素材を学ぶ《綿−9》
2000/08/08
綿繊維と染色加工−染料や加工剤で化学反応
色や仕上げ加工は、染料や加工剤を綿繊維の中に浸透させ、繊維の分子と化学反応をさせるものだから、まず綿繊維の微細構造を理解しておく必要がある。
綿繊維の微細構造 綿繊維の大きさはまちまちだが、平均的には、長さは二〇〜四五ミリ、太さは一二〜二〇ミクロン、ややへん平で、天然撚りがある。通常、七〜一〇%の水分を含むが、水分を除くと九四%までがセルロースで構成されている。そのほか、ペクチン、タンパク質、有機質、ろう、灰分などが含まれる。綿繊維は一個の細胞が細長く生長したもので、顕微鏡で調べると、第1図のような構造になっている。セルロース以外の物質は、表皮や一次壁の方に多く含まれている。二次壁は全体の八一%を占めているが、ほとんどセルロースで構成されている。
第1図=綿繊維の構造 セルロースは第2図のような分子構造になっており、一個のD―グルコース(ぶどう糖の一種)がもう一個のD―グルコースと一八〇度裏返しに結合したもの(これをβ―グリコシド結合という)で、セロビオースと呼ばれ、このセロビオースがいくつも直線状に結合して、直鎖状のセルロース分子を形成している。
第2図=セルロースの構造図 セロビオースには六個のOH基(水酸基)がついており、これが他のOH基と結合する能力をもっており、水とも結合する。染料や加工剤と結合するのもこの部分である。このセロビオースは、一次壁では二千〜六千個、二次壁では一万三千〜一万四千個つながっている。この長いセルロースが百本ほど平行に並んで相対するOH基でしっかり結合して、ミクロフィブリルを構成する。ミクロフィブリルは綿繊維を構成する最小の単位で、一次壁、二次壁ともミクロフィブリルで構成されている。ミクロフィブリルはかなりしっかりとした結晶体となっていて、水や薬剤を中に入れないが、ミクロフィブリルとミクロフィブリルの間は非結晶で、水や薬剤はこの非結晶部分に浸透する。ミクロフィブリルの外側には多くのOH基があるので、水や染料、加工剤はそこでしっかりと結合する。
(国際綿花評議会顧問=日比暉)
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