Learn - ファッションビジネス講座

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素材を学ぶ

《化学繊維・高機能繊維−7》

アクリルとピリング−表面を滑らかにする

2000/10/24

 アクリルはポリエステルやナイロンと同じ合成繊維であるが、両者とはかなり異なる。アクリルは、アクリロニトリルという高分子を原料とし、これを有機溶剤に溶かし、「レーヨン」の項で述べた「湿式紡糸」により製造される。この時に紡糸浴中の溶剤回収などが必要となるため、工場の設備コストが大きくなる。このことがポリエステルなどと異なり、新しい企業参入を難しく、日本がまだ世界で1、2位の生産量を誇っている理由の一つとなっている。
 アクリルの性質の大きな特徴は、熱的性質である。アクリルは100度C以上の熱をかけるとその形を記憶(セットされる)するが、いったんセットした繊維でも、70〜度Cに温度を上げると柔らかくなり、力を加えると形を変えることができる。この現象を利用して、“ハイバルキー糸”が作られている。最初に100〜120度Cでアクリルをセットして形を記憶させた後、80〜90度Cで20〜30%引き伸ばしたアクリルと通常のアクリルとを混合して紡績して糸にする。その糸に100〜120度Cの熱をかけると、引き伸ばされた方の繊維がセットされた状態に戻って(縮んで)糸の内部に入り、縮まない方の繊維が外に浮き出てかさ高な糸となる。これがアクリルのハイバルキー糸で、ポリエステルではアクリルほどのかさ高な糸はできない。
 このかさ高でソフトなアクリル糸は保温性に優れ、セーターや毛布、カーペットなどに利用されている。また、アクリルは光に対して強い(劣化しない)性質があり、カーテンや国旗などにも使われている。
 なお、アクリルセーターはピリング(毛玉)ができやすい弱点がある。毛玉は、糸を構成する短繊維が、摩擦により糸表面から浮き出て、繊維同士が互いに絡み合いピリングとなる。ピリングの発生を少なくするには、糸の撚りを強くして繊維同士の絡み合いを高める方法があるが、糸の風合いがかさ高でなくなる。繊維の曲げ強度を低くする(毛玉が大きくなる前に切れて脱落させる)、繊維の表面を滑らかにするなどの方法によりピリング発生を抑えた抗ピルアクリルが商品化されている。

(日本化学繊維協会大阪事務局技術グループ担当部長=山崎義一)

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