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「繊研新聞」掲載記事からネット関連記事の一部を掲載します。文頭の日付は掲載日です。

2006年8月の連載 「風が吹く 価値を生み出すネット空間」

2006/08/28
風が吹く 価値を生み出すネット空間‐1 本気 “参入したもの勝ち” 拡大する未知の市場 機能加え、次のステージへ
 ルミネ、伊勢丹、阪急百貨店、イトキン、ジュン、ビームス、バルス…。7月13日、サマンサタバサジャパンリミテッドの子会社、ダブルダブリューバイサマンサタバサが運営するネット上の街「ダブルダブリューシティ&コミュニケーションズ」(WWシティ、http://www.wwcity.co.jp/)の会見が開かれた六本木ヒルズの会場にはそうそうたるメンバーが顔を揃えた。「ネット上に街を作るという、今までとは違う可能性に共鳴した」と参加者。Eコマースという成長・拡大中の市場に、コミュニケーションやエンターテインメントといった新しい機能が付加され、ネット通販はさらに新しい段階に入った。
競合を超えて
 WWシティの会見には商業施設、百貨店、アパレル、ショップが競合を超えて参加。8月20日からのテストにはソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズや日本航空インターナショナルなど、ファッションビジネス業界以外からも加わっている。また、街作りや商品の見せ方など一連のシステムを独自の3D(立体)技術を持つヤッパ(www.yappa.co.jp/)が担当。街を歩いたり、店に入ったり、フェースアウトで陳列された商品を見たり、探したりできる。現在、主流のカタログ風の見せ方とは明らかに異なる。サマンサタバサ社長の寺田和正は「ネット通販がレジャー化するのを黙って見逃せない」と言う。ネット上に広がる新マーケットの可能性を、独特のビジネスセンスで市場を開拓してきた寺田の触覚が、反応してしまったのだろう。寺田は自ら、各社にプレゼンに回ったという。
人が動く
 ネット空間が新しい価値を作り始めたことに一部の人たちが気づき始めている。「大手も含めてようやく本気になってきた」とは「ガールズウォーカー」(http://pc.girlswalker.com/)を運営するゼイヴェルのMDディビジョンプロデューサー、椋林裕貴。これまで提案しても、乗り気にならなかった大手アパレルも「在庫処分的な感覚から、本気で売ろう、と相談が増えている」という。椋林は本気度のもう一つの側面として「人が動いている」と指摘する。当の本人もプランタン銀座の元バイヤーだ。
 言葉通り、人材面の変化は顕著だ。例えば、ネット通販のスタートトゥデイ。今期売上高を2倍以上の100億円とするネット上のファッションタウン「ゾゾタウン」(ZOZOTOWN、http://zozo.jp/)を運営する。これまでネット事業、ファッション業界の未経験者を採用してきたが、今後の成長を狙ってさまざまな専門的な経験を持つ人材を採用し始めた。また、ネット通販売り上げが計画の1・6倍で推移するユナイテッドアローズ(UA)は8月、EC(Eコマース)ビジネス部を新設した。UA社長の岩城哲哉は「市場が急拡大している。乗り遅れるわけには行かない。しっかりやれば、こんなものではないだろう。ある意味、やったもの勝ち」とみる。
 04年11月にEC事業をスタートした丸井は本格参入にあたり今年4月、新会社マルイヴォイ(http://voi.0101.co.jp/voi/)を設立した。可能性に少しでも触れた企業は成長に向け、体制を作っている。
先行事例
 ネットを活用した事業で中小企業が急成長するケースも出てきた。先行事例が「ジョイアス」を販売するフォー&コレーだ。昨年8月、第1回の東京ガールズコレクション(ゼイヴェル主催)でデビューし、同25日に1号店をプランタン銀座に出店した。半年後の06年2月期の売上高は5億円、今期は25億円を予想する。今秋には6店を出店し、17店となる。ジョイアスの成長は中小、新興企業や、大手アパレルメーカーの新ブランドにおけるブランディング戦略に影響を与えている。メディアミックス型のアピール力は認知の速さ、正確さ、絞り込んだ客層に伝わるという意味で優位だ。
 ネット上の街作りや モールをはじめとする商業施設、ブランディングの新手法。ネットの次なる段階、成長に向け、「人」が動く。価値を生み、高い成長の先例が出始め、ネット空間には間違いなく風が吹き始めた。しかしどんな風が吹いていて、どの風に乗ればいいのか。思いもよらないメリット、デメリットが出てくる可能性もある。
 ビームス社長の設楽洋は「やってみなければわからない。でもやる 価値は十分にある」。生まれたばかりで、未知の市場は確実に成長している。(敬称略)

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