繊研新聞掲載のコラム

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談話室/2009年08月

2009/08/28
 火付け役
 「川上が火付け役にならないと」と語るのはNI帝人商事の寺腰恵次原料・製品部長。タイツ、レギンスは好調だが、パンストは国内市場全体で最盛期の4分の1にまで落ち込んだ。「特に無地物が厳しく、プレーンパンストをいかに復活させるか」が素材メーカーの共通課題だ。そのための方策として「糸の開発とアパレルを巻き込んだ消費者へのアピール」を掲げる。「素材の表情がストレートに出るパンスト分野では原糸メーカーの役割が大きい」として、国内素材メーカーと共同で原糸開発を進める意向だ。川上から川下まで一体となったPRでパンストの需要を喚起する。

2009/08/27
 オーガニック
 「欧州を中心にオーガニックコットンを使用した衣料や寝具などのマーケットは拡大している」とニュルンベルク・グローバルフェアーズ日本代表部のハインツWクールマン代表。同社が主催する見本市「ビフォアジャパン・オーガニックエキスポ」「ナチュラル・エキスポ」では不況の影響は少なく、前年並みに近い出展者が集まる見込みだ。「日本のマーケットでもオーガニックコットンや化粧品は伸びている」という。ただ、日本では有機食品が高額なため、主力の食品が欧州ほど広がっていない。「オーガニック製品のさらなる認知度向上へ小売業へのアプローチを強める」と意気込む。

2009/08/26
 イメージ通り
 「レディススポーツウエアが伸び悩んでいる」と言うのは、蝶理の竹中慎一常務。主要アイテムの一つであるゴルフウエアは、競技人口も増え、市場拡大への期待は大きい。「早起きし、車を飛ばしてゴルフ場へ行き、新しいウエアに身を包む女性も増えたはず」と素直に喜ぶ。ただ、「イメージしていたほどボールが飛ばない。そのギャップから続ける意欲を失う人が多いのかなあ」と残念がる。竹中さん担当の繊維製品も第1四半期は減収減益。「前年比は確かに厳しく、苦労はしているが、予算比ではほぼイメージ通り」とする。7~9月以降のスコア回復には、少し自信がありそうだ。

2009/08/25
 予想以上
 「予想以上に広がってきた」というのはサンワード商会の喜多祥悟第一事業部長。抗菌抑制や悪臭を分解する空気触媒加工「ティオティオ」を4年前から展開、紳士、婦人の衣料だけでなく、子供服、ユニフォーム、インテリアや寝装、靴下、帽子など多彩な分野のアパレル、小売りメーカーと取り組みが進んでいる。この間、糸、生地、製品で加工できるノウハウを確立するとともに、加工にまで踏み込み、「自ら品質と供給の安定を優先してきたことが信頼につながっている」。市場は「国内から海外に広がりつつある」としてティオティオ加工を世界ビジネスに育成する構えだ。

2009/08/21
 そろばん
 「そろばんは腹の中にしまえ」と語るのは花菱縫製の竹内猛社長。10月に紳士オーダー専門店「花菱」北京3号店と上海店を開設の予定で、中国事業での基盤作りを進めている。中国事業で重視しているのは長期展望とウイン・ウインの関係構築。「まず、中国人をもうけさせるという考え方で、ちょうどいい。できるなら我々ももうけさせてもらうという感覚でないとビジネスにならない。
 ただし、ビジネスとしてやるからには、うのみにしないことも大事」と指摘する。中国紳士オーダー市場の動向については「まだ“スーツ文化”が根付いていない段階。逆にチャンスをつくるのは不況下の今」との認識を示す。

2009/08/20
 オリジナル柄
 「オリジナル柄のプリントを強みにしたい」と、小川テキスタイルの小川周志社長。インクジェットプリント機と、インクを気化させて転写する昇華転写システムを組み合わせたデジタル・イメージ・テキスタイルを提案している。「オリジナル柄だが小ロットを短納期で納品できる」のが特徴。「使い勝手の良いインクジェット機はプリントの主流になり始めているが単価が高いのがネック」。デザイナーを置いて自前でデザインし、プリント下生地も用意、小ロット短納期を実現。「デザイン性に優れたコンバーター」を強調する。

2009/08/19
 EPAに期待
 「インドと日本の間で締結交渉が進められているEPA(経済連携協定)には大いに期待している」というのは、インド衣料品輸出促進協議会(AEPC)のラケッシュ・バイド会長。「交渉は政府が強力にサポートしてくれると信じている」と付け加える。インドは日本向けのアパレル輸出の拡大に取り組んでいるが、「EPAはその後押しになりうる」と見ているようだ。「日本市場はQRが要求されるし、オーダーが決まるのに時間がかかるなど、欧米企業とのビジネスに比べて難しい面はある」と認識しつつも、「我々は日本市場での拡大を真剣に考えている」と意欲はたっぷりだ。

2009/08/18
 若い人材を
 「桐生に若い人がもっと増えてほしい」と言うのは、共立織物の岩野武彦社長。同社は、膨れ織りやゴブランが得意。「服地と資材両方の用途を持つため、長繊維から短繊維まで幅広い糸を使える」のが強みだ。ここ5年間、人気が続いた形状記憶織物も、「先染めの良さがよく出た商品。資材用は先染めが多いから、他社より早く入れた」と見る。桐生産地に若い企画や技術者が増えていることについて、「他の産地と違い、城下町ではないのが地の利。街の雰囲気が大らかで、外の人を受け入れる気持ちがある」。今後は「日本に限らず、キャリアを持つ人が来てくれれば」と笑う。

2009/08/14
 注ぎ込む
 「トーションレース機の技術で、一着の服にブランドのイメージを注ぎ込みたい」と語るのは、ワダノブテックスの和田光永社長。アパレルデザイナーにとって、トーションレースなどの付属品は、「選ぶ感覚」が一般的。同社はアパレルの企画に早い段階から同席し、「店に並んだ時の感覚」で装飾パーツや広幅テキスタイルを顧客別に開発、「服のグレードを上げる物作り」に取り組む。アパレルとの直接取引、立体・広幅テキスタイルの開発が、経済産業省の地域産業資源活用事業計画の認定を受けた。「店頭の商品に、トーションの自社ブランド“トーテック”のタグを付けること」が夢だ。

2009/08/13
 産地ブランド
 「ネーミングを広めるために、テキスタイルだけでは認知度が上がらない」と語るのは齋藤商店の齋藤太紀雄社長。先染め織物の播州産地は今年に入り減産幅が拡大し、産地企業は危機感を強めている。北播磨地場産業開発機構の理事長も務め、播州織ブランドの確立に産地生き残りの可能性を見る。産元商社として播州織の扇子や草履など雑貨を製造、「最終消費者に直接届ける」ことで、播州織ブランドの普及に努めてきた。特に扇子は贈答用など4年間で累計2万本を売り上げた。7月からはネット販売も開始、「全国へ向けて売っていく」姿勢で、さらなる知名度向上を図る。

2009/08/12
 合弁
 「テキスタイル事業はプレーヤーも多く、それぞれの商社が単独でやる時代ではないのではないか」と豊田通商の島田正徳執行役員。国内のテキスタイル販売の縮小を踏まえ、管理コスト削減の一環として、昨年10月に子会社の豊通テキスタイルにテキスタイル事業を移管した。とはいえ、豊通テキスタイルはもともと長繊維系主力。そのため短繊維系のテキスタイル事業は香港に移す方向を明らかにしている。輸出に比べ、香港なら為替リスクも少ないのが、その理由。もっとも、単独での移管では規模のメリットを生かし切れないだけに、現地企業や日系企業との「合弁」も想定している。

2009/08/11
 世界ビジネス
 「本業を重視して芯がぶれない運営を」というのは清原の斧原正明社長。服飾資材の多くの企業が世界不況で苦戦を強いらる中、「目先の状況だけにとらわれず、現場対応力、商品開発力、グローバルに対応できる精度の高いシステムやネットワークを生かして得意先の着実なサポートを進める」。前期売り上げは落ちたが「個々の得意先とのパイプは太くなった。国内でまだ着手すべき市場もあるし、効率化によるさらなるコスト対応などやることはまだある」。新たな商品開発も重要で「海外アパレルとの取り組みもこれから本格化させる」と世界ビジネス拡大に意欲をみせる。

2009/08/07
 松山をタイへ
 「すべての原糸生産をタイに移すということではないが、2年間かけて差別化、高機能素材の生産を松山から移管する。つまり松山がタイに移るということ」とポリエステル繊維事業の構造改革を説明するのは亀井範雄帝人常務ポリエステル繊維事業グループ長。国内のグループ人員の「正規、非正規合わせて5割に影響が出る」という大改革に踏み切った。ケミカルリサイクル事業の「繊維to繊維」も回収したポリエステル繊維製品を解重合してDMT(テレフタル酸ジメチル)を作るところまでは松山で行うが、重合、紡糸はタイに移す。「生産の構造改革と成長戦略、安定収益化」を一気に進める改革に正面から立ち向かう。

2009/08/06
 地の利
 「国内産地の利便性を強みに消費者視点の物作りを徹底する」と群馬県の太田ニット工業組合を復活した井上隆理事長。「関東圏で東京に近いという地の利が生かせる」。アパレルなど取引先との密なやりとりで商品を作り上げる。今回は組合加盟の約9割である10社が参加した。2日間の展示会に220社が来場した。既存の取引しているデザイナーからも産地を再発見できたとの評価を得たのに加え、「新規取引への足掛かりができた」と手応えを感じている。今後、3年間のプロジェクトとして東京での展示会は継続する予定だ。「桐生など県内のニット産地以外とのネットワークも物作りに活用していく」という。

2009/08/05
 寝心地
 「枕を替え、寝心地は大変良くなりました」と言うのはクラボウの伊藤規雄常務繊維事業部長。その枕とは同社が水鳥の胸毛(ダウンボール)の形状を生体模倣(バイオミメティック)し、開発した素材「エアーフレイク」を中わたにしたもの。「2、3カ月前から試してみよう」と自らモニターを始め、「最初の枕は中わたの充填度合いが甘い」と感じた。同じようにモニターになった井上晶社長も同意見で改良した枕が気に入った。技術者で自社開発品は厳しくチェックするが、エアーフレイク枕には自信たっぷり。側地は綿200番双糸で「肌触りは抜群」。家庭洗濯が可能で「自分でも洗ってみたが、大丈夫」と太鼓判を押す。

2009/08/04
 新プロセス
 『ベンベルグ』の新製造プロセスは、技術開発ベースではブレークスルーした」と語るのは旭化成せんいの高井秀文社長。80年の長い歴史を誇るベンベルグ素材。過去も「ハンクから連続紡糸、さらにNPと呼ぶプロセスへ」と設備の改良、プロセス改善は行ってきた。今回開発を進めてきた「新プロセスはこれらに次ぐ」大きな改良。「いつでも切り替えることは可能な段階にきている。今は、従来の糸との物性面での互換性の詰め」を進めている。同時に「売れている時期であれば早くやれとなる」のだが、「プロセス改良には一定の投資が必要」と、不況の真っただ中とあって、様子を見ている状況でもある。