繊研新聞掲載のコラム

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め・て・みみ/2010年05月

2010/05/31
 大手紳士服専門店チェーンは郊外の幹線道路沿いへの出店で成長してきた主力業態で、大都市の都心部に出店の軸足を移している。青山商事は「洋服の青山」で、首都圏の一都三県は都心と郊外の両面で出店するが、それ以外は政令指定都市などの駅前に出店立地をシフトする方針を掲げ、その1号店を福岡・天神に先週開店した。名古屋や札幌、仙台などにも今後、出店すると見られる。
 AOKIホールディングスは昨年、「AOKI」で東京都心に集中出店を始める方針を掲げ、春に銀座、秋には秋葉原に大型店をオープンした。東京以外では福岡・天神に昨春、都心型店を出店。今期は既存店活性化を優先し、新規出店は5店の計画。「首都圏、中京圏、関西圏、九州圏でビジネスマンが多い立地」を中心に出店する。
 都心出店に舵(かじ)を切る背景には人口の都心回帰などがある。青山商事は、若者の「車離れ」を含め、消費者の生活スタイルが変化し、公共交通機関を利用して買い物をする傾向が強まったことも背景とする。
 駅前は平日に幅広い世代のビジネスマンの来店も見込める。人口が減少する中、都心一等地の重要性はさらに高まる。天神は2強の大型店が競合する構図となったが、主要都市の都心部で今後、同様の事例が増えるかもしれない。

2010/05/28
 先週上海で開かれた「J―モードフェア」に初出展したナイガイ・イムは、上海億星と組みテレビ通販と卸売事業を年内にスタートさせる。商品は日本でテレビ通販をしているレディスブランド「マリアーニ」だ。
 日系婦人服ブランドは、百貨店インショップ展開にネット販売も加えるビジネスモデルが大半だった。ナイガイ・イムは、従来と異なるビジネスモデル構築をめざす。
 中国のテレビ通販市場はこの2、3年利用者が少なく、「うそっぽい」イメージが定着。管理する中国国家広電総局は昨年通達を出し、再編、整備と規制に乗り出した。4月1日には中国初の24時間のテレビ通販が上海の東方ショッピングでスタート。同日開催されたセミナーで関係者は09年のテレビ通販市場規模は234億元規模で、10年後には5000億元に伸びると予想した。
 09年の社会消費品小売総額に占めるテレビ通販のシェアは0・19%で、同ネット販売のシェア2%弱の約10分の1程度。だが、東方ショッピングが4月1日に実施した上海万博向け特別企画では1軒300万元の別荘が30分間の放送で27軒売れた。消費購買力は盛んなので内容とやり方次第。「これから伸びる」中国テレビ通販に日本のノウハウを生かせるのではないか。

2010/05/27
 中国市場への関心は高まるばかり。ただ、先行する大手の素材メーカー、アパレルメーカーの多くが苦戦を強いられている。商慣習や文化の違いが要因の一つだ。東レの10年3月期連結決算によると中国繊維子会社の売上高が1023億円、営業利益37億円となり、繊維事業の大きな収益源となった。長年の努力がようやく実を結んだといえる。
 中国内販を強化しようとするあるアパレルメーカーの社長は、回収の問題が付きまとうとしながらも「リスクはどこにでもあるもの」と指摘する。中国国内で製造し中間層向けの商品の販売を計画する同社は「中国の賃金上昇は乗り越えなければならない課題」と言い切る。現地化の重要性も実感しており、従来の枠にとらわれない人材の確保を考えている。
 中国で成功するためには「どれくらい本気で商売をするかだ」と現地で働く日本人からよく聞く。日本と韓国では国内市場の規模が異なるので一概に比較はできないが、中国市場で存在感のある韓国アパレルメーカーは、経営資源を中国に集中投入し、韓国より中国の方が売上高の大きい企業もある。
 「中国市場は2ケタ成長が続いているから」といった安易な発想ではなく、商慣習や文化の違いを克服し成功するためには事前の市場調査など準備と実行する覚悟が重要なのでは。

2010/05/26
 夏のバーゲンセールの案内が届いている。早いところで6月25日に始まり7月1日には一斉に入る。例年、本格的なバーゲン入り前に「優待セール」と称した値引き販売を実施するテナントも多く、今夏も早期から激しい値引き合戦が繰り広げられそうだ。これではバーゲン入りしてもどれだけの効果を発揮するか心配になる。
 本紙でもバーゲンセールの早期開催については多様な意見を取り上げてきた。早期化が進むことでバーゲンのための商品を作るケースも珍しくなく、期末に実施されていた頃とは商品政策も大きく変わった。在庫処分などの本来の意味合いを離れて、バーゲンそのものをイベントとして冷めた目でとらえるところもある。
 消費者の意識も変えた。「年2回の期末セール」という光景は過去のものになり、バーゲンばかりでなく年間を通して様々な形で値引き販売が実施されている現状に、消費者はもう「値引き慣れ」をしてしまった。ちょっと待てばお目当ての商品が安く買えるという情報をいつも携え、安くなるまでの間我慢することも辞さない。
 実質プロパー販売期間が年々短くなり、しっかりプロパーで売るという課題とともに、消費者の「値引き慣れ」とどう戦うかは同じ問題。改めてプロパー販売とバーゲンセールあり方を再考する時期が来た。

2010/05/25
 堂々のデフレ終結宣言であった。ワールド3月期決算会見での寺井秀藏社長の発言である。「09年は価格の秩序がリセットされた年」として、安い=トレンドが過ぎ去ったと分析。リーマンショック後の景気の底は08年12月から09年3月が1回目、その後も停滞し、09年11月に2回目の底となったが、12月から完全に潮目が変わったという。価格の時代を経て新しい価値の時代に突入というわけだ。社内外に向けて、価値の競争をしようというメッセージにも受け取れた。
 確かに、今年のゴールデンウイーク商戦は活発だった。先行き不透明という不安はあるが、少なくとも以前よりは物を買いたい、買うなら価値あるものを、という傾向はいろいろなところで見て取れる。
 昨年の今頃は、消費低迷に加え、新型インフルエンザで大変だった。特に神戸、大阪は大型イベントの中止や、外出抑制の指示が出て、5月の売り上げはファッションビル、百貨店とも2ケタのマイナスが相次いだ。
 それに比べれば、今年は昨年あったマイナス要素はなくなったし、消費回復の兆しもある。物事には勢いも大切だ。5月の数字は少なくとも天候不順に泣かされた4月よりはいいだろう。波に乗っていけたらいいのだが。

2010/05/24
 伊勢丹が主宰する共同仕入れ機構の全日本デパートメントストアーズ開発機構(ADO)は今年度、教育活動を重点にする方針を掲げた。単独で教育課程を作成、運営するのが難しい地方百貨店から要望が強い教育事業の予算を大幅に増やす。一方、共通商品の開発を当面、凍結するという。
 ADOは10年前に、共通商品取扱高を1000億円に拡大する方針を掲げた。加盟企業の総売上高が2兆円規模を維持していることを前提に、「存在価値を高めるには共通商品取扱高はその5%は必要」として設定。00年度には291億円だった取扱高を08年度に894億円に拡大する成果を上げた。
 ただ08年には「1000億円を成功指標としない」と拡大路線を転換。09年度は消費低迷に加え、発注する加盟店が少ない商品を廃止するなど質の向上を主眼に中身を整理し、取扱高は752億円に減った。
 路線転換の背景には三越と伊勢丹の経営統合もある。例えば仙台三越は、ADO共通平場の「ユニットショップ」を今秋に導入する予定。藤崎が導入している分野は避けるというが、ADO加盟店と三越が競合する地域で、新たな調整が必要になることが予想される。共同仕入れ機構として商品事業で全体のメリットをいかに創出するか。難しい局面を迎えている。

2010/05/21
 上海市の南京西路に世界最大最新のユニクロ上海グローバル旗艦店がオープンした15日。開店前から、店の周りには数百人の客の列ができた。数日たった後も、店内のレジや試着室の前には、まだ列ができている。開店前後のユニクロの宣伝はテレビ、新聞、南京西路駅借り切り広告、南京西路街頭フラッグなど大規模なものとなった。
 柳井正ファーストリテイリング会長兼社長は開店前の記者会見で「今後、生き残れるのはグローバルに通用する小売業だけ。グローバルに通用する企業にすれば、東京でも上海でも売れる、そういう消費世界になってきた」「ファッションに関しては格差をつけないで、世界同一の価格で売っていくのが普通だと思う。現地に合わせたユニクロを誰も期待していない。日本で売られているユニクロが買いたいのだ」と強調した。
 繁盛店の条件はまず買いたい商品があるかどうかだが、店にどれくらい客がいるかどうかも判断材料となる。客が一人もいないレストランには入りづらいものだ。客が「列をつくる」ことはお客に安心感を与え、需要を喚起させる。長い列を作れるだけの“仕掛け”や総合的な力があるか。
 入店待ちやレジ、試着室の前に長い列ができているかどうかが、繁盛店になるかどうかの一つの試金石だろう。

2010/05/20
 中国の最低賃金が上昇している。中国経済は世界的な金融危機の影響からいち早く脱し、再び高い成長軌道に戻っている。これに合わせるかのように主要都市の最低賃金が軒並み前年比2ケタ増となる見込みだ。上海、寧波、杭州などでは1000元を超える。本紙でも繰り返し報道しているが、今年の春節後に繊維・ファッション産業では人材不足が深刻化している。
 春節後、中国沿岸部にある大手企業の担当者に人手不足問題を聞いたら「わが社は問題ない」と話す人が何人かいた。理由は「地元でイメージアップのため広告宣伝を続けた」「政府の最低賃金改定に先行し、より高い賃金を設定すると同時に社会保障も充実した」との返事だった。
 いままで人材の供給源だった内陸部に製造業が移転したため、春節後に沿岸部へ戻ってくる人が減っている。イメージアップと高い給与で十分な人材を確保しようというもの。コストの上昇を確保するために「従来より付加価値の高い製品を手がけていきたい」とも話す。
 沿岸部では人手不足が慢性的になりつつある。繊維製品の大部分を中国に依存する日本企業にとっても納期遅れや不良品発生の原因になりかねず、対応が求められている。日本国内の市場は小売価格を上げられるような状況にはないだけに、新たな枠組みづくりが急務となっている。

2010/05/19
 SC経営にも携わったことのある元百貨店マンに話を聞いた。百貨店の再生にはSCの経営手法を取り入れることがヒントだと言う。融合的な業態も出てきたが、確立は当分、先のような気がする。双方の壁を高くしているのが何なのかを、薄々感じてはいるようだが、なかなか超えられないようだ。
 SCにとっても今が正念場だ。ライフスタイル提案や快適性、利便性をうたったSCが大半だが、もっと顧客の五感に刺激を与えるようなSCの出現を期待したい。そうしないと百貨店とSCの融合は「単に収益構造を改善するだけにとどまってしまう」と先の百貨店マンは指摘する。
 都市型SCの草分けとなったパルコの生い立ちを思い出す。衝撃だったのはディベロッパーが主導権を握り、フロアごとの性格を明確にして主張性の強い店を提案したこと。入り口にわざわざ重いドアを設置して「店に興味を持った客だけが入ってくれれば良い」という、今となっては考えも及ばない強烈な自己主張だった。パルコは商業から文化まで全く新しい小売業のあり方を提案したのである。
 「客目線」に立つことが百貨店やSCに共通したテーマである。客目線から半歩先、あこがれや五感を刺激するようなSCを期待したい。焦点ボケしたSCでは百貨店の再生を助けるなどには遠く及ばないだろう。

2010/05/18
 ファッションブランドの合同展示会は大小さまざまなものがある。どこも共通する課題が、マンネリ化。最初は盛り上がっても、同じ形態を続けるうちに鮮度が落ちて、来場者も減る。
 最近の合同展を見ていると、こうした失敗を繰り返さないように工夫した取り組みが見られる。あるキャリア系ブランドの合同展は来場者も少なく先が危ぶまれていたが、最近はにぎわうようになり、出展社の結束も強まっている。出展社のブランドを編集したセレクトシッョプを百貨店で期間限定販売する取り組みを始め、数字をたたいている。卸だけでなく小売りにも踏み出した。中国でも合同展をやろうと意気はさらに高まっている。
 別の合同展は、各社が30店のバイヤーを呼び、他社にも紹介することを条件にしている。バイヤーを呼ばず、他社による恩恵を受けたメーカーは次回以降脱落するか、しっかりバイヤーを動員するという。何よりも、本気で受注を獲得するという強い意思を持つことが、にぎわいの要因となっている。だから、出展社から今度はこうしようと新しい提案が次々と出てくる。
 主催者の努力が必要なのは言うまでもないが、これに寄りかかるだけでなく自立したビジネスを目指すことで、一体感や結束が高まり、マンネリ化を防げるような気がする。

2010/05/17
 「追加発表の予備登録メンバー7人を中心にしたチームの方が強いんじゃないか」。友人がこんな意見を言っているのを聞いた。先週発表されたサッカーW杯南アフリカ大会の日本代表のことだ。
 追加発表の7人は、先に発表されている23人がケガなどで出場が難しくなった場合に、決められた期限内での繰り上げが認められる。23人の「レギュラー」に対し、7人の位置づけはいわば「補欠」の色彩が濃い。
 しかし7人には、昨年の日本年間最優秀選手とJリーグの得点王がいて、リーグ屈指のドリブラーもいる。レギュラー組の最年少が22歳に対し、今夏からドイツ一部リーグのチームに移籍する21歳というフレッシュな選手もいる。レギュラー組より強いかどうかは別にして、なかなか豪華な顔ぶれではある。
 ただ、誰が見ても納得する選手選考などはない。この23人が現時点のベストという意見も少なくないはずだ。
 スポーツであれ企業であれ、人事は難しい。全員が満点をつける人選はなかなかない。周囲を納得させるには、評価基準を明らかにし、目標達成に何が必要かを示し、選んだメンバーで結果を残すしかない。ただ、結果を評価する尺度となる目標をどこに設定するかもまた難しい。ちなみに、今回のW杯の日本代表の目標はベスト4だ。

2010/05/14
 中国・杭州市の景勝地、西湖のほとりにあるホテルの壇上に孫正義ソフトバンク社長兼ヤフー会長と馬雲アリババグループCEO(最高経営責任者)の“インターネット界のカリスマ”2人が現れた時、“時代は変わる”という雰囲気にさせられた。
 背後には「最強連合の誕生」「プラットフォーム相互接続」「ワールドワイドのショッピングを楽しむインフラ誕生」という標語が象徴的に並ぶ。アリババグループ傘下のアジア最大のEC(電子商取引)サイト「タオバオ」とヤフージャパンが業務提携、6月1日からタオバオと「ヤフーショッピング」の取扱商品の相互取引サービスが始まる。
 2015年にはアジアのネット人口が世界の5割になり、アジアでナンバーワンにならなければ、世界でもなれない時代となる。市場予測では10年以内に日中の市場を合わせると世界最大のGDP(国内総生産)になる。
 馬氏は「中国の市場は広くて薄く、日本の市場は奥が深く、経済の相互補完性がある」、孫氏は「日中の経済圏の成長に寄与する。両国の人々が国境を超えて生活をもっとエンジョイしあって、平和で心が一つになる世界になるのではないか」と強調する。利用者にとってどれくらいコストメリットがあるかについては未公表だが、ビジネス界にも未来の大きな絵を描く人が必要ではある。

2010/05/13
 化合繊メーカーの決算発表がピークを迎えている。繊維事業の業績をみると、衣料用素材は残念ながら苦戦が続いている。下期から需要が回復基調にある自動車や電器・電子を中心とした産業用資材が、衣料用素材の不振を補うといった構図が一般的だ。
 昨年は多くの素材メーカーがポリエステルなど主要素材の国内生産停止を決めた。同業他社への生産委託、海外移転など対応策は各社によって違う。長年、素材を使ってきた産地企業の中には素材が安定的に供給されるのか不安をもつところもある。
 国内で生産を維持する素材メーカーは、「国内で生産しなければ新たなものを生み出せない」と異口同音に指摘する。実践の場がない実験室だけでは市場に合った素材をタイミング良く開発するのは難しいという。日本の強みは「物作り」であることは誰もが認めるところ。
 繊維事業が赤字の企業の多くが今期中の黒字化をめざしている。海外に生産を移転した企業の中には、日本市場を意識した新素材を開発して現地生産を始めているところもある。従来のビジネスモデルでは日本で高付加価値素材を開発生産し、海外で汎用品を生産してきた。日本に開発のみを残し、ほとんどの素材を海外で生産する試みは化合繊メーカーも初めての経験だけに、今後に注目したい。

2010/05/12
 大型連休で久しぶりに売り場に活気が戻ったのもつかの間、その後は一段落の状況だ。「天気頼み」の一面も否めないが、ファッションビジネス全体が大きな岐路に立たされている今、「客目線」で乗り切って欲しいものだ。
 小売業のトップは今年を正念場ととらえ、客数をいかに増やすかを経営戦略の柱に掲げる。下げ止まらない客単価に、客数増で何とか売り上げを底上げしようと知恵を出す。「客を呼ぶ」ことに真剣に取り組み始めたことに拍手を送りたい。
 経営環境が悪化して最初に削ったのが販促費。現場は削られた経費の中で広告宣伝や様々な見直しを迫られた。一方で、いかにして効果的な販促を打つか、現場は「客集め」の一点に集中。それでも店のイメージを上げ、集客に効果的な販促はなかなか生まれない。
 やはり店が楽しくなければ客は来店しない。客が楽しくなったり、自分を変えることができるような販促宣伝にもっと気を使って欲しいと客目線からは思う。割引やポイントカードの割り増し付与も消費刺激策として結構だが、一時的に終わるケースがほとんどで、とりわけキャンペーン後の売り上げ低迷が大きな課題になっていることも確か。
 客は店に刺激を求めている。その刺激を満足させるような販促宣伝を期待したい。

2010/05/11
 中国市場での販売が熱を帯びている。低迷する日本市場と違い、リーマンショック以降の不況から抜け出し、上海万博の活況もあってか、業種業態を問わず、成長の切り札とさえ見られるようになった。中国内販のセミナーも満杯になる状況だ。
 ただ、今のところファッションブランドで大成功を勝ち取ったところはなかなかない。日本では大手でも、中国ではそうはいかない。その意味では大手も中小もほぼ同じスタートラインと見ることができる。では、ファッションブランドとして成果を出すには何が大事なのだろうか。
 まだ、年商30億円に満たない企業が今秋、小売り、卸売りの両面で中国に出る。日本と同じビジネスモデルを持っていく。ここまではよくある話だ。ここの社長は進出と同時に住まいを上海に移す。既に住宅も確保した。中国で事業を広げるには、百貨店、ディベロッパー、代理商などとの付き合いが欠かせない。中国に住むのは、自らの手でビジネスを開拓するとともに、関係者に本気度を見てもらうことが狙いなのである。ブランド、企業の知名度が高くないことを、経営者の姿勢を示すことで、局面を打開しようというわけだ。
 中国で成功するには商標の登録に始まり、さまざまなライセンスの取得、現地での企画生産体制の確立などやることは山ほどある。一番求められるのは本気度でないか。

2010/05/10
 名づけて「みちのくフルーツ大作戦」。東北地方を中心に店舗展開する百貨店の中合は、各店の地元の旬の果物を全5店の店頭で前面に出し、顧客にアピールする施策を本格化する。今月のサクランボ(山形)を皮切りに、7月に福島のモモ、8月には酒田のメロンと、果物ではないが庄内のだだちゃ豆、11月には青森のリンゴと続く。
 同社は以前から、果物産地を地元に抱える各店が地産地消を重視、ギフト需要を見込める高級品種を扱ってきた。これを全店の目玉商品に位置づけを格上げし、地元とのつながりをさらに強め、各店が新たなギフト需要を掘り起こす狙いだ。
 ただ、それだけでは「大」作戦とはいえない。中合は、地産地消ならぬ、地産「全」消を視野に入れる。例えば親会社のダイエーの商流を活用し、販売の範囲を東北以外にも広げる。各地の名産品をインターネットで販売する仕組みを独自に築く構想も温める。全店での扱いは、地理的制約を超えて地元産品の販路を「全国に広げる一里塚」(安藤静之社長)なのだ。
 地域の顧客が望む商品やサービスの提供だけが地域密着ではない。地場産業の販路を広げる拠点となり、地域経済を活性化させるような、地域密着の新しい可能性を追求することも地方百貨店の役割かもしれない。

2010/05/07
 上海万博開幕の前夜に行われた開会式で上海音楽学院教授も務める歌手の谷村新司さんがアジアの代表として登場し、中国でもヒットした昴(すばる)を熱唱した。会場を貫く黄浦江をステージに、両岸、高架大橋から打ち上げられる華麗で圧倒的な花火。
 参加国・地域の旗をなびかせて走るボートの群れ、対岸の電光掲示板にも流れる参加国・地域の旗、そしてはっとさせられたのが子供の似顔絵の数々。上海万博の展示やマルチメディアでよく取り上げられているのが、青い地球や子供である。スペイン館では巨大な赤ちゃんロボットが人気を集めている。
 上海万博のテーマが「より良い都市、より良い生活」。生活を楽しむことにかけては、やはりラテン系の国々や地域がうまい。イタリアは丸ごとイタリア式デザインとライフスタイルの館にしてしまった。ドームの壁面を飾る11対のドレスやオーケストラの楽器。フロアで観客が見上げる巨大な靴や4人のデザイナーによる服のオブジェ。デザイン、おしゃれ心が、より良い生活には欠かせない。
 360度パノラマシアター、ロボットは人気者。パノラマシアターの映像は目まぐるしく変化する現代社会を象徴している。子供たちに美しい地球を残しながら、生活をさらに楽しむ。半年後の社会と生活の変化が楽しみだ。