繊研新聞掲載のコラム
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ボイス/2010年06月
2010/06/30
市場ギャップ
「海外での日本ファッションに対する評価はますます高まっているのに、アメリカで日本ブランドを扱う売り場が減っている」とエクシーズの伊藤隆祥社長。先日、市場調査に出かけて消費者ニーズと供給の市場ギャップを実感したという。欧米市場では業績の悪化を理由に日本企業が店舗を閉店するケースが目立つ。日本ブランドの扱いを取りやめる店も多い。いずれも非効率が市場開拓の壁になっている。ところが、日本ブランドに対する人気は以前よりも間違いなく高まっていると話す。「新しい“出口”の構築が今、必要だ」と強調する。「国内市場の閉塞感で内向きになりがちだが、海外の消費者ニーズにもしっかり目を向けて挑戦すべき。グローバルステージに立ち向かう意欲と実際の行動が今、求められている」と考えている。
2010/06/29
第2キャナル始動
「第2キャナルの具体的な事業プランを8月までには固めたい」と、キャナルシティ博多を運営する福岡地所の藤賢一取締役。隣接する敷地約1万平方メートルで施行する事業に必要な地権者の合意や行政手続きはすでに終了、同時並行で立案してきた複数の事業プランを一つに絞り込む段階に。念頭にあるのは環境変化への強い危機感。来年3月、延べ床面積約20万平方メートルのJR博多新駅ビルに約10万平方メートルの商業ゾーンが出現、天神と博多駅に挟まれたキャナルシティ博多は、特に平日の集客で埋没の恐れがある。屋内型ディズニーランド誘致構想は頓挫したが、「現在の九州にない魅力的な施設を作ることで、改めて独自の存在感を発揮したい」。
2010/06/28
アフリカ
「今年のブランド想起への取り組みが、今後様々な形で実現される」と語るのはプーマジャパンの平内優社長。「プーマ」は南アフリカW杯で出場32カ国中7カ国の公式ユニフォームと、日本代表23選手中6選手のスパイクをサポート。初戦では松井、長谷部、中澤、駒野、川島の各選手が先発出場し、勝利に貢献した。加えて今大会は「競技にとどまらず、アフリカ大陸や国連の生物多様性年の支援など奥行きのある挑戦」を続け、アフリカ各国への支援と併せてプーマ=アフリカのイメージ訴求に成功した。同社では現在15年度に向けた中期計画を策定中。前回W杯では優勝国イタリアで、北京五輪ではボルト選手で高めた「価値の核」を実りある成果につなげるため「さらに若い世代に魅力を持たれるブランドへの投資に取り組む」と語る。
2010/06/25
女性強化の大目玉
「新PBはレディス強化の大目玉。認知度アップに向けたカンフル剤にしたい」と話すのは、ライトオンの藤原祐介取締役営業副本部長。同社はSC内のカジュアル競合でレディス物が伸びず、下期も苦戦している。平日の女性客は店に入ってくるが、メンズ物を買っていくものの、自分のための買い物をする人はまだ少ない。そこで秋からレディス新PB「レター・バックナンバー」を投入し、幅広い女性の取り込みを狙う。「今まではとがったマルキュー系とベーシックなナチュラルと二極化していた。新PBでその中間を押さえ、若すぎず、ベーシックすぎないアイテムを出し、見え方を変えたい」。価格も今までよりワンマーク高く設定した。「商品とともに、売り場演出と販売力といった中身を磨いて不振を打開したい」と意気込む。
2010/06/24
20年目で日本から
今年ブランド設立20年目を迎える英国の紳士アクセサリーブランド「タテオシアン」。「ロンドンの次は日本市場を伸ばしたい。英国外初の直営店は日本で」と話す創設者でデザイナーのロバート・タテオシアンさん。ロンドンに5店目となる直営路面店を今春オープン。メンズのカフリンクスから名を馳(は)せたが、「レディス強化に向けて、新しいゴールド製ジュエリーのコレクションを今年立ち上げた」。日本市場では、百貨店向け卸を担っていた装身具・喫煙具メーカー、フカシロに常設のショールームを設けた。百貨店以外の小売店への追加納品・アフターサービスの精度も上げるためだ。「香港、北京、ニューヨークへ、日本を足がかりに広げたい」考えだ。
2010/06/23
一客一客
「一客一客の大切さを常に思っている」と話すのは、「スパイラルガール」渋谷109店の安孫子沙香店長。思いの原点は現職に就く前に働いた銀座店での経験から。客数が多いマルキューの店では“気付きにくいこと”として、人事に掛け合ってスタッフたちの他店研修をスタートした。「他店で働くことでマルキューのいいところや足りないところが見えてくるはず。一客の大切さを感じて戻ってきてほしい。」一客一客に心を尽くせば、自ずと次の来店などにつながるというスタンス。「人と人のつながりが基本。相手の気持ちを考えた心使いさえあれば難しいことはない。店を離れることがあっても、スタッフが人として育つようになれれば」と言う。
2010/06/22
給料15%アップ
「特別悪い店を引き継いだが、本部経費を8割カットして、そのかわり従業員の給料は15%上げた」と、昨年倒産した婦人服専門店クラヴィスの第2のスポンサーとして名乗りを上げた佐々木ベジ氏(フリージアマクロス会長)。ローコスト経営を徹底するとともに、従業員に自信を取り戻してもらうことが、再建の要と考えたためだ。報酬のあり方も、「従業員同士が納得のいくまで話し合って、皆で決めたルールをもとに、お互いが競争できる環境にした」。結果、店ごとだけでなく、スタッフ一人当たりの粗利益率も出すことにした。「店長は“ブティックの経営者”のような意識を持ってもらいたい」と期待をかける。
2010/06/21
売り上げよりも
「消費者も、ただ安いだけのものには飽きてきたのでは」と、「アンダーアーマー」を販売するドームの安田秀一代表取締役兼CEO(最高経営責任者)。「昨年も売り上げを12~13%伸ばしたが、例年に比べると苦しかった。今年は30%増ペースと復活してきた。売り上げを追うことばかり考えないから、結果的に売れている」と語る。このほど、アンダーアーマーの日本初の直営店を東京・品川にオープンした。「この店も、売り上げよりも楽しいことが一番。スポーツブランドの持つロイヤルティーを体感してもらえれば。当社のオフィスに近く、社員の士気高揚にもつながるだろう」と期待する。
2010/06/18
研究開発に投資を
「国内生産で生き残ろうとするならば、研究開発にこそ投資をすべき」というのは、中央帽子グループのエクレティコの矢八暁子専務。同グループの国内生産比率は75%、国内だけで月間10万個の生産量を誇り、帽子の有力メーカーの中では、ずば抜けて高い国内生産比率となっている。それを維持しているポイントは、「魅力的な商品をいち早く市場に提供できる。国内生産のカギはそこにある」とも。パタンナーを持たないメーカーも珍しくないが、同グループは、大阪市内の本社工場にいるパタンナーだけで20人を超える。「営業や企画の声を集めて、すぐサンプルづくりに入れ、ニーズにあった商品を短期間で開発することができる」態勢を築いている。研究開発に必要な人材への投資は今後も惜しまないという。
2010/06/17
次は衣料改革
「アリオの進化版という形がアリオ北砂だ」と話すのはイトーヨーカ堂の亀井淳社長。東京都江東区に新設した新SCは「物販、飲食、サービス、情報発信をより一体的に結びつけた施設に仕上がった」と強調した。旅行や文化教室を一体化するなど情報サービスを強め、都内最大級の駐輪場を備えるなど地域密着性に注力した。「グループのシナジーも生かした。リーシングには西武やシェルガーデンの情報を活用したほか、赤ちゃん本舗などグループ6社の店も配した」と総合力も強めた。「当面、総力を挙げて衣料改革を進めていく。MDそのものでもイトーヨーカ堂が変わった、商品が変わったと実感できる形にする。今秋には一変させたい」と次の課題を進行中だ。
2010/06/16
改革の成果
「この間積み重ねてきた改革の成果」とクロスカンパニーの石川康晴社長。「アースミュージック&エコロジー」で今春、創業以来初めてとなるテレビCMを全国規模で実施。既存店売り上げは2~4月で前年同期比28・7%増、5月も50%増以上伸びたが、「CM効果だけが好調理由ではない。それだけなら、CMが終了した4月以降の売り上げが落ちるはず」と強調する。昨年から新たな業務改革に本格着手、品質の向上や新たなVMDの導入、店頭情報管理の細分化などに加え、「意思決定のスピードを上げる」ため、月例だった中間管理職の会議を毎朝実施するなど組織運営も見直した。「すべての面が結び付いた結果がこの数字。底力が付いてきた」と今後への手応えも十分だ。
2010/06/15
値札
「昔、ある老舗百貨店では、幅の広い独自の値札を使っていて、値札の形などを変更するには、社長の決裁が必要だった。それほど値札にこだわりを持っていた」と話すのは、オカベマーキングシステムの住吉義勝社長。同社も以前は、値札の角を丸めて服に引っかからないようにしていた。値札やブランド札にこだわり、「ぶれない、ずれない、微妙なプリンターを作ってきた」と話す。しかし今はコスト一辺倒で、値札はシンプルで味けないものになった。プリンターも単機能で価格勝負の時代という。海外生産の商品が市場を席巻する中で、「それで日本人の感性に応えられるのか」と疑問を呈する。
2010/06/14
大きな可能性
「ウエアに加えて、雑貨などトータルでコーディネートできるようにしたい」とはNI帝人商事の川合健治ダッカ駐在員事務所長。2月に事務所を開設し、カジュアルウエアを中心にバングラデシュでの調達を進めているが、「バングラデシュはレザーやジュートにも強い」と分析する。「ジュートを用いたサンダルなども商材として魅力的」と付け加える。原料ビジネスにも積極的で、バングラデシュがあまり強くない合繊糸やテキスタイルの輸入販売も「大きな可能性がある」と期待をかける。「調達場所としてはもちろんのこと、バングラデシュをマーケットとしてとらえることも面白い」とビジネス拡大へ意欲的だ。
2010/06/11
“キワ”のアイテム
「今は“キワ”のアイテムが求められている」と話すのは、レッグウエアメーカー、ブロンドールの岡田八壽子クリエイティブディレクター。既存のアイテムカテゴリーにとらわれることのない、カテゴリーを超えた商品企画が必要という意味だ。今春夏店頭でヒットしている、足首や甲を飾るアクセサリー感覚の“デコラバンド”もそんな考えから生まれたアイテム。「レギンスやトレンカはもう定番になっていて、それだけでは新鮮な売り場を作ることはできない。定番の脇を固めるアイテムで、客の興味を耕していくことが必要」。秋冬はフェイクファーのウオーマーで新たな需要喚起を狙う。
2010/06/10
がらり変わった
「エヴァンゲリオンと協業してから、卸先ががらりと変わった」と言うのは、カジュアルメーカー三高の佐藤尚隆MDブランド3部営業企画係長。和柄ブランド「錦」をスタートした06年は、主要な卸先だった街の紳士服店が振るわず、メーカーとして新たな挑戦が求められていた。「やったことのない和柄だったが、車社長の後押しが心強かった」。低価格でなく、数量を抑えて高単価で売る方針を掲げて拡販に挑戦した。その後、協業が始まると、一気にGMS(総合小売業)、ジーンニングカジュアル店の比率がアップして、卸先は300軒に膨らみ、今も卸先の入れ替わりが進んでいる。「和柄で生き方も変わり、新たな事業が構築できた。街の小さな個店にとってもエヴァンゲリオンはいい商材になっている」と話す。
2010/06/09
国産を守る
「国内ジーンズ工場は今、生産ラインが満タンな状態」と話すのはデニム縫製メーカー、ニイヨンイチ(岡山県倉敷市)の藤井英一社長。中国での、旧正月明けからの労働力不足が広がり、日本向けの納期遅れや品質問題が表面化しており、国内にオーダーが戻っている。海外は約25ブランドを手掛け、「どこで爆発するかという空気がある」。スウェーデン向けが良く、「体形に対応できるメリットがある」と攻めるアジア圏も、800店を持つブランドへのOEM(相手先ブランドによる生産)などが決まっている。同社の国産比率は80%。海外生産は協力工場を活用するが、「工賃は安くなっていないし、今後自らのブランドを売る動きが広がるだろう」とみる。「今こそメード・イン・ジャパンを守らないと」と語気を強める。
2010/06/08
アジアを攻める
「長くても2年以内にアジアでの販売網を構築したい」というのは、グリップインターナショナルの桑田隆晴社長。創業から10年目、ゴルフウエアにファッションの要素を加え、業界の注目を集めてきた。今年からアジア市場を本格的に攻める準備に入る。4月、経営企画室に海外での事業モデルを組み立てるための人材を招いた。「現在、韓国、香港、台湾に商社経由で進出している。それぞれの状況を見ると堅調で、知名度も上がってきた。ただ、販売ルートの構築は出来たが、“海外事業戦略”というものを立てるところまで到達していない」という。ここで一度、全体の見直しに入る。「どのようなオペレーションを組めば、有効かつ効率的なのか。商品の供給は輸出なのか、現地でライセンスを供与するのか――などの作戦を練っていきたい」考えだ。
2010/06/04
経営陣を刷新
「赤字で売り上げは4期連続の減収。経営力が問われる」と、ゼットの渡辺泰男社長。そのため、6月の定時株主総会以降は取締役を2人減員。社長に加え、副社長も代表取締役とし「経営陣を刷新」する。「(スポーツ)卸業態の機能不全」という危機感は強い。当期の業績はメーカーと小売りの直接取引による卸の“中抜き”の影響も無視できない。従来型の卸商権の縮小は免れない。それだけに「メーカーポジションの確立、新しい流通業態の構築」に向け、今期から中期3カ年計画をスタート。4月に設置したマーケティング室を軸に、オンリーワンの商品の調達・開発を徹底し、物販によるマージンビジネスからフィービジネスへの転換を進める。
2010/06/03
思い出のイベント
「子供たちの思い出になるイベントを大切にしています」と言うのは、リトルアンデルセンの「ヒステリックミニ」を担当する竹上浩明課長。「僕らが小さい頃は、怪獣ショーにあこがれて百貨店に行きたいと思った」ことから、自社の直営店に対しても「ワクワクして遊びに行く場所と印象付けたい。それで洋服も楽しんでもらえたら」と考えている。商業施設への来店数が落ちているため「足を運ぶきっかけ作りが大切」として、今年はハロウィーン商品に一段と気合いを入れ、フランケンシュタインやドラキュラなどのリアルさを増した衣装セットを6型企画した。10月末日には、店内で菓子を配るなどの催事を予定しているが、一部の店舗では「近所でパレードが行われるので、ショップで参加者を募り、皆で仮装して出て行く」ことも考えている。
2010/06/02
国籍は世界
「中期で海外比率50%を目指し、“国籍は世界”を実現したい」と語るのはヨネックスの米山勉社長。4月の組織改編でグローバル戦略室を新設した。高品質な国内生産を堅持する一方で、「世界のお客様に貢献するため」に台湾などの工場改革や商品開発に着手する。欧米アジアでの販路拡大や収益確保を目指し「競技人口を含めて、世界のどこで何がどれくらい売れるか」など精緻(せいち)なマーケティングに取り組み、SCM(サプライチェーンマネジメント)構築に挑む。特に中国、インドは今からの市場。戦略室を軸に全社横断で事業に取り組み、「世界に挑む若い選手とともにヨネックスも世界に挑戦する」。
2010/06/01
最寄り駅
「長時間滞留ではなく、短時間で事が足りる施設。お客の生活をちょっと良くする」とは、西日本鉄道が運営するソラリアステージの井上智博館長。福岡市天神地区は福岡パルコの出店などで「お客が増えているのは間違いない」というが、競合も激化している。そこで、開業10年が経過した昨年から地下2階や1階の全面改装、今秋予定の中2階の改装など、施設の再構築を進めている。駅ビル立地として、「お客にどう利用してもらえるか」を検討し、寄り道消費に重点を置き、差別化を狙う。今年度スローガン“マイホーム・ステージ”を全員で共有し、家に帰る前のクールダウンやオンとオフの切り替えができる最寄り駅のような存在を目指す。
