Books - 繊研新聞社発行の書籍

ビジュアル版 お客さまタイプ別 接客術
= 上條 美由紀 著
A5判128頁/2000円
[ISBN 978-4-88124-232-2]

<本書紹介>
 一人ひとりのお客さまのタイプに合わせた接客と販売が求められている。
 本書は「おっとり型」「てきぱき型」「目的買い」など、お客さまのタイプ別に、その心理状態に合わせた接客術を紹介。
 20通りのタイプ別事例を「悪い接客」「良い接客」とに分け、350枚の写真でビジュアルに解説している。四コマ漫画風のビジュアル解説なので分かりやすい。
 売り上げにつなげる接客力をつけたい販売員、自身の接客スタイルを変えたい人にとってのバイブル。既刊の『ビジュアル版 プロ接客術』の応用編。
著者 プロフィル
上條 美由紀(かみじょう・みゆき)
 1964年生まれ。愛知淑徳大学卒業。87年オンワード樫山入社、名古屋支店の営業に配属。
 専門店、百貨店の営業を経て、94年にM2 COMPANYを設立。のちに(株)エムトゥー・カンパニーに社名変更。
 販売代行を中心に15店舗を運営、従業員100人を抱える。ファッションビル、百貨店を中心に販売員教育や研修、講演を行っている。またアパレルメーカーの販売システムの構築などコンサルティングにも携わっている。
 著書に『ビジュアル版 プロ接客術』(繊研新聞社)、『私だって社長になれる』(商業界編)がある。

『 ビジュアル版 お客さまタイプ別 接客術 』  上條 美由紀 著

第1章 タイプ別接客術

  1. 接客されたくないお客さま CASE 1
  2. 接客されたくないお客さま CASE 2
  3. バタバタと急いでいるお客さま
  4. おっとり、ゆっくりとしたお客さま
  5. 目的をもって来店されるお客さま
  6. ウィンドーショッピングのお客さま
  7. 何かないかな!」と見ているお客さま
  8. 似合わないと悩むお客さま CASE 1
  9. 似合わないと悩むお客さま CASE 2
  10. 買おうかどうか?悩むお客さま
  11. 即決できず長く悩むお客さま
  12. センスがよく洋服が好きなお客さま
  13. 販売員と仲良くなりたいお客さま
  14. お金持ちでプライドの高いお客さま
  15. 自分に自信がないお客さま
  16. センスが悪いのに自信満々のお客さま
  17. 販売員よりも年上のお客さま
  18. 販売員よりも年下のお客さま
  19. カップルで来店のお客さま
  20. 理由も言わずに断るお客さま

第2章 売り上げにつなげる接客術

  1. 一点買いの受身タイプのお客さま
  2. とても反応が良いお客さま

第3章 顧客をつくる接客術

顧客づくりのための接客術─5つの基本原則

  1. お客さまの好きな話をたくさんする
  2. レジで自分を印象づける
  3. お客さまの情報を覚える
  4. 再来店されたときの接客に注意する
  5. 心に響くダイレクトメールを送付

付録 接客の流れの基本事例─アプローチからお見送りまで

本書の特徴

  1. 20通りのお客さまタイプ別の接客術を紹介
  2. 事例「悪い接客」「良い接客」で自身の接客を再認識できる
  3. 売り上げにつなげる接客の方法を写真で解説
  4. 顧客づくりのための接客術を具体的に伝授
  5. コマ漫画風のビジュアル解説なので理解しやすい

「ウインドショッピングのお客様」

プロローグ 売り上げをつくる接客術のポイントは何か?

 今、日本のファッション業界は大苦戦を強いられています。

 ショップに立っていると不況を実感せざるを得ません。とくに責任者である店長さんたちの「売れない…」「もう限界…」という悲痛な叫びも聞こえてきます(その辛い気持ち同感です)。しかし今、大切なことは、この苦しいときにこそ、いかに〈前向きに!〉〈ポジティブに!〉がんばるかだと思いませんか?

 そうなるためのポイントは、簡単です。すべてのお客さまへ「ありがとうございます」という〈感謝〉の気持ちを改めてもち直すことです。

 それから「暇だね」という言葉も使わないようにしましょう。「今、時間ができたから新商品を覚えよう」など、前向きな発言にしましょう。人の責任にしたり、悪く言ったりすると、そのときはスッキリした感じになりますが、実は店全体にネガティブ感を広げるだけです。つまり、〈謙虚〉かつ〈前向き〉な気持ちで店に立つことが何よりも大事なのです。

●お買い上げがなかったお客さまにも〈感謝〉の気持ちを

「お客さまに感謝の気持ちをもつ」。この販売員としての当たり前のことを、もう一度考え直してみませんか?

 お買い上げいただいたお客さまへは当然のことです。

 しかし、ここで、みんなに振り返ってほしいことは、お買い上げのなかったお客さまにも感謝の気持ちをもつということです(あんがい忘れちゃってますよね)。実際、購入にまで至るお客さまは、入店客全体の1割から2割程度です。たったのこれだけです…。

 つまり、8割のお客さまは買われなかったということです。ただ通路を歩いているだけのお客さまとの違いは、店内に入って私たちの大切な商品を見てもらえた、ということです。

 そんな8割のお客さまに対しては、次回の再来店を願い、「入店してくれてありがとうございます」と感謝の思いを伝えていける販売員になりましょう(日々言い聞かせないと忘れちゃうものです)。 「お客さまのためを思って、一生懸命お話をしたのに、結局1枚も買っていただけなかった」「心を込めて笑顔で声をかけたのに、露骨に無視されてしまった」など、辛い経験を何度もしていると思います(何十年やっていても、いまだにあります…)。

 しかし、こうしたお客さまも入店して、商品を見てもらえたのです。それで十分です。そのお客さまが次の来店につながり、私たち販売員を覚えていてくだされば、それでいいのではないでしょうか?これも大切な接客だと思います。

 しかし、昨今の売り場を見ていると、日々の売り上げにこだわりすぎるあまり(その気持ちは、とてもよく分かりますが…)、購入されないお客さまに対して私たち販売員はぞんざいな態度になっているように思います。

 購入せずに店を出て行くお客さまの背中を、しっかり見てください!そして心から「入店してくれてありがとう」の意味を込めて「ありがとうございます」を心からていねいに伝えていきましょう。

 不思議なもので、実はこれを続けることにより、売り上げが伸びないイライラ感も抑えられます。心が落ちつき、どんなお客さまにもていねいな接客ができるようになります(気持ちのもち方一つですよね)。

●価値のある売り上げをつくりましょう
センスが悪いのに自信満々のお客様
「何かないかな」と見ているお客様」

 私は「価値のある売り上げをつくろう!」と、いつも販売員に話しています。価値のある売り上げとは、次につながる売り上げのことです。

 例えば、ある日はたまたまその商品が好評で…、また入荷した商品がヒットして…、楽に30万円の売り上げがとれました。

 一方、お客さまの要望を満たし、お客さまのことも深く理解し、お顔やお名前も覚えましたが、その日は客数が少なく、売り上げは15万円でした。

 しかし、この15万円は、私たち販売員が一生懸命に接客した証しです。このお客さまは確実にリピーターになり、次につながっていきます。

 そう考えると、先の売り上げ30万円よりも、15万円のほうが、価値のある売り上げだと思いませんか?

 なぜ、そんなことを考えるようになったのかと言いますと、私がこのアパレルの仕事を始めた20年前は、店舗数に比べてお客さまのほうが圧倒的に多かったのです。私たち販売員がお客さまを選べる時代だったのです。

 また10余年前はバブル崩壊の影響で不況でしたが、団塊ジュニアと呼ばれる25歳前後の若いお客さまが多く、各ショップも売り上げがとれていました。

 しかしその後の十数年は、意欲的にファッションを購入されるお客さまがどんどん減少しました。一方、アパレル市場は厳しい状況でしたが、郊外のあちらこちらに、ショッピングセンターやアウトレットモールができ、都会にはファッションビルが建ち並ぶなど、現在も店舗ばかりが増えている状態です。それにともなって売り上げも下降の一途を辿っています。

 つまりお客さまの減少に相反して店舗数だけが増加し、需要と供給のバランスがとれなくなってきているのです。

 今やお客さまがいない時代になってしまったのです。 「売れない言い訳にしている…」とお思いになるかもしれませんが、そういうことではありません。現実を正しく受け入れて、自分たちで対策を立ててほしいという願いです。

 売り上げが悪いと、「お客さまがいないから」の一言でかたづけてしまいます(そう言いたい気持ちも、分からなくはないですが…)。でもこれはやめにしませんか?

 少子化傾向はまだ続きます。子どもの数が少ないことを前提にして、これからどうしていかなければならないのか?を考えることが大切です。お客さまの数が少ない現実でも利点はあります。お客さまへの接客にかけられる時間が、以前よりも増えているということです。かつての多忙な時代は、お客さまにかけられる時間が5分から10分でした。でも今は、30分ぐらいは楽に取れます。

 お客さまがおられない時間帯は、「暇だね」などとは言わず、先ほど買っていただいたお客さまとの会話やお顔を、またお買い上げいただいた商品を思い出したりしてみましょう。

 さらに、「お客さまに次の入荷時の連絡をいつにしよう…」などと考えることもできます(悪気のない「暇だね…」の安易な言葉が、実は無意識な言い訳を乱発させているのかもしれません)。

 心からお客さまのことを思い、お客さまのための接客をする時代が来ていると思うのです。

●ネットショッピングの広がりに気づいていますか?
センスが悪いのに自信満々のお客様
「センスが悪いのに自信満々のお客様」

 お客さまのためのロング接客を大切にする。これは続けていきましょう。

 気づいていますか?実はもっと恐ろしいことが起きているのです。それはネットショッピングの広がりです。今や、老若男女を問わず、みんなネットや通販で物を買ったりすることに慣れてきています。

 ネット通販は、嫌だったらいつでも簡単に返品できます。それが店舗だと「返品しにくいから…」「返品しないで我慢している」というお客さまも多々みえます。ネットは簡単に返品ができて、金銭の取り引きも楽にできる。なおかつ、素材、カラー、プライス、サイズ、コメントなども一目瞭然です。だから今では、「普通の販売員から買うぐらいなら、ネットのほうが分かりやすくて楽だよ」というお客さまが多いのです。

 ネットはいつでも自分の好きな時間に買うことができます。仕事した後、遊びに行った後、深夜…(確かに、とても便利です)。店舗は営業時間が決まっていて、その時間内にお客さまに来てもらわなければなりません。だから、わざわざ「お店に行って買いたい!」と思っていただける接客が求められているのです。そうなると、店がも つ価値も考えていかなければなりません。

 人々のライフスタイルが多様化し、さらに今後、ますますお客さまの数も減っていきます。それには「一人ひとりのお客さまに合わせた接客」が必要になっているのです。お客さまが「満足!」なおかつ「楽しい!」、そして「買っていただける」「また来たい」と思っていただける接客を考えていかなければいけません。

 そのためには、自身のワンパターンな接客スタイルだけでは通用しません。あなたの接客スタイルをさらにもっと広げていくことが大切です。ということで、少しでもヒントになればと思い、さまざまなお客さまのタイプ別接客術を考えてみました。

 あなたは本書の「悪い接客」のタイプになっていませんか?そうなっていたら要注意です。また、自分の接客に自己満足していませんか?魅力ある販売員は全身全霊を使って接客しています。そこに気づいていただければ嬉しいのです。

 この写真に出てくる販売スタッフは、現在、弊社でナンバーワンの販売力をもつ中根亜依さんです。みなさんと同じ環境にいる現役の販売員です。きっと共感できることも多いと思います。

●総合力がなければ店舗は生き残れない

 今や販売力があれば売れる時代ではありません。販売力さえあれば売れた時代もありました。でも今日のお客さまは、販売員の販売力だけでは物を買いません。販売力だけではなく、総合力が求められています(昔のほうが簡単に売れたな…と思っている方は多いのでは?)。

 総合力とは何か、といったら、販売員の接客、商品力、VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)、販促の4つです。この4つすべてでお客さまの満足を満たしていないと、楽しいと思ってはいただけないのです。今は、このうちのどれか一つが良ければ売れる時代ではありません。大変かもしれませんが、今述べた4つのことを完璧にこなせるようにしなければならないのです。

「やることが一杯…」と思うかもしれませんが、目標が多いことはいいことです。「まだ売り上げが伸びるチャンスがある」ということです。一緒にがんばっていきましょう!


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