素材を学ぶ《綿−10》
2000/08/15
仕上げ加工のいろいろ(1)− 機能性与える加工
綿製品の仕上げ加工は多種多様だが、(1)機能性を与える加工と、(2)風合いや外観を良くする加工に大別できる。
形態安定加工 綿製品はしわや縮みが欠点と言われる。この欠点をなくすため戦後長年にわたって研究が進められ、ついに形態安定加工が完成した。綿繊維自体を改質する加工だ。
改質加工は、次の二つの加工が組み合わされて完成する。
(1)綿繊維を永久的に膨潤させる。
(2)綿繊維の非結晶部分を樹脂などの加工剤で架橋結合する。
(1)の膨潤させる方法には、(a)シルケット加工(マーセリゼーション)と(b)液体アンモニア加工の二方法がある。これらには一長一短があるが、液体アンモニアは綿繊維への浸透性に優れ、すばやく均一に反応するので、工業生産に適している。
(2)の架橋結合方法としては(a)樹脂加工と(b)VP加工がある。
樹脂加工は、非結晶部分に樹脂を染み込ませ、熱処理(キュアリング)によって樹脂とセルロースを化学結合させる。その熱処理を布の段階で行うのがプレキュア、製品に仕立ててから行うのがポストキュア。また、VP加工は気体のホルムアルデヒドが架橋剤で、樹脂に比べて分子が小さく、繊維に浸透しやすく、内部まで均一に架橋結合するので、高い防しわ性が得られる。両者とも遊離ホルマリンをいかに最小限に抑えるかが重要なポイントとなる。
現在市場にある形態安定加工は、(1)の(a)(b)と、(2)の(a)(b)をそれぞれ組み合わせて行われているが、このほかに、高圧(一〇気圧)・高温水蒸気(一八〇度)で処理して、綿繊維内のセルロースの多形体を変化させ、結晶化を進めることで、形態安定性を与える画期的な加工(東海染工のJウオッシュ)がある。
健康関連の加工 最近関心が高まっている健康関連の加工には、抗菌防臭加工(SEKマーク認証)、制菌加工(SEKマーク認証)、消臭加工、芳香加工、ヒーリング加工、ノンアレルギー加工、防ダニ加工、保湿加工、保温・蓄熱加工、清涼加工、PHコントロール加工、UVケア加工、吸汗速乾加工、遠赤外線加工など実に多彩だ。
綿の場合は、これら加工に必要な薬剤を樹脂などのバインディングで綿繊維に熱固着する。
その他の機能性付与加工 撥水(はっすい)撥油加工、防炎加工など。
(国際綿花評議会顧問=日比暉)
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