素材を学ぶ《ウール−7》
2000/05/16
紡毛−ウーレン−「繊維原料を手で紡ぐ」を工業化
紡毛は、「繊維原料を手で紡ぐ」方法を工業化した伝統的手段。梳毛にはかかりにくい短いウールや、梳毛工程で発生する副産原料(ノイルなど)、毛糸屑(くず)、非ウール繊維などを混合して糸にすることができる。カシミヤやアンゴラは紡毛で糸にするのが普通である。
紡毛糸は梳毛糸に比べて太く、表面の毛羽が多い。原料を選ばないので、その表情は多彩。最新流行のツイードやフラノをはじめ、毛布やカーペットにも向けられる。羊毛工業の原点である。イタリアではビエラを梳毛、プラートを紡毛の産地と区分けし、日本でも尾州の梳毛、泉州の紡毛と色分けしている。
梳毛と異なり、紡毛の場合、原料をせっけんとソーダで洗った後、希硫酸に浸して乾燥する。繊維の間に紛れ込んでいた植物性の物質(種やトゲなど)は炭になり、除去される。火に強い動物繊維ならではの方法だ。この工程を「洗化炭」と言う。最近は希硫酸を使わないナチュラルな加工も開発されている。
また糸屑や織物の断片屑は、もう一度繊維の状態に戻すため専用の機械を通す。これが「反毛」工程だ。ウール製品のリサイクルにも使われる。
さて紡績だが、紡毛では何種類もの原料を混合して糸にするため、最初に「調合」工程がある。
調合された原料は紡毛カードにかけられる。梳毛カードと同様に、ローラーとローラーの間に原料を通し、繊維を切らないように毛の塊をほぐしていく。均整な毛膜を作り、六十〜二百四十本に分割して揉(も)み丸め、篠(しの)状にする。ここまでが「カード」工程だ。
篠を引き伸ばして撚りをかけるのが「精紡」工程。梳毛には見られないのが「ミュール」精紡だ。これは、篠の細いところに早く撚りがかかり、太いところは引き伸ばされる仕組みで、均整な糸が作れる。六〜二○番手の比較的細い紡毛糸ができ、主として織物用に使われる。
もうひとつの精紡法が「リング」式である。これは梳毛と同様、高速回転するリングで篠に小さな撚りをかける。二〜七番手といった太い糸に向いており、毛布やカーペットに適している。
(ザ・ウールマーク・カンパニー業務統轄部長=大内輝雄)
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