繊研新聞掲載のコラム
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ボイス/2010年05月
2010/05/31
地方の可能性
「人や企業に限らず、あらゆるモノをブランディングしたい」とは、ブランドクリエーターの井上喜充さん。このほど専務を勤めた雑貨メーカーを辞め、数多くの企業を渡り歩いてきたこれまでの経験を生かすため、フリーのコンサルタント業を始めた。すでに複数の企業と顧問契約を交わしているが、「企業改革のため、オーナーとコラボしている感覚が強い」という。井上さんが今注目するのは地方だ。「食のおいしさ、文化の深みといった独特のものに可能性を感じる」と言う。ただし、「地方の人は東京志向が強い。これからの時代は世界に目を向けないと」と釘を刺す。「新しいアディアはよそ者だからこそ思いつくもの。時には嫌われ役を買って出ながらコトにあたり、地方都市の隠れた名産品などをヨーロッパや中国の富裕層へ紹介したい」と意欲を燃やす。
2010/05/28
本来の買い方
「消費者の志向が、本来のジュエリーの買い方に戻ってきている」とは、阪急本店婦人服飾品商品部アクセサリー商品部バイヤーアクセサリー担当の大野りまさん。ジュエリーを購入する決め手として、誕生石やイニシャルモチーフなどパーソナルな要素を重要視し、ファッションニーズというよりも、ジュエリーをお守りのようにとらえる人が増えていると指摘する。「トレンド性をアピールするだけでは、ファストファッションと同じ。背景のあるブランドとの取り組みなど、ストーリーを消費者に伝えていきたい」という。8月に実施するデザイナーズアクセサリーフェアでは、例年よりもデザイナーのプロフィールを明示し、「デザイナーの生き方や物作りに対する姿勢に、共感してもらえたら」と話す。
2010/05/27
中国輸出伸ばす
「中国へのパンスト縫製機器の輸出は高い伸びが見込める」と、イタリアの靴下機器メーカー、ロナティのアジア営業総責任者であるアントネリ・ダニロ氏。08年度のパンスト縫製機器の中国への輸出台数は2800台、09年は4900台、10年度は最低でも7000台は超える見込みだ。リーマンショックの影響もあり、09年は多くの縫製機器メーカーの中国への輸出が落ち込んだが、ロナティは別。生産工場としての中国だけでなく、消費地としての中国の市場の成長が背景にはある。「女性のスカートをはく文化はこれから広まる。中産階級が成長すればスカート文化の底辺はさらに広がり、パンストの需要も飛躍的に増える」とみている。
2010/05/26
回復の兆し
「市場回復の明るい兆しが見えてきた」と言うのは京都ハンドバッグ協同組合の後藤祐三理事長。組合員企業の中で、4月頃からアパレル系のOEM(相手先ブランドによる生産)で、まとまった数量の受注が入るケースが目立つと話す。「背景としては、これまでの低価格一辺倒への反動や売り場の同質化に対する回避傾向の強まりではないかと思うが、まだ幅は狭い。産業全体のベースアップが欲しい」とし、今秋冬物商戦での手応えを探っている。特に「20社ほどの組合だが仕掛けが必要。この間、合同展を年2回に絞ってきたが、首都圏発信の要望もある。東京支店を持たない前向きな企業に対しては、グループ展へのサポートなどで役割を果たしたい」と語る。
2010/05/25
客数増を最重視
「今期は客数増を最重視し、ローコスト経営を進める」と話すのは、天満屋ストア(岡山市)の土屋信明社長。前期は減収大幅減益。新規出店がなく、低価格志向、競合店増加のほか、「週末の高速道路割引による客数減」も響いた。今期も新規出店がなく、減収予想だが、収益性は改善させる計画。顧客データを活用した販促活動などで、来店客数を増加させる。「価格競争も、いくぶん緩和されるのではないか」。新規出店ではNSC(近隣型SC)タイプの「大安寺店パターンが一番競争力がある」ものの、敷地面積が1万平方メートル近く必要なことから出店用地が少ない。既存店の活性化に向けてはテナントの導入やスクラップ・アンド・ビルドも検討する。
2010/05/24
素材と機能
「衣料品の新規事業では素材と機能の開発が基本だ」とはユニーの加納昭義取締役執行役員営業統括本部衣料本部本部長。高機能インナーや超軽量デニムのPBの開発では、「安売り競争はしない。価格が下がりきった衣料品を立て直す」ことを目指した。価格訴求からブランドを打ち立てた「ユニクロ」が築いた「匠チームのようなシステムが必要」とも。「顧客の求めるものは価格だけではない」。例えば「エアロライトデニム」は、ポリエステルの分量を高め撚りを強くすることで水の吸い過ぎを防ぐ。開発には1人の社員が何年も温めたアイデアを採用する決断力も必要だ。ベトナムなど海外での直接生産を軌道に乗せるためにも「培った技術を蓄積するチーム作りが急務」とする。
2010/05/21
格差に対応
「ゆかたの小売市場は規模が一定であまり変動がない。ただ、業態別の市場占有率に変動がある。良いところとそうでないところの差が大きく現れている」と言うのは京都小泉の森英郎取締役商品部部長。同社は、ゆかたの製造卸部門を充実させてきたが、「製造、販売ともに、これまで培ってきた体制が効を奏して非常に好調な推移となっている。結果が期待できる」と言う。ポイントは「従来のままのやり方が通用することはあり得ない。常にシステムを監視し、より良い売り場と手を組み、その関係のあり方を改善していく努力が必要。今夏は様々な格差が現われるだろうが、常に怠りなく、前後両面でのチェックしていく」考えだ。
2010/05/20
セレクト靴下店
「うちはあくまでもセレクトショップですから」と語るのは、コポの中川知子社長。関西圏を中心に靴下専門店「コポ」を出店しているが、レッグブームで最近、注目されているSPA(製造小売業)型ショップとは一線を画す。「オールマイティー向けのコポを中心に、セクシーギャル向け“11・11(ジュウイッテン・イチイチ)”、ヤング向け“11(イチイチ)”、30~40代向け“キュアアッセ”など、ターゲット別に多業態あるが、基本はセレクトで。品揃えにはこだわっている」。数万アイテムもあり、「これまではずらっと並べていただけだが、ひとつのテーマを取り上げて用途別のアイテムをコーナーで打ち出す」など、消費者の生活にあった販促にも挑戦する。「小売り主体の靴下専門店は珍しいでしょ」という中川社長、今年からはいよいよ関東圏にも本格進出する考えだ。
2010/05/19
スーツが武器
「ファストファッションにできないアイテムが紳士スーツ。きちんと仕立てたスーツは百貨店が戦える武器」と松屋銀座本店の宮崎俊一紳士服バイヤー。同店の紳士服催事は5万着を用意し、年2回で約6億円以上を売り上げる。「単なる価格ではなく百貨店クオリティーを追求し続け、今回はテーラー職人による丸縫いの既製スーツにたどりついた」という。「催事場でもお客は安物を求めているわけではない。この間でもインポート生地を使った3万円台、4万円台の高価格帯が伸びている」と強調する。バイヤー自らが素材からオリジナル開発し、物作りから販促にまでかかわり、高品質で値頃な商品を実現している。「今後は催事で培った物作りのノウハウをプロパーの売り場に生かす。カスタムをキーワードに百貨店メンズの生き残りをかける」と意気込む。
2010/05/18
サービス№1
「地域のお客様の声を聞き、サービスでナンバーワンを追求する」と、そごう神戸店の坂本博計店長。2月に「屋上活性化」「ホームページ・モバイル」「元気」など10のプロジェクトを立ち上げた。入社4~5年目の社員を中心に、1チーム5人程度で構成する。「顧客の声を元にした店頭の見直し」の一環で、屋上での野菜栽培、店周辺から範囲を広げた清掃活動など、すでに具体化しているものもある。靴や衣料など神戸ブランドとの協業商品の開発も続けている。このほか、一つの特定商品、特定品番に絞り込み、当該商品を1・5倍売るための月1回の発表会も開始。担当者の計画発表に対して、部門の枠を超えてアドバイスや目標達成のための協力をする。全員参加型の精神で「一つの目標に向かって取り組む」風土作りに力を入れている。
2010/05/17
アイデンティティー
「効率優先で行くと、物作りのアイデンティティーがなくなってしまう」と話すのは、婦人ハンドバッグ製造卸、浅井本店の浅井康宏社長。ハンドバッグ市場も海外製の安い商品に押され、売り場も縮小している。革のハンドバッグは商品回転率が低く、販売効率だけで判断するからだ。しかし、その中で同社は、国内生産のオリジナルにこだわり、毎シーズン、ロスが出ても新作の1~2割は7~8色でカラー展開してきた。「革バッグはまだまだ職人が一本ずつ生産する世界。1万~1万9000円ぐらいの価格なら、素材開発力や付属の豊富さ、縫製技術、ファッション性などを比べれば、中国よりも日本の方が競争力がある」と強調する。「効率優先ではなく、売り場が活性化する商品を作っていきたい」と言う。
2010/05/14
存在感
「企業として存在感を示すためにも売上高拡大は重要」とイトキンの辻村章夫社長。「10年後のあるべき企業像」を見据え、創業60年で初めてとなる長期経営計画を策定した。18年度(19年1月期)で国内グループ売上高2000億円(小売りベース)、経常利益140億円を目標に掲げる。今期の計画は売上高1260億円、経常利益20億円だから、ハードルはかなり高い。しかし、「目指すべきビジョンを明確にし、全社員が共有して『社員力』を高めれば実現できる。目先の目標だけでなく、長期目標の達成に全員が団結して向かうことで企業は成長する」と強調する。今期から新たな中期経営計画に着手、前中計で取り組んだ人材の育成・活用などの社内改革とともに、事業構造改革を促進する。百貨店向けを維持しながら、SCや対応が手薄な駅ビル・ファッションビル向けのブランド開発を加速する。
2010/05/13
あこがれ
「ファッションに対するあこがれを再び取り戻したい」と話すのはそごう横浜店婦人服飾一部の田中尚子販売リーダー。ファストファッションや低価格品ばかりが注目されるが、「顧客のすべてが求めているわけではない。むしろ他にはないものを百貨店に求める顧客は少なくない」と強調する。その一つが東京発のデザイナー、クリエーターの発掘、育成だ。とはいえ、新進のデザイナーブランドを誘致するには、仕入れから販売までの課題が少なくない。百貨店の若手社員は、自主で編集、販売する経験がほとんどないのが現実だ。ここ数年の効率重視の売り場政策で、縮小が続いていたゾーンだけに「納品、在庫管理、販促などオペレーションと販売接客の両面で経験を積み重ねたい」と、売り場運営のモデル作りに余念がない。
2010/05/12
できる範囲
「できる範囲の自己満足は卒業したい」と「プルドゥ」の本間遊クリエーティブディレクター。自身のブランドを休止し、この秋冬企画から婦人服メーカー、プルドゥで新たな仕事に挑んでいる。これまで自身のブランドで15年、物作りを続けてきたが、「社長をやりたくてデザイナーになったわけじゃない」と転身した。ファッションに多様性が求められる今、その一つの表現に力を集中したい、営業力のある企業で思い切り勝負したいと話す。既存ブランドに自分らしさをどう盛り込んでいくのか、少し緊張感も見せる。その一方で「コレクションしなくても表現はできるし、トップじゃないとわがままが言えないわけじゃない」と、持ち前のやんちゃ気質ものぞく。できる範囲だけの規模なんてつまらないと、新しい市場を見ている。
2010/05/11
新しい切り口で
「20代に向けた、新しい切り口のジュエリーを提案したい」と話すのは、ジュエリーの製造小売りサダマツの貞松隆弥社長。3月に開業した福岡パルコに、新しいコンセプトの「ヴィエールビジュソフィア」をオープンした。対象は18~23歳。生花を樹脂で固めたネックレスやピアスをはじめ“給料10日分で買えるブライダルジュエリー”などで構成する。買いやすさを意識しながら素材やデザインで新しいアプローチを試み、実験的なラインアップとなっている。平均客単価は7000円の設定だが、予想を上回る客数があり、オープン月の売り上げは「予算比で200%」と好調に滑り出した。「コンペチターの多くがアラサー向け商品を強化する中で、競合が少なくなっていたマーケット。そこを狙いたい」と意欲を見せる。
2010/05/10
同業種多業態へ
「今年は当社のサバイバルイヤーと位置づけ、“同業種多業態”へ、販売チャンネルを広げる」と言うのは、OEM(相手先ブランドによる生産)専業メーカー、パルプランニングの佐々木章夫社長。製品供給先と連携して、駅ビル系ピュアヤングゾーン、大手SPA(製造小売業)系ヤング・キャリアゾーン、郊外型モールやテレビショッピング対応のヤングミセスゾーンなどを対象に売り先を広げる。「売り上げは“人気”、利益は“力”。人気は取引先に提案する商品の魅力や、自社の人の魅力で決まる。利益は適時適品を供給できる生産力や、営業力で決まる」と言い切る。同社のOEMの特徴は、相手先と相互にリスクを持つ“取り組み型”。「商品のプロパー販売、セール販売比率を予測し、利益確保ラインを両者で想定した上で相互に連携する」ことで業績拡大を狙う。
2010/05/07
ホームコレクション
「面白いホームコレクションを作りたいと思った」とはメンズブランド「へーガン」のデザイナーのジュン・へーガンさん。へーガンでは、インテリアのバルス・トーキョーと協業した初のホームコレクションを今月中旬に発売する。「今回のテーマは、プライベート・パラダイス。ヤシの木やペーズリー柄で南国の夏の雰囲気を部屋に取り入れられるようにデザインした。ブランドと同じように、国内生産にこだわることでクオリティーにも気を使っている」。「今回は、初めての試みだったのでシンプルなアイテムが多くなっている。今後は、古着をリメークしたりするなど、より凝った作りのスペシャル感のあるホームコレクションをデザインしたい」
