繊研新聞 コレクションリポート - 2010春夏
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パリ・コレクション - 6
(文頭の日付は紙面掲載日。写真は大原広和、Cムーア。クリックすると拡大表示します)
2009/10/09
【パリ=小笠原拓郎、青木規子】10年春夏パリ・コレクションは様々なテイストをミックスするスタイルが主流となっている。ランジェリー、スポーツ、ミリタリー、ギャザーやドレープ。トレンドのいろんな要素を組み合わせて新しい美しさを作り出す。
真っ白なエナメルのステージ、巨大なスクリーンにはヘビと戯れる裸の女性が映し出される。そのヘビの動きが抽象的な柄へと変化すると、ステージ上にジオメトリックな立体ドレスが現れる。アレキサンダー・マックイーンは、グラフィカルな柄を全面に描いた造形ドレスを揃えた。パイソンの鱗(うろこ)のような柄はどこか神秘的なトライバル柄のようでもあり、そしてフューチャーリスティックな柄でもある。ドレスは肩や背中、ウエストに布をつまんで立体的なフォルムを作り出す。基本となるのはフィット・アンド・フレアのシルエット。そこに大きくショルダーを尖らせたラインや、肩から袖にかけてうねるようなラインを加えていく。スクリーンに水と戯れる女性の映像が映し出されると、ステージ上のドレスの柄も変化する。水面に描いたマーブル模様のような柄、水面に光が反射したかのような輝きがドレスにのせられる。モデルたちの足元は動物の蹄(ひづめ)のようなブーティー。テーマは「プラトンのアトランティス」。
摩天楼の絵が描かれたステージに巨大なアフロヘアーのモデルが現れる。ルイ・ヴィトンが見せたのは、さまざまな要素をミックスしたスタイル。スポーツやミリタリー、ウエスタン、エスニック、ランジェリー。春夏のトレンドの要素を満載しながら、カジュアルでかわいいラインに仕上げていく。それは部分的にはとてもトウキョウ的なミックス感に思える。ドレスに重ねたコルセットのようなアイテム、ツイードジャケットに付けられたミリタリーポケット、ミニドレスにはドローコードが揺れてスパッツと組み合わせる。足元はカルガンラムのへアリーなサンダル。川久保玲がトレンドに背を向けて新しい美しさを追求しているのに対して、マーク・ジェイコブスはあらゆるトレンドをミックスしていくことで新しい美しさを目指しているようにも思える。トレンドをごちゃまぜにすることで、それは単純な“きれい”とか“かわいい”とかいう服ではなくなってしまう。保守的な美しさと真っ向、対峙するわけではないけれど、マーク・ジェイコブス流のトレンドの高次元での“はずし”といえるのかもしれない。
猫にツバメ、ヌードの女性に犬。ミュウミュウは、可愛らしいイラストのような柄をスーツやミニドレスにのせる。スーツはぴったりとしたスキニーパンツにクロップトジャケット。ドレスはブラトップを強調したカットになっている。シャツ襟のドレスは胸元からチュールにビジューを重ねての生地に切り替えられ、ウエストや袖にスモッキング。シンプルながらトレンドがいっぱいのコレクション。
テニスコートに見立てた会場にスポーティーなジャージードレスが現れる。エルメスは、テニスウエアからイメージしたコレクション。ジャージードレスにトリミングジャケット、テニスセーターといったアイテムが揃う。とはいえ、そこはエルメス。ジャージードレスと合わせるのは、パイソンのジャケットだったり、テニススカートをチュールとレザーで短冊状に切り替えたり。サンバイザーにテニスラケットを収納できるバッグといった小物も充実している。
真っ白なシャボン玉がふわふわと浮かび赤いレーザー光線が光るなか、ジョン・ガリアーノは、ロマンチックなクラシシズムと妖しく気だるいムードが交錯するコレクションを見せた。連想させるのは、舞台に上がる前の女優のようなランジェリーライクなドレスやスーツ。素肌の透けるジャケットやミニのフレアスカートはセクシーだが、フリルやラッフルのデコラティブな飾りは少女のようにラブリーに見える。フェザーのカプリーヌや透明なエナメルのコサージュ、レースの手袋などアクセサリーは重ね付けする。
メゾン・マルタン・マルジェラが岐路に立たされているように思える。マルセル・デュシャンのような発想とクリエーションで80~90年代のファッションシステムへのアンチテーゼを投げかけてきたマルジェラ。しかし、ブランド設立20年以上を経て、次の問題提起が待たれている。今の時代にふさわしいマルジェラらしいスタンスと物作りのあり方は何なのか。当時に比べても決して良くなってはいないファッションシステムだからこそ、マルジェラらしい時代との対峙の仕方を見せてほしい。春夏はそんなことを考えてしまうほど、つまらないコレクションだった。(写真=大原広和、Cムーア)
アクリス マットなパウダーカラーと透ける素材をポイントにした軽やかなコレクション。背中をメッシュに切り替えたノースリーブコートや深Vネックのタイトドレス。背中や袖だけ部分的にふわりと膨らむ。シフォンのきゃしゃなブラを合わせる。
クリス・ヴァン・アッシュ モノトーンのミニマルなスタイルのポイントは、素材の組み合わせ方。薄い生地を重なるふわりとしたジャケットや、透ける生地が裾からのぞくベアトップドレス。モダンな服とナチュラルなヌメ革のコントラストが今シーズンらしい。
クロエ ノマド(遊牧民)のイメージを取り入れた。大きなフラップポケットを付けたショートパンツにポンチョ、レザーのコンビネゾンにはケープを重ねる。白からベージュ、カーキにかけての色でまとめている。足元はレザーサンダル。
レオナール 伊万里焼きなど日本の磁器に描かれる幾何学的な植物柄のドレスを揃えた。胸元にロープを編んだホールターネックドレスやフリンジ付きのフロアレングスドレス。いつものスタイルに、ウエスタンや東洋のエッセンスを加える。
ズッカ ふんわりドレープのミニドレスやズアーブパンツ型のコンビネゾンに、スポーティーなソックスやスポーツブラ。ズッカらしい軽くリラックス感のあるスタイルに仕上がった。ゴーギャン風の南国柄や小花柄など、柄を楽しくミックスする。


















