繊研新聞 コレクションリポート - 2011年春夏

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パリ・メンズ・コレクション - 3

(文頭の日付は紙面掲載日。写真はC・ムーア。写真をクリックすると拡大表示します)

2010/06/30

 【パリ=小笠原拓郎】11年春夏パリ・メンズコレクションは、クラシックなテーラードスタイルにいかにリアリティーを加えるかが焦点になった。サンドベージュやエクリュで上品に涼しげな気分にまとめたり、ストリートやワークウエアの要素を取り入れる手法が広がっている。

 パリ・メンズにデビューしたトム・ブラウンが会場に選んだのは、フランス共産党の本部だった建物。円形の会議室には星条旗とフランス国旗が飾られ、観客たちは着席して記者会見形式のショーが始まるのを待つ。ウインナワルツが流れる中、登場したのは宇宙飛行士スタイルのモデルたち。オスカー・ニーマイヤーの設計によるこの空間がスペーシーな気分とシンクロする。白いスペーススーツを脱ぐと、いつものトム・ブラウンスタイルが現れる。全ルックがハーフパンツとハイソックスで合わせたテーラードで、丸みのあるショルダーラインがポイント。トム・ブラウンの色であるグレーやトリコロールはもちろん、スパンコールストライプや大判チェック、ラメチェックといった柄も出している。デヴィッド・ボウイの「スペース・オディティ」とともに全員が退場してフィナーレ。

 エルメスは、白からサンドベージュにかけての柔らかな色で見せるシンプルで軽やかなコレクション。コットンやリネンのスーツは、身体に沿ったストレートシルエットなのに、上質な素材だからこそしわ感が美しく存在感がある。針抜きでウインドペーンを描いたカーディガン、楊柳タッチの極薄チェックのシャツジャケットなど、透明感があって軽いのにスペシャルな気分が漂う。ナチュラルカラーにアクセントをつけるグリーンの色出しの巧みさ。スカーフやスエードのプルオーバーなどにのせられる。

 アン・ドムルムステールの会場に入ると、小さなペンライトが各自に手渡される。薄暗いショー会場で一人ひとりがモデルに光を当てるという趣向だ。コレクションは白一色あるいは黒一色のコーディネート。ライダーズジャケットにタブリエのようなプロテクトパーツ、太いオーバーベルトといったアイテムを軸にスリムラインに仕上げている。(写真=C・ムーア)

クリス・ヴァン・アッシュ 黒いインクで手を染めたモデルたちが、グレーや黒のトーン・オン・トーンのスタイルで現れる。ジャケットの上からタブリエを巻いたり、パンツと共地のベルトをたらすなど、ウエストのディテールがポイント。汚れたようなペイントのシャツやジーンズも見せた。

ヴィクター&ロルフ フランスのリゾート地であるビアリッツのスタイルを40年代のイメージで作った。ダブルのスーツは着丈が長めで、パンツはツータックのペグトップ風シルエット。ベルト付きのシックなスーツやドットのスーツはひざ丈のパンツでリラックスした気分に。

ジャンポール・ゴルチエ トルコのサウナをステージ上に作り上げた。レースアップディテールのプルオーバーやチュニック、ドローコードのサルエルパンツ。黒をメーンにしたラインに水滴が滴るような柄を加える。カフタンを着たモデルの一人は、若き日のイヴ・サンローランにそっくり。

ジュンヤワタナベ・コムデギャルソン マリンイメージをトラディショナルなラインに仕上げた。パーカにマリンボーダーのジャージー、ピーコートやダッフルコートを軽やかな色、素材で表現する。セントジェームスのマリンボーダーをシャツやパーカにのせたほか、ボーダーニットのジャケットも多い。

ギャスパー・ユルケビッチ テーラードとカジュアルの中間を探すというコレクション。ジャケットのラペルやヘム、ポケットフラップが2枚重ねになっていたり、カラーが切りっぱなしのスタンドカラーになっている。ショートパンツのタックの取り方などちょっと変わったディテール。

ウォルター・ヴァン・ベイレンドンク たくさんのチェック柄とペンホルダーのような凹凸ディテールがポイント。ジャケットやパンツと合わせたコルセット、パンツの上にかぶせたティアードスカートなどジェンダーレスなアイテムをユーモアたっぷりに見せる。人形のアップリケシャツもインパクト大。

アレクシ・マビーユ 花の髪飾りに立体的な花刺繍のシャツやパンツ。とはいえ、以前から比べるとずいぶんフェミニンさは控えめになった。キーアイテムはレースアップサンダル。そのひもをパンツの裾に巻いてシルエットを作る。チュニックシャツやショートコンビネゾンにも注目。

イッセイ・ミヤケ 鱒(ます)の模様の美しさからイメージした色柄で見せた。変形のハウンドツースのような柄は鱒の模様のようにきらびやかに光り、ドット柄は鱒のパーマークの朱点からイメージした。プリントや生地へのこだわりは感じるが、フォルムがマンネリに思えるのだが。

ケンゾー ジャポニズムの要素を入れた。にじんだような柄や水墨画のような柄をのせたスーツ、マリンボーダーの切り替えジャケット、大判チェックのトレンチコートやスーツに太いケーブルのアンサンブルといったラインを揃えた。蚊帳のようなコートもある。

コムデギャルソン・シャツ いろんな国の国旗のような柄をアップリケした白いシャツのバリエーションが広がった。ギンガムチェックやドット、迷彩柄を切り替えたり裏地に使ったジャケットやシャツもある。ストライプのシャツは胸にスラントポケットのディテール。

ミハラヤスヒロ アメリカを背景にしたラインを揃えた。カレッジトレーナーにレタードカーディガンは着古した加工がされ、ジャケットの星条旗プリントはグレートーンに抑えられる。アシメトリーのポンチョや森のプリントのコートでアウトドア気分をプラスする。

ディオール・オム 円形のステージにかけられた白いカーテンにフルイドラインのシルエットが浮かび上がる。白いカーテンを抜けて現れたのは黒やグレーのドレープのライン。トレントコートやアシメトリージャケットの布がゆれ、裾を絞ったパンツとコーディネートする。

ポール・スミス ストローハットにスエットパンツ、ゴージ位置の低いジャケットにブーツといったコーディネートを見せた。天文図のような柄をジャケットにのせたり、タイダイ風のシャツの上からプリントしたり。ネットのバッグやリュックなど、いつもよりリラックスした気分。

ダンヒル コンサバティブなテーラーリングにバランスとコーディネートで変化をつけた。ダブルブレストのジャケットやスーツはウエストシェープが高いのにゴージは低い。ライトグレーをベースにペールブルーのセーターやカーディガンを組み合わせた。


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