繊研新聞掲載のコラム

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ボイス/2010年08月

2010/08/30
 他者の評価
 「一流の社員とは、他者の評価を意識して立ち回ることができる人」と話すのは、クロスカンパニーの石川康晴社長。「働く上でのモチベーションに、昇給や昇格はそれほど関係しない」との分析に基づいた自説で、「自己調整力がある人」と置き換える。一例として、10年以上に渡って訪れている香川県・直島の現地観光ボランティアガイドを挙げる。「彼らは無給にもかかわらず、その内容は飛躍的に質の高いものになっている。観光客からの高い評判が、より良いものにしようとする彼らの原動力になった」といい、他方で「近隣の飲食施設のスタッフは有給にもかかわらず接客技術が上がっていない」と指摘する。「他人のため、社会のためを思って何かをするとき、同時に自分自身の人間性も評価されている。評判を勝ち取れる社員は、時として経営者を勝る有能な人物であることが多い」。

2010/08/27
 伝わりやすさ
 「ファッションの魅力を伝えるための表現方法として、動画の重要性はさらに高まる」と話すのは、プロッツ(東京)のウェブ動画サイト「ラグジュアリー・ティー・ヴィー」で製作総指揮を務める岸田一郎さん。同サイトでは、富裕層をターゲットに、ファッションや雑貨、車などライフスタイル全般に及ぶ商品やトレンドの動向を動画で配信している。「雑誌にない情報掲載のスピード」に加え、「ファッションなど感性に訴える点では圧倒的な『伝わりやすさ』がある」という。最近、店頭での販促として動画コンテンツを使用するケースも出ており、メディアとしての使い方も広がっている。「アイパッド」やスマートフォンの普及も「追い風」とし、更なるユーザーの増加に自信を見せる。

2010/08/26
 満足していない
 「まだまだ満足していない」とは、アイウエアSPA(製造小売業)「ジンズ」で急成長するジェイアイエヌの田中仁社長。昨年9月、業界に先駆けて、レンズの超過料金を一切なくし、最大1万円近い値下げとなる業態改革を実施、一大勝負に出た。商品原価も大きく上げたが、今期(10年8月期)売上高は104億5000万円、営業利益5億円、経常利益4億7000万円の大幅増収増益の見込みだ。それでも、「まだ視力矯正のためのめがね需要を取り込んだ段階。来期は、めがねを必要としない人にも、買ってもらえるビジネスモデルを発表して市場自体を拡大する」と意気込む。

2010/08/25
 コンテンツ
 「コンテンツを持っていないと生き残れないし、世界で戦えない」と話すのは、ハイウエイブ(東京)の飯村誠太社長。今はアパレルビジネスだけでは厳しいとみて、オリジナルのクマのキャラクター「キャメろん」が人気の主力ブランド「HbG」を、この1年でファッションブランドからライセンスブランドにすることを目指す。このほど開いた冬物の展示会では、グンゼの「ボディワイルド」のボクサーショーツをはじめ、手帳やシールなどの文房具、アイフォーンカバーなど、これから発売するライセンス品も合わせて披露した。年内を目途にロサンゼルスに旗艦店をオープン。ここを発信拠点に国内外で広めたいという。

2010/08/24
 分業SPA
 「仕入れ先メーカーや小売店と分業SPA(製造小売業)の関係を作ってきた」と、婦人服卸、サンエリートの岡田作衛社長。同社が企画の主体性を持ちつつメーカーと一体になって物作りを進める一方、得意先に対しては店頭支援を積極的に行ってきた。情報提供や販売応援はもちろんのこと、同社「専門担当者」による実践的な売り場ディスプレーやレイアウト提案のほか、5~6年前からオリジナルブランドによるインショップやコーナー提案も行っている。現在の状況を「1勝ち・9負けで二極化した状態」とし、大半が売り上げ減少、淘汰(とうた)の線上にある中で、同じ経営観を持つ3業態が「運命共同体を構築」することが生き残りの決め手としている。

2010/08/23
 協業で挑戦
 「百貨店で長期の売り上げ前年割れが続いているのは、客の変化に品揃えが対応できていないから。改善策のヒントがつかめると思い、産学協同の取り組みに踏み切った」と、東武百貨店営業政策室婦人商品政策部の浅田真司部長。同社と杉野服飾大学は来春に向け、婦人服のオリジナル商品を共同開発している。協業の提案を受け、決め手となったのが「挑戦、創造、自立」という同大の建学の精神。「新しい商品の品揃えに挑戦せず、新規客作りの努力もせず、取引先任せで商売していたが、学生のアイデアや若い力を刺激に活性化したい」と協業を決めた。池袋店周辺の駅西口では昨年春にエチカ池袋、昨秋はエソラ、今4月にルミネ池袋店が開業し、若者の流れが増えた。「ヤングの獲得にもつながれば」と期待する。

2010/08/20
 本紙で信用力
 「中国でも1万円を超えるワンピースが売れるようになった。今秋には『ルックス』本紙を展開したい」と岩本眞二スタイライフ社長。今年4月と6月に、発行するファッション通販誌ルックスのダイジェスト版を、中国の人気ファッション誌「■薇」(中国版ViVi)にブック・イン・ブックで展開した。北京や上海などの地域に5万部を投入。掲載商品はEC(電子商取引)事業で提携する中国のTOGJ社を通じて、電話とネットで販売。この物販が計画を上回った。中国の消費者向けECはまだ一般的に信用度が低い。「リアルな雑誌で信用力が生まれ、ブランディングができることがわかった」という。今後はメーカーと内販向けの物流など、仕組み作りも強化する。

2010/08/19
 館の差別化
 「商業施設も競合が激しく、差別化が一段と求められている」とは東急モールズデベロップメントの竹内雅郎執行役員港北東急ショッピングセンター総支配人。同館がある横浜市都筑区のセンター地区は、四つの大型商業施設がひしめく激戦郊外商業地だ。しかも「すべてがニューファミリー層を主対象としており、同質化の懸念が強い」。今年から館の半分を運営する東急百貨店と共同し、実質的な単一運営を強めている。「立地からニューファミリー層を主力にせざるを得ない。しかし、その中でも特徴を打ち出していくことが不可欠」とし、中高年の客層も多いことから、秋には団塊の世代に向けたゾーンを設けるほか、来春には「館の開業とともに育った高校生や大学生向けの売り場や食品の改装」も計画する。幅広い地域住民に受け入れられる施設として新たな一歩に挑む。

2010/08/18
 じっくりと
 「今もモーターサイクルウエアを作っているし、デザイナーのロベルト・メニケッティもバイクレースに出ているのでリアリティーがあるのだと思います」というのはアマンの藤井尚志執行役員。11年春夏からロベルト・メニケッティがデザインするイタリアのトータルブランド「ブレマ」を輸入販売する。ブレマはモーターサイクルウエアのパターンを取り入れているのが基本コンセプト。そこにハイテク素材とローテク素材を組み合わせる。「デザイナーブランドというよりは、プロダクトブランドのイメージ。だからいきなり売り上げるというよりも、じっくりと取り組んでくれる店と続けていきたい」。結果が出るのは12年秋冬くらいでいいとも言う。同社は現在、市場で人気の「ボリオリ」など、長期的視点でブランドを育てるのが得意。ブレマにも手応えを感じている。

2010/08/17
 上質なゴルフ
 「メンズゴルフ市場はまだ潜在能力を秘めている」と語るのはブリヂストンスポーツの斎孝浩アパレル企画部部長。同社は伊バトラックスと契約し「ジャギーゴルフ」を来春から本格販売する。ゴルフ市場は女子ゴルファーの台頭で参入が活発で、「トレンドの短期化・小規模化もあって売り場はやや混乱している」。ジャギーゴルフでは「5年後を見据えて上質なゴルフウエアを提案し、百貨店を含めた販路構築を目指す」。今春のテスト販売の評価を受け「インポートの価格と縫製の課題を早期に見直し、来春はイタリアデザインを日本人の嗜好(しこう)に合わせた品質で提供する」。同社のアパレル事業は前期(09年12月期)46億円。今秋スタートする「パラディーゾ×HK」とともに顧客に対応したマルチブランド展開を強化する。

2010/08/16
 ルック・イースト
 「ルック・イーストの姿勢で取り組んでいる」と日本向けアパレル輸出の拡大について語るのは、インド衣料品輸出促進協議会(AEPC)のプリマール・ウダニ会長。「我々の主力は米国、欧州だが、他の国々にも焦点を当てている。中でも日本は最重要マーケットと位置付けている」。中国のコストアップ、労働力確保の難しさを受けて、日本でチャイナプラスワンに関心が集まっていることは当然、把握しており、「正直、大きなチャンス」と認識している。「ステップ・バイ・ステップで進めばいい」と焦りはないが、「インドがチャイナプラスワンになりたい」との意欲は隠さない。

2010/08/13
 言い訳
 「リーマンショック以降、業界や市場の中で言い訳が広がっている気がする」とユナイテッドアローズの上級顧問クリエーティブアドバイザーの栗野宏文さん。安いものが売れるから高いものが売れないとか、景気が悪いので売れないなどを言い訳の代表例として挙げる。「ならば景気が良くないと服は売れないのか、あるいは価格の高い、安いは同一の一つの軸でしかなく、並列であってはいけないのか。お客様が楽しければいいのではないか」と指摘する。付け加えて「ファッションで生きて行くのには必ずしも量産でなくていいし、(ブランドやデザイナーも)有名だからというよりも本当に面白いかどうかが大切だ」と強調する。

2010/08/12
 天の時
 「レナウンの中国への本格進出はまさに『天の時』だ」と中国・山東如意科技集団(如意)の邱亜夫董事長。7月30日にレナウンと資本・業務提携し、新設する合弁会社で来春からレナウンのブランドを中国で販売する。中国市場は競合が激しく、後発となるブランドが通用するのかが疑問視されるが、「中国は成長と高度化のスピードが速い。高所得者層が約2億5000万人いることに加え、都市化が進み、今後、地方都市での中間所得層も増える。市場性は十分」とする。さらに、「中国の消費者にとって、ハイセンスな日本のブランドに対するあこがれは依然として高い」。原料・生地開発から縫製、小売業までを一貫して行い、「中国の繊維・アパレル業界ではトップクラスの企業で、『地の利』もある」如意と組めば、「成功の確率は極めて高い」と自信を示す。

2010/08/11
 期待できる分野
 「中国はまだ売上高は小さいが、将来性は大きく期待できる」と話すのは、ジーンズカジュアルメーカー、ブルーウェイの鎌倉博治社長。中国内販は07年12月に上海久光百貨で「ウエストボーン」を出店したのを皮切りに、現在、5店となっている。上海をはじめ、蘇州や大連でも売り上げが伸びており、「中国では欧州ブランドが強いが、当社の日本製の打ち出しに確実に反応があり、リピーターも多い」という。上海久光百貨の店は6月のフロア改装でエスカレーター近くに移り、7月から利益が期待できる推移となっている。11年春には天津の伊勢丹百貨2号店に、6店目を開く。現在は日本と全く同じ商品を販売しているが、「中国人は腰など体つきがしっかりしている。今後はサイズ修正などが必要になるかも知れない」と話す。

2010/08/10
 すし職人のように
 「メーカーの商品に対する思い入れが希薄になっている」と話すのはカジュアルウエアメーカー、快晴堂(東京)の杉田直人社長。グローバルな生産背景を活用し、高性能、高感度、低価格がスタンダードになった一方で、「国内はコストとの関係もあり、生産背景が脆弱(ぜいじゃく)になるばかり」。決してグローバル化を否定するわけではないが、と前置きしながら、「うちは“すし職人”でありたい」と強調する。お客さんが、どんな人が作っているのかわかる環境で商品を届けたいと考えているからだ。そのため、日頃から機屋など協力工場との対話を欠かさない。「でないと自分たちが商品に込めたい思いが、直接作り手に伝わらないでしょう」。長い付き合いの機屋の社長とは「月1回、朝からワイン片手の宴会が恒例」となっている。

2010/08/06
 アジア客が増加
 「品川圏にアジアの客が増えている」と話すのは、アトレ品川店店長の佐藤敬子さん。品川は羽田空港から近いこともあり、この度の国際線新旅客ターミナルの完工、そして今後のハブ化に伴ってアジア圏の旅行客はさらに増えるとみている。「アジア圏、特に上海の消費者は今まで日本っぽいファッションを志向していたが、徐々に欧米志向に変わってきているのではないか」といい、合同展などでは欧米風のにおいを感じさせるブランドを探すことが多いのだとか。羽田空港の国際化とタイミングを合わせた米企業などからのタイアップ広告の問い合わせも増えていると言い、国際都市に変わりつつある品川の街に合わせた店作りを目指す。

2010/08/05
 商品と情報
 「個性豊かな新進クリエーターや新興ブランドの商品に、市場性が出てきている」と話すのは、小田急百貨店商品統括部服飾品商品部の山本聖マーチャンダイザー。JFWインターナショナル・ファッション・フェアのCV(クリエーターズビレッジ)を訪れて、バッグやシューズなどの服飾雑貨で実需を取り込めると感じたという。ブランド数の多い自主編成売り場では、単に商品だけを並べては売れない。商品の魅力をいかにアピールできるかは、編集力と情報発信が必要だと強調する。そこから、ブランドが製作するカタログなどを用いたVMDを強化して、お客にプラスアルファの情報を伝えている。

2010/08/04
 産業の一翼へ
 「これからは中古衣料のリサイクル業態がアパレル産業の中に組み込まれていく」というのは、キングファミリーの黒川芳秋社長。25年間、衣料専門のリサイクルショップを展開しており、現在、FC軸に90店を出店している。これまでは一般消費者向けに一点物を探す楽しみを提供してきたが、消費不況とエコ志向でアパレル企業からのアプローチが目立ってきた。消費活性化を目的にした衣料の下取りセールが頻繁に行われるようになり、CSR(企業の社会的責任)として、衣料の再利用までを消費者にアピールする企業が増えてきたためだ。「これまでアパレル産業の外にいた状態だったが、下取り処分コストを吸収できるのはリサイクルショップだけ。しかも輸出まで対応できるところは少ない」として、新品業界へ存在を積極的にアピールする。

2010/08/03
 プロ向けセミナーも
 「毛皮の販売促進につながるよう、プロ向けのカリキュラムも検討していきたい」と話すのは、日本毛皮協会の中村友昭理事長。「人材育成事業として取り組んできた」学生向けの素材加工セミナーは10年目を迎え、今夏は過去最高の1790人が参加する。特殊な技術を必要とするため、講師である専業企業の長年の経験と知識は何よりの教本だ。さらに最近は「アパレル業界の方々からもセミナーへの要望がある」。協会ではメーカーの企画生産に役立てることに加えて「店頭で消費者に正しい使い方を説明できる環境作りや販売員の育成につなげてほしい」という。ファッション性だけでなく「取り扱い上の注意点を理解してもらうことで、安心して抵抗なく購入する人が増えるのでは」と考える。

2010/08/02
 1対1の原点
 「呉服の販売スタイルは、顧客と1対1の原点に戻るしかないのではないか」と、呉服専門店よ志井の吉井啓祐社長。長年の呉服の無店舗販売の経験を生かし、昨年秋に初の呉服専門店を京都市に開設。店を「きもの好きな人が集まるサロンとして、顧客との交流の場」と位置づけている。オリジナルのセミフォーマルきもののオーダー販売を基本にしているため、接客時間はかなり長い。「1日の来客を制限し、短くても1人と数時間、長い場合は半日近くも話をする。適正な価格で自分だけのきものが作れることで、満足度が高く、顧客のほとんどがリピーター」と話す。「呉服専門店本来の強みは、顧客のニーズに密着した個別対応力にある。この原点に返ることが求められている」とする。