素材を学ぶ《化学繊維・高機能繊維−13》
生分解性繊維−耐熱性や強度面で優れる
2000/12/05
生分解性高分子(繊維)とは、「自然界に存在する微生物が分泌する酵素によって分解される高分子(繊維)」を指す。この微生物による高分子の分解は、まず始めに、微生物が外へ分泌する加水分解酵素により高分子鎖がバラバラに分解されて低分子量の化合物となり、次いでこの分解生成物が微生物の体内に取り込まれ、各種の生体分子や二酸化炭素と水に代謝される。なお高分子は、光(紫外線)や酸、アルカリなどによっても分解されるが、「生分解性」の定義には、微生物以外の分解作用は含めない。
生分解性は、一般的に天然繊維で優れ、合成繊維では乏しいが、合成繊維でも生分解性に優れる高分子が開発され、繊維化されている。生分解性繊維に使われる代表的な樹脂は、脂肪族ポリエステルであるが、その中でも耐熱性や強度面で優れるポリ乳酸繊維が注目されている。日本では、カネボウ合繊「ラクトロン」、ユニチカ「テラマック」、クラレ「プラスターチ」などがある。
ポリ乳酸繊維は、飼料用のトウモロコシを原料として乳酸を作り、これを重合してポリ乳酸とし、このポリ乳酸を熱で溶解して繊維状に紡糸(溶融紡糸)して作る。ポリ乳酸の融点は約170度で、強さはポリエステルとほぼ同じである。
米国の穀物メジャーであるカーギルと化学会社のダウの合弁会社であるカーギル・ダウ・ポリマーズがポリ乳酸の本格的な商業生産に入り、来年後半には年産14万トン規模の設備を米国で稼働させる予定で、価格も現状(1キログラム当たり500円以上)の半分程度になると報じられている。ポリ乳酸繊維は、綿などと混紡してシャツ類など衣服用途に用いられるほかに、生分解性という特徴を生かして農業用のべた掛けシートや土木用の植生ネット、防草シートなどにも利用されている。
なお、その他の脂肪族ポリエステルとしては、ポリカプロラクトンがあるが、融点が低い(約60度)ため、一般の織・編物には適さない。
(日本化学繊維協会大阪事務局技術グループ担当部長=山崎義一)
|