素材を学ぶ《化学繊維・高機能繊維−4》
ポリエステルとPBT、PTT−はん用、伸縮、ソフト
2000/09/26
ポリエステルは1953年に米国のデュポン社が、英国のキャリコプリンターズ社から特許権を取得し、初めて工業生産が開始された。日本では1958年に、帝人と東レがICIより技術導入し生産を開始した。
ポリエステルは、家庭用品品質表示法では「単量体相互の結合部分が主としてエステル結合(−CO・O−)による長鎖状合成高分子からなる繊維」と定義されている。この定義では、通常のポリエステル(PET:ポリエチレンテレフタレート)以外にPTT(ポリトリメチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、並びに全芳香族ポリエステル(クラレ・ベクトラン)や生分解性繊維として話題のポリ乳酸繊維などが含まれる。
PETは、エチレングリコール(炭素が2個の二価アルコール)、PTTはプロパンジオール(炭素が3個)、PBTはブタンジオール(炭素が4個)がテレフタール酸とエステル結合した高分子。
PET繊維は、ペットボトルなどにも利用されているPET樹脂を繊維化したもので、強度や耐熱性などで優れた性能を有し、また、原料価格が安価であるなど経済性にも優れるため、最も普及している合成繊維である。世界で最も生産量の多い繊維原料が綿花で1900万トン、次いでポリエステル繊維の1600万トンである。
一方、PTT繊維は最近話題の繊維で、デュポン社がPTTの原料であるプロパンジオールをトウモロコシから発酵法により製造するバイオ技術を確立したことにより一躍有名となった。PTT繊維は、日本では旭化成工業が、シェル社の合成系原料を用い「ソロ」の商標で商業生産(年産1000トン)を開始している。PTT繊維は、ポリエステルの形態安定性とナイロンの柔らかさを兼ね備えた繊維と言われている。
なお、PBT繊維は、PTT繊維より前から実用化されており(クラレ「アートロン」、ユニチカ「ワンダロン」など)、染色が容易であること、加工糸にした場合の伸縮特性に優れる(ストレッチ素材に適する)などの特徴があるが、PET繊維に比較してその生産量はわずかである。
(日本化学繊維協会大阪事務局技術グループ担当部長・山崎義一)
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