繊研新聞掲載のコラム

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談話室/2009年07月

2009/07/31
 輸出
「輸出、輸出と掛け声は良いのですが、そう簡単にはいかないものです」と言うのは日本綿布の川井眞治社長。国内のジーンズマーケットが伸び悩む中、同社の輸出は20%を超えた。「それでも、ここに来るまで10年かかった。何度もお客さんと顔を合わせ、その度に新しいものを持っていく。評価してもらえるようになったのも最近です」と振り返る。同社の業績は比較的堅調とはいえ、井原産地や岡山県の繊維振興を支えていく公的な立場もある。「産地全体のためにも海外市場開拓はやはり不可欠。ハードルは高くても、やっぱり進めないといけない」と自らに言い聞かせている。

2009/07/30
 すべて揃う
 「バングラデシュのニット産業の強みは川上から川下まですべて揃っている点」というのは、バングラデシュ・ニット製品製造業・輸出業協会のファズルル・ホック会長。「世界不況は有力な生産国に大きな損害を与えたが、バングラデシュは成長を遂げた」。折からの日本での低価格ブームはよりコストの低い生産地への関心を呼び起こしており、バングラデシュの存在感は高まる一方だ。現状では「日本市場でバングラデシュ製はほぼゼロに近くて残念」としながらも、「中国に比べてコストは安い。日本は今まで中国に目を向けていたが、ぜひバングラデシュに注目してほしい」と呼びかけた。

2009/07/29
 システム改革
 「コンピューターシステムの改革で社内の事務量が激減した」と双日ファッションの長田峯雄社長。昨年夏から始めた新システムが軌道に乗って、ネット上での出荷事務の処理が増えたのが理由だ。「数量ベースでみると、ウェブ扱いの出荷反数は全体の31%に、カット見本では64%に増えた」。同社は現物在庫をノンミニマムで販売するコンバーター。「一つの在庫を誰でも出荷できる体制を進め、ユーザーの利便性を高めた」。しかし「オーダー全体を底上げする効果はまだまだ」として、システム運用をさらに熟知して売り上げ増への波及効果を狙う。

2009/07/28
 高さを武器に
 「人件費の高さを武器にするという、発想の転換が必要だ」と言うのは山口県繊維加工協同組合の岡部泰民理事長。「人件費の高さは経済力の証明。経済力とは『文化力』の豊かさのこと」と持論を展開。メード・イン・ジャパンの製品は、量や価格ではなく、もっと商品に込められた文化的価値を訴求せよと業界を励ます。「萩焼を海外で作ろうとは誰も考えないでしょう。日本の衣料品もそういう姿を目指すべき」。ここにきて国産の価値が着実に評価されてきたことを喜ぶが、「ただし」と注釈が付く。「伝統や歴史に加え、常に世界最新の商品に挑戦する気概を持つ。これがないと生き残れない」とクギをさすのも忘れない。

2009/07/24
 売り抜く
 「昨年までの過去3年間、主な原料価格が上昇する中、毎日が価格転嫁との戦いだった。この努力を絶対に無にしてはいけない。安易な安売りは絶対に行わない。値下げは部長決済、限界利益にかかわるところは部門長が決済する」と価格維持に決意を見せるのは東レの杉本征宏副社長繊維事業本部長。「08年は販売数量減による粗利の減少と生産調整に伴う工場コストアップが収益を大きく悪化させた」と振り返る。そして、挽回(ばんかい)にかける今期は「数量拡大による粗利アップと工場の稼働率向上が収益改善の大きなポイントとなる」とし、「売り抜く」ことを重要方針に掲げ、価格を維持しながら販売数量を伸ばすことに全力を挙げる。

2009/07/23
 第三の染料
 「新しい事業が育ってきている」と松井色素化学工業所の中島博史営業部長。プリント用の抜染剤や助剤の販売が主力の同社が3年がかりで開発した「第三の染料」ともいうべき、「ダイストーン」が「予想以上の好調」で推移している。ダイストーンは蒸し、洗い工程が不要のエコ染料。既に国内は10社以上の染工場が導入し、アジア、米国にも広がっている。一方、同社が転印事業と位置づける転写マークもブランドロゴや洗濯表示物などの服飾資材分野で拡大、この5年ほどで柱事業になってきた。いずれも国内で開発、生産しているが、「海外にも需要は大きい」と自信をみせる。

2009/07/22
 営業利益重視
 「重視するのはあくまで本業の収益を示す営業利益」という田村駒の市川政彦社長。総合商社の中には従来のトレードから、事業投資に比重を移し、純利益重視のところも少なくない。それに対し、田村駒は製品OEM(相手先ブランドによる製品)を主力とする繊維専門商社だけに、指標となるのは営業利益というわけ。6月には中国で検品の合弁工場を稼働。昨年秋以降の景気の急速な悪化で、投資を見直し、資産圧縮に舵(かじ)を切る商社もあるが、海外を含めた生産背景や素材調達網の整備など「本業の企画提案型OEM強化のための投資はやる」と積極的。こうした姿勢が「欧州ブランドの製品取引」にもつながっている。

2009/07/17
 知恵出し合い
 「日本の合繊産業の強みは、メーカー各社がいい意味で競争してきたことと北陸産地の後加工技術の相乗効果にある。この基本は今も変わらない」というのは帝人ファイバーの亀井範雄社長。その上で、「かつてのように合繊メーカーが産地政策などを語る時代ではない」とも。そして「我々も磨くべきものにはもっと磨きをかけないといけないし、北陸産地も進化、高度化していくことがカギとなる。互いに知恵を出し合って収益構造を作り上げないといけない」とし、産地企業と個別に取り組む「産地プロジェクトをより強化していく」考えだ。

2009/07/16
 本格稼働
 「この時期に新工場の生産をスタートしたのは、景気の底打ち感とともに、今後のアジア経済の回復が期待できるため」と説明した東レの大西盛行取締役トレカ事業部門長。稼働が半年ほど遅れていた新設の石川工場のプリプレグ(炭素繊維樹脂樹脂含浸シート)の新設備が生産を開始した。新工場の最大の目的はボーイング787旅客機向けのプリプレグ生産だが、認定作業中は「既存の愛媛工場からスポーツ用途の一部を振り分け、稼働率を高めていく。国内は2工場でバランスをとってやっていける」とみている。「景気が持ち直せばさらなる成長が期待できる」と強調した。

2009/07/15
 総合力
「(課別独立採算制の中で)各課に横ぐしを通して、いかに総合力をつけるか」と語るのは瀧定大阪の瀧直人経営戦略課長。今年2月に新設した経営戦略室の目的は、社内コミュニケーションを円滑にすること。情報の整理を行い、商品の同質化など社内競合による弊害の解消を狙う。
 課ごとの権限を強化してきたことで、「顧客のニーズに対する商品の多様化には注力してきたが、サービスの多様化には無頓着だった」と振り返る。どの課の商品も扱う総合販売員を、およそ50年ぶりに復活させるなど、課を超えた連携による「総合力」で、きめ細かいサービスを提供する。

2009/07/14
 毎日スポーツ
 「毎日がスポーツの試合」と例えるのは、茅ヶ崎紡織の鵜飼恒久社長。価格に敏感な消費者目線での素材開発やローコスト経営の追求など「創業60年でも日々課題があり、フォームの改善や反省の日々」という。そんな中、会社を支えるのが従業員。「国籍・男女不問で、35人のうち韓国、バングラデシュなど2、3割が外国人」という。「理屈っぽくなく、右脳で三次元に物事を把握するような優秀な人が多く、社交的。服は文化と密接な上、生産・販売がグローバルな今、国籍は関係ない。外国人従業員と日本の匠の技が加われば、製販ともいい方向へ向く」ときっぱり。

2009/07/10
 5大産業
 「近くの蘇州、無錫と比べても製造業が非常に有名」と語るのは、中国・常州市人民政府の王偉成市長。「中国の工業の発祥地とも言える存在だ」と胸を張る。繊維、アパレル関連でも有力企業は数多く、中国有数のデニムメーカー、黒牡丹集団も常州に本拠を置いている。その常州市が今、最も力を注いでいるのは「5大産業の振興」だ。5大産業とは、「設備製造、新エネルギー、新材料、情報、バイオ」。5大産業における一定規模以上の企業の生産高は「昨年は市の全産業の57%に達している」と成果を強調する。今後も「日本との交流も通じて5大産業の発展を続けたい」と意欲を示している。

2009/07/09
 製品で訴求
 「風合いや機能性に優れた点を製品として訴えたい」。こう語るのは、カワボウ繊維の岡本雅彦テキスタイル販売部婦人グループ部長。縫製部門を社内に持つ強みを発揮。「国内生地ならではの落ち感やトロ味などの風合、ストレッチの伸長性とキックバック性の良さを製品で納得してもらう」というのが狙い。また「要望によっては製品でも納品する」とサービス機能も強調する。紡績部門を持つ同社は、「自家紡や撚糸加工など原糸から工夫した生地」を特徴としている。単価で優れる中国など海外生地に対して、「プラスアルファの付加価値」を訴える。

2009/07/08
 アドリブ
 「日本が生き残るには、独自のスタイルを築かないと」と語るのはアトリエいしくらの石倉崇之社長。海外縫製が広がる中、4年前に都内で小ロットの注文に応じるソーイングルーム駒場を設立した。「指示通りなら、日本じゃなくてもいい」と、「アドリブをつける縫製」を重視する。「1ミリ幅のピンタックや丸みのある形など、気を利かせたきれいな仕上がりで勝負する」考え。取引先が要望する加工賃ではなく、技術に応じた加工料金を自ら設定する取引を増やしてきた。「中国にはできない技術を買ってもらっている」との自負がある。「技術をとことん磨き、光る存在」を目指す。

2009/07/07
 マザー工場
 「美合事業所はマザー工場としての役割も大きい」と言うのは日清紡テキスタイルの松下昌幸テキスタイル事業部門加工部長代理。繊維部門の再構築途上で水害にも遭い、同事業所は染色から撤退、織物の加工はさらしが月産160万メートル、ニットは100トン規模へと縮小した。しかし、さらし、液体アンモニア加工、後加工設備などは充実、新たなスタートを切っている。同社では国内生産を縮小、海外生産を増強しているが、「開発商品を実生産に結びつける。品質安定、生産効率化する技術は、まず美合で確立」。これにより「海外でも日清紡品質」を実現できるようにする。規模は小さくなっても「各種ノウハウの確立から人材育成もする」マザー工場の機能は大きいようだ。

2009/07/03
 適材適所
 「昨年12月末に中山会長(前社長)から、来年の年次計画はあなたが考えなさい、正月休みに人事、体制も考えておくようにと言われ、3月末までに今の組閣をまとめました」というのは、小松精練の新社長に就任した蓮本英信さん。「適材適所で人選をしたつもりで、結果的には役員の内60歳以上は4人、執行役員も50代が2人で、40代が3人と若返り人事となった」。「情実をはさまない適材適所の人事ができたと自画自賛している」と満足気だ。「未曽有の不況の中、会社の将来を考えてベクトルを一致させ、初心に帰ってやるべきことをやっていく」と決意を語る。

2009/07/02
 夢でもいい
 「すぐ実現しないような夢でもいい」と語るのは、東レの田辺信幸婦人・紳士衣料事業部部長。10年春夏に向け、アパレルメーカー数社との共同開発が進行中だ。「より消費者に近い立場からの根本的なニーズ」に耳を傾け、プロダクトアウト型の開発に力を注ぐ。一方、09年秋冬向けは1カ月ほど遅れ、4~6月の販売は前年と比べ、「良くて8掛け」。当分は、「衣料消費全体が上向くとはみていない」が、事業方針に変更はない。「市場の価格に合わせるための海外生産はやらない。いい商品をしっかりとした値段で売っていく」ときっぱり。

2009/07/01
 海外で評価
 「海外における日本のテクノロジーへの評価を改めて感じた」というのは、帝人ファイバーの鈴木哲志機能テキスタイル販売部部長。ナノファイバー「ナノフロント」の対米輸出が今年大きく伸びそう。「彼らは商品の差別化戦略の中で、素材を極めて重視している。うちのナノフロントにもすぐに興味を持ってくれた」と素直に喜ぶ。半面、もう少し国内で拡販できれば、との思いも見え隠れする。商況は4~6月、7~9月とまだ厳しさが続くが、売り先、アイテムによっては、明るさも出てきた。「今は着実に布石を打ち、来期以降に備えたい」と笑顔を見せた。