繊研新聞掲載のコラム
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視点/2010年03月
2010/03/31
アマゾンの挑戦
IFI(ファッション産業人材育成機構)ビジネス・スクールのセミナーで、アマゾン・ジャパンの幹部の講演を聴く機会があった。軌道に乗った雑貨の買い物サイトを足掛かりにいよいよ服飾全般に挑戦するという。書籍などの購買履歴で利用者の興味関心をある程度つかんでいるため、マニアックな商品でも対象を絞り込んで売り込めるのが強みだ。
では、どんな商品を扱うのか。ファッション事業部の責任者は1社だけ具体的に社名を挙げた。社員11人のTシャツメーカー、久米繊維工業である。ブランディングを最重視した商品開発とネットの活用実績から、パートナーに最もふさわしいと感じているからだろう。
魅力的な商品があれば、企業規模の大小は問わない。過去の流通構造のしがらみもない。そんなネット企業が「日本一のファッション小売業」を目指している。この動きが象徴するビジネスの変化は止まらない。(吾)
2010/03/30
海外メーカーのつぶやき
米国のカジュアル合同展を取材していて、印象に残る言葉があった。「日本のバイヤーは、どうしてこんなにここに来ているのか。東京こそ世界の先端だ。私たちは日本にアイデアを求めに行っているのに」。オーストラリアのカジュアルメーカーのオーナーが皮肉交じりにつぶやいた。
今回の取材でも、レギンスやロールアップパンツなど、我々から見れば「今さら?」と感じるような提案が少なくなかった。リアルクローズの世界でも、日本市場の動きが海外に影響を与えるようになっているのだろうか。
日本のバイヤーにとって、海外に新しい商品を探しに行くのは当然の仕事だった。しかし、日本の市場が成熟した今、そのスタイルも見直す時期ではないか。
ならば日本にとって、欧米市場の位置づけは変わる。今こそ日本のトレンドやビジネスモデルを積極的に売り込む時。あとはどれだけ本気で取り組めるかだ。(恵)
2010/03/29
折り目の正しい服
ジャージーのチュニックやロングTシャツにレギンスやトレンカ、ストレッチデニム。ここ数シーズン、レディスではやった服はどれもリラックス感があって伸び縮みするものばかりだ。動きやすいし、着心地も良い。パンプスをはけば様にもなるし、洗濯も楽。ティーンエージャーからOL、主婦まで便利アイテムとして活用した人は多いはず。
ところが、10~11年秋冬はそんな緩い服とは対極にある“ぱりっと張りのあるきちんとした服”が注目されている。アイロンを当てたシャツ、センタープリーツのスラックス、ウエストをマークするベルテットドレス。緩んだ体や感覚が引き締まるような折り目の正しい服が戻ってきた。シャツは第1ボタンまで留めて、裾をボトムにタックイン。背筋が伸びるような感覚を、心地良いと感じる人も多いだろう。
デザインそのものはシンプルで地味だが、新鮮な感覚は購買意欲を刺激しそう。レディスマーケットにとって良い傾向と言えそうだ。(規)
2010/03/26
生活の質
ウール100%のウオッシャブル加工「テックール」が婦人服メーカーから注目されている。テックール会によれば、キャリア向けスーツでの加工の引き合いが昨年から増えている。
注目されている背景には、ウオッシャブルというイージーケア性が、年々忙しくなる生活スタイルにマッチしている点があるのではないか。
ウール100%製品のケアは難しい。収縮やフェルト化などもあって、ドライクリーニングが一般的だ。しかし家庭で洗濯と乾燥を行っても外観が変わらないとなれば、イージーケア性が増す。とりわけ汗をかく夏には、綿のカジュアルウエアのように気軽に洗濯して着られる。つまり利便性を高めることによって、自分の時間が増えて生活の質を高められるというわけだ。
仕事上やお呼ばれなどどうしてもきちんとした服を着なければならないケースにマッチしたウオッシャブル機能。機能性はこうした生活の質を上げるところに着目すべきだろう。(浅)
2010/03/25
イッツ・インターの挑戦
フランドルと商社・素材メーカーとの共同出資会社が今春立ち上げたSPA(製造小売業)「イッツ・インターナショナル」。アパレルと大手商社、素材メーカーが一体となった仕組みを生かした価格設定が注目されている。
伊マルゾット製のナチュラルストレッチウールのジャケットで1万9000円(本体)、高級エジプト綿使いの国産30ゲージニットトップで6900~8900円など。ユニクロやファストファッション企業の同じアイテムと比較すると高い。しかし、素材などの質の高さの割には安い。栗田英俊社長は「究極の上質商品を従来の仕組みでは出来ない価格で提案し、単なる価格訴求ではない新しい市場を開拓したい」。
「出足は順調」で、特に東武百貨店池袋店では「商品の価値に対して割安だと分かる」客の支持を得て好調だ。「事業として確立するまで3年はかかる」と言うが、この挑戦は今後の衣料品の価値と価格の設定に大きな影響を与えるような気がする。(有)
2010/03/24
顧客の気持ち
先日、小学校の卒業式を迎える息子のために、人気のアウトレットモールに出かけた。微妙な空模様だったが、天気は回復という予報を信じて傘は持たずに車で二十数分、モールに着くと小雨模様。息子は車いすなので、辛うじて空いていたモール正面の障害者用駐車場に車をとめた。
しばらくすると雨脚が強まり、それでも買い物を続けるうちに、この商業施設の不可解な造りに腹が立ってきた。車いすを押しながら移動すると、雨を避けることが出来ない造りなのだ。当然、ベビーカーを押す人も同じ。丘陵地に造られたオープンモールで階段のない中央通路は露天、店が連なる両側はひさしが伸びて雨にはぬれないが、何カ所も階段が待ち受ける。
嫌がらせに近いこの造りで平気な運営会社は、一体何を考えているのか。一度、雨の日に車いすやベビーカーを押しながら、買い物袋を提げて傘を差してみるといい。想像力がないなら、実際に体験してみれば顧客の気持ちが分かる。(青)
2010/03/23
トレンドの売り方
トレンドとなると一斉にそこに群がり、トレンドが変わると、あっと言う間に離れていく。それが昔から言われる日本型ファッションビジネスの特徴だ。その最新版が現在の「セリーヌ」を巡る状況だと言われている。
今春夏からフィービー・ファイロがクリエーティブディレクターに就任、2シーズン続けてパリ・コレクションでの評価は高い。半年前から百貨店、専門店でブランド争奪戦が繰り広げられた。しかし、そんな状況を、冷めた目で見る専門店オーナーもいる。
「そのブランドがいつまで続くのか、トレンドが変わった後、どういう売り方をしていくのか。百貨店はそういうことを考えていない」と手厳しい。もちろん、同じブランドを導入しても、売り場環境によって結果は異なるし、すべての百貨店で売れるとは限らない。旬のブランドを導入したい気持ちは分かる。しかし、デザイナーを大切にして、長くそのブランドと取引を続けるという商慣習=モラルもなくてはならない。(拓)
2010/03/19
良質な関係
売り場のマルチチャンネル化が進んでいる。実店舗とネットの垣根はどんどん低くなり、現状では実店舗、ネット、テレビ、雑誌などを複合的に組み合わせ、情報発信による認知向上や売り上げにつなげていくのが普通になってきた。
こうした中で次なる課題は、消費者との良質な関係をどう築くかだ。店頭での接客のほか、ブログや「ツイッター」で発信するスタッフが増えた。この人たちが何をいつ、どうやって、どんな内容を伝えるかによって、消費者との信頼関係は変わってくる。
リアルでもネットでも、心地良く、便利で、期待以上のサービスに信頼感は増していく。情報過多の中で信頼を築くのは消費者と向き合う最前線のスタッフたちで、その働きによって信頼はブランドや店へと広がる。自分に嫌なことを、他人にしていないか。顧客を大切にするという店でも意外に出来ていないことがある。定期的に見直すことが必要だ。(窪)
2010/03/18
旅立ちの日に
文化服装学院ファッション工科専門課程の卒業ショー。卒業式でおなじみの合唱曲「旅立ちの日に」が最後に使われ、学生たちがステージに次々と登場する姿を眺めていたら、涙があふれてきた。
アパレルデザイン科を中心とする同課程は、物作り教育を重視する同校の花形コース。世界で活躍する日本人デザイナーを多数輩出してきたことでも知られる。しかし、今春の卒業生のうち、ファッション界でデザイナーやパタンナーとしての第一歩を踏み出せる人は何人くらいなのだろうか。専門職の新卒採用枠はかつてなく狭く、さらに国内アパレルの物作りの現場は以前とは様変わり。語学を頑張って中国で就職しようと思っても、現地採用が中心という。日本のアパレル産業の成長期には想像できなかったほどの環境の悪さが彼らの前途を待つ。
屈託のない姿が胸を締め付ける。もっと多くの業界人に見て欲しい。(吾)
2010/03/17
再び有利な流れを
日本ブランドの中国進出が拡大している。アパレルに限らず、服飾雑貨やライフスタイルを軸としたブランドが、消費者に新たな息吹を吹き込もうとしている。
同質化を嫌い、消費者への新たな仕掛けを狙う売り場の動きに沿ったもので、新しい価値を提供された消費者の反応を見聞きしていると、可能性を実感することも少なくない。ローカルブランドに押されていた進出先行組も、ここに来て攻略に本腰を入れている。
「ある程度、値引きや価格対応をしないと顧客がつかない」中国市場。原価率引き下げのため、現地MDを強めて弱点を克服する一方、VMD強化へ人材を配置し、長所を伸ばそうとしている。
日系ブランドにとって、日本以上に可能性と厳しい競争が共存する中国市場。07年以降、日本ブランドは売れないというイメージを持たれ、出店に苦労する場面も増えた。内販を巡る積極的な動きの広がりが、日本ブランド全体に再び有利な流れを形成することを期待したい。(畔)
2010/03/16
前衛なる印象派
今年は、ルノワールをはじめ、マネやドガなど印象派にスポットを当てた企画展が多い。一瞬の光を描いた作品を前にすると、ホッとした気分になる。印象派への注目は、普遍的な価値に回帰したいという願望の表れかもしれない。しかし、この印象派、意外にもデビュー時にはバリバリの前衛表現だったという。前衛が普遍化し、さらに価値あるものだけが世紀を超越する。
昨年から“安さ”がファッションを席巻してきた。しかし、衝撃だった低価格に、早くもさして驚きをおぼえなくなった。値頃に商品を提供する理念や企業努力は素晴らしいが、もはや安さはファッションの前衛表現ではない気がする。ファッションは様々な価値が混在するカオスだからこそ、誘蛾灯(ゆうがとう)のように人を引き付ける。前衛不在の世界はつまらない。ただ、本当の前衛とは表層の奇抜さではなく、保守と裏腹だったりもする。今は、一過性のトレンドではなく、アイデンティティーと向き直す時なのかもしれない。(網)
2010/03/15
将来見据えた投資
「先日、アフリカに市場調査に行ってきたんです」。ある婦人靴メーカーの社長の言葉を聞いて驚いた。セレクトショップのOEM(相手先ブランドによる生産)中心で、最近はオリジナルブランドの海外販路開拓にも力を入れる同社は、高感度の靴を得意とする。「なぜパンプスでアフリカ?」と一瞬首をかしげたが、「常に先を見て、新しい市場を開拓するのがビジネスでしょう」との答えに納得。
アパレル業界全体でも、縮小する国内市場に代わって海外に販路を求める動きが目立つ。市況が厳しい今、危機を乗り切ることが最優先だが、将来を見据えた投資も忘れてはならない。
「最後の未開市場」といわれるアフリカは、若年人口が多く、将来の成長をにらんで電機大手各社も開拓に力を入れ始めた。ライフスタイルが変われば、ファッションに対する考えも変わるはず。進出のタイミングは重要だが、アパレル各社がアフリカに投資する日も、そう遠くないかもしれない。(佐)
2010/03/12
背景のある物作り
テキスタイルデザイナーの新井明子さんがプリントデザインを手掛けるファイブフォックスの「アルチザン・サラサ」は、1メートル3000円もする生地を使った服だが、低価格化が言われる時代に売れている。その理由は、「物の価値や背景にある文化を理解してくれる消費者は、不況の時代でも必ずいる」からと言う。
新井さんはプリントデザインの世界で53年のキャリアを持つ。戦後、和装から洋装へと急激に変化する中、子供服のプリント画を手掛けた学生時代のアルバイトが、この世界に入るきっかけだった。いくつかの会社を経て独立、「デザインポリシーのあるところと組む」をモットーに、個性的な物作りを志向するデザイナーやアパレル、小売店と一緒に、日本のファッションを支えてきた。
各国の歴史やアートの膨大な資料で学んだ知識や、製造現場を回って得た人脈、そして長年の経験。こうした背景のある物作りが、消費者にも伝わるのだろう。(壁)
2010/03/11
テキスタイルの中国事業
服地コンバーターが、中国を市場として見る動きを強めている。しかし「日本市場が厳しいから」が動機で、困難さが先に立ち、具体的には何も進まない企業も少なくない。一方では10年ほど前から一つずつハードルを越えながら着々と中国への輸出を進め、今や現地での素材開発も行い、中国事業を柱として成長させた企業もある。
そこには、トップが新たな時代を見つめ、自社の存在価値を正面からとらえて、少しでも具体的挑戦に踏み出したか否かの違いがある気がしてならない。事業は一朝一夕には成功しない。困難な想定はきりがないほど存在する。しかし、「無理だよ」で片付けてしまえばそこで終わる。そして時代に取り残される可能性も大きい。
今、どこの企業も失敗できる余裕はない。だが、こと中国とかかわる事業なら、中国の市場も中国アパレルも本格的な成長はこれからだ。「もう遅い」ことはないのではないか。(喜)
2010/03/10
やりがい
古着をリメークし、それを販売する仕事に就いている友人がいる。大量生産が難しいため、自分の手でサンプルの作成、生産まで行う。こうした労働の対価に支払われる賃金は非常に安いが、彼は「今は修行段階のようなもの」として、それを受け入れる。自分の古着屋を持つという目標がある以上、それは「辛いけど仕方のないこと」なのだ。ファッション業界では、しばしばこうした言葉を耳にする。
7月1日からは外国人技能実習制度が施行される予定で、今後の労働力の確保に不安の声が挙がっている。日本のファッション産業は外国人研修生しかり、こうした安価な労働力に依存しすぎたのではないだろうか。
無論、国際競争にさらされ、出せるぎりぎりの人件費で操業している工場も多い。しかし、安心して働けるような、他の業界に比べても将来に夢が持てるような業界でない限り、ファッションを支える人はこれからも減るばかりだろう。(騎)
2010/03/09
若手が新風
25歳女性。産地の機屋、産元商社に、記者と同年代の若手が新風を送っている。各産地に1~2人と決して多くはないが、共通項は元気いっぱいなキャラクターと、慣習にとらわれない“地頭”の発想と行動力だ。
産地展回りを欠かさない大手アパレルの担当者は「生地が若く、フレッシュに変わってきた」と関心を強める。外向きだけでなく、産地の内部にも確実に変化をもたらしている。商品内容を変え、順調に新規を増やす産元の社長は「3年前までは合同展に出ても既存客だけ。新規はまず来なかった」と変化を実感している。1社の変化は他社を刺激し、展示会全体の質を底上げしている。
産地は自販強化のため、アパレル・小売りの言葉を苦労しながら身につけてきた。物作りのほか、独自の提案・トレンドを語る企画も少しずつ増えている。彼らを頼り、任せたらいい。
今月は東京で毎週、産地展が開かれる。既存だけでなく、隣の新規ブースにも足を運んでみてはいかが。(麻)
2010/03/08
ニーズに追いつく
介護職員用に支給されるウエアはまだまだジャージが多い。昔ながらの裾ゴムジャージのイメージがあるせいだろうか、「着たくない」と思う人も少なくない。特に多数を占める女性職員からの評判は良くない。支給されても、はかない人もいる。
そんなこともあるせいか、ユニフォームメーカーの今年の企画は、ブーツカットやセンターシームでの脚長効果、袖の切り替えとラインテープを使った手長効果と、「いかに美しく見せるのか」を競った。ポロシャツも10を超えるカラー展開。色調も定番のパステル調ではなく、原色が目立つ。やぼったい印象の従来の介護職員ユニフォームとは様変わりだ。
介護現場でも「きれいに見せたい」というニーズは昔からあった。やっと企業サイドの企画が、女性職員のニーズに追いついた感じだ。高齢化社会の進行とともに、介護事業の従事者は増える。機能も大事だが、これからはファッションでもニーズを先取りするような商品の開発を期待したい。(育)
2010/03/05
輸出への気概
国内のテキスタイル消費量が減り続ける中、輸出に活路を求める企業は多いが、成功企業に共通していると感じたのが「気概」だ。だが、近年はあまり見られない。
特に産地の中小企業の場合は、煩雑な輸出業務をこなせる人もいなければ資金も少ないため、行政からの補助金で海外合同展に参加するケースが増えている。
取引のきっかけ作りや輸出の勉強には有効だろうが、バイヤーの呼び込みや通訳は合同展の主催者任せ、資金の大半は補助金頼みの感が強く、何としても輸出を成功させいようという意気込みが感じられない。合同展後、単独でフォローをした企業はどれだけあるだろうか。
成功企業は10年以上前から、手探りの状態ながら毎シーズン自らの足で地図を片手に海外市場を開拓し、商社などの仲介業者や委託生産元との関係悪化は承知の上で、背水の陣で挑んでいた。円高、不況の波が押し寄せる中、困難にくじけまいとする強い意志を見せて欲しい。(裕)
2010/03/04
色の効果
バンクーバーオリンピックが閉幕した。友人との会話で最も話題になった競技はフィギュアスケートだった。
記者もテレビにくぎ付けになって演技を見た。ただし、関心は衣装だ。どの選手もテーマや曲、審査員に与える印象を考慮して衣装にも気を遣う。フィギュア女子上位10人のうち4人が青系で、5人が赤系だったのが興味深かった。「青は集中力を高めて精神を安定させる」「赤は精神に刺激を与える」と本で読んだことがある。
レディスブランドの10年春夏物ではパステルカラーが人気だ。トレンドと連動したレースやチュールを使った商品もあれば、ルームウエアやリゾートウエアもある。色とりどりの商品が店頭に並ぶだけで、売り場の雰囲気も明るくなる。
色の持つ力はあなどれない。フィギュアスケートに負けないような“わくわく感”や“どきどき感”を、ファッションの売り場でも必ず作り出せるはずだ。(紗)
2010/03/03
政治家とファッション
日本の政治家はもう少しファッショナブルであるべきだ。最近のニュース報道で政治家のカジュアルスタイルを目にする機会が何度かあり、そう感じた。着ている服の一つひとつは上質そうでも、全体のコーディネートがファッショナブルとは言い難い。鳩カフェの時の首相しかり、G7の際の財務相しかり。
いい政治家とは優れた政治をする人であって、おしゃれな人ではない。しかし、クールジャパンとして日本のファッションが世界の注目を集めている今、政治家の服装もファッション大国日本を世界にアピールし、経済効果を生み出す有効なツールだ。米大統領夫人の着用によって、ニューヨークの若手デザイナーは世界中で話題になった。
「ベスト○○ニスト」に選出するなど、ファッション業界も政治家とおしゃれを結び付ける努力はしている。しかし、そうした遠慮がちな手段ではなく、政治家に正面きって「せっかくの機会を棒に振っている」と陳情する手立てはないものだろうか。(五)
2010/03/02
文化とブーム
欧州のスノースポーツ業界では楽観的な見方がほとんどだった。理由は「雪に恵まれたから」と非常にシンプル。欧州でシェア20%超の大手小売業は、ウインタースポーツカテゴリーの09年売り上げが前年比24%増。極端かもしれないが、主要メーカーや小売りに取材を重ねても、不安定な経済情勢の中でも総じて堅調な様相だ。雪があれば山に行くという、根付いてきたスポーツ文化の堅固さに感心した。
一方、日本はどうか。雪の多い少ないは影響するが、欧州ほどの差は感じられないし、勢いもない。あるメーカーの部長は「日本でのスノースポーツは、文化としては親しまれていない。活況だった過去も、今もそう」という。
最近になって、スキー、スノーボード以外にも雪山での“遊び”が紹介され、興味関心が少しずつ高まってきた。ブームに終わらせてしまった過去を反省材料に、改めてじっくりと市場を育てられるチャンス。各社の取り組みに期待したい。(嗣)
2010/03/01
楽しさ伝える接客
和装の大手小売業のいくつかの店舗で、客数増の取り組みが奏功し、前年を上回る集客を記録している。若い顧客も増えている。店頭MDや接客にも意欲的な姿勢の店だ。
和装業界でも価格の下落は厳しく、客単価の上昇は見込みにくいなか、客数増ときものファン作りへの取り組みが活発化している。10万円前後のプレタきものや合繊の洗えるきもの、ゆかたなどの低単価商品の構成比率を高めると同時に、ファッションのトレンドも意識したMDで客数増を実現した。コーディネート販売を強化することで、わずかながら客単価が上がっている。また、スタッフと顧客がきものを着て遊びに出かける機会も設けるなど、ファンを育てる取り組みも充実させている。
ある店長は「きものを着ると楽しい体験が出来ることを知ってほしくて勧めている。“買ってほしい”では伝わらない」と語る。ファン作りには、まず“着てほしい”という思いが大切だ。(沖)
