Books - 繊研新聞社発行の書籍

Life-Style of CUBA ライフスタイル・オブ・キューバ - キューバの流儀 = 高橋慎一 [写真と文]
B5変形判 176頁(オールカラー)/1800円
[ISBN 978-4-88124-252-0]

<本書紹介>
 カリブ海に浮かぶ小さな島国、キューバ共和国。
 決して裕福ではないけれど、この国に暮らす人々は笑顔を絶やさない。
 カネが無い、モノが無いなか、老いも若きも音楽と踊りを愛し、子供たちは元気よく草野球に興ずる。
 修理を重ねた愛車を50年間乗り続け、庭で野菜と鶏を育て、明るく楽しく生きる人々。
 消費に疲れ、元気を失くした我々日本人が、いま知るべき『もう一つの生き方』。
 キューバ人の活力と実践が詰まった、待望の一冊。
著者 プロフィル

高橋慎一(しんいち たかはし)
 東京工芸大卒。
 現在、雑誌・書籍・CDジャケット等のフォトグラファーとして、またライターとして、ジャズ・ワールドミュージック等の音楽分野から、旅行記、人物ルポ等の執筆で活動中。
 2001年からキューバのレコードレーベル“Kamita Label”を主宰。
 プロデュース作品がキューバ音楽界のグラミー賞《CUBADISCO2006》でベスト・ジャズ部門にノミネート。
 そのオリジナル・アルバムは、世界中のキューバ音楽ファンから注目を集めている。
 [著書]キューバ・トリップ(産業編集センター・刊)/モンド・キューバ(東京キララ社/河出書房新社・刊)他

『 Life-Style of CUBA  ライフスタイル・オブ・キューバ - キューバの流儀 』
    高橋 慎一 写真と文

序章    ぼくは、完全にキューバに魅せられてしまった

第1章   世界遺産の旧市街ハバナ

ここは単なる観光地ではない、人々が生きる場所だ
幾世代もの統治時代を経て残った世界遺産
ハバナ・ストリートでの喧噪
活気溢れるハバナの住居

第2章   美しき市井の人々

情熱的な笑顔の女と男
幾つになってもダンスなしでは生きていけない
年齢を楽しむ人たちに乾杯!
笑顔のキューバ・キッズ
素朴な暮らし、日々の営み

第3章   今も現役、アメリカン・ビンテージカー

修理を重ねたアメリカングラフティー
裏通りは、修理に明け暮れる男達の領域
何が何でも修理する、俺達の愛車
今も現役、路上の労働力
バスから自転車までキューバ流

第4章   キューバ音楽、その熱い潮流

キューバ人の魂が伝わってくる
生活の場が、音楽の場だ
年齢が作り出す音楽
小さな時から音楽はカラダの一部

第5章   Los Cubanos最強のミュージシャン

キューバ人にとって音楽とはなにか?
繊細で大胆に、認め合う仲間と作り出す
困難を越えて、すべてを自分たちの手で
音楽は人々の人生のなかに
そして、彼らは毎日を謳歌する

第6章   キューバ・アート~路上はキャンバスだ

街を覆い尽くす黒い神々の降臨
世界遺産の街に描かれた、猫のポップアート
これが社会主義?楽しい、笑えるプロパガンダ・アート
路上を彩る破格の芸術

第7章   個性豊かな貌を見せる街々

18世紀の街並みが残る古都、トリニダー
石畳が続く、美しい小さな街
スペイン統治時代の面影、カマグエイ
第ニ都市サンティアゴ・デ・クーバ
東端の街、グアンタナモ

第8章   岐路に立つ、産業と庶民の暮らし

国策で伸びる観光、堅持する国民医療
サトウキビから有機農法へ
庶民の台所から憩いの場所まで
健康を支える医療品の諸事情
高レベルの教育が明日を支える

第9章   キューバの食と酒を堪能する

文化の混交から生まれたキューバの食
カラダにも環境にもやさしい自然食
ダンスのあとで、情熱のカクテルとビール
アメリカ文化への憧憬、アイスやスナック

第10章   カリブ海の真珠キューバ

キューバっ子たちが愛する隠れ家ビーチ

キューバスペシャルガイド





はじめに 「キューバの魅力、それは今日という日を楽しむ人間の強さにある」

 はじめてキューバを訪れたのは今から16年前、1995年の夏のこと。

 廃墟のようなコロニアル建築の荘厳な美しさ、前世期で時代が止まった街並みの味わいに、カメラマンとしての本能を刺激され、夢中になってシャッターを切ったことを、よく憶えている。

 足繁くこの国に通ううちに、キューバの本当の魅力は外側から眺める風景ではなく、音楽やアート等の創作物にあることに気付きはじめた。

 現地で音楽を浴びるように聴き、映画館でハバナっ子たちとキューバ映画を観て、画廊で地元の画家の作品に触れ、その思いは確信に変わっていった。

 生命力に満ちたキューバの芸術こそ、この国最大の魅力である。若き日の僕は、頭でっかちにそう考えていた。

 だが、ヒヨっ子カメラマンのそんな理想論は、ある日を境に全く通用しなくなった。

 僕はこの国への思いあまって、キューバ音楽のレコード・レーベルを設立し、現地のスタジオでオリジナル音源の制作を開始したのだ。

 甘かった、本当に甘かった。

 音楽制作のズブの素人が、いきなりレーベル主催者になったのだ。それであっさり成功する程、音楽作りは甘くなかった。

 泣いて、怒って、落ち込んで。キューバ人と格闘しながら、レコード・レーベルを10年間続けて、ようやく解った。

 この国の最大の魅力は「人間」であることを。

 キューバ人は危機に強い。何かモノが壊れれば自分で修理する。トラブルが発生すれば根気よく待つ。金と物が圧倒的に不足するなか、背筋を伸ばし凛として前を向く。

 そして、今日という日を最大限に楽しもうとする。

 風光明媚な街並みも、壮麗な世界遺産も、そこに、あの生命力あふれるキューバ人が暮らしているからこそ素晴らしいのだ。

 音楽もアートも、市井に暮らす無名の人々が、長い時間をかけて育んできたものだ。だからこそ、キューバの芸術は煮えたぎるほどの命の力に満ちている。

 むせ返る程のエネルギーを放出する人々と出会うために、僕はこれからもキューバ詣でを続けるだろう。


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