繊研新聞 コレクションリポート - 2010-11年秋冬
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パリ・メンズ・コレクション - 3
(文頭の日付は紙面掲載日。写真はC・ムーア。写真をクリックすると拡大表示します)
2010/01/27
【パリ=小笠原拓郎】シックなグレーのテーラードスタイルとウインタースポーツの温かなアイテムを混ぜ合わせて――10~11年秋冬パリ、ミラノ・メンズコレクションは伝統的なメンズスタイルに機能性やリラックス感をどう入れるかがポイントとなった。ダウンのパーツやパッドを入れたアイテムのボリューム感を、テーラーリングと混ぜ合わせるのが一大トレンドとなっている。
ミラノとパリを通じて最も大きなトレンドとなったのは、スポーツとテーラードのミックススタイルだ。中でもダウンを使ったアイテムをスーツやジャケットの中に挟んだり、ジャケットに重ねたりするレイヤードスタイルが目立つ。シックでエレガントなラインをリラックスした感覚で着こなすのが多くのデザイナーが考えた秋冬のイメージ。前シーズンからのトレンドでもあるミリタリーの要素も重なって、スーツやジャケットに機能的なパーツをくっつけた“合体”コーディネートも多い。
「イタリアのドレッシーな職人技とミリタリーユニフォーム」(ジャンフランコ・フェレ)、「プロテクター」(コムデギャルソン)、「ウイーンのアーティストがしていたビジネスとレジャーのスタイルの組み合わせ」(ルイ・ヴィトン)など、多くのブランドがエレガントなテーラードスタイルを温かく機能的でリラックスしたスタイルで表現した。温かく快適なスタイルを志向したのはただ気候に対処するためだけではなく、今の経済情勢やファッションの消費の仕方に対するアンチの気分が含まれているようにも感じる。
スポーツとテーラードのミックスでポイントとなるのが、テーラードのエレガントな気分を残していること。スポーティーなパーツと組み合わせても、そこにテーラードとしての新しい着こなしや提案があるところが新鮮に見える。
「コムデギャルソン」がスーツに取り入れたプロテクターのベストは、そのままジャケットのショルダーラインやサイドシーム部分でつながり、「ラフ・シモンズ」の「ベルクロ」(面ファスナー)のディテールはシェープを変える機能とテーラードの柄としての側面を持っている。「ドリス・ヴァン・ノッテン」のダウンの合体アイテムやスエットパンツの取り入れ方は、昔のパブリックスクールのユニフォームのように懐かしい気分がある。
スポーツとテーラードのミックス以外で注目するのは、90年代中ごろのテーラードスタイルだ。メーンとなる色がチャコールを中心としたグレーのトーン・オン・トーンとなったのもそんな背景がある。グレーとベージュをミックスするのもその当時の「プラダ」をはじめとするブランドが手がけたスタイル。その結果、ジャケットでは三つボタンのシングルブレストが出始めた。しかし、単純な90年代イメージではなくパンツのラインをブーツカットにするなど、70年代の要素も加えている。このほかの年代で見ると50年代のテディーボーイスタイルが少しだけ出ているのも面白い。スポーツの要素もあって、パンツの裾をソックスに入れてブーツインしたスタイルも多い。
こんなスタイルを支えるトレンドカラーとして真っ先に挙がるのは、チャコールグレーをはじめとするグレートーン。そしてベージュとカーキ、ローデングリーンのミリタリーな気分。そこにブルーを差し色に使う傾向が多い。
トレンドとなる素材は、なんといってもパッド入りのキルティングやダウン。そしてコーデュロイやモールスキンのラフな風合い、コートやジャケットに使われるメルトンやフラノの重厚な生地となる。ニットは柔らかくしなやかなカシミヤとモヘアが目立つが、ミラノリブや天じく、スエット地のリラックスした風合いも多い。(写真=C・ムーア)
2010/01/27
【パリ=小笠原拓郎】10~11年秋冬パリ・メンズコレクションはスポーツとテーラードとのミックススタイルが広がった。その中で、パリを背景にしたシックなエレガンスを現代にどう表現するかが問われている。コマーシャルなトレンドに迎合するのではなく、ブランドらしさをどう貫くかはファッションブランドにとって最も大切なところ。
フェミニンで可愛らしい要素とフレンチシックのエレガンス。アレクシ・マビーユのメンズに象徴的なのは、そんなライン。しかし、秋冬はフェミニンな要素は少し抑えめになり、その分だけエレガントでウエラブルな服が増えた。トレンチディテールの繊細なシャツにバギーパンツ、レザーのボウをたくさんつけたシャツ、ポンポンとフェザー飾りのセーター。程良くとんがった可愛らしいアイテムが揃う。センスがよくて単品で見ても主張があるインディペンデントなブランドがミラノやパリで減っているだけに、マビーユのような存在が輝いて見える。
ディオール・オムは、ナローラペルの黒いスーツとわたりの太いクロップトパンツのスーツを出した。中でも、太めのパンツを短い丈にしたスーツスタイルがメーンとなる。そのバランスは独特だが、デザインとして美しいのだろうか。クリス・ヴァン・アッシュのディオールが、本来のブランドのもつ高級感や次の時代を見通す美しさをどう描くのかが問われている。ファッションとしてエッジーなところにいたいのか、それとも高級感を強調したハイクラスの人たちのための保守的な服にしたいのか。前者にはなりえていないし、後者としては中途半端な立ち位置にいるように思える。(写真=C・ムーア)
ヴィクター&ロルフが初のランウエーショーをした。トラッドスタイルがベースだが、キャロットパンツという短めの丈のテーパードパンツが新鮮なラインを作り出す。黒からグレーにかけてのシックな色がメーンだが、ニットアンサンブルやコートと合わせたキルティングベストなど軽やかでリラックスした気分を取り入れている。
〈エトキ〉 アレクシ・マビーユ ディオール・オム ケンゾー ブラウンからレンガにかけての温かみのある色をメーンに、スポーティーなカジュアルスタイルを見せた。チェック柄のニットアンサンブル、ステッチで柄を描いたレザーのハーフコート、ダッフルコートにツイードのライダーズなどを出した。 ポール・スミス トラディショナルな柄をダークトーンの中に取り入れたスタイルと鮮やかな色のスーツスタイルの両面を見せた。チェックのジャケットにルアーのプリントシャツを合わせ、チェックのジャケットとパンツにスエットパーカを挟み込む。 アン・ドムルムステール 黒、白、ベージュの重厚なラインを見せた。ブーツインしたパンツとコートを合わせて細長いシルエットを作る。たくさんのフェザーを飾ったトップにケープやファーコートを重ねたダークスタイルだ。ウエストから垂らしたひもがアクセント。 コムデギャルソン・シャツ チェック柄をメーンにしたコレクション。切り替えやパッチワークのチェックシャツ、タータンチェックのジャケットやダッフルジャケットは袖や身頃の色を変えて遊ぶ。カラフルなチェックのセーターはややざっくりとした風合いになっている。 ミハラヤスヒロ 五嶋龍のバイオリンの生演奏をバックに、リメークディテールやリラックスした気分を取り入れたラインを見せた。バルキーなロングカーディガン、ブランケットコートや接ぎをあてたジャケットなど懐かしく優しいイメージのアイテムを出した。 ブラック 黒をメーンにしたコレクション。ベルベットのコートに透けたアイテムを組み合わせる。ネットのようにゆるく編んだセーターや四角くカットワークされたムートンのベスト、袖を細かく裂いたシャツなどを出した。大きな十字架のペンダントも。 クリス・ヴァン・アッシュ 黒とグレーを軸にした。上下セットアップのスタイルに重ね着やレイヤードで変化をつける。ジャケット・オン・ジャケットのコーディネートやジャケットの上からチェックのシャツを重ねたスタイル、ジレとスタジャンのレイヤードを見せた。












