素材を学ぶ《ウール−1》
2000/04/04
ウールとヘア−大きな要素は「縮れ」の差
天然繊維は植物系と動物系に大別される。植物系には綿花、麻、レーヨンなどがあり、動物系には羊毛やカシミヤ、モヘア、キャメル、リャマなどがある。動物系は「羊毛」(ウール)と「獣毛」(アニマル・ヘアー)に分類するのが一般的である。
「羊毛」と漢字で記すと、明らかに「羊の毛」であることがわかるが、英語でWOOL(ウール)と書くと「羊の毛」だけを意味する場合もあるし、通常使われるカシミヤのように細い毛を含む場合もあり、いささかややこしい。
羊の毛とその他の動物の毛をなぜ区別するのだろうか。最も大きな要素は「縮れ」の差にある。羊の毛は縮れが多く、その他の動物の毛は比較的縮れが少ない。その違いを意味するのが縮れの多い「ウール」と少ない「ヘア」である。
一般的に羊以外の動物は内側の毛がやわらかく縮れがあり短いウールと、髪の毛のように剛直な外側のヘアが共存している。縮れが多ければ糸に紡ぎやすい。八千年以上前から人類が羊を飼育し、糸にしてきたのはそのためだ。
しかし、羊の毛も昔から縮れが多く、また白かったわけではない。気が遠くなるほどの歳月をかけて人類が改良を重ねてきた成果なのである。
生産量でみると動物性繊維全体の数字は把握不能である。唯一世界の生産状況が分かるのはウールだけ。ザ・ウールマーク・カンパニーの最新統計集によると、世界の羊頭数は九八年現在十億五千六百万頭。頭数では九五年以来、中国が世界最大の飼育国となったが、羊毛生産量はオーストラリアが世界総生産の二九%を占め、いぜんとして産毛国トップの座を保っている。ちなみに刈り取った羊毛を洗って不純物を取り去った純羊毛量は百四十万四千トン。これは世界全繊維生産量の二・九%に過ぎない。ウールより生産のはるかに少ないカシミヤやシルクは「レア・ファイバー」(希少繊維)と呼ばれているが、いまやウールもその仲間に入った形。ただし、アパレル原料としては日本の場合、紳士服の四三%、婦人服の二○%、ニットの四一%を占める重要素材であることに変わりはない。
(ザ・ウールマーク・カンパニー業務統轄部長=大内輝雄)
|