素材を学ぶ《綿−8》
2000/08/01
紡績の付加価値技術(2)−中空糸、軽い製品を作る画期的技術
無撚糸・解撚糸 糸に撚りがなければバラバラになってしまうが、工夫を凝らせば、繊維が平行に並んだままの無撚り状態で布地を作ることができる。そんな綿布地は柔らかく、ボリューム感があり、肌触りが良い。作り方は、綿の単糸と水溶性PVA(ポリビニールアルコール)のフィラメントを合わせ、単糸の撚りと反対の方向に撚り合わせて、双糸にする。単糸の撚り数だけ撚り戻せば、単糸の撚りはゼロになり、この糸で布地を作った後、熱湯でPVAを溶かして取り除くと、撚りのない綿糸だけの布になる。
中空糸 軽い綿製品を作る画期的な技術。水溶性のPVAステープルを芯に、綿をシース(鞘〈さや〉)にして撚り合わす。この糸で布地にした後、温水でPVAを取り除くと、芯の部分が空洞になった綿糸ができる。普通の綿糸と比べ、外見は同じ太さでも、空洞の分だけ二〇〜二五%ほど軽くなる。その他、バルキー性、ソフトさ、吸水性、速乾性、保温性などの面で品質が向上する。クラボウが「スピンエアー」のブランドで商品化している。
軽いチェーン編みの無撚糸 最近、日清紡が開発し、「アンデルスピン」というブランドで発表した革新的な技術。精紡機の撚りをかけるリング部分に代わって、筒編み機を組み合わせたような機械で、ドラフトローラーで所定の細さにした繊維束を一本のチェーン編みにする。出来上がった糸は無撚の状態だが、チェーン編みによって糸としての形状や強力が確保される。細さは、十番手が最も細く、それより太い糸が出来る。軽さは、編み組織によって普通の糸より三〇%ほど軽く感じられる。
ジェット・スピニング(MJS) エアジェット紡績、エア仮撚式結束紡績ともいい、ドラフト・ローラーで所定の細さに引き伸ばした繊維束を、回転する空気流の中心を通して、繊維束の外側にある繊維の端が束に巻き付き締め付けるようにして糸にする。中の方の繊維は平行に並んだまま。製品にするとシャリ感が出て、夏の肌着などに向いている。第一紡績が「アーサ」のブランドで商品化している。
(国際綿花評議会顧問=日比暉)
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