繊研新聞 コレクションリポート - 2009-10年秋冬

Paris Mens 1 | Paris Mens 2 | Paris Mens 3 | Paris Mran Mens

パリ・メンズ・コレクション - 3

(文頭の日付は紙面掲載日。写真はC・ムーア。写真をクリックすると拡大表示します)

2009/01/27

 【パリ=小笠原拓郎】09~10年秋冬パリ・メンズコレクションは、ブランドの原点回帰ともいえる傾向を見せた。それぞれのブランドのオリジンに立ち返って、そこに今の気分をどれだけ加えていけるかがカギになっている。

 高いベルト位置できゅっと絞ってフレアに流れるコート、風をはらむシルクのストール~~ランバンはミリタリーの要素を加えたエレガンスを見せた。会場に選んだのはリセ(高校)の講堂。クラシックとハウスのリズムが繰り返される中で、マスキュリンな気分と官能的な美しさが交錯する。ニットキャップはベレー帽のように頭にちょこんとのっかり、スリムパンツはハードなブーツにインしてはく。ミリタリーを思わせるラインは凛々(りり)しい雰囲気。一方、ワイドパンツにタイトジャケットのラインは可愛いらしく、テープを縦につないで作ったパンツは繊細に見える。ボンディングやシャーリング、テープ重ねなど、これまで出したテクニックや素材を生かしながら、ランバンらしいエレガンスに仕上げていく。これまでのリラックスした気分はちょっと控えて、もう少し緊張感のあるマスキュリンイメージへ。フィナーレ、先頭を歩くのはオバマそっくりのモデル。「チェンジ!」とばかりに手を振りながら歩いてくるモデルに観客たちは笑いで応えた。

 ラフ・シモンズはクラシックを色とレイヤードで遊ぶ。会場にはいくつもの回転するミラー板がつるされ、その合間を縫うようにモデルが歩いてくる。冒頭の黒いスーツのタイドアップスタイルはシンプルでクラシック。そこに上質なダブルフェースのコートやベルテッドコートを重ねる。クラシックなスーツは次第に鮮やかな色を袖やバックに切り替えたラインへ。ネオプレーンのボレロのようなアイテムをスーツやコートの上から着て変化をつける。

 パリ・メンズにデビューしたガレス・ピューは、レディスと同じようにジオメトリックで立体的なコレクション。細かいステッチワークのパテントコートにショルダーを四角くビルトアップしたジャケットなど、コンセプチュアルなアイテムを出している。マルチバックルのブーツに弾丸モチーフのアクセサリーを肩から垂らしたセーターやジャケット、黒い羽根のヘッドアクセサリー。どこかゴシックの空気をはらんだスカルプチャーラインを見せた。

 黒、ネービー、グレーに差し込まれるイエローや赤。エルメスは上質素材のクラシックスタイルにきれいな色をミックスする。ブラックスーツに重ねるイエローのフード付きコート、ボア襟が取り外せる赤いボマージャケット、ブラウンスエードとイエローのニットを切り替えたカーディガンもある。靴はダブルソールのサイドゴアブーツやウイングチップなど。

 パリ・メンズにデビューしたダンヒルは、旅を思わせる機能的でレトロなラインを揃えた。デザイナーのキム・ジョーンズがイメージしたキーワードは「探検家、ペンギン、画家フランシス・ベーコン」。探検家のようなハットにドライビングジャケット、裏地が地図のマッキントッシュのコートなどが代表アイテム。

 アン・ドムルムステールはベルベットハットのミリタリーコートやジャケット、乗馬ブーツにジョドパーズといったコーディネート。騎士のようなクラシックな乗馬スタイルはアン・ドムルムステールらしいが、リアリティーはあまり感じられない。

 ディオール・オムは黒と白のコレクション。チュニック丈のグラフィックTシャツは黒いダウンジャケットや黒いアシメトリージャケットと合わせる。クリス・ヴァン・アッシュのディオール・オムはいったい、どういう世界を描こうとしているのか。それが見えてこない。(写真=C・ムーア)

ポール・スミス  トラディショナルなテーラードにスポーツウエアで変化をつける。グレーのスーツにはイエローや赤のサイクリングジャージを合わせ、大柄チェックのジレはフロックコートとコーディネート。ブラックウオッチチェックのアイテムも多い。

ウォルター・ヴァン・ベイレンドンク  カラフルな色とトライバルのディテールを組み合わせた。枠組みだけで作る帽子に巨大にデフォルメされたラペルのジャケットやコート、アフリカの民族的なマスクを思わせるアクセサリーやプリントはユーモアにあふれている。

ブラック・オム  ちょっと大きなコートにクロップト丈のパンツ、ハードなブーツのコーディネート。ボンテージディテールのスエットパンツやスタッズ付きラペルのコートなどパンクのディテールが目立つ。リングを重ね付けしたネックレスがアクセント。

クリス・ヴァン・アッシュ  ケープのようなドレープトップとチュニックとジャケットを重ねたレイヤードスタイル。フェルトタッチのラップジャケットやラップコートで軽やかな気分を添える。折り曲げたブーツにカーゴパンツをインして着こなす。

チェルッティ  ジャンポール・ノットによるデザインはシンプルで上品な雰囲気に仕上がった。ネービーのスーツに白いシャツ、シャツ・オン・シャツのチュニック丈の重ね着、メルトンのコートの柔らかな風合い。上質素材で静かに主張する。

ヒューゴ  タイトなフォルムのジオメトリックなテーラーリングを揃えた。ゴージの位置が極端に上になっていたり、ボレロのような短いジャケットを見せたり。靴はアイランドヒールのようなドレスシューズ。デザイナーはブルーノ・ピータース。

ギャスパー・ユルケビッチ  素朴な要素とスポーツ、テーラーリングをミックスした。ウエスタンシャツのヨークのようにショルダーの切り替えやシャツやジャケット、モヘアのポンチョのようなゆったりプルオーバー、レオパード柄のプルオーバーはスポーティーなフードとのコントラストが効いている。

ヴェロニク・ブランキーノ  バギータイプのシャープなスーツにタートルネックセーター、グローブといったスタイルは得意とするところ。「クラシックでありながらエキセントリックなダンディ」が目指すイメージだというが、そこにはまる市場規模は小さい。


Paris Mens 1 | Paris Mens 2 | Paris Mens 3 | Paris Mran Mens