストライプも登場した。
伊勢丹は、コンパクトタイプのジャケットに力を入れる。丈は昨年より2~3センチ短い56~57センチが商品構成比の5割を占める。コンパクトジャケットが増えたことから、短い丈と相性の良い二つボタンが人気だ。構成比は、6割を超えている。人気の色は圧倒的に黒。
毎年力を入れているオリジナル商品は、サイズ対応企画の「マイシルエットスーツ」に丈を2センチ短くしたスーツを新たに加えた。また、生地に「スーパー120」を用い、ディテールにメンズ仕様を取り入れた「こだわり上質スーツ」も出す。
雑貨では、間仕切りに収納機能を持たせたバッグを初めて販売する。また、スーツと写真撮影、就職活動指導をセットにしたパックやカラーリスト資格を有する社員が顔写りの良いシャツを選んでくれるサービスなども用意している。売り上げは前年比10%増をめざす。
西武百貨店 池袋店は、定番のボックスシルエットのスーツを揃える。面接官に好印象を与えることを重視して、ベーシックなものを厚くした。今年は「アリスバーリー」など3ブランドで、上質な生地を用いた5型のオリジナルスーツを出す。1型あたり100着前後を用意する。価格は平均より高い3万4000円前後。今年は、デザイン性や就職活動後の着用も考えて、ストライプ柄を強化した。構成比で2~3割を品揃えする。ストライプは、細いグレーで遠目には無地に見える。色は黒が人気。ボトムは丈にこだわったスカートを揃えた。ひざが少し見える程度の58センチを中心にしている。ボトムの売れ行きは、パンツとスカートが半々。売り上げは前年比20%増を目標にしている。
2005/10/26
【ファッションスクール・ゼミナール】 大阪モード学園メイク・ヘア学科販売技術専科 化粧品販売の専門技術 就職の可能性広げる
大阪モード学園は、今年度の10月からメイク・ヘア学科の2年生を対象に、化粧品の接客技術を詳しく教える「販売技術専科」をスタートさせた。アパレル・化粧品業界で販売技術研修を手掛けるモードコンシェルジェ(高橋伸枝社長)が講義するもの。受講者に来春のインターンシップ活動前に本格的な知識を身に付けてもらい、就職活動の可能性を広げてもらうのが狙いだ。
販売技術専科の講座は、週1回2時間のプログラムで半年間行われる。基礎的な知識とともに、通常の授業ではなかなかカバーできないクレーム処理対応、接客ロールプレイングなどを学ぶことができる。
有料のオプション講座として受講者を募集したところ、対象学生全体の3分の1にあたる22人が集まった。希望者はもっといたのだが、自ら主体的に学んでもらうため、選考面接を用意した。受講期間中も真剣さに欠ける場合は厳しい対応をしていく方針だ。
就職採用において経験者が優遇される傾向が強まっている中、学生にとってインターンシップの重要度はますます高まっている。その機会を大きく広げられるものとして、学園側は同講座に期待している。
販売技術専科を加えたのは、姉妹校の東京モード学園が04年度から先行導入した結果、就職率が7割以上に上がったことがきっかけだ。ファッションビジネス学科生も受講していることや、1年単位で講義をしている点など、大阪モード学園と内容は若干異なるが、インターンシップ参加した企業から逆指名を受けるケースもあったそうだ。
2005/10/26
【ファッションスクール】 日本のFBの未来へ 役割を自覚多彩な実践
日本のファッションビジネス(FB)の再生に向け“次代を担う人材育成が不可欠”という認識が業界全体に広がっている。各社が採用後のOJT(現場教育)で補うゆとりがない時代の中、専門教育機関の力に期待が集まっている。兵庫県の豊岡かばん産地は若い力とタッグを組みながら未来を開こうとしている。一方、来月、80周年を迎える杉野学園は業界の人材育成ニーズに産学協同型授業を軸に据える方針を鮮明にしている。
かばんの豊岡産地 学生と真剣ワークショップ 7校から18人参加
かばん産地の兵庫県豊岡市で、今月の8、9日、「デザイン塾可能性ワークショップ」が開かれた。産地企業の若手と学生が毎年、混合チームでプレゼンテーション課題に取り組むもので、今年で5回目。豊岡鞄協会が産地のデザイン力育成や人材獲得をめざして実施しているものだが、学生にとっても貴重な学習機会となっている。
コーディネーターをしている青木史郎日本産業デザイン振興会Gマーク事業部長と、堀越敏晴シーダブリュエス社長が今回設けたテーマは「時をはこぶ」。あえてかばんに固執しない、抽象的な課題が出されたが、6チームそれぞれがアイデアを出し合い、デザインを考え、模造紙で形にする段階まで取り組んだ。
知り合ったばかりのメンバーで、限られた時間内に完成させるグループ作業は簡単ではない。8日午後からスタートし、翌朝のプレゼンテーションまでほとんど寝ずに取り組んだグループも少なくなかった。
学生にとって密度の濃いワークショップは大きな経験だ。ワークショップの前に産地の工場見学をすることもできる。大阪芸術大学、京都精華大学、文化服装学院、京都嵯峨芸術大学、多摩美術大学、桑沢デザイン研究所、神戸芸術工科大学の7校から計18人が参加した。
産地からは9社9人が出席。作業を通じて学生の発想や感性に驚かされる場面もある。プレゼンテーション当日は、産地の中堅・ベテラン世代が熱心に聞いていた。
過去のワークショップで提案されたものの中には、実際に商品化・販売されたものがある。学生だった時のワークショップ参加を経て、豊岡の企業に就職した人もいる。
杉野学園 11月2日、創立80周年 産学協同路線に確信
杉野服飾大学やドレスメーカー学院を運営する杉野学園は11月2日、創立80周年を迎える。11月22日には目黒雅叙園で記念イベントを開き、創立者の杉野芳子さんの作品を現代の学生たちがまとうファッションショーも行う。
杉野学園の中村賢二郎理事長は80年の歩みについて「高等教育機関の膨張期にいたずらに規模拡大せず、服飾教育の基本を忠実に守ってきて良かった。今が適正規模だと思う。ここ数年来の産学協同の成果を広げていきたい」と語った。
同学園には現在、大学1000人、短大200人、ドレスメーカー学院800人と、約2000人の学生が学ぶ。志願状況は短大を含め順調。このうち定員増やした大学は07年度には1350人の規模になる見通し。分野を問わず私立大学の存立が問われる環境下、「健闘している」という自己評価だ。
02年度から男女共学化し、杉野女子大学から杉野服飾大学に校名も変更した大学が現在、産学協同型授業を多彩に展開中だ。06年度からはバッグを中心にした実践学習もスタートする。これらの動きはファッションビジネス業界に浸透し、業界の杉野に対する従来のイメージを塗り替えつつある。
ドレスメーカー学院は伝統のある服飾造形科と分けて3年制のファッションデザイン科を立ち上げるなど、クリエーター育成に注力する一方、4年次のデザインアート科では北陸・小松産地との協業を始める予定。また近い将来、メンズファッションの専門コースの新設を検討するなど、業界の最新ニーズに合わせたカリキュラムの拡充が急ピッチで進んでいる。
●オー美術館で「杉野芳子がめざしたもの」展
東京・品川区のオー美術館(財団法人品川文化振興事業団)で来年3月17~29日、「日本洋装化のパイオニア・杉野芳子がめざしたもの」展が開かれることになった。杉野学園創立80周年を記念する企画展で、創立者杉野芳子氏の理想が現代にも生き続けているという立場から「創造」「モード」「教育」――の三つの角度から貴重な歴史資料を一堂に展示する。
DB訂正 (2005/10/27) 26日8面「【ファッションスクール】 日本のFBの未来へ 役割を自覚多彩な実践」の記事で、「杉野学園の中村憲二郎理事長」とあるのは「杉野学園の中村賢二郎理事長」の誤りでした。DB訂正しました。
2005/10/22
アパ産協 パリで販促・人材育成事業継続 3月 トラノイに出展 10月 モデリスト研修
日本アパレル産業協会は、来年もパリでの国際販促事業と人材育成事業を継続する。国際販促事業は経済産業省関東経済産業局から補助金の交付を受けて来年3月にパリで開かれる「トラノイ」展に出展、人材育成事業は日本貿易振興会(ジェトロ)と共催で同10月にモデリストセミナーを実施する。
今月、パリのトラノイでジャパンブースを開設し、丸川雅行(m/m=ミリ)、比嘉京子(キョウコヒガ)、安達稔(モードアコテ)、荒木憲子(ノリコアラキ)、本間遊(ホンマ)の5デザイナーが出展。
成約ゼロのデザイナーはなく、「それぞれが手応えを感じた」中で、最も成約高が多かったのは丸川雅行。丸川の好調だった要因は「生産から流通・販売までの一貫したビジネスの仕組みを欧州で作り上げていた」点と、「ブースで絞り込んだ提案」を行ったことが大きい。丸川は、国際販促事業の一環としてトラノイの前にニューヨークのコーテリ展に出展、ミラノに拠点を置くパートナーと契約し、パートナーのネットワークを駆使して「売る仕組み」を構築していた。
ジャパンブースには有力なバイヤーらがチェックに訪れたが、全体に「目利きのバイヤーの気を引く見せ方の工夫をさらに高める」ことが重要という。
モデリストセミナーは毎年1回実施し、今年は15回目の開催。16人が参加した。研修ではジャケット、コート、ワンピース、ブラウス、スカートの5アイテムのほか、自由課題でドレーピングによる作品づくりにも挑戦した。参加したパタンナーはアパレル企業の最前線で活躍している女性たちで、「デザインを読む感覚がわかった」「原点に戻って、物づくりの楽しさを知った」などの感想を寄せたという。
2005/10/21
ダイエー 丸井から人材派遣 店長・副店長クラス2人
丸井とダイエーは20日、ダイエーの要請に応え、千葉・ダイエーいちかわコルトンプラザ店に丸井から店長・副店長クラス2人を出向形態で派遣すると発表した。
丸井はグループでPM(プロパティーマネジメント)事業を手がけるエイムクリエイツから人材を派遣し、衣料品売り場のVMDの改善や導線計画、レイアウト変更の提案、従業員教育、その他の改善について指導する。ダイエーは、同店で学んだ丸井のノウハウを他店にも水平転換することで営業力強化に結びつける。期間は11月から来年の10月まで。エイムクリエイツは商業施設に向けたPM事業を進めており、今後も同事業を拡大していく計画。
2005/10/14
文化女子大杉野服飾大 実学志向の新授業 総合教育で大学の役割訴求
文化女子大学服装学部と杉野服飾大学は、それぞれ06年度から実学志向の新たな授業を導入する。専門学校とは異なる総合的な教育を重視し、ファッション系大学の独自の役割を強調する。
文化女子大服装学部は来年度から服装造形学科の3年次のカリキュラムに選択制の七つの学習プログラムを加える。「ブランドプロデュース」「アートアンドファッションデザイン」「機能アパレルデザイン」「アパレルインダストリーデザイン」「アドバンスドテクニック」「テキスタイル企画」「ファッションクラフト」で、産業界の支援も得ながら総合的な判断力と高度な専門性を両立する人材の育成に取り組む。07年度には「さまざまな専門分野を横断する実践的教育の方向」(濱田勝宏学部長)にカリキュラムを全面刷新する。
一方、杉野服飾大は02年度の男女共学化、校名変更後、服飾学部服飾学科の3、4年次に六つの選択制コースを設け、産学協同型授業の充実に力を入れてきた。「自分たちで考え、行動する、がゼミの合言葉。企業・団体からの評価は着実に高まっている」(鈴木明ファッションビジネス・マネジメントコース担当教授)という。来年度は服以外のアイテムが対象の「ファッションプロダクトデザインコース」を新設。「機能性とファッション性が併存したデザインの創造」をテーマに当面、バッグを中心に学ぶ。既存の6コース同様、産業界との交流を深めながら「独立心旺盛な人材の輩出」(榑松次郎教授)を狙う。
2005/10/13
人材派遣を丸井に要請 ダイエー
ダイエーは12日、丸井に対して人材派遣を依頼していることを明らかにした。「目的は衣料品売り場の活性化」で、詳細は決まっていないという。一部報道で伝えられた店長級の幹部ではなく、商品部勤務でMDに携わる。
丸井が展開するブランドのテナント誘致やカード事業についても、現段階では未定という。
2005/10/04
接客コンテストで人材発掘 第1回ルミネストを選出
ルミネはCS(顧客満足)の向上をめざして、全11館の約1200店のテナント従業員約2万人を対象に、接客ロールプレイングコンテスト「ザ・ルミネスト」を開いた。第1回目は9月29日に開催し、予選会を含む1154人の中から8人の「ルミネストゴールド」を選出した。優勝者はユナイテッドアローズグリーンレーベルリラクシンングルミネ大宮店の新妻由己枝さん(写真、販売歴1年10カ月)に決まった。
ルミネはこれまでも、CS向上に向けた接客研修やテナントの従業員研修を数多く実施してきたが、「ルミネとそこで働くショップスタッフは、お客様の思いの先を読み、期待の先を満たす、というCSで優れた環境を確立する」(花崎淑夫社長)ことを目的に、来年以降も続ける。
7月下旬から各館で予選会を実施、最終予選会を勝ち抜いた上位40人がルミネストゴールドをめざして接客を競った。8人のゴールドルミネストのほかシルバー32人、ブロンズ57人が決まった。ルミネストに選出されると、バッジが贈られ、顔写真入りの認定書を各ショップに展示する。また、ルミネの広報誌やキャリアアップセミナーの講師として派遣される。
優勝した新妻さんは「本部スタッフやショップスタッフ、そしてルミネの他店の皆様に支えられたからこそ獲得できた。これからは、ゴールドルミネストとしての誇りを持ち、お客様と支えてくれた皆様に少しでも恩返しをしたい」とあいさつした。
花崎社長は「緊張した環境の中で感動的な接客を味わった。このコンテストを繰り返すことで、ショップスタッフの認定制度を確立し、“自分磨き”をする、お客様の最良のパートナーとして信頼されるスタッフを1人でも多く作る。優秀なスタッフはルミネの財産」と話した。
コンテストを繰り返すことで、CSに磨きをかけるとともに優秀なショップマスターとショップスタッフの定着率を上げるねらいもある。
2005/09/29
【ファッションスクール】 役割増す繊維・ファッション関連資格・検定 “人材”重視の流れで存在感 業界の基本問う2大検定定着 企業側 採用時には即戦力を期待 入社後は自己啓発が基本 余裕のない時代の中知識の伝承にも期待
在学中に何らかの資格・検定を取得しようと頑張っている人は多いだろう。第三者の評価は勉強の励みになるし、業界で認知度の高い資格・検定は就職にも役立つ。学校も自校の指導方針に従い優先順位をつけて受験を勧めているはずだ。ところで多様な資格・検定の全体像はどうなっているのだろうか。行政改革の一環で省庁による特定の検定推薦が原則廃止されることから検定の自由度が上がり、数が急増といわれる今、繊維・ファッション関連の資格・検定の現状をまとめてみた。
FB検定とTES
繊維・ファッション関連の資格・検定では、総合系と技術系、販売系に分類できる。受験生の多さと業界内での認知度から、総合系で2大潮流とされるのが、毎年1万人超の受験がある「ファッションビジネス能力検定(FB検定)1~3級」(財団法人日本ファッション教育振興協会)と、05年7月の試験が過去最高の1598人の受験者数となった「繊維製品品質管理士(TES)」(社団法人日本衣料管理協会、5年ごとの更新制)である。どちらも繊維・衣料品及び流通・ビジネスの特性の基礎知識の習得を試すものだ。FB検定は服飾系専門学校の実学教育に、TESは繊維・アパレル業界の人材育成で盛んに利用されている。これとは別に、日本衣料管理協会が認めた大学・短大ではTESとほぼ同様の知識を問う「衣料管理士(TA)」取得の指導が行われている。
どちらの資格も、企業が採用の条件にするまでには至っていないが、ここ数年の受験者数の増加から業界における評価に自信を持っている。
93年に開始したFB検定の普及活動は「各校にFB学科の新設を促す役割を果たし、カリキュラム改革に貢献した」と日本ファッション教育振興協会の山越勲司事務局長は言う。立ち上げ時に文部省(現文部科学省)に同省“認定”の相談に行ったこともあったが、学校の支援を受けながらの10年余の実践で「社会的役割に確信を持てた」という。
一方、TES試験は02年度以降、受験者を毎年増やし、昨年度にこれまでのピークの1300人台(82、92~94年度)を突破した。今年度はさらにこれを更新。この背景について日本衣料管理協会の大谷芳男事務局長は「(1)繊維アパレル業界の基本知識を網羅する内容への評価の高まり(2)国立大学をはじめ繊維を基礎から教える教育機関が少なくなったこと(3)品質・生産・技術業務の外注化・人員削減で企業内で知識の伝承ができなくなっていること――がある」としている。
人材を“人財”と書き換えるほどその価値を重要視する半面、採用時には即戦力を期待、入社後は自己啓発を基本に育ってほしい――という余裕のない産業界の事情がこれらの二つの資格・検定の存在感を高めている。
技術系で国家検定
技術系では、厚生労働省の技能検定で国家検定がある。ただ、受験者数は減っている。管掌する中央職業能力開発協会によると、04年度の受験申請者数は「婦人子供既製服縫製作業技能検定」は1級52人、2級97人、同「パターンメーキング作業技能検定」は1級52人、2級50人で、90年前後の推移と比べると大幅に減っている。国内製造業の衰退が主因といわれている。
一方、日本ファッション教育振興協会の「パターンメーキング技能検定(PM検定)1~3級」や「洋裁技術検定1~4級」は専門学校の授業に取り入れられていることもあって受験者数が安定している。このうち、PM検定は2、3級合わせ毎年5200人程度が受験、産業界の認知度も年々高まっているようだ。
他にニット系では「編物(機械編・手編)技能検定」(全日本編物教育協会)、「毛糸・レース編物技能検定(1~4級)」(日本編物検定協会)などが知られる。特定分野特化型では、日本フォーマル協会が実施する「ブロンズライセンス」があり、FB検定と同列で取得を勧める学校もある。
ユニークなところでは、ディスプレー系で厚生労働省の国家検定「商品装飾展示技能検定1~3級」が業界のプロが個人加盟する日本ビジュアルマーチャンダイジング(VMD)協会の全面支援で実施され注目されている。「04年度から受検条件から実務経験を外したところ、学生、フリーターの受験が増えた」(VMD協会幹部)。インテリア系では「インテリアコーディネーター」(インテリア産業協会)、「インテリアプランナー」(建築技術教育普及センター本部)が有名だ。
色彩関連で新検定
職種として確立していないものの、色彩「技能」に対する資格・検定の広がりも目立つ。商品企画から接客・販売までカバーする有益な知識だからと、各種検定の自由化も追い風となって多彩化している。
文部科学省認定の「色彩検定1~3級」(全国服飾教育者連合会)、「色彩士検定1~3級」(色彩士検定委員会)、「カラーコーディネーター1~3級」(東京商工会議所)など。06年春には日本ファッション教育振興協会が「アパレル色彩検定」(仮称)のテキストを発売する。秋口には第1回の検定試験を行う予定だ。
販売系ではこのほか、「ファッション販売能力検定2、3級」(日本ファッション教育振興協会)、「サービス接遇検定」(実務技能検定協会)、「販売士1~3級」(日本商工会議所)などがある。
2005/09/26
TES受験者数過去最高を更新 アパレルの人材育成に定着
日本衣料管理協会がまとめた今年度の繊維製品品質管理士(TES)試験結果によると、受験者数は過去最高だった04年度実績を104人上回り1598人、認定者は352人で合格率は22%だった(昨年度は24%)。
TESは、5年ごとの更新制で現在、4000人弱が資格を保有。02年度以降、受験者が毎年増えている。
増加の要因を同協会の大谷芳男事務局長は「業界の基本知識を網羅する内容への評価の高まりが大前提」としながら、「生産・技術・品質管理分野の外注化や世代交代で、この分野のOJT(現場教育)ができなくなってきたことを反映しているのではないか」と指摘している。
2005/09/24
業界構造・企業風土変革が不可欠 IFIビジネス・スクール 国内製造業再生テーマにシンポ
ファッション産業人材育成機構(IFI)ビジネス・スクールは21日、都内で「繊維ファッション産業イノベーション・シンポジウム」を開いた。同シンポは中小企業基盤整備機構人材育成委託事業としてIFIビジネス・スクールが今秋行う「日本のもの造り、日本のファッション創り講座」の第1部で業界関係者215人が来場した。
基調講演した日興テキスタイルの阪根勇社長は、03年12月に日興毛織から毛織事業を取得し、繊維産業に参入した動機を「開発し尽くされたと思われる羊毛ビジネスでも現代において新しい仕掛けの余地があることを示したかった」と述べた。約1年半の改革で同社は40万トンの在庫を1万トンに削減し、少量多品種生産、最短2週間の生産サイクルを目標とするジャストインタイム、独立独歩の営業体制作り――などを進めて黒字化した。ただ「時代対応を怠ってきた旧態依然の企業風土には驚いた。今はようやく出発点に着いたところ」と語り、長年の“業界の常識”から脱却し、スタートラインに立つことの重要性を強調した。その上で高付加価値訴求の第1弾として「1ミクロンの繊維の1本1本に表面処理し、束ねることで、従来なかった軽さと暖かさを出す糸を開発中」と手の内も見せた。
尾原蓉子IFIビジネス・スクール学長の(1)強みがあるはずの日本の繊維産業が苦労している理由(2)日本のテキスタイルの優位性(3)クリエーションでも世界をリードは本当か――の問題提起を受けた討論には、松本章サンエー・インターナショナル生産本部長、宮元むつ子小松精練ファッション企画室長、デザイナーの田山淳朗氏が参加。
国内製造業の現状に対し「企画の段階から積極的にアプローチしてほしい」(松本氏)、「海外展で(日本企業の)委託体質とアピール下手を痛感。ただ有力ブランドが注目する技術があり、世界に通用する実感も」(宮元氏)、「強みがあってもビジネスの構造に制約される面が大きいのでは。ここを抜きに優位性うんぬんはできない」(田山氏)など持論を展開した。
2005/09/14
ファッション広報の入門講座 なんばパークスのNCFが開講
なんばクリエイターファクトリー(NCF、大阪・浪速区)がファッションビジネス対象の「広報・プレス入門コース」を開講する。NCFは南海電鉄と吉本興業が00年に共同で設立。なんばパークスを拠点に街づくりと人材育成を結びつける多彩なプロジェクトを進めている。
広報・プレス入門コースは10月から来年3月まで10回の予定。講師は海外ブランドのジャパン社、SPA(製造小売業)企業、スポーツブランド、エンターテインメント業界などの広報担当者、ファッション雑誌の編集者、ライター、繊研新聞編集部長など。受講対象はこの業種に関心を持つ若い女性や、広報活動に取り組む企業関係者。広報コンサルティングのグリース(井手秋子代表)が企画運営に協力する。NCFの講座は、各分野で活躍する人物を講師に招き、業務の実際に即した実践的な教育を特徴にしている。設立以来の主要な講座はイベントプロデュース、映画制作、ビジュアルデザイン、ライター、エンターテインメントなど。
なんばパークスはシネコン(複合映画館)導入を含む第2期計画(07年開業)を推進中。
それと関連してNCFを「魅力ある街づくりとクリエーター養成を同時に進めるユニークな存在として発展させたい」(竹中功事務局長)考え。
広報・プレス入門コースは入塾金1万500円、受講料5万円。申し込みは、電話06・6645・8282。
2005/09/13
販路開拓事業立ち上げ 中小機構 専門員100人超が支援
中小企業基盤整備機構が販路開拓コーディネート事業を立ち上げた。優れた新商品を持ちながら単独での販路開拓が困難な中小企業を対象に、首都圏、近畿圏へのアプローチを支援する。年間100件相当を目標に成約に結びつける予定だ。
同事業は販路ネットワークを持つ販路開拓専門員による「市場へのアプローチの手がかりをつかむこと」が中心で、販売代行や販売代理を行うものではない。販路開拓専門員は商社やメーカーなどの企業OBで広範なネットワークを持つ人材で構成し、関東支部に80人超、近畿支部に30人超を配置している。開拓先に支援企業を紹介し、支援活動終了後に市場での評価を支援企業にフィードバックする。
対象となる商品の要件は新事業活動促進法に基づく経営革新計画の承認企業などで、都道府県等中小企業支援センターや中小企業・ベンチャー総合支援センターの推薦を受けたもの。商品は生活文化関連など12分野。
申し込み窓口は都道府県等中小企業支援センターと中小機構の各支部にある中小企業・ベンチャー総合支援センター。支援活動への費用負担は無料だが、開拓先への同行費用は企業負担となる。
2005/09/12
中国の大手小売業 発展見込むも課題山積 テナント誘致・人材不足
中国の小売業は地域間の協力、テナント誘致、人材不足の解消、業態の多様化、消費者ニーズへの対応などを課題にあげている。北京で開かれた「アジア小売業者大会」で、中国の大手小売業のトップクラスが取り上げたもので、小売業の発展は見込めるとしながらも、課題が山積していることが浮き彫りになった。
05年上半期のチェーン小売業ランキング第1位の上海百聯集団の張新生董事長が繰り返し述べたのは「外資に対抗するためには地域間の協力が重要」という点。「中国小売企業は地元では強みを発揮しているが、全国的に見れば優位性に乏しい」とし、上海を本拠とする同社も他地域との連携強化の方針を示した。すでに大連大商との提携を発表するなど、今後も他地域の企業との連携を加速させる考えだ。
中国で21のSCを開発した大連万■(「大」に「しんにょう」)集団の王健林董事長兼総裁は、テナント誘致の難しさを強調した。「建物が完成しても出店するテナントが見つからない。いかにテナント誘致を促進できるが重要」と指摘した。人材の問題については、北京燕莎商城の万文英董事が「百貨店の店長クラスの人材が不足しており、企業が発展していくうえにボトルネックになっている」と発言。背景にあるのは、中国小売業の急激な成長で、従来単一店だった企業も、店舗数を増やす傾向にあり、人材が枯渇し始めたという。燕莎も02年末まで1店だったのが現在は5店に増えたことで人材確保が課題となっている。
業態の多様化を訴えたのは、ランキング4位の大連大商集団の呂偉順総裁。小売業に求められているのは、消費者のニーズに応じることとし、そのためには新たな業態開発に力を注ぐことを明らかにした。すでに「ニューマート」と呼ぶ、営業面積約10万平方メートルで百貨店、スーパー、アミューズメント施設などを備えたショッピングモールを12店開設しており、開発を加速させる。
ランキング13位の北京物美集団は「中国は昔から農業重視、商業軽視で、小売業の課題は多い」(張文中董事長)とした上で、新ビジネス手法の創出が大事と指摘。今年から子供のいない年配の家庭とお店のホットラインを設置した。ランキング27位の北京王府井百貨は「百貨店は商品企画の力が欠けている。消費者ニーズを研究することが発展のポイント」(鄭万河董事長兼総経理)と発言した。
アジア小売業者大会では、日本企業の講演で熱心にメモをとる中国小売関係者の姿が多く見られた。日本の小売業が直面してきた状況を分析し、自社の課題克服をめざすものと思われる。(北京=稲田拓志)
2005/09/10
産業と教育、グローバルに語り合う IFFTI国際会議 世界の有力校が集結 10月31日から東京で
世界の高等ファッション教育機関の代表が集う国際ファッション工科大学連盟(IFFTI、本部ロンドン)国際会議・年次総会が10月31日~11月5日、日本で開かれる。会場は東京都渋谷区の文化女子大学。14カ国・地域の26大学が人材育成の観点からファッション産業の課題と未来を語り合う。同時期に開かれる「JFWイン東京」の関連行事となる。
主題は「グローバル化するファッション」で、総会と一般公開の年次会議、フォーラムの3部構成。年次会議は11月1日に会員各校の活動報告、2日に「ビジネス」「教育」の二つのセッションを開く。セッションの基調講演を、日本アパレル産業協会副理事長の三宅正彦氏=サンエー・インターナショナル社長と、文化女子大学の大沼淳学長が行う。ビジネスのセッションではコシノジュンコ氏が「日本人の感性とファッション」、デサント第1事業部の戸井田朋之オリンピックプロジェクト・リーダーが「インターナショナルスポーツウエアマーケティング」を語るなど、日本のファッション市場の特性と業界の強みの訴求に重点を置いた内容となる。
3日はロンドン・ファッション大学を進行役に「地域環境時代における感性・技術融合型のファッションを探る」と題したフォーラムを実施する。ニューヨーク州立ファッション工科大学(FIT)や国立インドファッション工科大学、経済産業省、田山淳朗氏、島精機製作所の島正博社長ら多彩な顔触れでグローバルに産業の発展方向を討論する。公開の会議と講演への参加は事前登録が必要(一部有料)。問い合わせは文化女子大学国際交流センター、電話03・3299・2055。
2005/09/05
メリヤス塾に定員超す応募 TKF
東京ニットファッション工業組合(TKF)が今秋から人材育成事業の一環で20~30代のニット・カットソー業界人を中心対象に開く「TKFメリヤス塾」が関心を呼んでいる。当初はTKF10人、東京ニット卸商業組合5人を募集定員としていたが、すでにTKFだけで14人、卸商組から4、5人の応募があり、参加者は20人を超えそうだ。
初回は15日。TKFと卸商組の理事長がそれぞれの業界の現状と課題を報告する。07年3月まで月1回夜間(06年8月は休講)に全18回行う。内容は繊維行政、各分野の技術から商品開発、海外事情、流通の最新の動きまで多岐にわたる。藤巻幸夫IYG生活デザイン研究所社長にも講演依頼中。形式にとらわれず自由闊達(かったつ)に学ぶ雰囲気を重視し、TKFと卸商組の若い世代の交流も進める。
2005/09/03
市街地支援対策を倍増 中企庁06年度概算要求 基盤技術に128億円
中小企業庁の06年度中小企業対策概算要求は1451億円(前期予算比約12%増)となった。来年度の重点は(1)高度部材・基盤産業を支える企業の支援(2)新事業展開や事業再生への支援(3)人材確保・育成支援(4)金融の多様化・円滑化(5)商店街・中心市街地活性化の重点化。
高度部材・基盤産業を支える中小企業への支援の要求額は、戦略的基盤技術高度化支援事業に新規92億円、高専等を核とした中小企業人材育成システムの構築に12億円、中小企業の知的財産権の保護・活用支援に2億円など新規合計で128億円。
新事業展開や事業再生への支援では、JAPANブランド育成支援事業に11億1000万円(約22%増)、異分野の中小企業の新連携への支援にも54億4000万円(18%増)。
人材確保・育成支援では若者の就職対策と地元中小企業との相互理解を促進するモデル事業を支援するネットワーク構築事業に新規22億5000万円。金融の円滑化では、信用補完制度の見直し対策として信用保証協会の運営基盤の強化に67億7000万円(約25%増)。
商店街・中心市街地活性化対策では、コンパクトなまちづくりに取り組む戦略的中心市街地中小商業等活性化支援事業に80億円(約2倍)、少子高齢化に対応するため空き店舗を活用した保育所やバリアフリー歩道を整備する商業施設の整備事業に新規25億4000万円。
2005/09/03
落語で販売員教育 スーツの接客に生かす ダーバン「マーノ・ガーメントコンプレックス」
「毎度ばかばかしいお話を」と、会議室にお囃子(はやし)が鳴り、落語による販売員教育が始まる――。ダーバンが運営するセレクトショップ「マーノ・ガーメントコンプレックス」はこのほど、店長向け教育を寄席形式で行った。
落語家の豊田家金平さんが、前半に古典、後半に研修用の2部形式で店長11人を前に話をした。これまでカジュアルが中心だったショップが今後、重衣料を強化していくことや、打ち出し商品であるレディススーツの仕立ての良さなどを、専門用語を織り込んだ落語で分かりやすく説明した。
マーノ事業チームの永井竜一チームマネジャーは「カジュアルウエアは若手漫才のような接客でもいいが、スーツには落語の間がぴったりくる」と取り入れた理由を話す。耳から聞いてイマジネーションを広げる話芸は店頭でも活用できるという。
2005/09/01
06年度伝統工芸振興に約10億円 経産省概算要求
経産省は、06年度伝統的工芸品産業振興関連予算として、05年度予算と同規模の10億4777万円を要求する。新規に需要開拓等普及振興事業約3億5000万円を要求し、全国伝統的工芸品センターでの情報提供を強化する。
新規の人材確保と技術・技法継承事業で2億9000万円要求し、児童・生徒対象の教育事業や伝統工芸士育成を実施する。
2005/08/31
繊維関連予算 前年同規模の18億円 技術開発、人材育成を重視
経産省は06年度繊維関連予算として技術開発を重視、05年度予算と同規模の約18億円を要求する。要求額には中小繊維製造事業者自立事業の助成額は含まれていない。技術関連支援では先行的に実施している5プロジェクトに加え、新たに1プロジェクト「廃水処理における余剰汚泥の減容化技術開発」(新規6200万円)の技術開発支援を行う。
川中の構造改革対策では、SCM(サプライチェーンマネジメント)推進対策に前年度同規模の約4000万円を要求する。SCMでは繊維中小事業者が情報技術を活用した効率的な業務・取引を行う際に必要となる知識習得のための研修事業や研修に必要な教材の作成を行う。
輸出振興対策でも中小企業の海外販路開拓を促進するため、日本の繊維産業が一丸となった出展を支援するとともに、ニューヨークや上海などにコーディネーターを配置する。展示会で生まれた商談を一層成約につなげる工夫を検討する。
人材育成対策では、同省が要求する製造現場における中核人材の育成(要求額31億1000万円)で繊維関連の取り組みを支援する。工場長のような人材を育成するため、1件当たり3年間で1億円程度要求する。中小繊維製造事業者が自立し、市場への接近化を図るために必要な専門人材(マーチャンダイザー、パタンナー)を重点的に育成するために5000万円を要求する。
絹需要振興にかかわる概算要求は前年度と同額の2900万円。
ファッション・クリエーション力強化対策では国内外展示会と新人デザイナー発掘との連携、自立支援対策では質の充実を図る。自立事業は07年度までの5年間実施する予定で、03年度に総額30億円、04年度に総額50億円、05年度は総額25億円を助成した。
2005/08/30
ファッションビジネス学会全国大会 技術と感性融合の人材育成を 求められる世界水準
ファッションビジネス学会(会長=大沼淳文化学園理事長)は27日、大阪で全国大会を開いた。関西支部創立10周年を記念した今回の大会は、丸紅の西田健一特別顧問による「最近の中国事情」の基調講演のほか、「人材のグローバル化におけるファッション教育のあり方」をテーマにしたシンポジウムを開催し、創造、教育、工業、商業、生活の5分野で26の研究発表が行われた。
シンポジウムはデザイナーの田山淳朗氏、島精機製作所の島正博社長、パルの井上英隆社長、アミコファッションズの大野順之助代表取締役ら創、工、商、教育の各分野を代表するパネリストが参加。「グローバル化とは物の基準や考え方が世界で同じレベルになってきたということ。それだけに、ファッションの基本要素である形、素材、色、柄、イメージの五つの要素をいかに満足させられるかが求められる資質」(田山氏)とし、「技術と感性を融合した人材育成」(島社長)の重要性が語られた。
研究発表ではマス・マーケティングの対極に位置づけられる「ルイ・ヴィトンに見るラグジュアリー・ブランド・マーケティングの法則」(長沢伸也早稲田大学大学院ビジネススクール経営専門職教授)、現役の学生たちが取り組む丹後ちりめんを使った商品やブランド開発など、産地活性化への産学協同の取り組み事例が紹介された。
2005/08/26
ワーキング委員会設置 ファッション・クリエーション人材育成委 3月までに報告書
繊維ファッション産学協議会が設置したファッション・クリエーション人材育成委員会(委員長=三宅正彦日本アパレル産業協会副理事長)が23日、第1回会合を開いた。9月9日に開く第1回ワーキング委員会で具体的な検討項目などを決める。
会合では、産業界や学校関係の識者10人からファッションクリエーションに関する聞き取り調査を行った結果をもとに、今後の検討課題について意見交換した。委員からは人材育成について、喫緊の課題であること、糸から売り場までサプライチェーン全体として把握する必要性が強調された。
その上で具体的問題点について(1)インターンシップ制度の有効性と定着のための課題、素材に関する知識が乏しくなっている(2)クリエーションの受け手である消費者の育成のために義務教育過程で消費者教育が必要(3)専門教育は造形や服作りの教育の比重が高く、提案力や発想力などを養うデザイン教育をもっと強める必要がある――などが指摘された。また、単位交換など学校間の連携を強める必要性も述べられた。
これらの意見を踏まえ、ワーキング委員会で検討テーマを設定、3月までに報告書をまとめる。それに基づいて来年度に実行に移す計画である。
ワーキング委員会の委員は次のとおり。
百々和宏サンエー・インターナショナル経営管理本部経営企画部担当部長▽黒部和夫オンワード樫山メンズ商品開発室室長▽高倉均センソユニコ東京企画生産部部長▽小野瀬慶子ユナイテッドアローズチェンジズ・ユナイテッド・アローズクリエイティブディレクター▽立木康夫ジャパンクリエーション事務局長▽小杉早苗文化ファッションビジネススクール校長▽野中一男マロニエファッションデザイン専門学校校長▽二宮柊子ドレスメーカー学院院長▽渡辺芳道東京家政大学教授▽小池一子武蔵野美術大学教授▽井上義次IFIスクール部門長
2005/08/24
成功モデルを模索 秋に特別講座 垂直連携で展望を IFIビジネス・スクール
ファッション産業人材育成機構(IFI)ビジネス・スクールは今秋、中小企業基盤整備機構の委託事業として「日本のもの造り、日本のファッション創り講座」を開催(経済産業省後援)する。
国際競争時代に日本の物作りの優位性を発揮するには、テキスタイル、アパレル、小売業の効果的な連携が不可欠という考えから行う。9月21日の公開シンポジウムと10~12月、全6日間のワークショップで構成。いずれも参加費は無料。
公開シンポ「繊維ファッション産業イノベーション・シンポジウム」(定員150人)は、阪根勇日興テキスタイル社長が「テキスタイル/ファッション業界の革新・紡織業のルールを壊した」と題して基調講演する。これを受けて、デザイナーの田山淳朗、サンエー・インターナショナルの松本章執行役員生産本部長、小松精練ファッションセンターの宮元むつ子ファッション企画室長が物作りとクリエーションの強みを生かした業界革新の展望を語り合う。IFIビジネス・スクールの尾原蓉子学長は「共に成功するビジネスモデルの構築を考えあう場にしたい」と力を込める。
ワークショップ(定員30人)の参加は、シンポ参加者で全日必ず出席できることが条件。さらにシンポのリポートの審査で受講者を絞り込む。皆川明ミナ・ペルホネン代表の「クリエーターが抱える問題とビジネスチャンス」、松尾憲久センソユニコ社長の「アパレル業の抱える問題」といった実践的な問題提起を多数受けた後、グループごとに顧客価値創造のビジネスモデルを立案、最終日に栗野宏文ユナイテッドアローズ常務、貞末良雄メーカーズシャツ鎌倉社長などから評価を受ける。
問い合わせ・受講申し込み用紙の請求は同スクール、電話03・5610・5701。
2005/08/22
クリエーター育成へ推進機関 23日に第1回委員会 繊維ファッション産学協議会
繊維ファッション産学協議会(中瀬雅通理事長)がクリエーター育成の推進機関として設置する「ファッション・クリエーション人材育成委員会」(委員長=三宅正彦日本アパレル産業協会副理事長)のメンバーが固まった。23日に第1回の委員会を開き、今後の活動計画を策定する。同協議会は、求人・就職の円滑化やインターンシップ(就業体験)の普及、実学教育の推進に取り組んできたが、今年4月の総会でクリエーションの分野での人材育成が日本のファッション産業の課題として、ファッション・クリエーター育成事業を決めた。
クリエーター育成の背景には、新たな市場を求めて積極的に海外進出しようとする業界の問題意識がある。日本アパレル産業協会の奥原崇嘉専務理事は「世界に打って出るために必要な人材が日本にいるのか。この問いかけから始まった。これは、日本のアパレルの将来を見越した人のインフラ整備だ」と説明する。
第1回委員会で討議する新アクションプラン「『ファッション・クリエーションの産学連携』に関する検討(案)」では、(日本の)ファッション産業にとっては、海外進出に対応したブランドと商品のレベルアップが今後の重要課題で、ファッション・クリエーションの底上げが急がれると、業界としての取り組みの重要性を強調している。課題として「世界が注目するブランドを確立」「スーパーデザイナーの拡充」「経営者のクリエーティビティー」「クリエーティブマネジャーの育成」「ファッションクリエーション大学院の創設」「デザイナーの底辺拡充」「クロスディシプリン教育」「リアリティーを実感する教育」「デザイン教育の強化」を挙げ、それぞれに対応する組織を付記し、これまで各団体が個別に行っていた人材育成事業を統合する意向を明らかにしている。
◇
同委員会の委員は、委員長=三宅正彦サンエー・インターナショナル社長、委員=大沼勉オンワード樫山専務、松尾憲久センソユニコ社長、重松理ユナイテッドアローズ会長、立木康夫ジャパン・クリエーション事務局長、皆川明ミナ・ペルホネン代表、奥原崇嘉日本アパレル産業協会専務理事、小杉早苗文化ファッションビジネススクール校長、野中一男マロニエファッションデザイン専門学校校長、二宮柊子ドレスメーカー学院院長、北山晴一立教大学教授、酒井豊子放送大学前教授、小池一子武蔵野美術大学教授。
2005/08/11
05年度経済財政報告から 消費性向が高齢層に移行 技術創造で競争力伸ばす 現役世代経済的負担は急上昇 団塊世代の住替え需要も
内閣府がまとめた「05年度経済財政報告」は、人口の減少という「波」が、今後の日本経済にどういう影響を及ぼすかを分析している。基本的には「現役世代の経済的負担は急速に上昇する」「消費性向がより高い高齢層に移行する」「団塊ジュニア世代は今後、30歳代後半に向けて住宅取得のピークを迎える見込み。団塊世代の定年後の住替え需要も見込まれる」などと特徴づけしている。以下、同報告の「『人口の波』と経済構造の変化」に関する項目の概要を紹介する。
人口動態の変化とその経済的意味
07年からは人口減少と団塊世代の退職という二つの大きな変化が始まる、労働力人口の減少は加速し、現役世代の経済的負担は急速に上昇する。
〈分析〉 我が国の総人口は戦後初の減少へ。高齢者等の消費ニーズを加味した従属人口比率は現役世代の経済的負担を表す。同比率は、団塊世代が65歳を超える2015年頃にかけて急速に上昇する。
労働力人口が量的に減少する中で、生産性を高めていくには労働の質の向上が課題。若年層の労働の質を高めるには教育の在り方が重要。
〈分析〉 高齢化要因のみで労働力人口は2015年までに5・8%減少する。今後の「労働の質」は団塊ジュニアなど労働力構成の高年齢化が押し上げ要因となる一方、(1)賃金のフラット化の進展(2)企業の教育訓練費の伸び悩み(3)高等教育における質の低下などにより、低下に向かう恐れもある。07年度以降、大学等の志願者と入学者が一致する、いわゆる「大学全入時代」を迎える中で、労働の質の低下を招かないよう、各大学の創意工夫による質の高い教育プログラムの提供等が課題となる。
人口の波と家計行動への影響
団塊世代は今後、消費性向がより高い高齢層に移行。これは、マクロの消費性向を教養娯楽(家電・旅行等)への支出を中心に当面、上昇させる要因となる。
〈分析〉 最近の消費性向の伸びには50歳代(団塊世代を含む)、60歳以上の寄与が大きい。これらの年齢層の消費は保健医薬に加え、教養娯楽や交通・通信等の分野で拡大する。こうした消費性向の動向を(1)時代や世代を超えた年齢(ライフサイクル)効果(2)生まれ年の違いによる世代効果(3)その他の時代効果に分けた結果、世代効果でみると世代が若いほど消費性向は低い、高年齢層の年齢効果が高く、時代効果も90年代後半以降高くなっている人口構造の変化は、2010年にかけてマクロの消費性向をさらに上昇させる方向にある。
高齢化は貯蓄率の低下要因になるものの、金融資産に関しては、高齢者の高い資産保有やリスク許容度を通じた今後のリスク資産需要が期待される。
〈分析〉 高齢化要因のみを考慮すると、2003年に8%程度の家計貯蓄率を2010年頃には3%程度まで低下させる圧力。貯蓄率低下の中で金融資産の純購入は縮小。一方、金融資産は高齢層ほど多く保有し、株式や株式投信等のリスク資産の保有ウエートも高齢層において近年高まっている。高齢層が他の年齢層よりもリスク資産を保有している背景には、リスク許容度が相対的に高いことがある。このことから、アメリカで懸念されているような高齢化によるリスク資産需要の低下(資産市場の溶解)の可能性は低い。
団塊ジュニア世代は今後、30歳代後半に向けて、住宅取得のピークを迎える見込み。団塊世代の定年後の住替え需要も見込まれる。
〈分析〉 人口構成の変化を受けて、持ち家の取得は50歳代後半以上のシニア層や団塊ジュニア世代を含む30歳代のシェアが上昇。特に高齢層は、新築物件購入(分譲)や、ウエートは小さいものの中古物件購入など利便性を重視した取得が増加。入居形態別(戸建て、賃貸、マンション)には、長期的なトレンドとして、戸建ての入居が減少し、マンションの入居が特に若い世代で増加。
内閣府の消費サーベイによれば、団塊ジュニアは今後、当時の団塊世代よりも遅い30歳代後半に住宅取得のピークを迎える見込み。団塊世代にも退職後の住替え意欲がみられ、マンションを中心に新築・既存住宅購入や建て替え需要が増加することが見込まれる。
人口の波と企業競争力
団塊世代の定年退職は、企業部門の雇用に大きく以下の二つの意味を持つ。(1)人件費の抑制効果や新卒・中途を含む若手雇用の増加というプラス面(2)高い技術力を持つ労働者の大量の退出というマイナス面。
〈分析〉 団塊世代の定年退職を控え、企業は新卒採用を積極化。個票分析によると、今後3年間の業況感がよくなるとしている企業は、そうでない企業に比べ、雇用増加計画を持つ確率が15%程度高い。また、過去に若年雇用を抑制した企業は、そうでない企業に比べ同様の確率が11%程度高い。今後、中途採用も含めた若年雇用の増加に期待。他方、企業競争力の観点からは、意欲と能力のある高齢労働者の継続雇用等を通じて労働者の技能伝承を図ることも課題。
イノベーションの源泉と競争力の向上への課題
人口減少の中では生産性向上が不可欠であり、企業は付加価値の高い技術創造により競争力を伸ばしていくことが求められる。競争力の源泉はイノベーションにある。イノベーションやこれを通じた生産性の向上には、技術を経営に活かす体制の整備や、人材の量・質の確保・充実が課題。
〈分析〉 内閣府の意識調査によると、競争力が強くなったと回答する企業の割合は31%程度で、弱くなったと回答する33%を下回る。両者を分ける要因として製品・サービスの開発力の影響が大きい。競争力が向上したと回答した企業は、そうでない企業よりもイノベーションを製品・サービスに体化させている。イノベーションの成否には、研究開発投資の多寡よりもむしろ、技術を経営に生かす体制の整備や人的資本の充実といったインフラが重要。これらインフラ要素は、イノベーション活動の活性化を通じて労働生産性にも影響を与える。技術経営得点(研究開発戦略に関する責任体制や、経営戦略・マーケティングとの連携の有無等)や研究者比率が上位50%の企業は下位50%の企業よりも労働生産性がそれぞれ2割程度高い。
2005/08/06
産構審総会 経済産業政策4本柱で 中心市街地活性化法改正へ
経済産業省の産業構造審議会は、第5回総会で「06年度経済産業政策の重点」を決めた。イノベーションを通じた競争力ある産業群の創出など4本柱の重点施策を講じる。委員も交代し、繊維業界関連では前田勝之助東レ名誉会長が退任した。
競争力ある産業群の創出では、高度部材・基盤産業の支援、知的資産の活用と保護、安全・安心の再構築に取り組む。知的資産の活用では、ものづくり・サービス分野の専門職大学院の設置促進による高度人材育成プログラムの充実や、産業界のニーズに応じた教育実施のための大学評価手法も開発する。高専を核とした人材育成システムの構築などで、中小企業における人材を育成・確保する。
優秀な海外人材活用のため、在留資格要件の緩和や外国人研修・技能実習制度を見直す。生産性向上のため、政策税制による研究開発・IT投資を重点的に推進するとともに、減価償却の見直しを図る。
知的財産の保護では、特許審査の迅速化や模倣品・海賊版対策を強化する。知的資産重視の経営では、知的資産経営報告の開示や内部管理を促す。知的資産の防衛のため、営業秘密管理指針の改定で営業秘密を適正管理する。
事業再生では、私的整理と法的整理の間隙を埋め、民間主体の自律的な事業再生のため環境整備を行う。組織再編の円滑化に向けて、会社法に対応した税制整備、信託法制の整備、開示ルールなどM&A(企業の合併・買収)整備やTOB(株式公開買い付け)の規制を見直す。電子債権法制・市場の創設に向けた取り組みも行う。
2本目の柱は、東アジアなどの対外経済政策の展開。EPA(経済連携協定)で大枠合意に至ったタイや、現在交渉中のインドネシア、韓国、ASEAN(東南アジア諸国連合)全体との交渉を推進し、早期締結をめざす。06年末合意を目標にWTO(世界貿易機関)ドーハラウンドを積極的に推進する。
3本目の柱のエネルギー環境政策では、改正省エネ法の着実な施行と、予算・税制の有効活用による省エネ対策を強化する。温暖化対策では、京都議定書の6%削減約束への取り組みを推進する。資源循環システムの構築では、容器包装のさらなる使用の削減に向け、見直す。
4本目の柱の中小企業活性化と地域経済の再生では、信用補完制度の見直し、不動産担保や保証人に過度に依存しない融資の一層の推進、会計の質の向上に向けた支援、留保金課税の抜本的な見直しを図る。中心市街地活性化法を改正し、コンパクトで、にぎわいあふれるまちづくりを実現する。地域経済の再生では、広域市町村の連携、産業クラスター計画を推進する。
2005/08/05
今後の方向探る諮問機関を再開 IFIビジネス・スクール
ファッション産業人材育成機構(IFI)は、IFIビジネス・スクールの内容や今後の方向性について同スクール学長に諮問する「アドバイザリー・ボード」を再開する。これは業界トップとスクールの意見交換の場として設置した機関。学校の運営が軌道に乗ったため、3年前に休止したが、業界を取り巻く環境の変化や人材育成上の新たな課題に対応するため再度、設置することにした。
三宅正彦サンエー・インターナショナル社長を座長とする産官学の13人で構成し、今後の進路などについて年2回話し合う。第1回会合(8月29日の予定)では「“ファッションビジネスの大変化の下、新たに求められる人材育成とは”を主題に(1)クリエーションのマネジメントのありかた(2)日本の物作りを、どのように店頭につなげるか(3)グローバルなビジネスシーンでの交渉力の向上などについて意見を聴く」(尾原蓉子学長)。
2005/08/01
アパ産協 10月にパリで販促・人材育成事業 5デザイナーがトラノイに出展 モデリストセミナーも
日本アパレル産業協会(JAIC)は行政の支援を受けて10月に、パリで国際販促事業と人材育成事業を実施する。国際販促事業は10月6~9日に開催されるパリ・サロン展トラノイに出展し、人材育成事業では10月10~13日にエスモード・パリで研修を受けるモデリストセミナーを開催する。
トラノイへの出展事業には経済産業省関東経済産業局から補助金の交付を受ける。出展するのは5人のデザイナー。デザイナーとブランド名は丸川雅行(ミリ)、比嘉京子(キョウコヒガ)、安達稔(モードアコテ)、荒木憲子(ノリコアラキ)、本間遊(ホンマ)。8人の応募があったが、パリ・トラノイ主催者側の審査の結果5人に絞られた。
展示小間数は合計60平方メートル。事業目的は世界への販路拡大にある。日本貿易振興機構(ジェトロ)の行政施策「リテイン事業」を通して、ジェトロと契約した在仏コーディネーターから情報提供などの支援を受ける。
JAICは国際販促事業としてJFFイン上海の開催とNY・コーテリへの出展を行ってきた。トラノイへの出展は今春まで過去2年間・合計4回出展してきたコーテリ展に代わって実施する。トラノイにはクリエーション力が高いブランドが集積されている上に、世界中からバイヤーが集まり、成約率が高いのが特徴。
コーテリ展への出展では「クリエーション力は評価されたが、バイヤーが米国国内に限られ、日本ブランドとバイヤーのターゲットには少なからぬギャップがあった」という。
今秋のコーテリ展には出展経験者の中の一部デザイナーが個人で引き続き参加する。
パリ・モデリストセミナーは毎年1回実施しているもので、今年で15回目の開催となる。今年からジェトロの助成を受け、研修費が昨年の18万円から12万6000円に値下げされた。ツアー代を含めると日本からの参加費は34万2000円。
研修目的は立体やドレーピングのテクニックを学ぶことで「デザインを読む」感覚を磨き、世界市場に通用するもの作りの考え方を体感する。研修内容は大きな襟が特徴のコート、フェミニンディテールを取り入れたマスキュラン風ジャケット、50年代のクラシックなクチュールテクニックを取り入れたボディーフィットのワンピース、袖にボリューム感を持たせたヴィクトリア風のブラウス、ふっくらとした量感のあるバルーンシルエットのスカートを製作する。
募集対象はパタンナーで、募集人員は20人。満員になり次第締め切る。
2005/08/01
百貨店協会 ギフト・アドバイザー資格制度創設 全部門の販売員対象
日本百貨店協会は、今秋にギフト・アドバイザー資格制度を立ち上げる。フィッティングアドバイザー・レディス、メンズに続く、3番目の百貨店プロセールス資格制度で、全部門の販売員を対象に講座・試験を実施する。
資格は1~3級で、最上位の1級は企業推薦と面接・口述試験で選ぶ。3年目以降は、2級資格者から選定の予定。2級は2日間の講座受講と筆記・口述試験で選定する。3級は通信教育講座の受講と審査リポートで資格を認定する。
大きな特徴はパーソナルギフトを重視していることだ。講座ではバレンタインデーや母の日、父の日などのシーズンイベント、誕生日や入学・卒業などのライフイベントなども柱とする。自分へのご褒美需要も含め、顧客のニーズをしっかり把握し、コンサルティングセールスできる人材育成をめざす。
通信講座の教材は、高島屋グループの人材会社、センチュリーアンドカンパニーと三越グループのプロネットが共同で制作した。高島屋と三越のノウハウを基盤にしたもので、2級講座でも基本教材に位置づける。2級講座は両社のほか、ミレニアムリテイリンググループのエスウィル、大丸グループのディンプル、近鉄百貨店グループのKサポートが指定団体となって開講する。レディス、メンズの講座を開講している人材会社も加わる可能性がある。
ギフト需要の広がりに対応し、外商も含む全部門の販売担当者に資格取得を呼びかける。百貨店の従業員だけでなく、取引先の販売員も対象とする。「エブリデイ・ギフト・プロモーション」を掲げており、アドバイザーの育成で百貨店の強みであるギフト対応に磨きをかける。
プロセールス資格は03年秋にレディス、04年春にメンズを立ち上げており、今年6月時点での資格取得者は合計で2522人。ギフトも加え、06年度までに資格取得者を1万人に増やすことを目標にしている。
2005/07/27
8月1日に施工 LLP契約に関する法律
経済産業省は26日の閣議決定を受けて、有限責任事業組合(LLP)契約に関する法律施行令と期日を制定する。施行期日は05年8月1日。
同施行令は企業同士のジョイント・ベンチャーや専門人材の共同事業を振興するLLP制度で、組合として行えない業務を定めた。組合の債権者に不当な損害を与える恐れがある業務として宝くじの購入、競輪の車券の購入など6業務、有限責任組織では行うことができないとされている公認会計士、弁護士、司法書士など9業務を定めた。
2005/07/21
【人材ビジネス】 大手商社、素材メーカー系紹介業 専門性と総合力強み
「私どもの出番は増えているが、一方で新規参入も多く、厳しい競争の時代に入ってきた」――就業形態の多様化や、人員削減を続けたことによる即戦力不足などで、ファッションビジネス(FB)向けの人材ビジネス、とりわけ紹介業の役割が増大しているが、比較的容易に参入できる業種とあって、競争も激化している。その中で、大企業のネットワークと、独自に蓄積した専門性により飛躍しようとしているのが、大手商社系と素材メーカー系の人材紹介業。海外を含む総合人材ビジネスも視野に体制を強化している。
クリーデンス ソリューション型で
ワンパッケージ
クリーデンスは、人材紹介業のインテリジェンス30%、三井物産70%の資本構成で01年8月に発足した。繊維事業にとどまらず、化粧品やインテリア、雑貨、Eビジネスなどを含めて再編された物産の「ライフスタイル事業本部」との連携で、その関連会社、投資先、重点企業などにクライアントを広げ、「ブランドの導入から、人材、店舗づくりまでをワンパッケージに、ソリューション型の人材ビジネスを展開していきたい」(石井栄一副社長)という。
オフィスは、赤坂御所を前にした、瀟洒(しょうしゃ)な建物のカナダ大使館ビル2階に置く。現在の登録者は約1万人、クライアントは600社。紹介職種はデザイナー、パタンナー、マーチャンダイザーなどFBの中核をなす専門職だが、最近はOEM(相手先ブランドによる生産)に絡む生産管理、技術、営業の人材の需要が高まり、店長職を中心とした販売職の転職サポートも開始した。「国内だけでなく、世界有数のラグジュアリー、インポートブランドの紹介実績も急増中」とし、今後はグローバルな人材の供給と、「アバレルの転職サポートから、名実ともにファッションの転職サポートへ発展させたい」(石井副社長)という。
キャプラン 中国最大手と提携
プロ人材を組織
キャプランは、伊藤忠商事78・9%、センチュリー・リーシング・システム18%などの資本構成。人材紹介、人材派遣、人材育成の三つを柱に、IC(インディペンデント・コントラクター)事業、アクティブシニア事業、中国事業などに取り組み、クライアントや登録者の抱えている問題を分析し、解決に至るまでのトータルソリューションを提供していく。IC事業とは、高い専門性を武器に独立し、複数の企業と業務単位の契約を結んでビジネスを遂行するプロフェッショナルのことで、企業の社員となるのではなく、また自分で起業し事業拡大するのでもなく、実質的に個人単位で企業と期間、業務内容を定めた契約を結んで働くのが、その内容。同社は各分野のプロフェッショナル人材を会員として組織し、会員のプロジェクトを成功に導くため、最適なICを確実に提供したいという。
中国事業では、中国最大手の人材会社、北京外企人力資源販務有限公司(フェスコ)と4月に業務提携した。中国で働きたい日本在住の日本人、日本で働きたい中国在住の日本人留学生や社会人と、中国に拠点を置く日系企業、及び今後中国に進出しようと考えている企業、日本国内で中国人の活用を検討している企業などを対象に今後、(1)紹介事業(2)派遣事業(3)人材に対するアセスメントや教育研修プログラムの構築(4)語学、ビジネス上での異文化等のビジネス教育研修の実施(5)中国に進出する日系企業に対するマネジメント手法のコンサルティング(6)移転に対するリサーチやコンサルティング(7)生活に対するアフターフォローなど――を実施する。
働く意欲と優れた能力を持つ、アクティブシニアの派遣・紹介支援事業も4月から開始した。専用サイト「シニアエキスパートバンク」を開設した。07年の団塊世代の大量定年、就業環境の多様化、シニアの意識変化など、アクティブシニアを取り巻く環境の著しい変化を踏まえ、豊富な実務経験やノウハウを所有する企業のOB(定年退職者)の登録を募り、専門人材を必要とする中小・ベンチャー企業などへ、派遣・嘱託・契約社員・紹介予定派遣など、両者のニーズに合ったさまざまな形態での提案を行う。
アパレル分野深く アイ・エフ・シー
生産担当が急増
アイ・エフ・シーは、旧イトマン時代の事業を受け継いだ住金物産の人材紹介会社。「コーディネーター全員がアパレル業界出身者」「独自のルートから入ってくる他社には一切出ない案件が多い」など、同社の従業員のスキルとノウハウで、繊維・アパレル分野への強みを発揮している。
小和田康夫社長や硲俊彦取締役人材事業統括兼東京人材事業部長も「われわれ自身、30年も繊維・アパレル業界を経験してくると、クライアントの内情や社風などがすべてわかり、その人(登録者)がそのクライアントに合っているかがわかる」という。
紹介職種は、デザイナーやパタンナーが多いが、最近は従来、商社などに“丸投げ”だった海外生産を、国内の生産者やアパレルメーカーが自ら行うようになってきたたことを背景に生産担当の需要が急増しているという。
CAD研修を実施 東レ・エージェンシー
繊維経験生かす
東レ・エージェンシーが人材紹介事業を始めたのは1987年。常務理事で人材事業部門東京人材紹介部長の小川丈夫氏は「やはり、東レの繊維・テキスタイル事業を通じたアパレル業界との密接なつながりが、クライアントや登録される方からの期待となっている。われわれも全員、繊維・アバレル出身で専門性が高い」という。
この1年の登録者の就職分野はデザイナー32%、生産管理27%、パタンナー21%、マーチャンダイザー11%、その他9%の割合。営業的な役割を含め、生産管理の仕事が急増している。
30歳を中心とした若い人への要望が強く、新しいブランドや、ブランドをリフレッシュするためのチーフデザイナーが特に求められているという。
同社が特徴にしているのが、CAD(コンピューターによる設計)研修。東レ・ACSとともに、登録者の中から一定人数を対象に毎月行っている。また、東レが中国や東南アジアなどに合弁工場を持っているのを背景に、生産管理者・技術者のグローバルな紹介も可能となっている。
◇
人材ビジネスは、就業形態の多様化と、景気後退で人員削減を続けたことによる反動で、派遣、紹介とも、この10数年間、急成長を遂げたが、最近はやや様相を異にしている。
少子化にも対応
特に人材紹介の場合、これまで業界内の口コミでの転職が多かったのが、紹介業が認知された結果、紹介業への依頼が増えたものの、一方で参入業者が急増した。その結果、競合が激しくなり、「参入の数だけ、倒産や撤退する方も同じくらいいる」(アイ・エフ・シー)という。
大手商社系や東レ・エージェンシーなどは、親会社との連携を強めながら、総合人材ビジネスとしての体制を確立する一方、FB向けの専門性も高めている。
各社が重視しているのは、経験のあるシニア層の活用とグローバルな人材戦略、教育研修、個人情報保護の強化など。アイ・エフ・シーは「女性が結婚したり、子供を産んでも働けるFB業界を、業界とともに考えたい」としている。
人材紹介業界とFB業界が一体となって検討すべき課題が多く、今後は両業界の連携が求められる。
2005/07/21
文化学園 大学院の設置申請を受理 人材育成ニーズに応え 少数精鋭教育に力
文化学園(大沼淳理事長)が来春の開設をめざし文部科学省に提出していた「文化ファッション大学院大学」設置認可申請が6月27日、受理された。同省は申請に基づき大学設置・学校法人審議会に諮問した。11月末には正式発表される見通しだ。設置が認可されれば、国の高等教育政策の一環として、ファッションビジネスの高度な人材育成のよりどころになる最高学府が誕生する。
文化服装学院の川合直教務部長は「業界の未来を切り開けるような少数精鋭教育に力を入れてほしいという要望は年々高まっていた。これに応えるのは今だと判断し、申請した」と話す。専門職大学院が確立されれば、ファッションビジネスの社会的地位向上につながるだけでなく、優秀な人材を獲得しやすくなる。
設置をめざすのはファッションビジネス研究科だけの単科大学院で、ファッションデザインコースとファッションテクノロジーコースの「ファッションクリエイション専攻」と、ファッション経営管理コースとファッション技術経営コースの「ファッションマネジメント専攻」で構成している。この4コースで(1)知財の創造と、その市場化ができる人材の育成(2)新しい業態を創造できる人材の育成(3)新時代のビジネスモデルを実践しマネジメントできる人材の育成――に取り組む。
同学園が03年春、文化服装学院の上級校の位置付けで開設した文化ファッションビジネススクール(BFB)は、大学院の認可が下りれば次年度の学生募集は行わない。BFBの卒業生を順次、大学院に移行させることで発展的に解消する予定だ。
2005/07/16
05年度経済財政報告 重点分野に資源移動 「技術生かす体制」を
守りから攻めへ
15日の閣議で了承された内閣府の「05年度経済財政報告」によると、過剰問題の調整が終了し、守りから攻めへ転じる好機とし、「官から民へ」「国家から市場へ」の改革を進め、生産性や収益性の高い分野に積極的に資源移動させることが重要と指摘。人口減少の中での競争力の向上には、技術創造や人材の量・質の確保・充実が大切と提言している。同報告によると、バブル崩壊後の負の遺産の清算が済み、景気回復は4年目に入り、04年後半にはIT(情報技術)関連分野の調整で踊り場を迎え、在庫調整は着実に進展。経済活性化の阻害要因だった雇用、設備、債務の「三つの過剰」もほぼ解消した。
投資は控えめで、内部留保も高いため、企業部門の貯蓄超過が拡大している。成長分野への積極的な投資活動が今後の持続的成長の鍵を握る。
企業の体質強化
99年頃からの固定費抑制で、損益分岐点はバブル崩壊後、最低水準に低下し、企業部門の体質は強化された。労働分配率もリストラを通じ00年代には低下した。労働需給の改善が雇用増加や賃金上昇につながるかが、今後の成長のポイントになる。
金融再生プログラムなど政策的な取り組みが寄与し、清算型でなく再生型の倒産が増えたことから、不良債権処理に伴う失業の増加も事前予想より少なかった。
地価は地方圏でも下落率が縮小、デフレ幅も縮小している。産業間の資源配分の流動性を示す指標「リリエン指標」は上昇傾向にあり、供給サイドが強化されつつある。
基礎的財政収支(対名目国内総生産比)の改善や、消費の緩やかな増加による民需中心の景気回復が続く見通しで、デフレ脱却に向けた実効性ある金融政策運営と、原油高の長期化や景気の成熟化に伴う在庫や資源ストックの調整などに留意すべきとしている。
07年からは人口減少と団塊世代の定年退職の二つの変化が始まり、団塊世代は今後、消費性向がより高い高齢層に移行する。60~64歳の消費性向は高い。保健医療に加え、教養娯楽や交通・通信の分野で消費が拡大している。老人医療費が経済成長率以上に1%高く伸びれば、現役世代の分だけで約150兆円の受益(医療費)の増加となるため、将来世代の負担軽減を図ることが課題となる。
住宅取得は、団塊ジュニア世代が30歳代後半に向けてピークを迎えるほか、団塊世代の定年後の住み替え需要も見込まれる。
団塊世代の定年退職は、若年雇用の増加のプラス面と技術力を持つ労働者の大量退出のマイナス面があり、企業年金など退職給付制度などにかかる負担は企業収益、設備投資の圧迫要因となる。
競争力の源泉はイノベーションで、技術を経営に生かす体制の整備が重要。技術経営得点や研究者比率が上位50%の企業は、下位50%の企業よりも労働生産性がそれぞれ2割程度高い、と指摘している。
2005/07/14
産地の匠が物作り伝授 尾州テキスタイル塾 少人数で実践的講習
尾州テキスタイルデザイナー協会が「尾州テキスタイル塾」を開塾し、産地の人材育成に取り組んでいる。
産地の匠クラスが講師として少人数で実践的な講習を行っているのが特徴。3年間で56人が参加し、幅広い知識や物作りの考え方を習得、同時に人的ネットワークを広げた。
現在、募集しているのは第4期生として15人。7月から12月まで毎月1~2日、午後6時半から9時まで開く。カリキュラムは糸や生地の企画設計や加工などの物作りのほか、マーケット情報やMD論などにも及び、製造から販売まで分かる人材育成をめざしている。
また、より高度で実践的なプロ養成講座として同塾はマスターズコースも設けている。売れる物作りを匠の指導で体験し、展示会への出品や製品にしてファッションショーで発表する。7月から12月まで7回開講し、テーマを決め、糸作りや製織、仕上げ加工を行い、売り先の検討、販売実務も経験する。
問い合わせは同協会、電話058・391・8511。
2005/07/12
賃金アップ 人材確保 悩む中国の日系企業 敬遠される繊維業界 内販ビジネスに影響も
【上海=稲田拓志】労働者の賃金アップ、人材確保が中国の日系企業の頭を悩ませている。工場のワーカーだけでなく、ホワイトカラーにも当てはまる問題で、中国の経済成長、日系企業の進出ラッシュに伴う日本語を話せる人材の供給不足、他産業への転職希望などさまざまな要因が挙げられる。今後対応を迫られそうだ。
上海市はすでに最低賃金を月額690元(手取り)とすることを明らかにしている。従来に比べ55元の上昇で、01年に比べると200元の上昇となった。パソナアジアグループが中国の日系企業151社を対象にした独自調査でも、04年は5・4%の賃金上昇、05年も5・6%の昇給が予定されている。厚生労働省がまとめた「1人当たり平均賃金の改定額及び率の推移」によると、日本は04年で1・3%に過ぎないだけに、中国の伸び率は際立っている。
賃金アップは企業のコストに直接影響するが、思わぬところで影響が出始めている。人件費のウエートが高まったら、ほかでコストを圧縮するしかないということで、製品ビジネスの場合「素材や副資材の質を落とすことがある」(日系商社)という。「その結果、検品会社の忙しさが増している」。新たに人を採用しようにも、給与水準が低かった頃に採用したスタッフより新規募集の給与水準の方が高くなってしまうという矛盾が生じている。当然、既存スタッフは不平を持つため、新規採用を実施するなら既存スタッフ全員の給与を上げざるを得ない。そのため、新規採用自体を見送らざるを得ないケースも出ている。
賃金アップで人材を確保できるケースはいいが、繊維、アパレル業界に身を投じる人が少なくなっているとの見方もある。パソナアジアグループのパヒューマ上海によると「大卒で繊維・アパレル業界に勤めている人材のうち、半分は他業界に転職したがっている」。理由は低い給与、多くなりがちな残業など。繊維・アパレル業界に比べ給与水準の高い電子、化学などの業界も人手不足に陥っているため、転職の条件が整っている。
工場のワーカー不足が話題になったのは昨年夏頃。広東省を中心に労働者不足が深刻化し、「人が無尽蔵の中国で人材不足なんて」といった疑問の声さえ聞かれた。しかし、いぜん問題は解決していない。日系の縫製工場は「現地の専門学校と提携して、工場での労働で単位取得ができるようにする」(無錫奈加野時装有限公司)など、あの手この手の対策を打っている。
「人材確保は大きな仕事の一つ」(日系商社総経理)というように、中国ビジネスで拡大を狙う日系企業にとって、賃金上昇、人材確保は避けて通れない問題だ。とりわけ中国内販をうかがう企業にとっては優秀な現地スタッフの確保が命運を左右する。欧米企業に比べ、現地への権限委譲が苦手といわれる日系企業だが、賃金面を含めて現地スタッフにどれだけの条件を提示できるかが試されようとしている。
2005/07/08
中国の日系商社 内販拡大へ対策 OEM機能を充実 現地の人材採用急ぐ 市場に合わせて企画提案
【上海=稲田拓志】中国の日系商社は、内販拡大をめざして対策を進めている。原料、テキスタイル、製品OEM(相手先ブランドによる生産)など形態はさまざまだが、日本向けOEMが大部分を占める売上高の中で、内販の比率を高めたいという狙いは共通している。
伊藤忠繊維貿易(中国)と丸紅繊維(上海)が口を揃えるのは、原料の販売拡大だ。伊藤忠繊維貿易は2年前に15人だった原料のスタッフを現在は33人まで拡大。一部の現地スタッフを日本に派遣して、原料取引のノウハウを注入している。
丸紅繊維(上海)は「糸作りが強み」と自負するだけに、上海欣紅紡織を軸に現地工場40社以上を組織して糸作りを進めている。品番によってはカラーブック展開もスタートさせており、日系、現地ニッターなどへ販売する。
製品OEMでは中国のスポーツアパレル向けの競合が激しくなっている。「スポーツアパレルは日本の品質管理を重視し始めている」(上海住金物産)ことから、対日OEMで培った商社の生産管理能力が発揮できる分野とされ、各社アプローチを強めている。伊藤忠繊維貿易は、社内のデザイン室などのソフト機能を活用しながら、企画、提案を進める一方、上海住金物産も自社のCAD(コンピューターによる設計)センターを活用して、日本向けと同様の仕組みを構築している。同社は日系アパレル企業の内販サポートも重要と見て、中国市場のテーストに合わせた企画、提案も手がけられるデザイナーを採用した。
蝶理(上海)、日岩帝人商事(上海)はテキスタイルの内販から仕組みを作り始めている。「テキスタイルから製品に」という蝶理は、スポーツ分野を中心にオリジナル商材を武器にする。テキスタイルの販売先の中国企業を集めてファッショントレンドを解説するセミナーを実施するなど、関係構築に努めている。日岩帝人商事は今年からフロアを増床して内販専門の部署を設置した。これまでテキスタイルの内販が先行していたが、デザイナー、パタンナーを採用してスポーツカジュアル分野を軸にOEMを強化する。
各社の中国内販戦略は様々だが、販売先が中国企業ということで現地スタッフの育成、活用がかぎになると見ている。販売ノウハウの注入はもとより、製品OEMでは中国市場に合わせた企画、提案力の向上がポイントとなっている。そのため各社は相次いで中国人のデザイナー、パタンナーの採用を進めるなど、人材の拡充を急いでいる。
2005/07/06
経産省 「新日本様式」確立へ 「ブランド100選」を選出 産業や文化を融合
経済産業省は「新日本様式」(ネオ・ジャパネスク)の確立に向けて、3カ年計画で六つのキャンペーンと28の行動プログラムを実施する。服飾を含む「ブランド100選」「ニューリーダー20傑」を選出するほか、新日本様式の製品作りやフェスティバル、海外イベントを開く。
行動計画は、同省商務情報政策局に設置された「新日本様式・ブランド推進懇談会」がまとめた報告書で提言された。アジア諸国の競争力が高まり、日本のブランドの評価・魅力が相対的に下がる中で、ブランド価値の回復や産業と文化の融合・相乗発展をめざす。対象分野はファッションを含むすべての製品。
3カ年行動計画は官民共同で行う。主な行動計画は、推進団体である協議会の設立、新日本様式の商品・コンテンツ作り、ブランド管理のための評価システム作り、フェスティバルの開催、ブランド100選などの選出、在外公館や日本貿易振興機構(ジェトロ)などによる海外イベントの開催である。
製品作りでは「新日本様式の住空間と生活様式」をテーマとした建築や家具、テーブルウエア、服飾などを生産し、販促活動を行う。新日本様式の商品・コンテンツを開発・提供する中小企業に既存の予算も活用して支援する。
既存の商品、コンテンツを対象に、新日本様式にふさわしい商品・コンテンツを100選として選定し発表する。ロゴマークを設定し、偽物も排除する。表彰制度も創設する。
伝統工芸分野と産業技術分野の懸け橋となる、新しい価値を生み出す人材をニューリーダー20傑として登録・公表する。裾野の拡大のため、全国の伝統工芸職人・技術者1000人を「クラフト・マイスター」として選出する。
2005/07/02
パワーあふれる産学協同 フレックスジャパンと文化服装学院 企業 自由なアイデアから刺激 学生 プロの厳しさを体感
シャツメーカーのフレックスジャパンは、文化服装学院の学生と協業して紳士シャツ作りを進めている。同社の武井進ライブ事業部企画チーム責任者が2カ月間講師を務め最終プレゼンテーションまでこぎつけた。完成した作品は今月開催のIFF(インターナショナル・ファッション・フェア)のフレックスジャパンのブースに並ぶ予定だ。
歓声が響く
「ガハハハハ」「カッコいーっ」「すっごーい」と笑いや歓声が響く教室で最終プレゼンが行われた。作品はもちろん、プレゼン手法も個性豊か。コント風あり、テレビショッピング風寸劇あり、プロモーションビデオを流したり、飾らずシンプルに商品のディテールなどを紹介するところまでさまざまだ。
2年目の今回は完成度が高く、手直しすれば市場に出しても十分通用する作品が多かったとフレックス側、文化側とも口を揃える。
プレゼンに同席した松林一友取締役ライブ事業部責任者は「生徒さんにとって制約のある中で物作りをした今回の経験は、社会人になって役立つことを実感できると思う。改めて感性の高さも感じた」という。
13チーム(4人一組)に分かれ、テーマのジーンズに合う自由発想の2枚のシャツを作った。きちんと社会背景や市場動向を調べ、コンセプトやイメージターゲット、着用シーンなどを細かく設定するなど本格的だ。もちろん価格設定など若干甘い部分もあったが、それをカバーして余りあるパワーに満ちていた。女性の下着の付いた“のぞき見シャツ”やハードコアのライブに合うビッグシルエットのシャツ、折り畳みやすいように切り替えで表現したシャツ、パッケージを含め平和のメッセージを込めたシャツ、背中のファスナーを開けると立体的フリルが飛び出し、そのフリルが取り外せてバッグになるものなど面白いアイデアがいっぱいだ。
武井企画チーム責任者は「思いもかけない発想が企画スタッフへの刺激になるなど、当社にとってお金では測れない大きなものがある。それだけでなく、専門学校生への認知度も高まり、人材確保にも大きな力を発揮している」とこの産学協同の取り組みのメリットを強調する。
貴重な体験
派手さはないが、素材感や縫製などにこだわった作品も多かった。ボタンやダーツ、前立てなどすべてをデジタルプリントによる陰影だけで表現したものやハトモチーフの白い迷彩柄のシルクのシャツ、白いレース地にタック使いとストライプで海をイメージさせるもの、扇子をイメージした背のアクションプリーツと足袋の金具を利用したシャツなどがあった。
文化服装学院の鈴木憲道講師は「プロの厳しさを教えてもらっただけでなく、工場見学など貴重な体験は生徒たちの財産になる」と確かな手応えをつかんだようだ。
企業と学生が互いに刺激し合ってできたシャツが店頭に並ぶ日も近いだろう。
2005/06/24
女性正規雇用減少の改善を 経産省「男女共同参画に関する調査」
経済産業省の「男女共同参画に関する調査――女性人材活用と企業の経営戦略の変化に関する調査」によると、能力と意欲がある女性にチャンスが広がる一方で、高賃金の正社員女性が増え、非正規女性も増加する二極化が進んでいる。
女性正規雇用は予想勤続年数の不確実性が高く、潜在的コストへの負担感が大きいため、採用を抑制し、採用する場合も負担感に見合うだけの能力と努力を女性に要求せざる得なくなっている。
男女共同参画と少子化対策を同時に進めるには、出産・育児を行う労働者を雇用するコストを下げる仕組みを考える必要があり、労働者が育児休業中に利用した医療費の国の補填(ほてん)や、個人への直接補助などを組み合わせるべきとしている。
非正規雇用の雇用形態の多様化の半面、正規雇用の多様化が進まず、女性の正規雇用減につながっているため、女性労働者の勤続年数やキャリア志向の多様性に対応できるよう、個別管理や職種・処遇形態の多様化・柔軟化を進めることが必要と指摘している。
2005/06/20
【ファッションスクール】 総合アパレル志望高まる 来春卒業予定者の就職意識 デザイナーに次ぐ販売職 「オンワード」に就職したい 注目企業1位はワールド
繊研新聞社が全国のファッションスクールを対象に実施した学生の「就職意識調査アンケート」の結果が出た。56校、1968人(男性435人、女性1533人)から回答があった。就職希望者は全体の92%以上、独立や留学・進学などを希望する人は146人だった。
「活躍したい業種」では昨年2位だった総合アパレルメーカーがトップになった。婦人服アパレルメーカーは順位を下げ2位。3位のその他には、インナーウエアメーカーやスタイリストがあったほか、セレクトショップやDCブランド系を表の項目にあてはめずに記入したものがあった。美容関連や音楽映像製作など異業種の回答も少なくなかった。
「希望する職種」については、デザイナーが昨年に続いて1位に。前年3位だったファッションアドバイザー(販売職)が2位に上昇した。このためパタンナーが3位に下がった。バイヤー職は4位から6位に下がったが、将来バイヤーをめざす過程として、2位の販売職を希望した学生も少なくなさそうだ。
「会社を選ぶ際に重視すること」は前年と同じ順番となった。1位の「作っている商品・ブランド」への回答が59%(前年は49%)を占めた。
「会社選びで参考にするもの」は、「学校」と「ホームページ」の比率が高いが、昨年と比べて順位はそれぞれ入れ替わった。
就職を希望する企業では、オンワード樫山が昨年の3位から順位を上げてトップとなった。「企業理念に共感する」「将来性を感じる」などの声が多かった。
2位は昨年に引き続きサンエー・インターナショナルで、販売会社ワールドストアパートナーズを含むワールドが3位(前年6位)、「ツモリチサト」「ズッカ」のエイネット(前年1位)が4位に入った。5位はファイブフォックス(前年4位)。セレクトショップなど昨年トップ10入りしていなかった企業も浮上しており、トゥモローランドが6位、ユナイテッドアローズが9位になっている。
注目している企業のトップはワールド(前年5位)。「いろいろな業態があるので視野が広がる」との声があった。2位はエイネット(前年3位)で、昨年1位のサンエー・インターナショナルは3位だった。「時代に合わせて変化しており、今後も成長し続けそう」との理由で、ファーストリテイリングは昨年のトップ10外から4位に浮上。トゥモローランドは就職したい企業に引き続きトップ10入りして7位、フランドルも8位に入った。
就職を希望する企業、注目している企業ともに名前の挙がった社数が昨年より増えており、学生の意識対象が分散していることが分かる。
2005/06/18
知的資産経営など重点 経産省「新産業創造戦略05」 地域再生は具体化
経済産業省の産業構造審議会新成長政策部会がまとめた「新産業創造戦略05」によると、コンテンツなど戦略7分野や地域再生の具体化に加え、高度部材・基盤産業の支援、人材・技術の蓄積・進化、知的資産重視の経営促進の三つを重点施策として実施する。
高度部材・基盤産業の支援では、05年度中に高度部材産業の蓄積と「匠の中小企業」を強化するプログラムを作成。人材・技術の蓄積・進化では、ものづくり分野・戦略分野における専門職大学院の設置や人材・研究開発・IT(情報技術)の投資促進税制に取り組む。知的資産重視の経営では知的資産経営開示指針を策定する。
地域再生では、商標法改正法案成立後に新制度の下で地域ブランドの確立を支援する。05年度予算で地域ブランド関連施策に88億6000万円を計上。クラスター形成戦略も策定。産業クラスターのネットワーク形成支援に20億円、事業化支援に46億円を計上している。
戦略分野のコンテンツでは流通拡大に向け、共通基盤の整備と法制度整備を検討。アジアのコンテンツ取引市場の活性化をめざし、今年10月の東京国際映画祭でアジアコンテンツ産業セミナーを開く。
横断的重点政策として今年8月に総理大臣表彰「ものづくり日本大賞」を実施。不正競争防止法改正で営業秘密の保護と不正な流出の防止徹底、偽ブランド品やコピー商品の販売にかかわる処罰規定を強化している。
2005/06/18
ファッションスクール 進む産学協同 授業内容、さまざまに広がる イベントより協業型
ファッション系スクールが産学協同の取り組みを広げている。社会に出る前に現場の実務の一部を体験できるなど学生のメリットは大きい。企業側は20歳前後の若者からの刺激に期待する。取り組みを通じ優秀な人材を発掘できる点も魅力だ。新卒採用への期待も有力校との協同を後押ししている。
販促の授業も
エスモード・ジャポンは、産学協同の充実を05年度の重点方針に掲げた。「企業から与えられるテーマに基づくデザイン発想と展開」の授業を今年から大幅に増やす。昨年はユニバーサルファッション協会とユージヤマダデザインオフィスとの取り組みだったが、「今年はトゥモローランド、オンワード樫山、ミナ、若林ケイジにも課題を出していただく」。
モード学園は、長期インターンシップ(就業体験)と並行して企業との協業型授業「ケース・スタディ」を拡充している。特に東京モード学園でのフランドルの授業では、既存ブランドへのデザイン出しとともに新会社の立ち上げや新ブランド企画立案も指導テーマに組み入れた。このほか、サンエー・インターナショナルのマーケティング、古着小売りのデイトナインターナショナルの店舗デザイン、ヤナセのノベルティーグッズデザイン、エスティーローダーの販促企画などの授業もある。各社とも、優れたアイデアは吸収しようという姿勢だ。
大阪の上田安子服飾専門学校、大阪文化服装学院、マロニエファッションデザイン専門学校は、瀧定大阪がアパレル業界の企画・技術職育成を狙って今年5月末に設立したテキスタイルデポ(森口由紀夫社長)と協業する。3校の学生から作品を募り、優秀作をファッションショーで披露する。手法自体はベーシックだが、テキスタイル企業が新人クリエーターの育成にここまで踏み込むのは珍しい。同社が8月に開く東京・恵比寿の路面のショールームには卒業生を含めた優秀作品を展示するコーナーを設ける。テキスタイルデポは「アパレルメーカーの人材育成を支援する新ビジネスにつなげたい」。学校側も「普段扱えない多様な素材が使える」(上田安子服飾専門学校)、「商品化も期待する」(大阪文化服装学院)と話す。文部科学省委託研究授業「先進的教育開発事業」に出願中だ。
開発のヒントに
杉野服飾大学は、02年から今治タオル産地の活性化事業に参加している。当初はイベント色が強かったが、学生によるバーチャルカンパニーと企業がパートナーを組んでブランド開発や売り場の提案を積み重ねてきた結果、東京での合同展の内容も変化してきた。
文化服装学院は今年度、シャツメーカーのフレックスジャパンの「シャツ講座」、デサントの「2005アリーナ・クリエーション」、東京・中央区の問屋街活性化に向けた協業などに取り組んでいる。企業・団体からの打診が年々増え、窓口となる教務一課では対応に追われる時期もある。それだけに「学院の方針を丁寧に説明し、イベント性だけを求めるものは避けている」。
この流れで、従来の教育手法を革新する企画も舞い込むようになった。フレックスジャパンとの協業はその一つ。メンズコースの担当教員は「協同の授業を通じ、プロの作業工程と私たちが教えていたこととの微妙なズレを確認できたことは大きい」と話す。フレックス側も「企画スタッフへの刺激、商品開発のヒントなど効果は多大」としている。
2005/06/10
人事・教育担当の懇話会を再開 IFIビジネス・スクール
IFI(ファッション産業人材育成機構)ビジネス・スクールは、ファッション関連企業の人事・教育担当者で構成する「人材マネジメント懇話会」を再開する。同スクールに受講生派遣の実績がある35社に案内を送付した。
懇話会の目的は、IFIの人材育成の考え方と実態の企業側への発信と人材管理手法や人事制度の勉強。98年から3年間に計12回開いたが、人材開発を巡る環境が様変わりし、「担当同士が意見交換できる場」を望む声が増えたため、再開するもの。
第1回はリンク&モチベーションをゲストに7月8日に開く予定。
2005/06/09
「拡大」が32ポイント低下 ジェトロ、対中ビジネス調査 生産縮小6%、事業拡大過半
ジェトロ(日本貿易振興機構)が発表した「日本企業の対中国ビジネス展開に関する緊急アンケート調査」によると、反日デモによる買い控え、日本製品のイメージダウンや労使関係の悪化を懸念する企業が多く、「既存ビジネスの拡充、新規ビジネスを検討」の回答が87%(04年12月時点)から、55%(05年5月時点)に32ポイント低下した。
中国での事業活動に現在「影響が出ている」企業は9・7%(40社)だが、05年度中に「影響が出ることを懸念」する企業は36・5%(151社)あった。「現時点で影響はなく、今後も影響はない」とみる企業は53・4%。現時点で「影響が出ている」と回答した企業のうち6割が「買い控え」による販売減を指摘している。
現在と今後、懸念される反日デモの影響は「買い控えによる販売減」が19・1%、「日本製品のイメージダウン」が16・4%、「労使関係の悪化」が9・7%、「工場の一時停止などの生産活動への影響」が8・5%、「人材確保の困難化」が8%。
中国に生産拠点を構築している企業は「労使関係の悪化」が15・1%、「人材確保の困難化」を12・2%が懸念している。「対中国投資案件の延期あるいは中止」は7・5%(31社)に及び、「中国既存の生産拠点の縮小もしくは第三国への移管」も5・6%(23社)ある。
04年12月時点から05年5月時点にかけて「既存ビジネスの縮小・撤退を検討している」企業も0・2%から4・1%に微増し、反日デモを契機に対中ビジネスの拡大マインドの冷え込みも予想できる。
一方で「既存のビジネス規模を維持する」が13・3%から39・4%に上昇、事業規模拡大を図る企業も依然として半数を超えている。同調査は5月に行った。有効回答数は414社。
2005/06/09
〈告知板〉 IFIビジネス・スクールへの社員派遣費用を助成
東京・墨田区は05年度から、区内ファッション関連企業の人材育成を支援する。これら企業が受託生産中心の従来の業態から転換するため、IFI(ファッション産業人材育成機構)ビジネス・スクールのプロフェッショナルコース、マネジメントコースに社員を派遣する場合、一人当たり受講料の2分の1以内、上限15万円を助成する。区内在住者も支援する。問い合わせは同区地域振興部産業経済課、電話03・5608・6188。
2005/06/10
人事・教育担当の懇話会を再開 IFIビジネス・スクール
IFI(ファッション産業人材育成機構)ビジネス・スクールは、ファッション関連企業の人事・教育担当者で構成する「人材マネジメント懇話会」を再開する。同スクールに受講生派遣の実績がある35社に案内を送付した。
懇話会の目的は、IFIの人材育成の考え方と実態の企業側への発信と人材管理手法や人事制度の勉強。98年から3年間に計12回開いたが、人材開発を巡る環境が様変わりし、「担当同士が意見交換できる場」を望む声が増えたため、再開するもの。
第1回はリンク&モチベーションをゲストに7月8日に開く予定。
2005/06/08
IFIキャリア・ガイダンス・フォーラム
IFI(ファッション産業人材育成機構)ビジネス・スクールは7~8月上旬、「キャリア・ガイダンス・フォーラム」を開く。キャリアアップをめざす若い女性とキャリア人材の開発に取り組む管理職向け。受講者同士の交流を重視するため7月13、21、28日、8月4日の全4回通しの参加制。税込み受講料は2万1000円。講師は尾原蓉子IFIビジネス・スクール学長、デザイナーの花井幸子さん、島田京子日産自動車グローバル広報IR本部・企業の社会的責任部門アドバイザー、池原照恵東武百貨店池袋本店顧客サービス部専門部長。問い合わせは同スクール、電話03・5610・5701。
2005/06/08
経産省 05年度産学連携製造中核人材育成事業 繊維はFDCを採択 11社3大学参加 3年後の自立化めざす
経済産業省が7日に発表した「05年度産学連携製造中核人材育成事業」公募の選定結果によると、繊維産業では一宮地場産業ファッションデザインセンター(FDC、谷一夫理事長)が中核教育機関となって実施する「繊維産業製造中核人材育成プロジェクト」が採択された。事業費総額は約22億1000万円の予定で、約30プロジェクトを採択した。製造現場の中核人材育成・強化に向けて、必要な知識・スキルの体系化、教育プログラムの開発など新たな人材育成システムを構築する。
繊維業界で唯一採択されたのがFDCが管理法人となり産学連携コンソーシアムで推進する同プロジェクトだ。
尾州産地での産学連携により、素材の複合化技術や高度な製造技術を使って差別化・高付加価値製品を企画、製造できる繊維産業の人材育成プログラムを開発する。05、06年度の委託事業で、2年間の成果を元に07年度から自立化事業として取り組む計画。
協力するのは民間企業11社、3大学、1公設試験場、FDC匠ネットワーク。民間企業は紡績・撚糸工程が日本毛織一宮工場、東和毛織、滝善、企画・製織工程が中外国島、大成毛織、染色・整理工程が長大、一陽染工、艶金興業、ソトー、みづほ興業、岡川縫製。大学は多摩美術大、岐阜大、名古屋工業大。公設試験場は愛知県産業技術研究所尾張繊維技術センター。FDC匠ネットワークは繊維製造技術者20人で構成する任意団体。
紡績・撚糸から製織、染色・整理、縫製に分断されている製造工程を超え、多段階の技術や知識を組み合わせ、素材の複合化などに取り組む人材を養成する。座学では各製造工程の知識、既存技術、製造現場でのインターンシップで複合化などを修得する。
FDCは全体の統括、スキル標準の調査・全体的なプログラム開発の方向性の検討、教材・プログラム開発、実証講義、教材・プログラムの評価・改善、実践型インターンシップの実施を行う。協力企業11社はケーススタディーの題材を提供し、工場長クラスを担当講師に、素材複合化などの技術修得に向けインターンシップを受け入れる。自社で保有する各工程に関する技術・ノウハウも提供する。大学ではプログラムマネージャーとしてのプログラム開発、企業ヒアリング実施、実践技術科や自立マスター科のテキスト・教材の作成、実証講義講師を派遣する。尾張繊維技術センターは各製造工程の実習現場、技術の提供、実践技術科や自立マスター科の実習講師を派遣、FDC匠ネットワークは各製造工程技術の提供、実践技術科や自立マスター科の講師を派遣する。受講者の対象は紡績業、撚糸製造業、織物業、染色整理業などの企業に所属し、10~15年程度の製造経験年数を持つ30歳代の15人。
2005/05/30
アパレルメーカー、方針転換 デザイナー、パタンナー採用 新卒を拡大 中途市場で人材不足 企画力強化へじっくり育成
アパレルメーカーがデザイナー、パタンナーの新卒採用に再度、力を入れ始めた。アパレル業界では90年代半ば以降、企画・技術系職種の採用を即戦力が期待できる経験者優先にしてきた。業界全体の新人育成機能を担っていた大手・中堅企業が数年にわたり新卒採用を絞り込んだ結果、人材が枯渇した。採用増は、業界を挙げてこの状況を変えようとする動きだ。独自性を強めるには自社の企画力の強化が欠かせないという視点から、デザイン業務の外部委託への反省も見られる。
ここ数年、新卒を採っていなかったワールドの方針転換が採用戦線の変化の象徴例となっている。同社は今年度、企画職で15人を採用した。来年も20人程度の採用を見込む。「業界内で若手の経験者が少なくなった」というのが大きな理由だ。新卒市場でも優秀な人材を巡り競合が激化するとして、産学協同事業やインターンシップに本腰を入れる。
オンワード樫山は今年度、パタンナーの新卒採用を前年の9人から15人に増やした。「新卒採用の門戸を閉ざしたことはないが、若手の育成をもっと強めなければいけない」と人材開発課の鈴木聡課長。「中途人材市場で当社に適した人を見つけるのは至難のわざ。日々痛感している」。06年春の採用も今年並みを予定している。
サンエー・インターナショナルは「クリエーションは当社の生命線。社内にデザインソフトがあるから企業の独自性が出せる」と、デザイン業務を外部委託する流れにクギを刺す。新卒採用の重視は当然で「採用の門戸を閉ざしたことはない。ブランドが年を取らない環境を作るうえで不可欠」としている。ただ、03~05年度のデザイナー新卒採用は4人、3人、1人の推移。厳選採用の結果だが、「これでは足りない」。06年度はデザイナーで5人の採用を目標に掲げる。
人員体制の見直しで今年度だけ新卒採用を見送った三陽商会も来年度は採用を再開する。「デザイン業務をすべて社内でこなす時代ではないが、産学連携で新卒育成の課題にきちんと対応したい」。
中小アパレルも企画・技術職の新卒採用への関心を高めている。文化服装学院就職指導室の増田恵一さんは「求人企業の裾野の広がりを実感している。中小企業の社長から『新卒のデザイナーの採り方を教えてほしい』といった相談もある」と語る。自社に適した経験者が中途市場で見つからないことによる駆け込み型が少なくないため、「すぐに見切らず、数年かけてじっくり育てて」と呼びかけている。
学校にはファッション性を向上させたい異業種からの問い合わせも増えた。文化服装学院にはここ数年、スポーツ系メーカーからの求人が目立つという。最近はパソコン用バッグメーカーの訪問を受けた。エスモード・ジャポンも「異業種や国内製造業との協業で行き先は確実に広がった」としている。この傾向についてある学校関係者は「“ファッション=服”ではなくなってきた。アパレル業界に魅力がなければ優秀なデザイナーは他業界に流失するのではないか」と警鐘を鳴らす。
2005/05/17
コンテンツ分野で専門職大学院を 産構審
経済産業省の産業構造審議会第1回新成長政策部会で検討された「新産業創造戦略05」案は、ものづくりやコンテンツ分野での専門職大学院の設置促進を提示している。
同案は、三つの重点施策として、(1)高度部材・基盤産業への施策重点化(2)人材・技術などの蓄積・進化(3)知的資産重視の「経営」の促進――を挙げ、人材育成策の一つに専門職大学院の設置は提案している。従来の大学院講座にはなかったコンテンツやロボットなどにかかわる人材の大学院で、社会人教育を主体に、教授も産業界から採用する予定。
コンテンツ産業の市場規模は03年の12兆8000億円から10年には15兆円に拡大する見通し。日本をアジア全体のコンテンツ製作・流通のハブとする「ソフトパワー」戦略の実現をめざしている。
2005/05/09
持続的成長の戦略を学ぶ IFIの05年度エグゼクティブコース カイハラなどの事例から
ファッション産業人材育成機構(IFI)ビジネススクールが7月1~3日、御殿場の経団連ゲストハウスで開く05年度エグゼクティブコースの内容が決まった。経営者クラスを対象に定員は50人。受講料は32万円(消費税込み)。
講師は、竹内弘高・一橋大学大学院国際企業戦略研究科科長、石倉洋子・同教授、藤本隆宏・東京大学大学院経済学研究科教授。企業の持続可能な成長とグローバル競争での競争優位の確立に不可欠な課題として、(1)日本のもの作りの強みを生かす「擦り合わせ型」設計思想の構築(2)ソフトビジネスのマネジメントとクリエーティブ集団のひと作り(3)企業の再生とコーポレートガバナンスをテーマに取り上げ、これらを企業文化へと高めていくために「ミッション」(使命)、「ビジョン」(到達目標)、「バリュー」(価値観)の三つを明確にしていくことの重要性を学ぶ。
このうち、藤本氏の講座ではトヨタ自動車の組織能力の強さを検証し、擦り合わせ型の考え方がファッションビジネス企業にどう適用できるかを考える。また、業界における擦り合わせ型企業の事例としてカイハラを取り上げる。
石倉氏の講座は劇団四季のケースから顧客の感動や人材育成のあり方などを学び、竹内氏の講座では米ノードストロームのケースを通じて企業再生とコーポレートガバナンスなどの問題について考える。
問い合わせは、IFIビジネススクール、電話03・5610・5701。
2005/05/02
魅力あるファッションの創造は国家戦略 政府・知的財産戦略本部コンテンツ専門調査会日本ブランドWG報告書
政府の知的財産戦略本部コンテンツ専門調査会が設置した日本ブランド・ワーキンググループはこのほど、最終報告書「日本ブランド戦略の推進」をまとめた。「魅力ある日本を世界に発信」するために三つの目標と12の提言を行った。05年度初めに予定されている「知的財産推進計画05」策定に反映される。情報発信では政府一体で戦略的に日本のイメージづくりに取り組む。
素材ビジネスとデザイナーの連携推進
ファッションに関する提言の一つは「デザイナーに対し、ビジネス機会を提供し、素材との連携により魅力あるファッションを生み出す」こと。
産業界はデザイナーと素材の発展につながる両者の協業を進め、高付加価値な日本ブランド創出に努める。企業や大学は産学連携を通じた素材技術の革新的向上を図る。国は個々の素材ビジネスがデザイナーのクリエーションの受け皿となる工房としての機能を高めるよう支援するとしている。
取り組みの例として、伊勢丹本店の「解放区」での新進デザイナー発信の機会創出、ルミネ・ザ・カルチェラでの新興ショップ育成の取り組み、文化服装学院と東京・馬喰町や横山町問屋街、あるいはスポーツメーカーとの産学連携でのインターンシップや共同研究開発の取り組み、名古屋大学と地元毛織会社や絞り製造業者との産学連携での「伝統的ものづくりに環境配慮型新染色技術を用いた開発」、広島大学医学部と信州大学医学部、ニット生地製造会社との産学連携での「アレルゲン抗体分解物質を付着した下着の開発」などを指摘している。
貢献者に対する表彰や勲章
ファッションに関する提言の二つ目は、「大学や産業界はデザイナー及びデザイナーのパートナーとなる人材を発掘・育成する」こと。
学校や社会は子どもの頃から美的な感性を磨く機会を充実する。大学は関係業界の動向に留意しながら学部、専門職大学院の設置を検討し、民間の機関は産地の特徴を生かしたカリキュラムを作成することによって、デザイナー、ビジネスマネジメント人材やデザイン創作活動を支える人材の育成を充実する。産業界は才能ある者の発掘・育成を行う。産業界や国は日本のファッションの発展に貢献した者に光を当てる、と提案している。外国人に対しても表彰や叙勲などを行うことが日本ブランドの確立・強化に有効である。
取り組みの例では、目白デザイン専門学校の都内の小学生を対象とした洋服やバッグ、アクセサリーの試作や工場見学、百貨店での販売などの体験学習の実施がある。05年4月からは金沢美術工芸大学大学院ファッションデザインコースや神戸ファッション造形大学ファッション造形学部が開設される。青山学院大学では「感性ビジネス―ファッション産業のフロンティア」講座を開設している。
ファッションビジネスに貢献した者に対する海外の賞を日本人が受賞した例では、レジオン・ドヌール(仏芸術文化)勲章は森英恵、高田賢三、三宅一生、仏プレタポルテ協会の表彰は小野塚秋良、伊アルテ・エ・モーダ賞では山本耀司、川久保玲氏ら。
在外公館率先で発信を強める
ファッションに関する提言の三つ目は、「在外公館やジェトロ(日本貿易振興機構)の広報及びビジネス支援を通じ、内外の目を日本のファッションに向ける」こと。
産業界は国内外における展示会の開催で、日本のファッションビジネスに対する内外のバイヤーやジャーナリストの関心を高める工夫をする。国も在外公館が率先して催し物の場所の提供や相手国政府への仲介などによって民間を支援する。在外公館や国際空港での日本ブランドの発信も推進する。
取り組みの例として、新人デザイナー荒木節子の支援のためのニュークリエーター合同展「アンビアンス」の開催、日本ファッション協会の海外デザイナービジネス支援や「インターナショナル・ファッション・フェア」(IFF)での新進クリエーターゾーンの設置、ジェトロの「ジャパン・ファッションフェア・イン・上海」や「インターテキスタイル上海」の主催、「国民文化祭・ふくおか04」での福岡市のファッションフェスティバルの実施、東京国立博物館での休館日や閉館後の施設を活用したファッションショー、新製品発表会の企業向け貸し出し、国土交通省のコシノ・ジュンコ氏によるファッションショーを織り交ぜたパリ、ベルリンでのレセプション開催を挙げている。
諸外国の在外公館の協力では、駐日英国大使館での「アクアスキュータム記念ショー」の実施、在日フランス大使館でのジャンポール・ゴルチエ氏と日本企業の合弁会社設立レセプションの開催などがある。
地域ブランドの取得へ法改正
ファッションに関する提言の四つ目は、「不正競争防止法を改正し模倣品・海賊版対策を強化するとともに、新たな観点からのブランド保護のあり方を検討する」こと。
商品の内部及び外部に結合した模様、色彩、光沢及び質感を明確にする不正競争防止法改正案が05年通常国会に提出された。
地域ブランドに関する提言では「地域ブランドの保護制度を整備する」「地方自治体と産地が一体となって効果的に情報発信する」「生産者、観光業者、大学の連携により地域ブランドづくりに戦略的に取り組む」ことなどが提案された。国や地方自治体では産地ぐるみの推進体制や法制度の整備を行う必要がある。
法制度では、生産者が「地域名プラス商品(役務)名」のみからなる地域ブランドの商標権を取得できるように商標法を改正する。商標法改正法案は05年通常国会に提出された。
地方自治体と産地一体の情報発信の例では、新潟県や今治市のニット製品やタオル製品の東京都心でのショップ開設がある。戦略的連携の例では、一宮商工会議所が産地毛織物業者、デザイナー、大学、パリの企画会社との連携によって高級素材開発やパリ展示会を開催し、尾州ブランドの確立に取り組んでいる。福岡県の広川町商工会も日本人デザイナーと久留米絣製造業者の協力を得て、久留米絣を利用したジーンズや洋品を開発し、ニューヨークやパリへ発信する事業を展開している。
人材育成、海外発展、連携が課題
知的財産戦略本部コンテンツ専門調査会は、コンテンツビジネスの振興と日本ブランドの確立に向けた今後の課題について(1)人材育成(2)海外展開の推進(3)関係分野の連携の三つを指摘している。
人材育成では、クリエーターやクリエーターをサポートする人材・マネジメント人材の能力向上が重要。大学の学部・学科や専門職大学院の設置など自主的な取り組みを促進するともに、人材育成機関と業界の連携を強化し、実践的な人材育成を行うための取り組みの検討が必要である。
エンターテインメントコンテンツや、食、地域ブランド、ファッションの業界の積極的な海外展開に向けて、政府は文化交流事業や在外公館、ジェトロ、国際空港を活用した日本の魅力の戦略的な発信を行う必要がある。具体的な取り組みを検討すべきである。
日本が世界から愛され尊敬される国となるためには文化力を向上し、日本ブランドを確立することが重要である。コンテンツ、食、地域ブランド、ファッション、観光、農業政策、文化外交などが相互に連携を図るための戦略的な取り組みが必要で、その具体化が求められている。
相互連携では別図のように各種調査会・WG・本部・会議・懇談会の取り組みを一体化させて、知的財産推進計画05に反映させる。
2005/04/30
広がる「モードフィッター」 IFI、専門学校が講座開設
フィッティングとピンワーク、補正の新しい技術を持つ「モードフィッター」への関心が高まっている。
この技術はアトリエロングハウスの長屋恵美子代表が提唱している。伊勢丹の販売員向け講座に加え、今年度からIFI(ファッション産業人材育成機構)などでも講座が開設された。長屋代表のモードフィッターズ学院のセミナーも5月から始まる。
伊勢丹の場合はグループの総合人材サービス企業、キャリアデザインが開催している百貨店プロセールス資格制度フィッティングアドバイザー2級指定講座。婦人服、紳士服それぞれで販売員を対象に実施している。
IFIはビジネススクールの特別プログラムで、販売員を主な対象にした社会人向けコースとして4月、3回の講座を開いている。このほか、ハリウッドファッションビジネスインスティテュートはファッション学科の学生を対象に毎週金曜に2時限、年間45時間の講義が始まった。2年間で修了する。文化服装学院はオープンカレッジで春期4回、秋期4回の講座が行われ、受講者は特定していない。
モードフィッターズ学院の5月のセミナーは16日と30日に行い、当面は月2~3回のセミナーでモードフィッターの啓蒙(けいもう)を進め、秋からは本格講座を開設する方針。将来は「資格制度化したい」(長屋代表)考えで、すでにモードフィッターズ協会も設置している。
2005/04/27
JMA新入社員意識調査 現実は指示待ちサラリーマン 理想は専門能力発揮
日本能率協会(JMA)の調査によると、今年度の新入社員が描く将来の理想像は、「専門能力発揮型」サラリーマンが半数近くを占めた。しかし現実に担うであろう役割では「専門能力発揮」は10ポイント以上減り、「指示待ち型」が20ポイント以上増える回答となった。現実を見る目がリアルともいえるが、理想と現実のギャップを乗り越えていく覇気を育てることが新入社員育成のカギかも知れない。
JMAが新入社員向け公開教育セミナーで行った調査では、将来の理想としては「専門能力を伸ばし活躍の場を求める人」が47・8%と多かった。次いで、「バイタリティーあるマネジャー」が17・7%だった。
しかし、現実は「指示された仕事をきちんとこなしている人」という人が、理想より21・6ポイントも増え27・2%となった。現実でも「専門能力」は、36・0%と一番多いが、11・8ポイント減っている。また上司から良心に反する仕事を指示されたら「行う」と「恐らく行う」が64・6%に上る。
一方、就職活動に臨み「気に入った会社や仕事より就職することを最優先した」人が70・3%を占めた(昨年度64・4%)。厳しい就職戦線をくぐった少し気弱なリアル新入社員の姿が見えてくる。
2005/04/21
中小機構 04年度繊維の生産・在庫研究 22日から調査開始
経済産業省の繊維人材育成研究会の検討結果を踏まえて中小企業基盤整備機構(中小機構)が実施を決めた04年度「繊維の生産・在庫管理のあり方の調査研究」事業が22日から始まる。7月初めまでの約2カ月半に合計7企業で実施し、調査結果は実証事例として報告書にまとめ公表する。
実施企業は大和染工磐田工場(静岡県磐田市)、シオタニ多久工場(佐賀県多久市)、中龍(福井県福井市)、北陸エステアール協同組合物流センター(富山県南砺市)、ノシロ合繊川北(石川県能美群)、フクシマ・フロンティア・ヒグチ(福島県伊達群川俣町)、近藤繊維工業(愛媛県今治市)。
実施企業はPEC産業教育センター(岐阜市、山田日登志代表)の現場指導を受け、製造工程の改善内容をレポートにまとめる。同センターはトヨタ生産方式を活用した製造現場の改善指導で実績がある。
同事業は「製造工程が多段階に分断され、リスク分散のため、各段階で多大な在庫を抱えている状況」を改善し、新繊維ビジョンで指摘している「生産や流通のロスを大幅に削減し、最適な生産・在庫管理」を実現するのが目的。現場指導は各実施企業の実情に合わせて行う。繊維行政が製造現場での生産・在庫管理の改善事業を実施するのも、同センターが繊維産業の現場を指導するのも、ともに初めて。同事業は計画が遅れ、年度を越えて実施される。
2005/04/18
経産省が人材ニーズ調査 中小など約4割未充足
経済産業省が発表した04年度「人材ニーズ調査」によると、人材ニーズが拡大する一方で、中小企業を中心に約4割が未充足に終わっている“ミスマッチ”の現状が明らかになった。求職者側の「社会人としての基礎力」の不十分さや、企業側の採用プロセス・手法に課題がある。
04年の中途採用市場での人材ニーズは675万人で、5年前の調査時から14%増加している。一方、募集された求人248万人のうち雇用が実現したのは150万人で、充足率は60%。中途採用市場の人材ニーズの85・7%が50人未満の中小企業で発生している。雇用形態別では、正社員のニーズが56・2%から46・6%へ低下、業務委託は7・5%から10・8%へ伸びている。
ミスマッチの要因の6割以上は個人の実力・資質。企業が最も重視しているのは社会人としての基礎力で71・8%を占める。
従業員50人以上の企業の充足率がほぼ100%に対して、50人以下では53・4%。全体の3分の2の企業が採用面接を1回しか行っていない。
採用成功要因には「必要な人材像の明確化」(30・9%)や「適切な募集方法の選択」(28・3%)があり、採用手法に改善の余地がある。
調査は全国30万社を対象に99年と同様の手法で実施された。
2005/04/18
技術革新のハブ機能強化 産総研
経済産業省の施策を推進する中核的研究開発機関である産業技術総合研究所(産総研)は、今月からの第2期5カ年研究戦略で、技術革新のハブ機能を強化する。
イノベーションハブ戦略は研究成果を活用して技術革新を先導するための方策で、技術革新の要素となる人、モノ、情報を産総研をハブとして流通させる。具体的には技術情報の収集・分析能力の強化と産業技術行政への活用、人材交流を伴う産学連携の推進、知財創出などに取り組む。研究テーマでは6分野・170の重点課題を採択した。このうち新規の割合は約20%。
2005/04/16
〈告知板〉 社会人研修所開講
学校法人上田学園は7月から、企業の幹部や店長、インストラクター候補を対象に、トータルファッション総合研修所(TOFMAC)を上田安子服飾専門学校内に開講する。店舗運営からMD、マーケティングまで専門的かつ総合的な視野を養い、社内で指導力を発揮できる人材を育成する。1コースは3カ月、12回の講義で費用は24万円。問い合わせはTOFMAC事務局、電話06・6371・2022。
2005/04/12
ファッション業界向けマルチメディア教材 JTCCとIFIが作成
日本繊維技術士センター(JTCC)とファッション産業人材育成機構(IFI)は、繊維・ファッション産業向けに基礎教育用マルチメディア教材を作成、両団体主催の講座などで活用する。
教材はインストラクター用教本(400ページ)、受講者用教本(302ページ)、マルチメディア教材(864コマ)の3種類で、衣服概要、衣服と商品企画、原料繊維、糸、布、染色加工、縫製など10章で構成している。執筆者はJTCC会員の繊維技術士18人。マルチメディア教材には素材メーカーなどの協力で繊維の顕微鏡写真や分析図、グラフ、さらに生産現場の動画などを多くとり入れている。
4月からIFIの基幹コース、JTCCの企業への出張講座などで活用するが、教材は「時間的制約で、まだ未完成」としており、今後、生地サンプルを揃えたり、アニメ画像などを導入していく。さらに、マルチメディア学習システムで先鞭(せんべん)をつけている英国・リーズ大学の教材を活用するなど内容を充実させる。これには、費用もかかるため行政、繊維団体や企業などにも協力を要請する意向だ。JTCCでは将来、個人学習用のマルチメディア教材も作成する考えで「繊維・ファッション産業の人材育成に役立てたい」としている。
2005/04/12
西日本リテールカレッジが開校 プロめざし62人が入学
ファッションを中心にしたプロ販売員を養成する西日本リテールカレッジ(加瀬巌学長=元井筒屋専務)が北九州市に誕生した。6日の開校式、入学式には一期生62人、父兄、井筒屋関係者が出席、加瀬学長は「広い視野で大いに学び、卒業後に開かれる明るいビジネスの世界に向けて夢と希望を持って羽ばたこう」とあいさつした。
カレッジは井筒屋の創業70周年記念事業の一つとして開設した。教室での専門教育と井筒屋の売り場を使った実践教育で即戦力となる人材を育てる。また、約200社の協賛企業(井筒屋の取引先)と連携で卒業後の就職を確約している。
コースはリテールセールス学科(2年制)とリテールマスター学科(1年制)で、年間900時間以上の授業を行う。在学中に販売士検定、小売業計数能力検定、ファッションコーディネイト色彩能力検定など資格の取得をめざす。開校式には名誉学長の馬場彰氏(日本ファッション協会理事長)がビデオメッセージを寄せ、「懸命に勉強し、人々に感動を与えられる人になって下さい」と激励した。
2005/04/09
店プラス人も募集 渋谷109第2回チャレンジショップ 資金ないプロデューサー支援
渋谷109を運営する東急商業開発は18日から、第2回となる「109ステージ」の募集を始める。一種のチャレンジショップで、選抜されると好条件で1年間出店し、優秀と判断されれば継続出店できる。新人発掘と育成を目的に昨年、5店を公募したが、今回は3店。店舗2店に加え、さらに直営ショップで働くプロデューサー・マネジャーを公募することにした。
企画、デザイン、仕入れなど店舗運営全般にたけている20~40歳の経験者を若干、東急商業開発の契約社員として採用する。採用後は、他の2店と並んで立ち上げる同社直営ショップの運営に携わる。
敷金や賃料は低いものの、運転資金などの問題があって、資金力が乏しい個人は応募しづらかった。こうした問題を解消して、有能な人材を発掘しようと考案した。契約期間は1年だが、結果次第で更新できるのも、条件は店舗と同じだ。
昨年、82件の応募から選ばれた5店は、5月末で契約を終了するが、中の「ギルフィー」だけが再契約することになった。話題性が先行して、他の4店は採算的に厳しかったが、「最初で1店でも残れたことには、満足している」(堤寛司執行役員)という。
応募締め切りは5月10日。新ショップオープンは9月9日を予定している。
応募要項は、渋谷109のホームページに11日から掲載される。
2005/04/09
福井など5県追加 経産省ジョブカフェ事業
経済産業省は05年度のジョブカフェ事業のモデル地域に福井、宮城、新潟、茨城、大分の5県を追加した。ジョブカフェは若者の能力向上と就職促進を図るためのワンストップサービスセンター。
同事業は04年度から15府県で実施されており、05年度の政府予算額は67億5000万円。
福井県では繊維、眼鏡などの地元産地組合との連携・協力体制を構築し、地場産業に結び付いた人材育成に取り組む。新潟県でも地元産業界と専門学校の連携による人材育成で雇用回復に取り組む。
2005/04/04
若者の就職支援カフェを開設 パソナキャリアアセット
人材サービスの大手パソナグループのパソナキャリアアセット(東京)は4月から、若者の就職活動を支援する「パソナ20(ニーゼロ)ワークスカフェ」を東京と大阪で同時に開設した。
20代に平日の夜5時半~8時半に開設する。カフェに、求人・就職関連情報を提供するパソコンを置き、職業適性診断などのカウンセリングなどのサービスも提供する。無料。
期間は6月末までの予定だが、要望が多ければ延長する。 場所は東京・大手町の東京本社内と、大阪・梅田の大阪本社内。
2005/03/12
中国人研修生受け入れ本格化 関西アパレル事業協組
大阪府、兵庫県の中小縫製メーカーが人材確保、共同事業の推進などを目的に結成した関西アパレル事業協同組合(事務局尼崎市、寺尾政己代表理事)は、中国人研修生受け入れを本格化する一方、組合メンバー企業間の相互受注を始めた。
同組合は昨年4月、布帛縫製メーカーのテラオエフ(尼崎市)寺尾政己常務らが呼び掛け、7月に結成した。従業員10~50人規模の布帛、カットソーなどの縫製メーカーで立ち上げたが、近く15社になる予定。
中国人研修生は上海に分室を持つ人材送り出し機関のファルコンインターナショナル(大阪市)と契約した。同組合は昨年12月から研修生の受け入れを始めたが、今年から本格化している。
2005/03/09
【ファッションスクール】 留学で開く世界への扉 感性、技術の両面伸ばす
国際競争力を課題とする日本のファッションビジネス業界は、世界で活躍できる資質を持った若きクリエーターの台頭を待ち望んでいる。学生たちも「プロになるには、感性、技術の両面を伸ばすうえで留学は効果的」との自覚を高めており、厳しい経済環境がブレーキとなっているものの、学生の関心は着実に高まっている。
エスモード・ジャポン留学科 ランジェリー、舞台衣装…… 日本にない課程に人気
国際的なファッション教育機関、エスモード・インターナショナルの日本校は毎年、東京校、大阪校合わせて約60人の学生をパリの本校に送っている。初級からファッションを学ぶ人を対象とする総合科と併設して、本校へ進学する専門コース、留学科があるのが、国内の他の服飾系専門学校と違う。留学科は人気が高く、東京校では定員の32人はすぐに埋まってしまう。このため総合科に所属しながら留学科のセミナーに参加する人もあるほどだ。
初めの1年間でファッションの基礎知識と技術を学んだ後、2年次の5~9月に仏語研修を中心に約3カ月の入学準備授業をパリで受ける。そして、9月にパリ本校へ入学し、2年間学ぶという仕組みだ。
1年次の仏語授業は週1回で、専門用語の学習に重点を置いているため、語学の本格的学習はパリで始まる。「上達できるか不安」という相談は多いが、必要に迫られての学習は予想以上に効果を上げ、半年後には大抵の学生が仏語の日常会話力を身につける。
学生にとって魅力は、ランジェリー、子供服、舞台衣装、ニット、プレタポルテ、ヌーベルクチュール、マーケティング、ファッションビジネスに分かれる専門課程だ。なかでも、日本にはないランジェリーや舞台衣装のコースが人気という。現地ではパリ・コレクションや世界から個性的なブランドが集まる有名な合同展も身近な存在だ。単に見に行くだけでなく、出会いのチャンスもいっぱいある。パリでの交流をきっかけに、日本の有名デザイナーズブランドに入れた学生もいる。
パリ本校で学ぶ学生の60%は外国人。世界中から集まるさまざまな個性との交流は学生に大きな影響を与える。
4年生になると、学費を後見人的な現地企業が負担する制度もある。5、6年前から始まったもので、企業の仕事の流れを身につけたり、卒業後の進路を見極める効果がある。
現地企業への就職は、外国人の雇用にかかる税金の事情から厳しい。したがって、卒業後は語学学校などに通いながら働くか、帰国して就職することになる。しかし、日本の新卒採用サイクルとずれるため、就職活動に苦労する人が少なくない。同校では、現地から日常的に日本の企業と連絡を取り合うなどの努力を呼びかけている。
文化学園国際交流センター 海外スクールの情報集める相談窓口に
文化学園国際交流センターは02年7月に開設された。日本への留学生を受け入れる窓口であるとともに、海外のファッションスクールの情報センターとなっている。同校の学生、卒業生を中心に年に約70人の留学相談がある。家庭の経済事情の悪化で断念する学生も目立ってきたが、その数は増える傾にある。
同センターによると、海外の学校の活動は年々強まっている。英国の国立大学は5、6年前から日本で学校説明会を開き、とくに美術・服飾分野での留学生獲得に力を入れている。「(入学は)ポートフォリオで判断するので、受け入れられやすい」(同センター)。また、FIT(ニューヨーク州立ファッション工科大学)では、ティファニーがスポンサーとなり、日本人を対象にしたジュエリーデザインの研修生募集が05年1月から始まっている。
いずれも英語力が、TOEFL(英語を母国語としない人向けの能力テスト)500~550点以上が最低条件だが、これをクリアすれば、従来よりも学習の場は海外に大きく広がる。「FIT、セントラル・セント・マーティンズ芸術大学(英)、ポリモーダ(伊)といった有名校以外にも、たくさんの学校がある。目的と条件に合った学校を見つけて下さい」と、同センターの担当者。
同センターは、海外から多数の学校案内を取り寄せ、文化学園の学生、卒業生向けに有力21校の概要を、留学の具体的準備に関する解説付きで小冊子「04~05年、海外留学のしおり」(ファッション・デザインコース)を発行している。
2005/03/01
第一線業界人向け、キャリアアップのための講座 短期で本格的に知識と技術習得 コースの充実、新設へ 増える社会人、学生の受講者
キャリアアップ、スキルアップのために──。仕事や就職に役立つ技術や知識を身に着けようと、服飾系専門学校などの“キャリアスクール”を受講する社会人や大学・短大生が徐々に増えている。学校側もこうした状況に対応して、コース内容の充実したり、コースを新設する動きが強まっている。各校にある社会人や大学、短大卒業者向けコースなどの概要や特徴を紹介する。
店プロデュース
「ショップの販売員向けの社員教育をお願いしたい」――ある企業の要望をきっかけに3年前に開講したのが、大阪文化服装学院の「OBFCキャリアスクール」である。パターンメーキング、ソーイング、ファッションデザイン、AFT色彩能力検定対策など12コースがあり、各コースを単科で受講できるのが特徴だ。平日の夜間や土曜に3カ月~1年間学ぶ。受講者の約7割は社会人が占めており、技術の向上を目的に、パターンメーキングやソーイングコースを受ける人が最も多い。
なお、05年度からショッププロデュースコースを全9回から25回(8カ月)に拡充した。「もう少し学びたい」とのニーズが根強いためだ。販売職で店長をめざしている人、大学、短大生でファッション業界への就職希望者などが対象。自分の店を持ち、大手アパレル企業などで社員研修も担当している講師が、マーチャンダイジング、計数管理、VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)、販売促進策など店マネジメントをトータルに教える。
検定試験に合格
阪神ファッション工芸専門学校のパターンメーキングオープンスクールは05年度で3年目になる。CAD(コンピューターによる設計)を使ったパターンメーキングに力を入れている。1回2時間全24回コースで、受講開始は随時。受講期間も融通が利く。週1回のほか、週3~4回と短期集中的に学ぶこともできる。04年度の受講者のうち、日本ファッション教育振興協会のパターンメーキング技術検定3級試験の受験者全員が合格した。2級合格者もいる。
エスモード・ジャポン大阪校は、平面裁断を学んだ人を対象に、週1回(土曜日)6カ月間の新コース、エスモード・ゼミ初級を4月からスタートする。立体裁断を中心にしながら、立体と平面裁断の理論を実践的に学び、造形デザインの感覚を磨く。また、初心者を対象にした夜間総合コース1(1年間)を立ち上げた。これまでのスティリズム、モデリズムの各夜間専攻を統合し、双方をバランス良く学ぶようにした。同コースの修了者には、スティリズム、モデリズムを専門に学ぶ上級コースを用意している。
素材の基礎を知る
「尾州・テキスタイル・カレッジ」(愛知県一宮市)は、テキスタイル企画と生産ノウハウを次代を担う人材に伝承することを目的に、02年4月開講した。原料や糸、織物・編物の基礎知識とともに、織りや編み、染色を体感する3日間の短期集中講座だ。年複数回、開催しており、04年度は131人が受講した。内訳はアパレルメーカー26・7%、商社・コンバーター21・4%、百貨店・小売業30・7%などとなっている。開講以来、延べ390人が受講している。このほか、カシミヤ講座や新入社員向け基礎講座など、企業の要望に合わせた特別カレッジも随時開設している。
カスタマイズも
マロニエファッションデザイン専門学校(大阪)は、大学・短大生や卒業生、社会人などを対象とする夜間コースや速修コースに加えて、4月からプロフェッショナルコースを開始する。同コースは「ファッション業界のすべての業種におけるOJT(現場教育)をサポート」する企業向けのフレキシブルカリキュラム制のコースだ。
ニット品番の強化や、単品専業メーカーの総合化に伴うテーラードジャケットパターンメーキングの習得、営業職やMD職の知識と技能の向上など、各企業の目的に合わせてカリキュラムを組み立てる。180分授業5回を基本としているが、習得目的に応じて期間は調整する。
2年間で学ぶ
一方で、専門学校、大学、短大卒業者を対象に、2年間じっくりと学ぶクリエーターコースもある。上田安子服飾専門学校(大阪)のファッションクリエイターアドバンスコースや東洋ファッションデザイン専門学校のファッションエクセレントコース、東洋きもの専門学校のきものエクセレントコースなどがそれだ。
服飾系専門学校(専門課程)では、デザイナー、パタンナーなどクリエーター育成コースは通常3年間かかる。それを基礎知識や理論については、「素早く理解できることを前提」に凝縮し、パターンメーキングやデザイン展開など実技に力点を置いた内容で、2年間昼間部で学ぶものだ。家政系短大卒だけでなく、理工学科や建築学科の卒業生など“異業種”からファッション業界への転身を希望する入学生も少なくない。
2005/03/01
IFIビジネス・スクール 知的な交流の広がりが楽しみ 異業種の集いで新発見も
IFI(ファッション産業人材育成機構)ビジネス・スクールは、ファッションビジネスにかかわる人のキャリアアップのために、産業界が共同で設立した実学スクールだ。キャリアレベルごとに配置した基幹の4コースと、短期の特別プログラムがある。このうち特別プログラムは、05年度前期から「商品知識」「マーケティング・マーチャンダイジング」「キャリア」の3分野に整理した。いずれの講座も3、4回の授業で構成し、受講しやすくしている。
ネットワーク作り
IFIビジネス・スクールの大川知子さんは、同スクールについて「業界の先端を走る先輩が後輩のために多忙な時間を割いて来てくれる点が素晴らしい。世界でも特異な学校だと思います」と話す。強調するのは、業種・業界を超えた知的なネットワーク作りの側面。「企業からの派遣生中心のイメージがまだ強いですが、自己投資で個人で受講する人が年々増えています。友人の輪が広がるので日常ではなかなか気付かないことを発見できる点が魅力のようですね」と語る。
同スクールが今、力を入れているのが、多彩になった特別プログラムのアピールだ。「本格的なキャリアアップ学習はまだちょっと、という人でも気軽に参加してほしい」と大川さん。
「シーズン企画立案のためのディレクション」や、今期から新設した「モードフィッター」(既製服の試着やお直しの基本を学習)、「ニットの商品知識」など、仕事にすぐ役立つ講座が中心だが、尾原蓉子学長が各界で活躍する女性を招いて開く「キャリア・ガイダンス・フォーラム」や“食”や“住空間”など異業種の視点に刺激を受ける「ライフスタイルの新しいステージ」(講師は中村貞裕トランジット代表ほか)も好評を得ている。
生活全般を演出
服だけのアプローチから生活全般を総合的に演出する方向にファッションビジネスの基盤が移る中で、業界の際を超える発想がますます重要になっている。業界内外を問わず、新たな出会いを求めて受講するケースが年々増えているという。
「ライフスタイルの講座では、ビール、不動産、菓子といった異業種からの受講もありました。ファッション業界人との交流も期待しているようです。これらの方々の問題意識を知ることは何かを始めるきっかけになるかもしれません」(大川さん)。
◇
IFIビジネス・スクールへの問い合わせは、電話03・5610・5701。活動状況はホームページ上(http://www.ifi.or.jp/school)で公開している。
2005/02/08
名古屋地区14社が合同就職説明会
名古屋の繊維・ファッション関連企業14社で構成する「NAFSプロジェクト21」が、06年春の大卒予定者を対象とした合同説明会「ファッションビジネスセミナー」が7日から8日までの日程で始まった。2日間で1500人の来場を見込む。14社合計の採用予定人数は今春並みの270~280人。各社とも「人数よりも人材の質を重視したい」と、前向きで、やる気があり、自分で考えて行動できる人材を選ぶという。各社のブースには採用担当者に加え、若手社員も説明に立ち、他産業に比べ広い裁量権を持ち、幅広い仕事を任せてくれる繊維・ファッション業界の面白さを学生に訴えた。
2005/01/27
【ファッションスクール・ほうかご】 良い会社、見抜く力を
年末、新卒採用動向を調べるアンケートの設問の相談で都内のある労働基準監督署を訪問したら、監督官の一人から逆に質問を受けた。「アパレル業界に勤務する方の駆け込み相談が、最近、顕著に増えています。法律違反が横行していると感じ、この業界に絞って緊急アンケートを取り始めました。内容を見ていただけませんか」と。
設問は(1)労働時間の管理があいまいではないか(2)時間外労働・休日労働に対し割増し賃金が支払われているか――などを問う簡単なものだが、その結果は効率経営徹底の影響が職場でどのように表れるのかを知る上で格好の資料になる。分析を加えた報告書の出るのが待ち遠しい。
優秀な人材を遠ざけるような労働環境は業界全体にとって結局損になるのだが、目の前の利益確保のためには手段を選ばない雰囲気が広がっているとしたら恐ろしい。雇用期間が2カ月以上であれば、会社は社会保険に加入させなくてはならないこと、一方的な解雇やサービス残業の禁止、といった当然の権利に対する無知につけこんでいる側面もあるのではないか。
もちろん、業界には労働者が安心して働ける環境作りで頑張っている企業もある。表向きのイメージだけにとらわれず、良い会社を見抜く力を学生のうちからつけてほしい。学校はこのテーマで特別授業を開設してもいいのではないか。(吾)
2005/01/25
【人材ビジネス】 販売スタッフの紹介事業 教育・研修で〝商品力〟高める 全国展開で規模拡大と「少数精鋭」に二極化
ファッションビジネスにおいて、販売職の果たす役割の大きさは誰もが認めるところだが、実際、それに見合う評価と待遇は与えられているだろうか。結論的にいうと、人材ビジネス全体は大きな広がりをみせているが、こと販売職に関する限り、人材紹介事業は試練の時期に入っている。販売員を迎え入れるメーカーや売り場側と、送り出す側の人材派遣、人材紹介の業界が、率直な意見交換を行う必要があるのではないだろうか。販売職を中心に、人材ビジネスの現状と課題について考えてみた。
派遣業界から参入
「今、われわれは大きな飛躍の時期を迎えている」――こう意気込むのは、人材派遣業界の側である。昨年3月から「改正労働者派遣法」が施行され、人材派遣企業が販売職を扱う自由度が高まった。「紹介予定派遣」で契約社員や正社員への道も開けてきたため、今、人材派遣業界から人材紹介業界への参入が急増している。販売職の雇用期間も従来の1年から3年までに延長され、「派遣=短期労働」というイメージも解消されつつある。
雇用の流動化を促すための、政府の度重なる規制緩和の後押しもあって、今、販売職の派遣、紹介事業は、従来の業界の枠を超え、揺れ動いている。
百貨店ファッション売り場の販売員の約8割は、社員以外とされる。その中心をなすのは、人材派遣、人材紹介企業を通じて勤務する「販売スタッフ」、いわゆる「マネキン」と呼ばれる人たちである。
このマネキン、れっきとした法律に基づく職業であることを忘れてはならない。「職業安定法」により、宣伝・販売の技術、技能を必要とする職業に指定されている。マネキンの定義は「専門的な商品知識及び宣伝技能を有し、店頭、展示会等において相対する顧客の購買意欲をそそり、販売の促進に資するために各種商品の説明、実演等の宣伝業務を行うもの」とある。つまり、「販売のプロフェッショナル」がマネキンである。
メーカー、売り場側が自社の社員ではなく、外部に販売職を求めるのは、本来、こうしたプロフェッショナル性が基本となるはずだが、最近は売り場の人件費削減の徹底や、SPA(製造小売業)型の拡大による、大手アパレルを中心とした、自社契約社員による売り場管理の進行が、販売スタッフの立場を微妙にしている。
懸念されるのは、販売スタッフを希望する登録者の減少であり、そこから来る販売スタッフのレベルダウン。その背景には、営業時間の延長など、女性が働くには厳しい問題が依然改善されていないこと、今の若い女性のニーズに合わないクライアント側の要望とのミスマッチや「年齢の壁」などがある。これらがクリアされず、仕事の中身の割には待遇も良くないとの意識が一般化し、販売スタッフのモチベーションにまで影響を来しているという指摘が人材紹介企業では多い。
独自の「認定書」
こうしたなか、販売スタッフを主力に手掛ける人材紹介企業は、どのような戦略を打ち出しているのか。
まず、ファッションビジネスの販売スタッフ紹介で「業界最大手」とされるパーソナルは、拠点数の拡大による全国ネット化と、「認定書」を授与する独自の「接客販売・スキルアップ・トレーニング」(SST)で成長を続けている。「きもののマネキン」からスタートし、今は「総合人材ビジネス」を展開しており、テレビコマーシャルも行っている。
拠点の拡大は、主に外資系企業の多店舗化で、全国的に販売スタッフが必要となったのがきっかけだった。現在は、東京駅前を本店に、銀座、新宿、渋谷、池袋、首都圏の横浜、立川、柏、大阪の梅田、心斎橋、さらに京都、神戸、グループ化したパーソナル札幌など21拠点、130人の従業員を擁している。
SSTは、例えば2日間12時間のベーシックコースの場合、「接客マナー(挨拶(あいさつ)、接客話法)」「販売実務(カード、金券の取り扱い、金銭授受)」「アプローチとクロージング」「販売総合1(接客技術、話法の応用)」「販売総合2(商品知識、セールストーク)」「総合(クレームの受け方と処理)」の6段階(ステップ)があり、それぞれチェッカーが判断して上に進み、修了テスト合格者に認定書を授与する仕組み。メーカーの契約社員など、外部企業への研修も行っている。
百貨店系の人材紹介企業も、自社の枠内から出ようとしている。
プロネットは「三越100%出資の人材会社として培ったノウハウで、トータルな人材サービスを提供したい」と、とくにソリューション型のサービスに力を入れている。その一つが「接客サービス調査」。三越グループで実施してきた調査(基本接客調査、接客対応力調査)を、広く一般向けに提供しようというもので、「第三者による調査のため、客観性・公平性が保たれ、改善点が現場に受け入れられやすいメリットがある」という。
教育・研修メニューは「接客・接遇」「ビジネスマナー」「クレーム対応」「電話対応」「販売力アップ」などのほか、官公庁・一般企業向けに「新入社員ビジネススキル」「新規顧客開拓スキルアップ」「進物の知識とラッピング」、大学・短大・専門学校向けに「就職対策セミナー」などを実施している。販売スタッフの紹介は、東急ハンズやロフトなどで実現しており、今後は三越の戦略平場の請負も視野に入れている。
人材派遣業界からの参入により、「価格破壊」が懸念される販売スタッフの人材ビジネス。マネキン系各社は「販売職とはいえ、さまざまな売り場や立場があり、一人の置かれた状況を十分に理解した上での、スタッフへのアドバイスには自信がある」(ジョビア)、「営業スタッフすべてがアパレル、ファッション業界出身者のため、単なる人材供給ではなく、内容を理解しての人選に力を入れる」など、共通して教育・研修に力を注ぐ一方、小規模企業は「スタッフの悩みに親身になって相談に乗る」など「面倒みの良さ」もセールスポイントにしている。
ファッションビジネスのクライアントのなかには「派遣と紹介の区別がつかない人もいる」といわれるほど、実態が知られていない販売スタッフの世界。「定着率が高くなるような環境づくりと、未経験者の教育や就労機会の創出」を目標に、ファッションにかかわる全業界が知恵を絞り、人気の高い職種にできないものか。
2005/01/14
人材ビジネス コンサルティング力磨き存在感を増すFB紹介業 雇用形態の多様化が追い風 紹介予定派遣、請負も拡大
派遣と紹介を柱とした人材ビジネスが急拡大している。「好みと適性に合った職業を選んで豊かな人生を送る『選職社会』の実現を」と提言したのは、99年版の「国民生活白書」(経済企画庁=当時)。以来、「就社」から「就職」へという働く側の意識の変化と、正社員、常用社員にとらわれない新しい雇用体制の構築や、スペシャリストを求める企業側の流れ、さらには両者のニーズを踏まえた労働関係の法改正などを追い風に、今や2兆円を超す一大市場を形成している。ファッションビジネス向けを中心とした人材紹介業の現状と新しい動きを見てみよう。
規制緩和と法改正が後押し
ヘッドハンティングを含む人材紹介ビジネスは1926年、ニューヨーク・ウォール街の株式大暴落を引き金とした大恐慌から始まったとされる。米国企業は大規模なリストラを余儀なくされたが、その一方で、会社を立て直すために優秀な人材を求めた。以後、必ずしも企業は雇用を保証してくれるものではないという考えや、転職することがキャリアアップにつながるという意識が働く側に広がり、求職と転職側の仲立ち役として人材ビジネスが欧米で確立した。今の日本の経済情勢と新しい雇用態勢の流れから見れば、人材紹介ビジネスが日本でもさらに広がっていくことは容易に想像できる。
その後押しをしているのが、規制緩和と法改正。人材派遣企業からすると、より柔軟かつ機動的に派遣サービスの提供が可能となり、派遣にとどまらず人材紹介やアウトソーシングなど周辺分野の事業がやりやすくなった。とくに最近は、粗利益率の高い人材紹介ビジネスへの人材派遣企業からの参入が急増しているが、逆に「ホワイトカラー」を対象としてきた人材紹介企業や、これまで販売職にとどまっていたマネキン紹介企業が、派遣を含め、サービスの範囲を広げる動きも目立つ。派遣と紹介企業の垣根が低くなったことにより、自治体や学校、大手流通業、商社、経営コンサルタントのほか、販売経験者の起業など、幅広い分野からの参入が続いている。
拡大と同時に競争が激化する人材紹介業界にあって、各社はどのような特徴を打ち出そうとしているのか。
デザイナーを販売職に
デザイナーの紹介を中心とするファッションスタッフ(堀川磯雄社長)と、百貨店メンズ売り場へ販売スタッフなどを紹介、派遣するイッツ・スタッフ(大塚イツ社長)が提携し、ファッション・スタッフに申し込んできた中高年世代をイッツ・スタッフが再教育し、主に販売スタッフとして送り出す。両社とも「デザイナーも40歳以上になると、(デザイナーとしての)求人はほとんど来ない。しかし、持っている商品知識は豊富だ。接客技術を訓練すれば、優秀な販売スタッフになれる。違う器(職種)で輝きを取り戻させたい」と期待を寄せている。
ファッション・スタッフは87年の創業で、デザイナーの紹介では草分け的な存在。6000人の登録者を有し、今は販売スタッフ、パタンナー、営業職、マーチャンダイザー、経営幹部などの紹介も行い、最近ではOEM(相手先ブランドによる生産)の広がりに伴い、「生産管理」の求人が増えているという。
「自分のキャリアと能力を客観的に評価してもらわないと、適切な転職はできない。今すぐに転職するかは別にしても、第三者にアドバイスしてもらうことは重要で、そのお手伝いを私ども人材紹介業がしたい」と菅原厚部長。デザイナーの場合、従来は口コミで転職するケースが圧倒的に多く、ミスマッチが多かった。これに対し、「紹介業は求人企業の情報にも精通しており、私どもは登録者の適性を見極め、納得していただく仕事を紹介するため、ファッション業界に精通したプロのコーディネーターが、時には5時間くらい話し合うことがある」(同)。
アットホームに信頼関係築く
イッツ・スタッフは、人材紹介、人材派遣のほか、請負業務、研修事業も行っている。社員は3人と少ないが、いずれもアパレルの販売経験者。「数では勝負しない。アットホームな人材会社として、販売スタッフとの信頼関係を築いていきたい」と大塚社長。伊勢丹や丸井のメンズ売り場でトップクラスの売り上げを達成した20代の男性販売スタッフや、メンズ雑誌のモデルを務めるスタッフもいる。
請負事業は、面接および新人研修、イベントの企画・運営、ホームページの作成、給与計算代行など。研修事業は、ベーシックコースとして、新卒・第2新卒を対象に(1)社会人・企業人としての心構え(2)ビジネスマナー(3)ビジネストーク(4)電話応対マナー(5)職場内コミュニケーション(6)スキルチェックなど、オプショナルコースとして(1)販売実務(2)パソコン(3)独立支援(4)メンタルヘルス、エキスパートコースとして(1)ファッション(2)店舗運営・管理などを、それぞれ専属コンサルタントやトレーナー、委託による講師陣が教える。
携帯電話で登録受け付け
デジタル家電業界の営業支援アウトソーシング業として株式公開したバックスグループを親会社に待つスマート(中畑裕子社長)は、ファッション業界向けIT(情報技術)企業のアパレルウェブ(千金楽健司社長)と提携し、アパレルウェブのサイト「アパレルジョブ」を使って、携帯電話による登録を受け付けている。
「今の若い方は携帯電話からの登録を好む」(中畑社長)と見て、登録作業が簡単にできる「登録フォーム」を用意。登録者には希望に応じて、求人情報にとどまらず、業界のニュースやファッショントレンドなどを掲載したメールマガジン(編集発信はアパレルウェブ)を送っている。
高校新卒者を紹介予定派遣
規制緩和により、派遣就業終了後に職業紹介することを予定して派遣する「紹介予定派遣」も一般化してきた。派遣から正社員への道が開かれるもので、雇用のミスマッチが防げる新しい就業スタイルとして注目されている。
前身の横浜マネキン紹介所から45年の歴史を持つジョビア(吉備カヨ社長)は、販売スタッフとして高校新卒者の紹介予定派遣を実施している。
同社は横浜を拠点に東京にも進出し、販売スタッフの紹介と派遣を行っているが、「販売スタッフのスキルアップのためには、新卒者から育てたい」と、昨年からハローワークを経由して高校新卒者の紹介予定派遣を始めた。昨年は30人だったが、「今のところ定着率は良く」(吉備社長)、今年は事務職も含め100人に増やす計画だ。「派遣に比べ、紹介による販売職は、販売のことを熟知している。しかし、一人ひとりは厳しい環境に置かれており、当社としては、抱えている問題や悩みに、言葉だけではなく、具体的に応えていきたい」と吉備社長。とくに小売業では、営業時間が延びたことにより、販売スタッフにかかる負担が増大し、優秀な人材の確保とモチベーションの維持に影響が出ていると見ている。「販売職が将来に希望が持てる職種の一つとして、今まで以上に販売の大切さを認知していただけるよう、メーカー、小売業、人材業界の、腹を割った話し合いに期待している」(同)。
ソリューション型紹介ビジネス
「97年に一般の派遣からスタートしたが、競争を考えると大手には勝てない。解散も考えたが、3年半前にアパレルに特化し、紹介業として再スタートした」と話すのは、ビーム(坂井晴夫社長)の島崎淳取締役。島崎氏は大手アパレルメーカーの出身(1)人材採用コンサルテーション(2)人材育成・開発コンサルテーション(3)組織・人事システムコンサルテーション(4)ビジネスマッチングコンサルテーション――の四つを柱に、ソリューション型の紹介ビジネスを展開。経営コンサルタント、弁護士、公認会計士、ベンチャーキャピタル、社会保険労務士、クリエーター、デザイン企画会社、生産管理会社、ブレス会社など幅広い分野のスペシャリストを「サポーター」に、きめ細かなサービスを提供している。
繊維業界出身者できめ細かく対応
人材紹介業として規模の大きいのは、クリーデンス(鎌田和彦社長)、東レ・エージェンシー(林静社長)、アイ・エフ・シー(中川邦彦社長)など。三井物産系のクリーデンスは、三井物産の繊維部門や、関係するアパレル企業と連携しながら、常に400社以上の求人先クライアントと約7500人の登録者を保有している。求人案件のデザイナー、パタンナー、生産管理、マーチャンダイザーが6割で、「最近はOEMがらみの生産管理担当が増えている」(安田俊雄取締役)。「質と量でナンバーワンになりたい。友人・知人の紹介による登録が25%ということは、当社の信頼の高さを示していると思う」(同)。個人保護法への対応を含め、「社内のクオリティーを引き上げていきたい」(同)。
東レ・エージェンシーの人材紹介は、従業員の多くがアパレル出身者であるほか、東レグループを背景に、海外関連に強いのも特徴。今後は(1)労働流動化への即応体制(2)グローバリゼーション対応(3)一人ひとりの選択肢の対応――などに取り組む。
住金物産系のアイ・エフ・シーは、派遣50%、紹介45%、紹介予定5%の事業構成。「主要スタッフ全員が繊維業界出身者で、企業、求職者双方のニーズにきめ細かく対応できる」ことを特徴にしているが、今後は「FA(ファッション・アドバイザー)の紹介と、ホームページの活用による募集の強化」に重点を置く。
現地企業と組み中国で派遣事業
「優良企業300社とネットワークを作り、繊維業界出身者の人材コーディネーターが求職者に専門的かつきめ細かなアドバイスを行っている」というのは、大阪と東京を拠点とする人材紹介業、MORIパーソナル・クリエイツ(森貞雄社長)。4月からは販売職の紹介予定派遣と、中国での人材派遣ライセンス取得企業とのコラボレーションにより、中国での販売職の派遣事業を行う計画だ。
厳しい経済環境も踏まえ、新しい雇用システムを作ろうとする企業側と、終身雇用にとらわれず、「就社」から「就職」へ動く求人ニーズの変化、さらにこれらを後押しする政府の施策などによって、人材紹介業の役割はますます大きくなっていくと考えられるが、「人材紹介業を介して転職する人は1割にも満たない」(クリーデンス)という状況は、むしろ、人材紹介業の可能性を示す数字といえそうだ。
2005/01/08
服飾系専門校 産学連携で改革急ピッチ 新入生獲得競争も激化
18歳人口の減少とアパレル産業の不振が服飾系専門学校を直撃している。各校は大学全入時代となっても専門性を発揮すれば生き残れる、とみて業界のニーズに応える取り組みに必死だ。淘汰(とうた)される中小校が出る一方、大手校では時代対応の改革が顕著になった。バンタンは大阪に進出、モード学園は国内最大級の校舎で存在感を示す。文化服装学院は新カリキュラムの策定に入った。いずれも産学連携の強化がベースになっている。
今年、創立40周年のバンタンデザイン研究所は、4月に大阪校を立ち上げる。4月中下旬にはグループを挙げて、東京と大阪でファッション、映像、デザインの各業界への人材輩出の実績をアピールする記念イベントを打つ。
バンタングループは従来は東京・恵比寿一拠点主義を採っていたが、04年春のバンタンキャリアスクール名古屋校の開校を皮切りに全国展開に入った。保護者の収入減で上京できない若者の増加に対応するもので、菊池健藏バンタン社長は「大阪校は第2の拠点。3年後には東京と同等の規模にする」という。
事業多角化が目立つが、「ファッション教育を担うバンタンデザイン研究所はあくまでもグループの中軸」(菊池社長)。業界・企業の課題を授業に取り込む実学教育をさらに徹底する一方で「他校に比べ独立起業志向の学生が多い」(同)特徴を前面に押し出す。若いうちに独立起業した卒業生を支援する無料配布情報誌「ナナティヴィ」の発行も昨年から始めた。
モード学園は昨年、2010年までに東京、名古屋、大阪でファッション系、IT(情報技術)系、医療・福祉系の3分野の教育事業を確立する構想を明らかにした。昨年12月には名古屋駅前に三井不動産と共同で36階建ての高層ビル建設を発表し、施設拡充路線を印象づけた。東京でも施設の拡大が予想される。
服飾系教育の充実では“ケース・スタディ”と呼ぶ特定の企業の協力で運営する特別授業と、三カ月に及ぶ長期インターンシップ(就労体験)を柱に産学協同の教育体制を整備した。モード学園は、転職や再就職したい卒業生を援助する「15年間就職保証制度」に加えて、企業側の人事担当者と連携し卒業生の再教育を実施する仕組みを検討中だ。企業にとっては自社員のフォローアップ教育の負担を軽減できるメリットがある。東京モード学園の青木稔校長は「ライバルに勝つためには細かい学生指導が欠かせない」と語る。
文化服装学院は「06年度の入学生をどう迎えるかが転換点」とし、日本のファッションビジネスの変化に対応する学校作りを本格化する。昨年5月、大沼淳学院長を座長に発足した「未来検討会議」がその中心になる。服装専門課程を「服飾専門課程」「ファッション工科専門課程」「ファッション流通専門課程」の三つに改組した78年以来の全面見直しに取りかかる。05年は中国ビジネスの拡大など業界の最新の動きをとらえた教育整備の正念場の年になる。
2005/01/01
日本人の現地採用 職種、パイともに広がる 営業系のニーズも増加
“上海で働く”日本人が急増していると盛んに言われるようになった。かつては企業の駐在員や中国で結婚した人など一部の人にとどまっていたが、今は留学生から現地採用といったケースも増えてきた。上海を歩くと目立つのは20~30代の日本人。とくに日本でバブルを経験していない若者が、夢を求めて海を渡っている。
「雇う側も、雇われる側も増えている」と日本人の現地採用の事情を分析するのは、人材紹介のパヒューマ上海の松村扶美シニアマネージャー。
パヒューマ上海のデータによると、01年9月~02年8月の期間に235人だったパヒューマアジアグループの日本人向け求人件数(中国本土分)は、02年9月から03年8月には467人とほぼ倍増。パヒューマ上海に登録する日本人登録者も年々増えている。
背景には、中国に進出する日系企業が増えたことや、急速な中国業務の拡大に伴う人材不足、コストの高い駐在員をなるべく少なくして、比較的コストメリットのある現地採用を求める、といった事情もあるようだ。
雇用される側から見ると、経済成長を続ける中国、上海が魅力的に映ること、日本人が多く住み、日本食スーパー、日本料理が点在する上海は住みやすいということで、「上海で働きたい」と現地採用を望む人材が増えている。職種で見ると、中国企業は日本人技術者の採用を希望するため、「技術を持った人は仕事が見つかりやすい」。一方、外資企業は単なる生産から内販重視へとシフトしており、語学の堪能な若手を中心に、営業系の人材を増やす傾向が出てきている。
忘れてはいけないのは、現地採用ならではの悩みもあるということだ。中国人スタッフよりも給与水準は高いが、駐在員との格差が著しい。加えて、いずれは日本に戻る駐在員と違って、社内での将来性を見いだしにくいといった面も否定できない。「駐在員よりも仕事ができるのに」と思うと、やる気がそがれてしまうことになる。駐在員と現地スタッフとのはざ間で苦しむことも多く、精神的な強さも求められる。松村さんによると、現地採用の前に心がけておくことは(1)語学(2)中国の事情、バッググラウンドの理解(3)グローバル企業が多いので英語ができること、という。
いくつかのマイナス面はあるが、日本人の現地採用にとって、職種の広がり、企業数の拡大などフォローの風が吹いていることは間違いない。