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竺仙のゆかた 江戸の粋 |
| <本書紹介> 〝粋〟のデザインを極め、支持され続ける老舗ブランド天保13年(1842年)、浅草に創業。竺仙(ちくせん)は、無地や絞りが主流だったゆかたに初めて柄を染めた。 江戸の粋にこだわったそのゆかたは、夏のファッションとして庶民に広まり、平成の今日に至るまで憧れのブランドであり続けている。 そのデザインは異業種のデザイナーやブランドにも注目され、協業も活発だ。 「粋であること=粋ひとがら」を追究し、進化し続ける老舗ブランド、その魅力に迫る。 |
| 著者 プロフィル 宮下 政宏(みやしたまさひろ) 1964年、東京生まれ。上智大学文学部卒業後、マーケティング・広告制作会社に入社。98年、フリーに。 繊研新聞社のきもの業界誌への執筆、ファッションビジネス関連の書籍編集を中心に、その他分野の広告・情報誌の編集・執筆などに携わる。 |
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竺仙(ちくせん)は江戸末期、天保13年(1842年)の創業からまもなく「ゆかたの竺仙」として名を広め、“江戸の粋”を表現したそのゆかたは、江戸、明治、大正、昭和、そして平成と時代を超えて庶民に愛されてきました。
日本人のライフスタイルが多様化し、衣服も洋服が当たり前になった中にあってもなお、竺仙が毎年1000柄の新作を安定して世に出すことができていることからも、いかにブランドとして市場に浸透しているかが窺えます。
では、なぜ竺仙はブランド足り得ているのか―素朴な問いかけから、本書の編集はスタートしました。
これまで竺仙は、きもの関係の雑誌をはじめ数々のメディアで紹介されてきましたが、書籍としては初めてのものになります。
竺仙にも自社の歴史を系統的にまとめた資料はなく、代々の当主に語り継がれてきた話や古くからの得意客から当主が聞いた話、過去の文献などに記された竺仙にまつわる話などを五代目当主の小川文男氏に伺い、断片的な記憶や記録を掘り起こしてはつなぎ合わせることの連続でした。
これは大変な世界に踏み込んでしまったぞ、というのが当初の感想でしたが、その記憶や記録が断片的なだけに魅力となって心を引きつけるようにもなっていきました。
とくに初代・仙之助については興味が尽きません。
無地や絞りが主流だったゆかたに初めて柄を染めたのは竺仙だった、そのゆかたは江戸土産として広まった、時代の先端を行く文人墨客たちとの交流が竺仙の新奇なデザインを生んだ……当然のことではあるのですが、竺仙の商いの原形は初代・仙之助の時代に認められます。
それは「自らが作って、自らが売る」という商いの姿勢です。自ら売るからこそ、庶民の声を反映した物が作れる。
庶民の声を反映した物を作るからこそ、売れる。そこにひと味、独自性を加えるヒントやアイデアを文化人たちとの交流を通して吸収し、咀嚼して自らのものにしていく。だから、新しい。
このような商いのスタイルが、代々の当主に受け継がれてきました。
言ってみれば、庶民とのコラボレーションが竺仙の“粋”を育んできたということです。
そのことを竺仙では「庶民の企画力」と表現しています。ただ一点、「粋であること=粋ひとがら」を追究し、庶民の企画力を生かしながら竺仙のデザインは進化してきました。
また、エコロジーやロハスが重要な課題となっている昨今ですが、竺仙は独自の“粋”を自然素材にこだわって職人の手によって表現しています。
物を大切に使う循環型社会だった江戸時代から変わらない物づくりを続けているのです。
少し大袈裟かもしれませんが、人や環境に対する価値観を“粋”の表現として時代ごとの庶民の力を借りながらアウトプットし続けてきたのが、竺仙というブランドではないでしょうか。
竺仙というブランド、竺仙という生き方を、本書を通じて感じていただければ幸いです。
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