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知っておきたいバイヤーの基本 |
| <本書紹介> 実績をつくるバイヤーは「基本」を身につけている 自店のコンセプトに沿って市場に求められる商品を揃え、その価値を売り場で発信し、売り上げと利益を創出する――バイヤーの至上命題を達成するために、大前提となるのが「基本」の習得だ。 本書は『バイヤーの戦略的実務』『バイヤーの業務革新』を時代変化に照らして大幅に加筆・修正、バイヤーの基本業務とその運用ポイントを網羅した。 ファッション業界はもとより、他の業界のバイヤーも実務に生かせる充実の指南書。 |
| 著者 プロフィル 川畑 洋之介(かわばた・ようのすけ) ●P.P.M総合研究所代表 1946年5月生まれ。1970年東北学院大学経済学部卒業。1970年(株)鈴屋入社、店長、マーチャンダイザー、本部チーフバイヤー、ディレクター、商品企画室長、品揃え計画室長兼商品本部副部長を経て、1986年に独立、P.P.M総合研究所を設立し現在に至る。 ファッション専門店や百貨店、量販店のバイヤー及び店長教育、アパレルメーカーの商品担当及び営業担当者の教育指導、新規ブランド商品開発、マーチャンダイジング運用システム、本部と店とのオペレーションシステムづくりなどのコンサルティング活動ほか、文化服装学院、目白デザイン専門学校、昭和女子大学短期大学部、文化女子短期大学部講師、日本ファッション教育振興協会検定委員、繊維工業構造改善事業協会人材育成専門調査委員などをつとめる。 著書に『バイヤーの知識と技術』『スゴ腕バイヤーの仕事術』『バイヤーの計数管理』(繊研新聞社刊)。 |
テキスタイルからアパレル製品が作られ、消費者に渡るまでの流通過程において、今日に至るまで最もリスクを負って発展してきたのはアパレル企業ではないでしょうか。
とりわけアパレルメーカーの役割は大きく、その業務内容も幅広く、商品企画(とくにブランド企画)を立案してシーズンごとの展示会や小売業のバイヤーを招待する受注会を行ったり、海外の企業やデザイナーとライセンス契約を結んで国内生産して積極的に小売業に卸したりしてきました。とくに大手アパレルメーカーは、「テキスタイル企業-アパレル企業-縫製工場-アパレル小売業」を結ぶサプライチェーンマネジメント(SCM)の中心的存在であったと言っても過言ではないでしょう。近年は百貨店で自社ブランドのインショップを展開したり、路面に直営店を出店したりする一方、「アパレル型SPA(製造小売業)」の新業態を開発してショッピングセンター(SC)や駅ビル、ファッションビルなどの商業施設にも積極的に出店してきました。
アパレル小売業の中にも、明確なコンセプトに基づく独自性を追求した品揃えで顧客から強い支持を集めている専門店があります。百貨店や量販店でも、縫製工場との直接取引など独自の生産ルートを開発し、プライベートブランド(PB)商品やオリジナル商品を積極的に開発してきています。また新たに自社ブランドの企画を立て、独自に生地や付属品を買い付け、縫製工場で直接生産した商品を販売する「小売り型SPA業態」で発展してきている小売業もあります。
以上のように、アパレル製造産業とアパレル小売産業は、消費者の多様化・個性化するニーズを受けた購買動向の変化とトレンドの短サイクル化によって、低生産コスト化による収益率の向上などの構造的変化を余儀なくされました。とくに、ここ数年は世界的不況を背景とする消費市場と仕入れ市場の大きな変化もあって、アパレルの流通構造は大きな変革を求められてきています。
このような変化の只中で、今、改めて「ファッション小売業とは?」「小売業の役割とは?」と原点を問い直す必要性が増しています。日々お客さまと接し、店頭におけるコミュニケーションを通じてお客さまが探し求めている商品を察知し、すばやく店頭に揃えることが、ファッション小売業の役割ではないでしょうか。そうした品揃え展開ができたときに初めて、お客さまから期待され信頼される存在価値のある店になります。このような小売業の役割を果たす品揃えをするという使命を担っているのが、バイヤーです。
したがって、バイヤーは消費者であるお客さまがどんなニーズやウォンツをもち、どんな価値基準に沿って消費行動をしているかを、絶えず分析・研究する必要があります。「店頭に来られるお客さまのニーズやウォンツに合わせた品揃えをする」と同時に、「売れ筋商品を追求して売上高と粗利益高を確保する」ことが、バイヤーには常に求められているのです。
ただし、注意すべきこともあります。「店頭に来られるお客さまのニーズやウォンツに合わせた品揃えをする」ことは、概念としては正しいのですが、実践する過程では多少の矛盾も生じてくるものです。すべてのお客さまの要望に対応する品揃えをしていけば、品揃えの幅は広がります。しかし、そのために店の主張が薄まって抽象的な品揃えになり、かえって売り上げや在庫の効率が低下してしまう危険性があります。また逆に、過度に品揃えを絞り込めば、主張こそ打ち出せるものの、品揃えの多様性がなくなり、お客さまにとって魅力のない店になってしまいます。そうした商品構成計画・運用の難しさがあります。バイイング活動やマーチャンダイジング活動をするためには、高度な知識や技術が必要になるということです。
本書は、既刊の『バイヤーの戦略的実務』と『バイヤーの業務革新』(いずれも繊研新聞社刊)の内容を今の観点から見直し、整理して、加筆・修正を加えながら、新たに執筆しました。バイヤーやリテールマーチャンダイザー、店長など、商品にかかわる人たちがバイイングやマーチャンダイジングを実践するときに必要とされる項目を挙げ、その知識や運用方法のポイントについて解説しています。皆様の業務に大いに活用していただけることを念じる次第です。