Books - 繊研新聞社発行の書籍

地域ブランド進化論
= 田中 章雄
/B6判 256頁/2000円 (本体1905円+税5%)
[ISBN 978-4-88124-260-5]

<本書紹介>
日本の「地域」を元気にする、確かなビジネスモデルが見えてくる

 人口の減少や住民の高齢化、企業の撤退・海外シフト、商店街の疲弊……地域の衰退が叫ばれて久しい。
 その中で近年、地域に固有の歴史や自然、文化、技術などの資源をブランド化する――「地域ブランド」づくりへの取り組みが急増している。
 しかし、成功事例はあるものの、一時的には売れたが持続しなかった、市場にまったく認知されないといったケースも多い。
 成否を分けているは、確かな戦略と組織の有無だ。
 数々の実績を積んできたエキスパートが、地域ブランド戦略のノウハウを豊富な事例とともに解説する。
初版2012/02/10
プロフィル
田中 章雄(たなか・あきお)
ブランド総合研究所代表取締役社長。
1959年生まれ。東京工業大学理学部卒業。84年、日経BP社に入社。
2001年、日経BPコンサルティング調査部長就任。
日本最大規模のブランド評価プロジェクト、Webブランド調査などを手がける。
03年、ブランドの調査・コンサルティング会社「日本ブランド戦略研究所」設立。
05年、ブランド戦略の立案、構築、活用、管理、そしてPRやテストマーケティング、販路開拓などを総合的に実施・サポートする「ブランド総合研究所」を設立。著書に『事例で学ぶ!地域ブランドの成功法則33』光文社)。


『 地域ブランド進化論  資源を生かし地域力を高めるブランド戦略の体系と事例 』  田中 章雄

第1章  なぜ地域ブランドが必要なのか〈背景編〉

地域ブランドの意味と利点
地域ブランドの勘違い~その意味を正しく理解する
ブランドとは付加価値に対する評価の証
ブランドとして評価されることの六つのメリット
知的財産戦略による地域活性化
地域ブランドは新たな地域のビジネスモデルの象徴
地域活性化へ向け、続々と打ち出される国の施策
“こだわり”が市場を創る
人の手によって付加価値の高いモノを作る
消費者の間で起こっている“地域ブーム”
地域資源をブランド化する
効率化による物づくりから知的財産によるブランドづくりへ
各産業の特徴を生かす、融合する

第2章 地域ブランド戦略の立て方と進め方〈マニュアル編〉

地域ブランドの計画づくり
地域ブランド戦略の目的と目標を明文化する
消費者の視点で売る上げをとらえる
地域ブランド戦略には連携が不可欠
ブランド戦略を実行する組織
ブランドプレミアム戦略
差別的優位性を高め、ファンを増やす
ブランドコミュニケーション戦略
マーケティング2・0の社会に対応する
顧客ロイヤルティー戦略
満足を超える“驚き”を提供する
ブランドリスク管理
ブランドを持続・進化させるためのケア
グランドデザインとアクションプラン

第3章 地域ブランドの先進事例 20〈実践編〉

●Column 失敗事例に学ぶ
消費者からの信頼がブランド、品質より重要なもの
●Column 失敗事例に学ぶ
エビ、カニ、マグロでは顧客は満足しない
●Column 失敗事例に学ぶ
国内の特産品は、海外では通用しないことも

付 録

地域ブランド関連用語集

★本書の特徴

  1. 地域ブランドをつくり持続させる「プレミアム戦略」「コミュニケーション戦略」「顧客ロイヤルティー戦略」「リスク管理」の体系と方法を実践的に解説
  2. 地域ブランドの20の先進事例を紹介。地域ブランドづくりの背景、成功のポイントについて分析する
  3. 地域ブランドに関連する32のキーワードについて解説した用語集を掲載

「はじめに」より

 今、地域ブランドへの取り組みが一種のブームになっている。

 ところが、実態はどうだろう。新商品を作ってもなかなか売り上げに結びつかない。メディアに取り上げられたりして一時期はブームになるが、長続きしない。そもそも話題にならない。計画は立てたものの、実際の商品化や発売までには至っていない。ヒット商品は誕生したが、なかなか地域が活性化しない……こんな悩みが少なくない。

 例えば、百貨店の地下街には大人気になっている食品が多数ある。しかし、本当にそれで業者は儲っているのか?というと、実はそうでもないケースが多い。インターネットで10万個を売る大ヒット商品を輩出したあるメーカーは、数量が増えれば増えるほど経費がかさみ、また類似品が出回ったことによって競争が激化してしまい、利益率は思ったように伸びていない。いかに利益率を高めるかを考えるよりも、むしろ「明日には売れなくなってしまう」という強迫観念に毎晩悩まされている。今、地域をテーマにした商品は数多く作られているが、継続的なヒットにはなっていない。B級グルメのブームで話題にはなって来店客は増えたが、加盟店の経営が好転したかというと期待したほどではない。これが一つの実情なのだ。

 その一方、ちまたでは成功事例がどんどん紹介されている。ある田舎町の商店街にある店には毎日、行列ができている。長年にわたって作り続けてきた手づくりのこだわり商品がテレビで紹介された途端に来店客が増え、そのことによって商店街も活性化してきたという。「どうすれば、行列ができるのでしょうか」「どうすれば、メディ アが取り上げてくれるのでしょうか」――こういう質問が各地の商店街から毎日のように寄せられてくるようにもなった。このように、ブランド戦略が着実に成果を上げて、地域の関係者や若者たちがやる気になり、商品の売り上げが伸び、商店街が賑やかになったというケースも少なくない。

 地域活性化の成否は何が要因なのだろうか。筆者は全国500カ所で講演や視察、そして地域ブランドづくりのコーディネートなどを行った経験から、地域活性化の取り組みが直面している悩みと、その解決のための方向性をまとめてみることにした。

 地域活性化の“切り札”として今、全国で取り組まれているのが地域ブランドづくりだ。多くの地域で地域資源や地域活性化のあり方を見直し、中小企業が地域の農産品や工芸品を活用し、手づくりで新商品を開発するという動きが活発化した。その結果、独自の技術力による商品――例えば手拭い、寄木細工、醤油、といったものが若 者の間でもブームになってきている。このような手づくりのこだわり商品が、予約注文しなければ購入できないようになってきているという現象が見られる。

 日本の技術が見直され、古来の伝統が再評価されつつある。その中で、後継者が育たず、商品も売れなくなって瀕死の重症に陥っている分野もある。勝ち組と負け組の違いは何なのか。その違いを徹底的に検証し、いかに日本各地の農業や工業を再生させ、産地や技術を甦らせるのか――地域活性化の方法論を洗い出すことが本書の目的である。

 その核となるのが地域ブランドだ。地域ブランド成功のためには、次の3要素を満たす必要がある。

1 地域ブランドづくりに取り組む組織と人材
2 農業、商品、観光につながる地域特有の資源
3 地域特有の資源を産業化するためのビジネスモデル

 これら3点さえクリアできれば問題はないのだが、逆に言えば、これら3点がすべて整備されなければ地域ブランドは成功しない。本書ではこの三つの視点で地域ブランドへの取り組みを成功させるためのシナリオを導き出していく。

 日本の各地域の方々には、目先の商品開発ではなく、本当に地域活性化につながるような、つまり・地域に足のついた本物のブランド戦略・に、今こそ命をかけて取り組んでいただきたい。本書がそのための指南書となることを切に望む。

 最後になりましたが、本書の執筆に当たって成功事例としてご紹介させていただいた地域の関係者の皆様、関係省庁の方々に多大なご協力をいただきましたこと、改めてお礼申し上げます。そして最初から最後までお付き合いいただいた繊研新聞社出版部の宮下政宏氏と、いつも一緒に地域活性化のために全力投球している弊社スタッフにも、この場を借りてお礼申し上げます。

 これからも地域活性化のためにがんばりましょう!

2011年12月  田中 章雄


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