繊研新聞掲載のコラム

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ボイス/2012年01月

2012/01/31
 自覚求める
 「知り合いからの問い合わせで、自社製品がコピーされていることを知った」とレディスバッグメーカー、ふく江の福江光洋さん。オリジナルは、色や軽さ、小売価格の設定を考え抜き、企画にコストをかけてきたバッグ。コピーをしたメーカーは、自分が目標としているブランドだった。影響力の大きいブランドがコピーをすると、零細メーカーはオリジナルでもコピーと見られてしまう。対抗策として新商品の完成後すぐにブログやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で公開を心がけている。コピー先と争う気は無いが、「消費者だけで無く、同業メーカーにもにも憧れられているブランドとして、自覚を持って欲しい」と警鐘を鳴らす。

2012/01/30
 若い人に夢を
 「次世代のユニフォームデザイナーを育成し、業界の若い人に夢を持ってもらえるようにしたい」と話すのは、公益財団法人ヤギメセナファンデーションの八木圭一朗理事長。今年で13回目を数えるユニフォームのデザインコンクール「千年大賞」を主催してきた。コンクールには毎年、3000~4000点の応募が全国の若いデザイナーや学生からある。ユニフォームメーカー、ヤギコーポレーションの社長でもある同理事長は「多くのデザインソースに触れる良い機会」を大事にしながら、「景気に左右されることなく、デザイナーの育成を続ける一助に」と開催を継続する考えだ。「審査委員長の中野裕通さんのような力のあるデザイナーが『千年大賞』から生まれたら」と言う。

2012/01/27
 小売り新時代
 「11年は世界中が様々な変化と災害に見舞われた。世界の製造業は昨年の反省を踏まえ、今年はアジアなどの枠を超えて成長し、リスクヘッジがなされる」と語るのはオメロピットクラブ代表でマキ・モデリストオフィス社長でもある牧勝則氏。一方、「小売業のグローバル化は遅れている。今年は小売り新時代」と指摘する。日本の小売業もアジアへの進出の動きはあるが、「欧米への進出となると難しい」とし、「借り物のブランド、鎖国的なアパレル業態が長すぎたつけである」と分析する。約30年間連続でイタリアの「ピッティウォモ」展や欧州有力店を視察している眼で「時代を超えて愛されるもの、その瞬間に愛されるもの、この二つの選択がグローバル化に不可欠な要素。日本にも専門店化したセレクトショップが望まれる」と指摘する。

2012/01/26
 新ジャンル
 「リラックス・エレガントというジャンルを確立したい」と話すのは、今春デビューの「エンフォルド」をディレクションするバロックジャパンリミテッドの植田みずきさん。30~40歳の高感度な大人の女性に向けて、タックやドレープを駆使した立体的なパターンの、360度どこから見てもキレイなシルエットにこだわったウエアを提案する。キーアイテムに位置付けるパンツは、バミューダやクロップト丈、メンズライクなトラウザーなどバリエーションがいっぱいだ。「バロックらしさと言えば大人が楽しめるデニム。エンフォルドではデニム以外のパンツを強みに定着させていきたい」と話す。

2012/01/25
 イメージ再構築
 「ブランドイメージの再構築に向けて力を注ぐ」と語るのは、コスモトレーディングの根本敦士マネジャー。メーンブランド「ファナカ」はアラフォー世代を主対象としたリラックスウエア。これまで商品はインドを主力に生産してきたが、「今後、商品企画や納期に合わせて日本、韓国、中国などの協力工場を柔軟に組み合わせ、生産背景を拡充する」考えだ。企画は「ワンピース、ブラウスを中心に上品なナチュラル、大人の女性のリラックスウエアを追求していきたい」。年明けからは、本社をTOCビル(東京・五反田)から渋谷区千駄ヶ谷へ移転。「TOCには現物対応を求めるバイヤーが多かったが、千駄ヶ谷では展示会発注が主力になる。本社移転を機会に商品イメージを変えていきたい」としている。

2012/01/24
 子供と向き合う
 「両親が教えきれない、企業としてのメッセージを発信できたら」と話すのは、ジェニィの平原亮太社長。主力の「シスタージェニィ」はダンスチームを販促に生かし、女子小学生から圧倒的な支持を得て、今期も既存店売り上げは5%近く伸ばす。一方で「メディアの影響で勢い付くJS(女子小学生)ファッションに巻き込まれている面がある」と危機感も抱き、「表面的な動きに捉われず、地に足のついた顧客作りを心掛けたい」と言う。今はイメージ重視でトレンド要素を反映させるが、「もっと子供と向き合って商品を考えることが大切」。来期は「ダンス以外にも何か夢中になれること、より多くの子供たちに身近な切り口を見つけ、店頭のスタッフとも連動しながら、新しい魅力を打ち出していきたい」。

2012/01/23
 ヘリテージ
 「ヘリテージ、ストーリーがないと百貨店では通用しない」とアニエスベーサンライズの門田剛社長。今年、同社は改めてブランド認知を広げる活動に取り組む。百貨店を中心に展開するヤングライン「トゥービー・バイ・アニエスベー」好調の理由は、「トレンドのごった煮をやめ」、ブランドの“らしさ”を大切にした成果。当初、「アニエスベー」を知る母と娘での来店、購買が多かったが、狙い通りの25歳を中心に、新規の顧客も増えている。ブランドの全貌(ぜんぼう)を「ワシづかみで理解してもらえるように」と、ショーや写真展、協業商品を計画している。バッグの「アニエスベー・ボヤージュ」でもキャッチーなロゴが目印の「abハート」シリーズが人気だが、「かわいいだけでは食べていけない」と、これまでの姿勢を崩さず進む。

2012/01/20
 独自性を追求
 「独自性のある企画をさらに追求する」と言うのは、デザイナーの小篠ゆま。ヒロココシノ・インターナショナルと提携し、婦人服「ユマコシノ」を販売して今年で5年目。アラフォー世代を中心とした大人の女性に支持され、順調に売り上げを伸ばしてきた。ドレスを中心に、鮮やかな色のプリント柄を打ち出した商品が年間を通じた売れ筋で、「ブランドの顔として確立した」と言う。「東日本大震災以降、個性が強い服を求めるお客がこれまで以上に増えており、今後も同様の傾向が続く」として、今春夏物でもブルーやオレンジ、イエローなど明るい色のプリント使いの商品を充実した。2月から店頭フェアを毎月実施するとともに、夏物から百貨店インショップの店長に商品の発注権限を持たせるなどして「売る力もさらに強化したい」と言う。

2012/01/19
 経営をデザイン
 「クリエーティブの強化は商品だけではない」と話すのは、ユナイテッドアローズの重松理社長。商品では差別化と価値向上、さらに海外展開をにらみ、オリジナルの企画開発を強化する。資料室やアトリエの開設など来期に向けて取り組みが進む。併せて「総合的イメージのクリエーティブが欠かせない」と強調する。この場合のクリエーティブとは「社内外が目にするアウトプットの全て」が範囲だ。品質管理、MDバランスなど商品に関わることからコーポレートアイデンティティー、事業内容、キャンペーン、人事体制、店員やPOP(店頭広告)、顧客とのコミュニケーションなど多岐にわたる。商品、事業、理念などすべてを統一しなければ、消費者に受け入れられない。つまり「経営をデザインする」こと。これは次世代をどう育成し、継承するか、でもある。その方法論が課題だという。

2012/01/18
 利便性が向上
 「有楽町の東京交通会館10階にあった頃と比べ利便性が格段に向上した」と微笑むのは、三菱地所の協力で新たな外国人向け総合案内所を丸の内に開設した日本政府観光局の松山良一理事長。「62年12月にできた外国人向け案内所はこれまで約230万人が利用し、旅行案内にとどまらず銭湯や100円ショップなども紹介してきた」。新総合案内所はこうした伝統を引き継ぎながら三菱地所が運営、2階には交流拠点のカフェも併設した。「日本の表玄関にあたる最高の場所にあり、路面に面していることも素晴らしい」。外国人から要望の多かったパソコンや公衆無線LANも整備した。「今後は案内のレベルをさらに向上させるとともに全国の観光案内所と連携し、早期の訪日外国人1000万人達成に向けて尽力したい」と抱負を語る。

2012/01/17
 優先順位
 「他に成長市場があっても日本の重要性がそれに取って代わられるわけではない」と言うのは、伊ロロ・ピアーナのピエール・ルイジ・ロロ・ピアーナCEO(最高経営責任者)。欧州の財政問題もあって、ラグジュアリーファッションの世界的な販売にとって成熟市場の存在感が低下しているように思えるが、「欧米、日本は、確かに成熟市場ではあるが、それでも消費者に占める富裕層の比率が高い」と見る。実際、日本でも同社のテキスタイル販売は「震災以降も落ちておらず、むしろ市場シェアは拡大している」と言う。「品質への根強い支持」がこれを支えている。景気の先行き次第で成長のレベルが下がるとしても「今後も当社にとって日本市場の優先順位が下がることはない」そうだ。

2012/01/16
 コミットメント
 「たとえトレンドに逆らっていても、我々は素晴らしい結果を残す」と話すのは、ルイ・ヴィトン・ジャパン・カンパニーのフレデリック・グランジェプレジデント兼CEO(最高経営責任者)。低迷に悩む百貨店へ出店する意義を問われ答えたもので、「『ルイ・ヴィトン』は常に革新を突き詰めており、マーケットを引っ張っていく存在だ」と続ける。一方、高級ブランド界で進む日本離れをけん制。年末に相次いで出店改装を実施したことを引き合いに出し、「短期間での店舗投資は日本に対するコミットメントの表れ」と強調した。12月初旬に開設した小田急百貨店新宿店についても「トラフィック(交通量)が期待でき、場所ありきで決めた。お客にはこの店でルイ・ヴィトンの経験を積んでもらいたい」と期待を寄せる。

2012/01/13
 海外投資強める
 「06年に中国へ進出した時に、10年で1000店という目標を掲げたが、当初の予定通り進みそう」と自信を見せるのは、ハニーズの江尻義久社長。昨年から3ケタ出店に突入し、今期(12年5月期)末は400店近くまで届きそうだ。「上海で60店、北京で50店と1、2級都市が埋まってきたから、今後は3級都市まで攻めていく」。昨年3月11日の大震災では、福島に本社がある小売業として大変苦労した。国内店舗の閉店は、震災による商業施設の閉鎖などもあり増加したが、今期でほぼめどが立った。「当面の投資は、国内は改装などにとどめ、海外を強める。2月に稼働する予定のミャンマーの直営工場は800人から始めて3000人まで拡大する予定。中国法人の増資も考えなければ」と意欲を燃やす。

2012/01/12
 広域から集客
 「ビジネスでもプライベートでも本物・本質志向の男性をターゲットに設定した。その想定通りに感度の高い層の購入が多い」と話すのは、阪急メンズ・トーキョーの山口俊比古店長。プレステージからモデレートまでの雑貨を切り取って奥行きを広げ、比較購買しやすいように編集した。「近隣のビジネスマンだけでなく、予想以上に出張者の来店が多い。中国などアジアからの観光客も増えている」と広域からの集客に結び付けた。さらにヤングカジュアルでは帽子、バッグ、革小物、アクセサリーを自家需要として買い求める若い女性客が目立つ。「従来にはないMDを導入することで、潜在的なニーズを掘り起こす」というメンズ特化型の店舗モデルの深化に余念がない。

2012/01/11
 10億円催事
 「今年度も過去最高の売上高を達成、12年連続で日本一になれる可能性が高い」とは、山形屋の下脇芳明取締役営業部長。昨年11月に20日間にわたって開催した第48回北海道物産展で、前回に続き過去最高売上高を更新する8億8500万円を記録、全国百貨店での北海道物産展の中で11年続く首位を維持できそうだ。約1000平方メートルの催事場での売り上げに、事前の予約販売や食品売り場での関連セールを加えると「総額10億円規模の催事」。「鹿児島のしょうゆを北海道の業者に持ち込み、地元顧客の口に合うイクラを作ってもらい5トン単位で仕入れる」など、現地にバイヤーが入り込み仕掛けてヒット商品を作る力の入れようが、顧客の支持を受け続ける理由だろう。

2012/01/10
 この指止まれ
 「セレクトショップは、セレクトからエディット型へ変わっていく」と、企画会社ベースメントラボの小宮班誌プロデューサー。セレクトショップが登場して30年。バイヤーは他店にはない商品を求めて世界各国を巡り、様々なブランドを提供してきたが、インターネットの普及で、消費者は個人で容易に迅速に情報を得るようになった。ラグジュアリーブランドも日本でのEコマースを始めているし、百貨店もモノが揃っているという優位性は崩壊したと言える。「だからこそ今大切なのは、独自の世界を編集すること」。ここで買う、あるいはこういう買い方をするという購買行動に意味を持たせることが重要と話す。「商品ではなく、文脈を売るという視点での店作りやブランド作りをしていくべき。この指止まれの店作りです」

2012/01/06
 新しいビジネス
 「現在、30代以下の若い世代のデザイナーブランドが育ち難い市場環境にあるが、当社が新しいビジネスの在り方を示すことで、少しでも新しいデザイナーが活躍できる場が生まれればと考えている」と話すのは、レディスアパレルメーカー、ソトデザインの小松左京社長。主力ブランド「ネイビー・ウォ」で、東京・自由が丘の路面と、高島屋新宿店に直営店を展開し、販売が前年比40%増で推移。「直営店展開を行うことで、シーズンごとの売れ行きに波がある卸業態だけに依拠しない収益基盤を確保できた」とする。「店頭には私自身は勿論、企画担当者やデザイナーが立ち、接客を行うことで顧客のニーズを直接把握し、商品企画に生かすことができるのも利点」として、消費者との対話を生かしたクリエーションを提案する。

2012/01/05
 男性の育児参加
 「男性の育児参加が進めば、トータルで家計がプラスになる」と話すのは、男性の育児雑誌『FQジャパン』発行人の清水朋宏さん。黒いカラーリングで、太いフレームのベビーカーなど男性目線の育児用品は、割高な商品が多いが「女性の職場復帰が早まれば、家計の収入が増えるので、高くても投資効果は十分ある」と強調する。かつては、男性向けはベビーカーなど休日に使用するアイテムが中心だったが、最近はスマートなデザインの抱っこひもや哺乳瓶、パパバッグなど、デイリーな育児に必要な商材が増えつつある。ただ、男性目線の育児用品市場はまだ小さいのが実情だ。育児参加意識の高い富裕層向けに「高級志向の売り場で展開するなど、育児参加のインフラを整えることが必要だ」と指摘する。

2012/01/04
 餅は餅屋
 「餅は餅屋。婦人Lサイズは、特殊な商品なのでアパレルメーカーと協力していきたい」と話すのは、ダイエーの岩下基実衣料品商品本部レディス部部長。「婦人Lサイズは大きな伸びはないが、急に縮小もしない安定市場」だが、着やすく、かつ美しいシルエットが要求されるなど商品企画力が重要とされる。「安いからといって売れるわけでもない難しい分野」と見ている。企画の良しあしが売り上げに反映されやすいだけに、「特にアパレルの企画力が必要になる」と考える。12年春夏からは、店舗ごとに商品構成を変える。「(トップ、ボトムなど)それぞれ強みを持つアパレルと取り組んで商品構成し、ノウハウを共有しながら活気のある売り場を作りたい」と意気込む。