繊研新聞掲載のコラム

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ボイス/2010年03月

2010/03/31
 利便性高める
 「導入先の利便性を高めるバージョンアップが、販売管理システムには常に必要だ」と、アヴァンセの近藤智樹社長。同社は3、4店体制のブティックを対象に、低価格の販売管理システム「カプチーノ」を開発し、今年1月にはバージョンアップして顧客管理の機能を高めた。これまで購入歴の参照画面は、過去の購入商品については品番表示しかできなかったが、新バージョンでは購入商品の画像データも同時に表示できる。ビジュアルにすることで、以前の購入商品を視覚で確認でき、手持ちアイテムとのコーディネートもしやすくなるわけだ。導入店は40を超えた。通信環境やパソコンの機能の進化で低価格で使えるシステムは増えつつあるが、「価格だけでなく、中味の充実も必要」ということだろう。

2010/03/30
 セット販売
 「今の若い消費者は水着を購買する際、ベストなコーディネートをこちらから提案してあげないと迷ってしまう」と言うのは、水着SPA(製造小売業)ミューラーンの企画担当、神田和実さん。同社の企画はこれまで、ビキニなどの上下のコーディネートを自由に選べる点をセールスポイントにしてきた。しかし「最近は自らのファッションセンスよりも、販売員から薦められる組み合わせに安心感を持つ傾向にある。自分の好みの商品を選んでも、同年代のお友達から見て“ちょっと違うんじゃない”と指摘されることを極端に嫌う」とみる。これら店頭情報は「商品企画や販売戦略にすぐに取り入れる」として、今シーズンからセット販売に注力する。

2010/03/29
 次世代を作る
 「今の高島屋の強みを維持しながら、品揃えの若返りを自分たちの力で進めていく」とは高島屋の奥村正綱執行役員京都店長。全館売り上げは前年割れが続いているが、外商顧客ほか既存顧客向け催事は、売り上げ2ケタ増となるなど回復してきた。既存顧客対応の一方で取り組んでいるのが「新規客を獲得するための準備」。「京都いいMONO再発見」と題するイベントはその一環。伝統工芸品だけでなく「次世代の作り手」の作品も積極的に取り込んで販売している。新たな作り手の発掘は同店各売り場のバイヤーが担う。各バイヤーの「自主性を育てる」ことが、次世代客、新規客の獲得につながるとの考えが背景にある。前向きに取り組むバイヤーがほとんどだと話す。

2010/03/26
 社長室を下ろす
 開口一番、「社長室を上層階から営業と同じフロアに下ろした」という専門店キャンの藤井浩社長。見ると仕切りも何もなくヒラ社員と同じ机だ。社長に就任して1年足らず。それまで商品畑一筋だったが、「改めて現場を歩いてみて、このままではまずいと感じた」。「SM2」のブランド力が強いために、「これまで本部が何もかもを決めて、店がブランド置き場になっていた」と。今期は店のロイヤルティーを上げるために、営業組織を業態別に変え、社長が先頭に立って業態確立を急ぐ。不況の風は強いが、「逆風の方がおもしろい。フォローの時だと自分の力を見誤ってしまうから」という。

2010/03/25
 手作りだけじゃダメ
 「今は、手作りが売りにはならない時代」というのは、刺繍作家として10年ほど活動している木部訓子さん。06年には、京都・建仁寺で作家らを集め、ショーやワークショップを行う「京都ギルド」を主宰するなど、「当時は、特徴のある人が多くて面白かった」と振り返る。しかし、近年は一般消費者の間でも手作りブームが起こり、素材も簡単に揃えられる。「誰でもできることで、作家を名乗る人が増えている」と懸念する。そんななか、木部さんが始めたのは、確かな技術を持つ職人や産地との取り組みだ。播州織に、たっぷり刺繍したストールなど、「センスだけで突き進むのでなく、本当に質のいいものを作りたい」と言う。

2010/03/24
 感性を出す
 「両親から受け継いだ感性を従来のセレクションとは違う形で出していく」とは婦人服専門店ヒサシホラヤ(福岡市)の洞明子専務。19日にインポート雑貨・小物主体の新店「ブレンダ・ロウ」を出店した。05年4月に民事再生法を申請し、現在再建中の同社は、かつて日本でも無名に近かった海外のラグジュアリーブランドをいち早く福岡に紹介してきた。そんな同社にあって、新店では1万円以下の商品も揃える。「ポイントはブランド力だが、単なる知名度ではなく、作り手の思いが込められているかどうかを重視。それらを通して、良いものにしか表現できない輝きのある商品を提案していきたい」という。

2010/03/23
 独創性路線貫く
 「世の中はファストファッションが主流、そして大不況。しかし、エスモードはこれからも創造性、独創性を養う教育を貫く」と、エスモード・ジャポンの仁野覚代表。今月13日に開いた卒業コレクションは例年にも増して業界人の姿が目立った。次の時代を切り開く若い力への期待の表れのようだ。来賓の比嘉京子さんも「学生作品を見ながら、楽しいファッション業界を作らなければと改めて自覚した」と語っていた。この日、「自立したクリエーティブな人材育成」を強調した仁野代表の姿からは、教育機関は個々の企業ニーズに合わせ過ぎないとの方向性が感じ取れられ、“進路”に吹っ切れた印象があった。

2010/03/19
 変わり続ける力
 「デフレだからと単純な価格対応だけでは、消費者の興味を維持できない。質の転換が必要」と、マルヒサの村井洋仁社長。呉服販売サイト「きもの京小町」を運営し、買いやすい価格の商品をコーディネート販売して売り上げを伸ばしてきた。「昨年と同じ打ち出しをしても、得られる反応はまったく違う。安くすれば売れるわけでもない。ページのリニューアルや品揃えの拡大など、顧客に新鮮さを提供することで、新規顧客の獲得にもつながる」とする。「ネット販売は商品力が最大のポイント。昨年秋から全国の産地との商品開発に初めて取り組み、オリジナル商品の販売を始めた。既存の枠組みにとらわれず、変わり続けることが最大の力」と語る。

2010/03/18
 最良の差別化
 「本物の機能を備えていることが最良の差別化」と話すのはエバニューの福田耕三取締役執行役員。同社が輸入販売するフィジオロジカルシューズ「MBT」は、今年も前年比10%増収を計画する。類似した形状や機能のシューズが相次ぎ市場参入する中でも、3万円前後の価格で着実な成長を実現した背景は「考えを共有できる店舗やトレーナーとともに本気で顧客の思いに応えたこと」。専門店・百貨店の販路でも、歩くことで健康を促進するシューズは「認知度の高まりに並行し今後も確実な成長が期待できる」。プラダなど高級ブランドが軒を連ねる表参道に出した直営店も順調に立ち上がり、今年も新規10店の出店を予定する。

2010/03/17
 自立の道
 「物作りからブランド作りへ変える必要性を実感した」というのは中川政七商店の中川淳社長。奈良晒(さら)しメーカーとして1716年に創業した同社は近年、麻製品を軸に小売事業も展開し、自立の道を歩む。その一方、伝統関連業界が厳しくなり、「当社だけで良いのか、何かできることはないか」と考え、06年に国内伝統工芸企業の自立を支援するビジョンを発表。さらに今年は「100年の計」を打ち出し、自社ブランドの強化に加え、経営コンサルティング、流通サポートを事業の柱に据えて次の100年に取り組む。企業レベルを高めるため、新社屋に本社を移転したが、「建物はあくまで入れ物であって、中身が大事」と気を引き締める。

2010/03/16
 それでも着ない人に
 「それでも着ない人たちにどういう内容の商品を提案すれば良いかが課題だ」と言うのは新装大橋の大橋英士会長。今夏、ゆかたで初心者向けやオンリーワン向けの上質なものなど、消費者の特性を4タイプに分類し、各対象区分ごとにゆかたの新作を提案した。「背後では、それでもゆかたを着ない人には何をどう提案すればいいのか、と言うところまで踏み込んでの研究をしており、一定の結論を出しつつある」と、徹底的にゆかた(きもの)の普及にこだわるスタンスでの事業展開を目指している。「まだハードルが高いわけだから、徹底して着やすいように、袴(はかま)を上着スタイルにするなど色々工夫する必要がある。さらなる研究課題はここにある」と言う。

2010/03/15
 紳士インナーに期待
 「今年はメンズインナーに期待ができる」と話すのは、マイカルの桂洋一衣料服飾統括部ホームインナー商品部長。今までの紳士下着とは一味違った「アウターっぽいカジュアルなボトムが売れている」ことから、メンズ市場の活性化を予想する。夏場でも少し見えてもいいようなファッション性の高いメンズインナーが増えており、従来の布帛物からニット・ボクサーへの移行も進んでいる。インナーに占めるメンズ商品の構成比は2割強だが、「まだ伸ばせる」とみる。一方で、レディスは近年レッグ関連など好調だったが、昨年秋からは競合が激化し、単価低下で伸び悩んできた。今年は秋冬でも「男のタイツ」と名付け、メンズレギンスなど新しい着こなしをアピールする。

2010/03/12
 ドレスのニーズ
 「20代半ばの顧客で、ドレスのニーズが意外に多い」と語るのは伊藤真紀マルブンアパレル事業部長。「チェリーピーチブロッサム」のデザイナーでもある。名古屋・栄の店でコレクションラインとウエディング関連のドレスを販売・レンタルする。クラシカルなテイストでファンの年齢が幅広く「1・5次会やゲストドレスで、クラシカルなテイストへの関心が若い層で高い」と驚く。ドレスはシャンタンに国産のレースを重ねる。「若い人向けのドレスは一般的に派手なデザインが多い」ことも注目される要因だ。遠方の顧客や若いカップルの来店が増えたものの「短い丈のデザインや、2万~3万円台までに価格訴求する必要がある」と課題は多い。

2010/03/11
 さらっとした接客
 「商品をゆっくりと見ていただきたいので、さらっとした軽い声掛けや接客を心がける」とは婦人服メーカー、ネイキッドジャパンの唐島志扶マネジャー。東京・代官山に17日、初の直営店となる「シリー・バイ・アンハート」を出店する。開店に向けて販売員の教育に力を入れており、「あいさつやマナーは徹底するが、接客マニュアルは作らない。商品には自信があるので、お客様にゆっくりと吟味してもらい、気持ちよく過ごしてもらうことだけを考える」と話す唐島さんはホテル業出身。「サービス業としてお客様に喜んでもらうという点ではホテルもアパレル店も同じ」と、居心地にこだわった店作りに挑戦する。

2010/03/10
 中国進出の時期
 「そのうち、うちも中国に出ないといけない時期がくるのかも」と話すのは、TシャツSPA(製造小売業)の「スターベイションズ」を展開するコージィコーポレーション(大阪市)の高林更次社長。ファッション業界で、この間、目立っている中国への出店の動きを見て「市場として気にはなる」。しかし、違法な同社のコピー商品が出回るなど市場環境やインフラはまだまだ整っておらず、「実際に出られるようになるのはだいぶ先になるのでは」と考えている。とりあえず中国での商標登録は済ませているが、当面は100店を目標に日本国内での出店を続け、勢いのあるネット販売とモバイル通販に力を入れる。

2010/03/09
 発信する力
 「自分たちが作りたいものを作って発信する力が大切」と話すのはカジュアルメーカー、チャムカンパニーの一柳典夫社長。10年春夏物から企画の発想を大きく変えた。「以前は、売れるだろうという発想で物作りしていた」。だが、大量に売れそうな無難な商品は大手企業が押さえ、価格競争でも太刀打ちできない。「今はターゲットを高感度なセレクトショップに絞り、売りたい商品を打ち出すようにした」と強調する。企画担当には若手を起用。これまでなら売れそうといって作っていた商品でも「今の企画担当は自分のイメージに合わなければ必要ないとはっきり言える」と感心する。

2010/03/08
 産業政策
 「日本の製造業を、国は支援する必要がある」と言うのは、愛媛県縫製品工業組合の村上幸司理事長。「技術が継承され、蓄積されていくのが製造業」だが、海外への生産移転の進展などで、縫製業の疲弊が広がっている。縫製業では若年労働力の不足から、外国人研修生・技能実習生に頼らざるを得ない状況が続いてきた。「途上国への技術移転と言うが、国内の技術力を高めないと無意味になるのでは」と指摘する。「国と現場の本音と建前がずれたまま進んできた」制度の根本を見直すべきと言う。「縫製業の自助努力は当然必要」としつつも、繊維・アパレル産業を貫く「産業政策が求められている」。

2010/03/05
 客に還元
 「今はお客に還元すべきとき」とアニエスベーサンライズの門田剛社長。2月末から3月にかけ出店しているヤング向けの新ブランド「トゥービー・バイ・アニエスベー」は、「ぐっとがまんして」価格をリーズナブルにおさえた。店舗運営に厳しさが伴ってくるが、この姿勢で「合意できる施設に出店する」と、出店先との取り組みの重要性を強調する。商品企画当初に気にしていた、本体の「アニエスベー」との区別は、逆に「“アニエス色”を強める」ことに。アニエスのアイコンともいえるボーダーやドット柄のアイテムをトゥービーでも増やし、ショップオープン日から好調だ。「これだけ何でもある市場で選んでもらうには、世界にない価値を作らなければ」という攻勢的な仕掛けが、店や雑誌に表れている。

2010/03/04
 頭、身体、腕
 「大切なのはまずは頭、次に身体、そして腕」というのはイタリア「ハイドロゲン」のオーナー、アルベルト・ブレーシさん。02年にスタートしたブランドは高級なカジュアルウエアのブランドとして日本でも認知されるようになった。冒頭の発言は「プロを目指してテニスをやっていたときに知った言葉」だ。「頭」は「品質を第一に考えるマインド」で、「身体」が「物流を支えるネットワーク」、「腕」が「デザインを実際に行うこと」だそうだ。「この三つがぶれていない選手に勝つのは難しい。ファッションブランドもそうだよ」。ちなみに今年に入って受注は前年を上回っている。

2010/03/03
 利便性向上
 「デイリー性を生かしたコンビニエンスSCを追求していきたい」とはパンジョ(大阪府堺市)の宮内良雄社長。高島屋泉北店を核テナントとするSCで開業35年になる。今春、専門店ゾーンに660平方メートルの「ユニクロ」や「ABCマート」「ザ・ショップTKミクスパイス」と、SC内では大型の専門店を新規導入する。既存の「無印良品」や「ギャップ」などを含めたワンストップショッピングへの顧客ニーズにこたえる。大型店導入に際しては、既存店舗の面積縮小・移転で百数十店のテナント数はほぼ維持した。「パンジョの強みは百貨店を有していることと、地域密着で35年培ってきた信頼」として、地域住民の利便性向上につながるMDを今後も強化する意向だ。

2010/03/02
 接客重視
 「始めた頃は、ここまで伸びると思わなかった」と話すのは、ニューヨーク発のジュエリーブランド「スティーブン・デュエック」のインポートを手がけてきた伊藤浩行さん。同ブランドを11年扱ってきたルシアンのニッシュ事業部から独立し、1日付でスティーブン・デュエック・ジャパンを設立、代表を務める。11年前は「こんな大ぶりなアクセサリーをどうつけるの」との声が多く、6万~7万円という価格もハードルとなった。それが今は、40代を中心に顧客が付き「インポートジュエリーを扱う市場も広がった」と実感する。今回、他のインポートジュエリーを扱うニッシュ・インターナショナルも同時に設立。厳しい時代だが「これまで通り、接客を重視して取り組んでいきたい」とぶれずに前向きだ。

2010/03/01
 視野を世界に
 「クリエーターの集合体である合同展として立ち上げて10周年を迎えたが、もう一度リセットして新しいものを提案していきたい」と語るのは、合同展「ルームス」プロデューサーの佐藤美加さん。「日本経済の状況をみると国内マーケットは縮小傾向にあるが、世界市場に目を向ければ展望が開ける。当面は経済発展を継続する中国、ロシアからのバイヤーを呼び込むことに注力したい」と積極的だ。3月には東京発日本ファッション・ウィーク(JFW)と開催時期を合わせた「ルームス・リンク・エキシビジョン」を開催。「多様なファッションイベントと会期を合わせた試みを通じて、東京をファッション都市としてアピールしていきたい」としている。