繊研新聞 コレクションリポート - 2008-09年秋冬
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パリ・ミラノコレクション - 2
【パリ=小笠原拓郎】08~09年秋冬パリ、ミラノ・コレクションは細かなトレンドに分かれたシーズンとなった。色と柄が一気に広がった08年春夏とはうって変わって、1カラーでトータルを作る静かなコレクションがメーンとなった。
秋冬のトレンドテーマとして浮上しているのは、なんといってもクラシックスタイルだ。50年代、60年代、70年代とさまざまなデザイナーがそれぞれのディケードを指摘しているが、もっとも強く感じるのは60年代クラシック。この間のドレスメーンのコーディネートではなく、ひざ下丈のスーツがトレンドアイテムとして広がっている。
基本は全身を1色でまとめるコーディネート。グレーや黒のほかスモーキーパステルの1カラースタイルがメーントレンドとなる。
1カラーコーディネートの一方で、色のコントラストで見せるコレクションもある。スモーキーカラーや鮮やかな色をアイテムごとのコントラストで見せるカラーブロックもトレンドといえる。プリント柄でも揺れるようにぼやっとした柄やマーブル柄、黒をベースにした落ち着いた柄がメーン。柄を強調せずになんとなく落ち着いた色のトーンを組み合わせるパターンも多い。
さまざまな時代のヘリテージ(文化的遺産)を背景にしたコレクションも目立った。ヴィクトリアンやゴシック、英国やスコットランドの紋章や宮廷のドレスなどを生かしたラインもある。フリルやラッフルを生かしたゴシックディテールとフェティッシュでちょっとロリータ趣味のようなラインが交錯する。
アーキテクチャー(建築)やスカルプチャー(彫刻)をテーマにしたブランドもある。コンセプチュアルなフォルムの再構築は80年代のドロップショルダーやスクエアショルダー、ペグトップやハーレムパンツなどのシルエットとともに表現されることが多い。
これらのトレンドテーマを表現する上で、もっとも大きなポイントは肉厚な生地だ。膨れ織りやボンディング、起毛ウールやダウン、キルティングなどのボリュームのある生地が増えている。この厚みのある生地を使って後ろ身頃にタックをとってドレープを作ったり、オーバーベルトでドレープを寄せて秋冬のフォルムを作り出す。ほかにもラムファーを使ってフォークロアの雰囲気をいれたり、モヘアやシャギーウールのふわふわとした風合いを生かしたラインも多い。
このほかにケープやケープレットをはじめとした丸いショルダーラインを作るアイテムやコートドレス、半袖のコートやベストなどもトレンドアイテムとして登場している。ディテールはキャップスリーブやベルスリーブ、スタンドカラーにテープ状のティアードディテール、ショルダーや首回りにボリュームをとったラインなども注目だ。
ブランド別では、黒をメーンにクラシックなエレガンスを細かなハンドテクニックの柔らかな仕上がりで見せた「ランバン」が素晴らしい。コンセプチュアルなパターンメーキングから美しいドレープドレスを作り出した「ジュンヤ・ワタナベ」、クラシックでフェティッシュなラインの「プラダ」も新しい刺激を感じた。カラーバランスのきれいな「マルニ」やゴシックディテールをミニマルなラインに閉じ込めた「ジバンシィ」も美しい。
【パリ=中村維】パリでプレゼンテーションを開いた若手ブランドの08~09年秋冬コレクションは、シンプルでエレガントなラインにシフトしている。グレーやスモーキーカラーを素材感でよりライトに見せている。
「アダム・ジョーンズ」はラグジュアリーなテーストはそのままに、自由でロックな気分を加えている。フロアレングスのシフォンのドレスを彩るのは、スモーキーカラーのドラゴンプリント。花びらのアップリケを散らしたジョーゼットのドレスは、腰上から生地がジャージーに切り替わる。ネックラインはTシャツ風だ。得意のニットはファーを絡ませてジップブルゾンにする。
パリで初のプレゼンテーションを開いた「ドレスキャンプ」は、和洋の鳥をモチーフにしたエレガントなイブニングドレスを見せた。鳥の祖先の恐竜で埋め尽くされた柄やグラフィックな羽プリントを、抑えた色とロング・アンド・リーンのシルエットで美しくまとめる。サイドにラッフルを流したIラインドレスやアシメトリードレス、丸いプレートをびっしり付けた鳥の足のようなディテールとフェザートリミングのドレスもある。次シーズンはパリ・コレクションに参加する。
ポーラ・トーマスの手がける「トーマス・ワイルド」は、得意のロック・アンド・フェミニンなスタイルにアフリカのエキゾチックな気分をミックスさせた。シフォンのドレスやレザーベストの裏地にはタトゥー柄をサイケデリック調にアレンジしたプリントがのる。カシミヤのニットに編まれるのはタランチュラのモチーフだ。ブラックとグレーに赤やパープルを差し色にする。
パリを拠点にする前濱進作の「ゴーレム」は、アンティークショップを会場に選んだ。古びたいすやシャンデリアが並ぶ薄暗い空間に、同じ時を経たかのような着古したタッチの服が下がる。墨黒やダークグレーといったカラーを、質感の違う薄い素材にのせていく。カンガルー革のジャケットは、ジレを重ねたように前身頃が二重になる。合わせたシルク・ウールツイルのギャザースカートはドライな手触り。白シャツとファーディテールがダークトーンに映える。
「ミナ・ペルホネン」は、クラシックなにおいのするシンプルなラインを、モノトーンで静かにまとめた。装飾を抑えて布の質感やカッティングの変化を際立たせる。シングルコートや丸襟ブラウスには、草や葉のジャカードや動物柄の隠れたレリーフ調の刺繍がのる。張りのあるフラノのシンプルドレスは、サイドポケットが膨らんでアクセントに。
ブランドスタート2シーズン目の「エタブルオブメニーオーダーズ」は新居幸治と大沢洋子が手がける。アイコンである木彫りの取っ手の付いた“ハンガーバッグ”に合う服を作った。フォークロア調の素朴で可愛いコレクション。シェットランドウールのベストやラップジャケットは、バッグがすっぽりと納まる大きなポケット付き。ラウンドショルダーやフレアのヘムが優しいラインを描く。ラフなシルエットだが、バランスや動きやすさを考えた丁寧なパターン。新居はアントワープ王立芸術学院、大沢はロサンゼルスのオーティス・カレッジ卒。
「トリプティック」は20年代調のロマンチックなドレスがメーン。背にドレープを流したチュールのコクーンドレスやストレートラインのシフォンのドレスなど薄い素材で軽く見せる。デビッド・リンチの映画のほの暗いライティングに似せてスモーキーカラーにビーズやモールを飾り、退廃的な輝きをのせた。
「シャルル・アナスタス」は、ダークトーンのミニドレスのバリエーションとファーベストをコンビで見せる。フレアミニやハイウエストの切り替え、小さな丸襟とリボン。持ち味のガーリーなバランスとディテールを生かしながら、シャンタンや古風なジャカード生地でクラシックにシフトさせている。
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