繊研新聞掲載のコラム
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視点/2010年08月
2010/08/31
これからの10年に
専門店の10年分のランキングデータをひも解いた。この間、郊外にも都心にも大型商業施設が開業し、オーバーストアになったのが実証された形になった。地代家賃や人件費のコスト増を粗利益率の向上で吸収しようとする姿が浮かび上がるが、08年度あたりからはこの構図が崩れ始め、リーマンショックやファストファッションの台頭による低価格志向、減収はこれに追い打ちをかけた。
この10年、不調で回答が途切れたり、市場から退場した企業がある。その一方で勢い良く成長した企業や高いポジションを堅持する企業など、その栄枯盛衰の様に、この間の変化の大きさを感じた。
総数332社。好不調にかかわらず84社からは10年にわたって回答を得た。この間に関係ができて、調査に加わった企業もある。回答数の多少はともかく、市場動向が検証できたことは意味がある。これからの10年には、どんな成長モデルが飛び出してくるのだろうか。(窪)
2010/08/30
作る楽しみ
手芸や洋裁などの手作り材料はかつて不況知らずだったそうだ。作る楽しみを満たすと同時に、不景気にあっては家計を助け、主婦の節約意識も満足させる一石二鳥の効用があった。
その手芸・洋裁材料の売れ行きが低迷しているという。ある専門店の社長は家計調査を引き合いに出し、手芸・洋裁材料に当たる項目の支出額が15年間で約65%も減ったことを指摘した。作るよりも買ったほうが安上がりになった時代性があるだろう。また手芸材料の主な顧客である女性が働くようになり、作り手に時間のゆとりがなくなったことも挙げられよう。
そうした中での08年秋のリーマンショック。消費者の経済的なゆとりもなくなって手芸材料の売れ行きがさらに悪化し、先の社長も「このままでは親から子に手作りの楽しさを伝える機会がなくなる」と懸念する。厳しい時代だが、作る楽しさは不変だと思いたい。この専門店では気軽に受けられる講習会を数多く実施してファンの拡大に力を入れている。(龍)
2010/08/27
問屋街
東京・東日本橋の現金問屋で組織する横山町馬喰町新道通り会が、ギフトショーに出展するとともに、問屋街とギフトショー会場を結ぶ無料バスを走らせる。昔はアパレル専門店の経営者は問屋街に足を運んだが、今の若い経営者は問屋街そのものを知らない。問屋街を見てもらうことで、マイナスイメージを一掃したいという試みだ。
繊維問屋街は各地にあるが、岐阜、大阪など全国的に衰退してきた。アパレル業界を取材していても問屋街が話題になることはない。一方で現金問屋も時代の流れに合わせて変わってきた。「問屋街に人が来ない。もはや商品を積んで待っている時代ではない」として、現金問屋というよりメーカーと呼んだ方がよい企業も増えた。自社でリスクを張ってオリジナルを作る。待つのではなく、自ら営業に出向く。
新道通り会の取り組みでは、会員小売店しか入店を認めていない店も期間中に限り、会員以外の入店を認める。一度、問屋街に足を運んでみてはいかがだろうか。(尊)
2010/08/26
際を超える
マルキュー系企業の際を超えた取り組みが加速してきた。今秋以降も百貨店へのさらなる出店や新カテゴリーの開発、ハイファッションと組んだ販促などが控えている。「マルキュー系自体、ニッチな独特のセグメントだったが、今は際があいまいになってアッパーに新しいゾーニングができている」と話すのは、新たにスイート系を開発したクレッジ。
ヤングの買い場や選択肢がますます増え、価格競争も継続。渋谷109が今春夏で前年の9割の売り上げになるなど苦戦していることもあるだろう。だが、各社から感じるのは、むしろ前向きの姿勢。市場変化による新たなチャンスや、これまでの成長から来る自信がベースになっていると感じる。
今秋、久しぶりに百貨店への出店を決めた社長は「話題のあるところには出たいし、何か新しいことをしたいという思いに共感した」という。ファッション本来の楽しさを思う熱意に裏付けられた挑戦に期待したい。(粟)
2010/08/25
手仕事の価値
最近、「手仕事」というキーワードが気になる。スカイツリー効果もあって盛り上がりを見せている東京の東側に、手仕事の店がじわじわと増えだし、今冬には秋葉原から御徒町にかける高架下に、工房ショップが集まる「アルチザンの街」がオープンする。そんなエリアを特集する雑誌も増えた。
似たようなトレンドの商品が並ぶファストファッションとは異なり、作り手の顔が見え、一つひとつ違う手仕事の価値が見直されているようだ。テレビ番組でプロダクトデザイナーの吉岡徳仁さんも「未来は、手仕事が最も価値を持つようになると思う」と言っていた。
手仕事という物作りへの関心の高まりは、産地にとってもチャンス。後継者不足や海外からの安価な製品の流入で元気がなくなる中、人が集まれば活気が出る。ただ、この流れをブームで終わらせないための努力は必要だ。先日取材した台東デザイナーズビレッジもそうだが、個人の作り手と産地を結ぶ仕組み作りが欠かせない。(佐)
2010/08/24
総合商社の繊維事業
総合商社にとって繊維ビジネスとは――いつも考えさせられる。決算を見ても、莫大な利益を上げる資源など他部門と比べて、貢献度は一部を除いて微々たるもの。繊維に携わるある商社マンは、他部門から「損さえしなければ良い」と言われて、相当落ち込んだそうだ。
商社にとって今の大きな課題は、海外での収益を拡大すること。実はそこに繊維が果たす役割がある。一般に新興国は、経済成長を成し遂げるために、労働集約型産業を重視する。中でも縫製業が果たす役割は大きく、新たな生産地を探し求める繊維部隊が現地企業と接触。現地企業は縫製で財をなし、他の産業へ進出するという流れは珍しくない。
その後、現地企業はコングロマリット化し、資源、エネルギーなど魅力的なアライアンスにもつながっていく。他部門の莫大な利益の裏には、繊維で培った人脈が隠れている。総合商社にとって繊維ビジネスは、短期的な利潤だけでは測れない重要な役割がある。(稲)
2010/08/23
不便の解消
ユニクロの秋冬の肌着「ヒートテック」が、早くも16日に発売された。先んじてイトーヨーカ堂は先月29日に防寒肌着「ボディヒーター」を発売。秋冬肌着商戦はもう幕を開けた。一方で、まだまだ続く残暑も影響し、別の店では涼しさや吸汗速乾を売りにする夏用の肌着も健在だ。
最近は素材の開発が進み、秋冬用だからといって厚ぼったかったり、見た目にも暖かい商品とは限らなくなってきた。冬でもコートの中は薄着のことも多く、アウターへの響きにくさが商品開発の重点になっていたからだ。
こうした冬のインナーの進化で困ったこともある。例えばキャミソールや半袖は夏物も冬物もあるが、涼しさ・暖かさという機能性が反対のものがたんすの中で混在している。タグに小さく商品名や用途を記入するなど、簡単に見分けられるようにはならないだろうか。
こうしたちょっとした不便の解消も、差別化の切り口になるかもしれない。(壁)
2010/08/20
中国での人材育成
アパレルパーツメーカーの中国事業が依然、健闘している。日系アパレルやSPA(製造小売業)、量販店などの現地生産への対応からここ数年は欧米、アジア、中国現地の大型企業との取り組みが本格化している。安さが求められる一方で日本の品質、納期、デザインなどが着実に世界市場で信頼されつつある。各社、中国資材企業などのレベルが上がり、競争が激化する中でも、今後のビジネス展開への自信をのぞかせる。
ただ、ここにきて各社が口を揃えて強調するのは人材の重要性。「人材が世界ビジネスの成否を決める」という認識だ。中国の現地法人には日本の会社という意識ではなく、「むしろ中国の企業になりきることが世界ビジネスを進展させる」と考える。そうなろうと思えば雇用した中国人労働者をどのように成長させ、マネジメント能力を向上させていくかがカギを握る。そのためには、本社のある日本サイドも世界視点の意識を内実化していくことが欠かせない。(木)
2010/08/19
ひつまぶし
「ひつまぶし」を食べた。ウナギのかば焼きを切っておひつのご飯の上に並べた料理。うな丼との違いはその食べ方だ。そのまま食べるのも良し、薬味や出汁をかけてお茶漬けにするも良し。いろいろな食べ方が、欲張りな名古屋人の心をとらえた。記者も名古屋出身。名古屋人といえば、ケチなくせに見えっ張り。お得感のあるものが大好きだ。1粒で2度おいしいなんてのはもう大好物で、ひつまぶしはその代表例だ。
1粒で2度おいしいは、服にもある。たとえばリバーシブル。あるバイヤーも「リバーシブルはお得感があって、接客のきっかけにもなりやすいからありがたい」と。
なるほどと思いつつも、記者はリバーシブル物を一点も持っていない。昔はともかく、今はリバーシブルに食指が動かない。リバーシブルにする必然性が気になってしまう。2度おいしくすることよりも、完成されたデザインが欲しい。デザインコンシャスな服が好きというのも名古屋人の特徴である。(拓)
2010/08/18
コミュニケーション
素材など半製品の取材で、「コミュニケーション」を考える機会が急に増えた。今治タオルのブランディングを手掛けたアートディレクター佐藤可士和さんの取材で、「使ってもらうまでが大変。知られていなければ存在してないのと同じ」という言葉が胸に刺さった。「物がいいのは当たり前」とはよく聞くが、それを裏付ける極端な例として最近、「悪いもの」をほとんど見かけなくなったと言う。以前は、粗悪品でも、コミュニケーションの仕方を工夫すれば売れた時代もあった。今、お金が動く場所には必ず、物の良さとコミュニケーションが一体となって存在する。
合繊メーカーが顧客と話せば「素材の切り替えより、店頭での販売の仕方」が商談の焦点。職人的な物作りの現場でも、若手とのコミュニケーションの難しさが、変革の可能性を遠ざけている。業態、企業、個人など規模や形態を問わず、“間”が生まれるあらゆるところで、伝達する力が底上げされれば大きな飛躍が待っている。(麻)
2010/08/17
努力を重ねて
読者モデルやおしゃれプロデューサーが主導するガールズマーケットがますます元気だ。彼女たちは、消費者が少し背伸びすれば手が届きそうな等身大の情報を発信し、消費者のファッションに対する気分を盛り上げ、購買意欲を高めている。
彼女たちの最大の武器は、情報発信力の強さだ。では、女の子たちの心をぐっとつかむ情報を、彼女たちはどこで仕入れているのだろうか。
ガールズブランドと取引するセレクトショップのマーチャンダイザーによると、人気のおしゃれプロデューサーは毎月40冊近くの雑誌を読んでいるとか。コレクション情報サイト「スタイル・ドットコム」も逐一チェックする。海外のデザイナーブランドを扱うバイヤーとのファッション談議も共通言語で進めるという。
ファッションが好きで、おしゃれな存在でいたいという気持ちだけでは出来ない。ガールズマーケットの隆盛は、彼女たちの努力の積み重ねの上に成り立っている。(規)
2010/08/16
仕事の効率
IT(情報技術)企業に勤めていた20代後半の友人が6月に、ネット広告を扱う会社の営業に転職した。そこは9時30分から18時30分が就業時間。時間内は延々と営業の電話をかけ続け、企画書や広告の作成は就業時間後にすることになっているという。毎月の営業ノルマをクリアすれば、その月は仕事をしなくても良く、自己の裁量が多い点、効率よく仕事ができる点が魅力だと友人は語る。が、必然的に残業を強いられるシステムになっている。
「日本人は農耕民族だから、仕事時間が長いほど成果が高くなると思っている」。そんな言葉を思い出した。時間をかければ成果が上がるとは限らない。当たり前だが、つい忘れがちだ。
友人は転職2カ月で早くも愚痴をこぼすようになった。これでまた転職するなら、個人と会社、双方にとって損失になる。従業員に長時間労働させるのではなく、短時間で効率的に仕事をさせるようなシステム構築こそ、経営者に求められるだろう。(騎)
2010/08/13
変化見据えた内容
「マーケットニーズは個に返ってきている。カジュアルの追い風もあるが、他社よりも店と物で個性を打ち出せたことが大きかった」。第1四半期がおおむね好調だったカジュアルSPA(製造小売業)企業は、業績をこう振り返る。
競合他社間で売れ筋を追う動きはより激しくなり、ヒット商品が動く鮮度(期間)も短くなった。リスクを張った商品調達、それを効果的に売るマーケティングがますます重要になっている。
「バイヤーが、保守的なメーカーが多いと嘆いて当社に来る」「前から一部でやっていたファクトリーブランドだが、来春夏に向けて大手セレクトで新規が広がりそう」。カジュアル業界では、秋冬展、来春夏展あたりから、市場ニーズの変化をとらえる方向性の話題が出るようになった。
展示会には本来、消費者にブランドや店の“らしさ”をぶつけ、驚きを提供するための商品を練る役割があるはず。売れそうなものより、もっと前向きな商談が進むことに期待したい。(畔)
2010/08/12
質素な生活
「日本人経営幹部は質素な生活をするべき」と、中国に現地法人を持つあるアパレルの社長。この企業の日本人スタッフは夏でもクーラーを使わない。毎月の電気代を見た現地の中国人の事務員から「給料が少ないんですか」と聞かれるほどだ。
日本人幹部とローカルスタッフの給与には大きな開きがある。10倍、20倍の開きは珍しくない。物価水準の違いもあるが、日本と同じ金額を使えば、中国では日本の数倍の物が買える。普通の生活でも、現地の従業員から「ぜいたくざんまいしている」と見られても不思議ではない。
先日、日系工場でのストライキがマスコミを騒がせた。待遇改善の問題ばかりが強調されていたが、「ぜいたくな生活をする日本人幹部に対する感情的反発が根底にある」と社長は言う。ぜいたくしていると誤解を受けるような華美な生活を慎み、「現地の人と同じような生活水準で暮らせば、中国人スタッフと問題を起すことも少ない」と強調する。(育)
2010/08/11
ヤングの本音
ヤングメンズショップに元気がない。店をたたんだり規模縮小と、元気な話をあまり聞かない。それで、「若者は将来不安があるから買わない」とか「草食化」などの世代論が語られる。
では「本当にヤングの消費は落ちているの?」と小売店に聞くと、意外に客単価はさほど落ちていないという声が多い。お金が無いのかといえば、そうでもなく、買う段になれば、1万円以上をさらりと支払う。むしろシビアなのは三、四十代だそうだ。
では、どんな店が苦戦しているのかをメーカーに聞くと、明らかに低価格に寄った店だ。安さを意識するあまりにメーカーを変えた結果、生地・縫製・加工で見栄えの良い服が店内から消えた。すると、一見客は価格に釣られて集まるが、固定客が一気に消えた。
裏を返せば、ヤングも「安い」だけを基準に服を選んでいるわけではない。服を見る目もしっかりしている。ある意味でほっとする話だが、店は価格以外で存在価値を示すことが大事だ。(疋)
2010/08/10
原点回帰
大手セレクトショップの秋冬物レディス内覧会で頻繁に耳にしたのが、「原点回帰」という言葉。「セレクトショップとしての原点に立ち返り、世界中から選りすぐった、長く着られる良いものを集めた」という。
この原点回帰現象は、海外コレクションから出てきたトレンドがベーシックやミニマルであったためだと分析できる。つまり今秋冬は「シンプルで質の良いものを着ることこそが最先端のおしゃれ」なのだ。しかし、そうしたトレンド的側面だけでは片付けられない思いも見え隠れする。
外資SPA(製造小売業)の参入などによって、この間、レディス市場は価格偏重を極めており、セレクトショップもその流れにさらされてきた。しかし、スケールの違いすぎる外資SPAに価格軸で挑んでも疲弊するだけ。実りの期待できない低価格路線からいい加減に脱却しなければ先はないという思いが原点回帰を求めている。消費者にも、価格だけがすべてではないことが伝わるといいが。(五)
2010/08/06
ファン作り
「売り上げや店舗数だけを伸ばしていくのではなく、ファンをもっと増やしていきたい」。あるアパレルメーカーの専務は、立ち上げて2年目を迎えるブランドの目標を語る。顧客対象にカタログや雑誌、ウェブで情報発信を徹底した結果、固定客が少しずつついてきた。ブランドの認知度向上で新規客も増え、結果的に既存店の売り上げも伸びているという。
「アイパッド」が日本に上陸して2カ月が過ぎたが、店頭に導入している企業はまだ少ない。アプリケーションやシステムを開発するための初期費用や時間を考えると、ちゅうちょする企業が大半だという。費用対効果を見極めることは重要だが、客に新しい画期的なサービスを提供することも大事だ。アイパッドが持つ使いやすいインターフェースやきれいなビジュアルが、ブランドのファン作りに一役買うのではないだろうか。(紗)
2010/08/05
ヒントはすぐそこに
先日、地方のビジネスホテルに宿泊したのだが、それはもうひどいホテルだった。そのホテルは街の玄関口に位置するが、掃除は行き届いておらず、所々が汚れている。「サービスを受けた」という感じはしなかった。従業員には覇気が無く、施設全体から“あきらめ”を感じてしまった。
同様の感覚を、地方の商店街にあるファッション衣料品店で感じる時がある。客が来ないことや、自分(経営者)が高齢なことなど、脱力してしまうような要因は多くあるだろう。
しかし、同じ街の次世代の同業者を見てほしい。彼らは同じ環境下でも、好きなファッションの仕事を続けるため、知恵を振り絞って商売を成り立たせている。顧客の作り方、店の作り方、メーカーとの付き合い方など、商売のヒントになるだろう、若い世代ならではの発想がたくさんある。一度、彼らに目を向け、言葉を交わしてほしい。厳しい環境でこそ、新しい発想が生まれる。(嗣)
2010/08/04
個性を強みに
和装業界で進む流通再編で、前売り卸はかつてない苦境に立たされている。以前は流通の中心として、物流・金融機能を背景に規模を拡大してきた。しかし近年は、販売手法への批判に端を発したローン規制などにより、依拠してきた催事販売の売り上げが減少している。
加えて、催事依存から脱却し店頭販売の再構築を急ぐ大手チェーン店を中心に、メーカーからの直接仕入れが拡大。デフレ傾向がその動きに拍車をかけており、前売り卸の役割が問われる状況が続いているが、有効な手立ては見いだせていない。
こうした中で比較的健闘しているのは、きものファン向けの、趣味性が高く特徴あるオリジナル商品を主力とする、メーカー機能の強い前売り卸だ。産地の機屋や染工場などとの取り組みによる商品開発で独自性を強め、呉服専門店との新規取引も増えている。同質化を避け、個性を打ち出すことが強みにつながっている。(沖)
2010/08/03
ユニフォーム
ワーキングなどユニフォーム業界は、メーカー、販売代理店、ユーザーといった流通構造が維持されている。一般衣料品はSPA(製造小売業)化の進展で、問屋、卸売業といった中間流通が減った。スポーツ用品も3層構造が崩れかかっているが、ユニフォームは各流通段階の役割分担がはっきりしている。
ユニフォームメーカーは本来の商品企画・生産、備蓄、販促などに特化し、全国の代理店はきめ細かい地域密着でユーザーをカバーする。特有の小口リピート、ネーム入れなど大手メーカーでは難しい面もあり、地域の代理店が窓口になっている。代理店は横浜、仙台、大阪などに大手企業はあるが、地方では零細な「パパママ代理店」も少なくないという。
不況、公共工事の削減でユニフォーム業界は苦戦していたが、そろそろ一巡して、回復の兆しも見えてきた。縫製部門は海外移転が進んだが、生地、付属品は依然として国内素材も少なくなく、国内型産業の一角として活躍してほしい。(茂)
2010/08/02
励まし
梅雨明け直前の今月15日、ニットOEM(相手先ブランドによる生産)メーカー、テトラファーストの山口工場が、大雨で2メートル、床上浸水した。糸や納入前の製品はもちろん、製造の生命線であるコンピューター編み機11台が水に沈んだ。
社長は丸2日間、頭が真っ白になったというが、現在は復旧作業を進めている。建物や機械の損害、事業停止による被害額に比べ、保険の損失補填(ほてん)はわずかだが、山口工場と四国工場の両方での生産続行を宣言。国内繊維製造業の厳しさが増し、各地で大地震や水害による転廃業も少なくなかっただけに、同社の動きはうれしいニュースだ。
大きな支えになったと思われるのが、被害を知った複数の取引先からの励ましの言葉や見舞い。同社が単なる下請けではなく、優れた企画提案力を持ち、取引先との結びつきが強いことの表れだろう。企業として不測の事態への備えは必要だが、持つべきは、こうした相手ではないだろうか。(裕)
