素材を学ぶ《ウール−9》
2000/05/30
マシンウオッシャブル−洗濯機で洗える加工技術
前回紹介したように、ウールが縮むのは「スケールが絡み合って固まる」ためで、繊維そのものが縮むのではない。したがって、「スケールが絡み合わない」状態にすれば、ウールは縮まないことになる。
整然とそろえられたウールの並びを崩さないようにするには、ゆっくり静かに押し洗いすればよい。
しかしこれでは洗濯できる商品に限界がある。だいいち面倒だ。そこで考え出されたのが「マシンウオッシャブルウール」。すなわち洗濯機で洗えるウール製品の加工技術である。
マシンウオッシャブルの基本原理は、縮みの原因となるスケールのズレを起こさせない仕組みを作ること。
まず開発されたのが、スケールのまわりを樹脂(レジン)で覆う方法。これだと、繊維の並びが崩れても絡み合いがなくなる。ニット製品向けに三十年も前から実用化されている。
樹脂を使うと硬くなり、風合いが損なわれる、として開発されたのがスケールを除去してしまう方法。機械的に取り去ったり、バイオ技術を駆使して繊維表面を丸めたり、さまざまなオフ・スケール技術が開発された。
ただ、織物の場合はたて糸とよこ糸を組み合わせるので、スケールだけの問題ではなくなる。ここでは、繊維の並びをあらかじめ樹脂でつないでしまう架橋結合システムが有効だ。メンズウエアの世界ではこのウオッシャブル加工に、製品段階でパーマネントセット(耐久折り目付け)加工を加えた、洗濯機で洗えるイージーケア・ウール製品を、今春夏物・秋冬物の主力商品としている。
婦人物ではボトム中心だが、メンズ同様にウールの新たな機能性としてマシンウオッシャブルを打ち出す動きが徐々に高まってきている。
ウールのマシンウオッシャブルの最新手段としては、極細ポリエステルとウールを混紡することで、ウールサイドに特別な防縮加工を必要としない加工方法がある。イトキンが独占している「ウール&スプリーバ」がその一つ。ウールの混率は低くなるが、柔らかさ、しなやかさが要求される婦人物にはうってつけのマシンウオッシャブルとなる。
(ザ・ウールマーク・カンパニー業務統轄部長=大内輝雄)
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