繊研新聞掲載のコラム
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ボイス/2010年07月
2010/07/30
わずかだが追い風
「わずかだが追い風が吹いている」と、赤ちゃんの城(福岡県久留米市)の秋吉謙一社長。主販路の百貨店では一時、ベビー・子供服からの撤退が相次ぎ、同社もその影響を受けたが、最近は「取引を復活」する百貨店が目立ってきた。また新生児平場メーカーが激減する中、同社への期待が高まっているという。25年前、新生児向け寝具で百貨店に進出し、ベビー衣料も強化しながら国内百貨店の「3分の2」を開拓した。1商圏1店舗主義を貫き、百貨店からの取引依頼を「断ることもある」。01年に取得した国際規格ISO9001は「安全、安心」の品質管理を追求した結果だ。効率とは一見無縁な経営姿勢が同社の生き残りの秘訣(ひけつ)のようだ。
2010/07/29
JTEPA
「JTEPA(日タイ経済連携協定)により09年は日本への靴輸出が08年比で40%増えた」と喜ぶのは、タイ靴協会のタンティルンローッチャイ顧問。07年11月に発効した同協定の意義を強調する。もちろん、タイ製品の品質の高さにも自信を持っており、特に素材となる革は「国内にタンナーが多く、種類も牛だけでなくクロコなどの高級皮革まで幅広く扱っていることがタイの靴産業にとって大きな利点になっている」と話す。近年は「若手デザイナーの育成や国内見本市へのバイヤー招待などで、タイ政府のバックアップも強まっている」ほか、「中国製の靴価格の上昇や、段階的に関税が引き下げられ、本革製については8年後にゼロになるJTEPA」により、今後「さらに靴輸出が伸びるだろう」と期待する。
2010/07/28
快眠ビジネス
「美容と健康を軸に据えたトータルな快眠ビジネスで攻める」と言うのはロマンス小杉の小杉源一郎社長。自ら会長を務めるボランタリーチェーンの総会でのあいさつで強調した。同会は来年秋に結成50周年を迎える。そのため、再度、客の洗い直しとニーズの把握に力を入れ、販売キャンペーンを通して新規獲得と顧客化を促進する。並行してチェーン組織を刷新し、商品開発やウェブ販促、エリア販促などのプロジェクトを導入した。「眠りのコンシェルジュとして期待される専門店作りを目指し、今一度しっかり手と心をつなぐ」と決意を表明。次の50年も見通して「長寿企業に共通するのは適応力と許容力、本業力。一意専心の構えで取り組もう」と呼び掛けた。
2010/07/27
高い物には訳がある
「高い物には訳がある。だって作っている人の時給が高いんだもの。国内でやっていれば当然」と「銀座花菱」を運営する花菱の大野修司代表取締役副社長。今も国内生産比率は80%を超えており、欧州の有名メゾンが使う生地も輸入して国内で縫製している。「何で(価格が)高いのか、その理由を説明できる販売員の育成がカギ」と、国内のプリント工場などに販売員を連れていっては、物作りの背景から説明する。「花菱」らしいバラのオリジナルプリントは、サイズの違う人でも同じような模様が出るよう、細密にグレーディングをかける。「そうしたことを学び、自信を持って販売できる若い販売員が育ってきた」と健闘理由を語る。
2010/07/26
ベトナムシフト
「中国での自家工場の生産は今春からほぼゼロにした」と語るのは、タカヤ商事(広島県福山市)の谷口太志取締役ユニフォーム事業部長。中国でのワーキングウエア生産を大きくベトナムへシフトした。近年、中国での生産コストは上がり続け、「もう上海周辺では無理になってきた」ためだ。そこで、中国は商社経由に切り替えて内陸部に移動し、ベトナムはハノイを拠点に約50%を生産する。ここ数年はベトナム商品を手掛けていなかっただけに「引き続き品質、納期管理」など生産、物流の精度を上げることに力を入れている。中国では一部、現地素材での廉価版ワーキングウエアは継続するが、「(中国での)あるべき姿を考え、改めて立て直す」ことを検討している。
2010/07/23
得意商品充実
「春夏は『ミッシュマッシュ』などでトレンドに合わせすぎた結果、他社商品と差別化できずに苦戦した」と話すのは婦人服専門店、玉屋の竹田篤史社長。秋冬からは「商品の企画と構成を見直し、各ブランドが得意とする商品を充実する」という。ブランドにより比率は異なるが、「ミッシュマッシュ」や「ロディスポット」ではトレンド商品の比率を全体の2~4割程度に抑え、「定番商品、トレンドを少し取り入れた新定番商品を増やす」ことで売り上げの安定化を目指す。得意とするニットアンサンブルやフレアスカートの通勤スタイルを店頭でわかりやすく表現し、新規客の獲得と一旦離れてしまった顧客の引き戻しに注力する。
2010/07/22
存在理由
「産地と伝統技術が存在するのは理由があるはず」と語るのはインドの染織研究家プリヤ・ラビッシュ・メーラさん。先頃、有松で開かれた「スローファイバースタジオ・第1回プロジェクト」に駆けつけ、ワークショップなどを通じて染め織り産地に息づくモノ作りを体感した。インドで綾織つづれが継承されているのは「最下層の職人であるラフガーたちが、300年前のカシミヤショールを直すという市場が存在するから」。有松・鳴海絞りなどの産地が今なお存在するのは「日本に絞りが受け入れられる文化が存在するからではないか」と見る。伝統技術が生き続ける理由を明らかにすることで「技術と文化を進化させていく方法が見つかる」と強調する。
2010/07/21
生産性の向上
「作業効率の分析に取り組んでいる」と話すのは、日立物流グループのフォワーダー企業である日新運輸の越水進常務。同社は青島、大連、上海などに検品・検針の拠点を持つ。各拠点で1人当たりの週別、月別のアソート、検品、検針の売上高、件数をチェックし、「その数字をもとにセンター長クラスが集まり、改善策を検討する」。この作業を2年ほど前からスタートしている。中国の拠点も他のアパレル工場と同様、人件費高騰、人手不足の影響を受ける。賃金の高騰、人手不足は当面収まりそうもない。今後、検品・検針の単価も切り下げられる可能性が高い。「拠点全体、そして、1人当たりの生産性の向上なしに検品・検針工場の生き残りはありえない」と強調する。
2010/07/20
接客技術力
セット率を上げるには「詳しい商品知識を持った接客など、接客技術力を高めることが必要」と話すのは、福井のカジュアル専門店、エクスインターナショナルの小林光雄社長。同社はSCなどにメンズ、レディス複合の「エクスプロージョン」を出店する。平均客単価は7000~8000円ほどだが、「セット率を20%アップして客単価を1万円に上げたい」と意気込む。何もしなければ、商品の一品単価は落ちるだけだ。店の発信力を高めるために改めて「得意とする横ノリ系のメンズカジュアルを強化する」。「店舗、企画、商品デリバリーが一体になって、販売員の接客技術力向上をバックアップする必要がある」と強調し、当面は本社機能の強化を進める。
2010/07/16
手で描く感覚
「洋服は料理のようなもの。設計図があっても購入の決め手は消費者の主観と感性」と語るのは「ザ・ノース・フェイス」のチーフパタンナーを務める玉置浩一氏。パターンは「頭の中に描いたイメージを具体的な形に作り上げてゆく仕事」と語る同氏は、パターンメークにベビーユニバース(神奈川県)のパソコン用ソフト「iPM」を使用する。アウトドア衣料の機能性と、見た目の格好良さという「一見、矛盾する要素を両立するにはパターンの段階で、手で描く感覚的な表現が必要」と強調する。既存の「アドビ・イラストレーター」だけでは表現できない、グレーディングやパターンメークは「例えるならノートと鉛筆を再現したシステム」で作業の精度と効率アップに役立つ。手で描く感覚のIT(情報技術)技術の活用は今後アパレル市場に広がりそうだ。
2010/07/15
スピード緩めたい
「ファッションサイクルのスピードを緩めたい」というのは、今秋冬からレイビームスの服と小物のバイイングを統括する佐藤幸子チーフバイヤー。チーフバイヤーに就任するにあたり「情報に流されるのではなく、洋服と丁寧に向き合ってもらうためにはどうすればいいか」を考えたという。その答えとして浮かび上がったのは、「トレンドの服だけでなく、普遍的に大切にしたいと思える商品を充実させることがビームスの役割なのでは」ということ。秋冬では、その理念を感じてもらうために商品を熱が冷めないぎりぎりの規模に抑えて物作りの背景や素材をきちんと紹介する構えだ。「80年代のセレクトショップのように、おしゃれ好きなお客様が面白い情報を求めて集うような店を目指したい」と言う。
2010/07/14
人のつながり
「業界全体が落ち込む時代に、業績を落ち込ませない経営手法を見いださなければならない」と語るのはレディスプレタ服メーカー、香織の岡元睦雄社長。「取引先の専門店が厳しい状況にある中で、通常の商品提案を行っていても困難な局面は打開できない。展示会開催の前段階においても、緻密(ちみつ)な商談を行い、次シーズンに向けた生産量の精度を高めていくことが不可欠だ」と言い切る。加えて生産背景の面でも生地発注で「一定量のランニングストックを確保してもらうためにも、継続した取引形態を保証することが前提」と考えている。ファッションビジネスの基盤にあるのは「人と人とのつながり。お互いに利益を共有できる関係を大切にしたい」と、信頼と実績を重視する。
2010/07/13
売った後
「売るまでの作戦でなく、売った後のコミュニケーションをどう作るかがカギになっている」と企画会社ベースメントラボの小宮班誌プロデューサー。ネット上でのクチコミなど、今は消費者のコミュニケーションがブランドの評価を左右する。売れているブランドはみな、エッジの利いたコミュニケーションを展開し、ブランドイメージをアップしていると指摘する。「買い物しなくなったとか志向が分散化したからというのを、売れない理由にしていたらダメ」。百貨店もファッションビルもSCも、考え方をもっとフラットにして消費者へのサービスやコミュニティー形成を考えるべきだと強調する。そのためには従来の組織で割った売り場ではなく、壁を破る必要がある。売り場ごとにテイストを明確にし、その世界を伝えて行くことが第一歩という。
2010/07/12
キッズを盛り上げ
「日本のアパレル、輸入代理店が展示会日程を同時期にまとめて、キッズファッションを盛り上げる。そうしたムーブメントを作っていきたい」と熱っぽく語るのは、プレイタイム・トーキョーを主催するセバスチャン・ド・ユッテン代表。「例えばキッズファッションウイークといった形で、商業的な面だけでなく、文化的、アーティスティックな面でも小売店や百貨店と一緒になってイベントを開いたり、ギャラリーでインスタレーションをしたり、子供たちのための1週間を」と考えている。そのためにもジャパンキッズファッションソサエティー(キッズジャパン)にもコンタクトを取っているという。
2010/07/09
販売力
「カットソー1枚でもトータルコーディネートを意識して販売するようになった」と話すのは、丸広百貨店川越店の渡部聡子チーフ。婦人服の自主編集売り場「スタイリッシュガーデン」を3月に開設した。従来の単品平場を一新し、週別に投入する商品が一目でわかる絵型付マップを使って、販売スタッフ間の情報共有を強めた。外部トレーナーによる接客、販売の教育を通じて、「どうしたらお客にプラスになるのかを常に考えるようになった」。顧客1人当たりの購買枚数は月を追うごとに高まっている。「リピート客に対しては購入履歴から着こなしを提案している」というアプローチの成果だ。販売力の向上にはスタッフ一人ひとりの売り切る姿勢が欠かせない。
2010/07/08
ハッチ効果
「40年前のテレビアニメ、みなしごハッチに感動した40代や50代の世代は売り場にもっと来て欲しい客だ」と語るのはイオンリテールの山田彦夫取締役衣料商品本部長。イオングループでは、31日から放映されるアニメ映画「みつばちハッチ」との協業グッズを販売し、「40代や50代と、その家族を含めた3世代の来店を促す」。加えてティーンズ向けには「今回のハッチ企画の目玉」であるマルキュー系のレディス「ヴァンキッシュ」との協業商品も打ち出す。「マルキュー系との協業は記憶の中でも初めて」と高い意気込みで販促に臨むが、目指すのは「ジャスコなどのヤング向けの自営ショップで展開することで売り場を活性化すること」という。みつばちハッチ効果をどれだけの世代に広げられるのか注目されそうだ。
2010/07/07
トレンドは小物で
「日本には欧米のように主張のあるデザインの服を1着のみ着るという文化はなく、レイヤードが基本。だから時々のスタイルを作るには小物が不可欠」と話すのは、ブランドプロデューサーの宮井雅史さん。手掛けるエースのセレクトバッグストア「ジュエルナ・ローズ」で持論を実践する。同ストアの立ち上がりは「店舗ごとに客層が違うのが特徴」と言い、「セレクトストアとしての本領を発揮できている」と喜ぶ。こうした中でも「共通して売れている」のは、ブランドの顔となるカゴ編みのトローリーで、「マーケットに存在せず認知された」という。今秋冬は「これにラビットや総ハラコ、フェイクファーを付けて、トレンドを加え、変化をつけたい」とさらなる拡販に意欲を燃やす。
2010/07/06
また来たい店に
「売り上げを取れとスタッフに言ったことはない。むしろ、これ以上は売らなくていいと言っている」と言うのは、デフ・カンパニーの金子修一社長。同社は、上質なライフスタイルを提案するため、神戸・栄町で専門店、飲食店を運営する。「売り上げよりも、お客さんにまた来たいと思ってもらうことが大事」とも。そのために、商品の背景を伝える努力も惜しまない。昨年から立ち上げたウェブマガジンでは、気持ちが豊かになりそうなエピソードを添えて、商品を丁寧に紹介する。会社設立15年を記念して出版する本も、共に歩んできた人々や、大切にしてきた物を紹介するものになるそうだ。「ただの売り買いだけでは寂しい」と、今後も顧客との関係作りを重んじる。
2010/07/05
大人が着たいもの
「様々なテイストを経験し、おしゃれを楽しんできた大人の世代が着たいと思うようなベーシックかつ上質な商品が今の売り場に少ない」と話すのは、「カトー」などのブランドを手掛けるチームキットジャパンの加藤博社長。そうしたニーズを分析し、今秋から双日インフィニティと協業してスタートするマックレガーの新ライン「McG+K」で、「知り得る限りのテクニックや生産背景を駆使」した大人のウエアを揃える。主力のジャケットは職人による丸縫いで、裏地など細部にもこだわりを見せる。「マックレガーという歴史のあるブランドと組むことで多くの人に触れてもらえる。若い人たちにあこがれられるような、かっこいい大人を増やしたい」と意気込む。
2010/07/02
変えるべきもの
「変えてはいけないものがある。一方で、変えるべきこともある」と福屋の新長一成専務営業本部長。「百貨店業態に地殻変動が起きている」と認識しており、地域一番店として高質、上質な商品、ライフスタイルを提案して百貨店としての存在を貫く方針だ。ラグジュアリーブランドを扱っているのに、低価格競争の渦中に飛び込んでいくのは百貨店が進むべき道ではないとみる。一方で、営業日数やカード戦略のほか、いくつかの変革に取り組んでいる。4月から五日市福屋で、「メリハリをつける」ために水曜日を休日にしたのもその一つ。火曜の売り尽くし、木曜のイベント立ち上がりがともに2ケタ増となるなど上々の成果だ。編集型の新しい売り場の立ち上げも構想している。あまり取り組んでいなかったというボトムアップ型で、「新時代の新しい福屋を作る」議論も開始した。
2010/07/01
変わる営業
「営業の手法が変化している」と話すのは、雑貨卸インプルーブの佐伯賢一社長。数年前までは、雑談を織り交ぜたセールストークで商品を売るスタイルが主流だったが、「今は商品をプレゼンする力と、先方のニーズをくみとり、その場で提案できる企画力が求められている」という。企画提案型の営業を強化するため、企画担当者にも営業に行かせる試みを始めた。実際、「若い女性の企画担当を営業に行かせたら、自分の約5倍のオーダーを取ってきた」と苦笑い。「今まで以上に、バイヤーや消費者と同じ目線で商品を企画することが大切」と話す。変化を感じているのは、営業の仕方だけではない。「展示会のやり方も、今と昔では違う」として、JFWインターナショナル・ファッション・フェアに団体出展。ブース内にアミューズメントやカフェスペースを設置し、出展者自ら展示会を盛り上げる。
