素材を学ぶ《ウール−10》
2000/06/06
ツイード−スコットランド特産の毛織物
久しぶりにファッションシーンに躍り出てきた毛織物素材・ツイード(TWEED)。紡毛のところで簡単に紹介したが、典型的・伝統的な毛織物である。ツイードの基本定義は「手紡ぎの紡毛糸を手織りで二/二の綾に織ったスコットランド特産の毛織物」(文化出版局「ファッション辞典」)。
スコットランドはもとより英国の羊はさまざまな色の毛が混在して成長するので、これで糸を作るとメランジ調の色が複雑微妙にからみあった独特の味が出てくる。これがツイードの特徴だ。原料をさらにさまざまな色に染め分け、ミックスして作ると一段とカラフルになる。
語源になったというスコットランドとイングランドの境界を流れるツイード川の流域には、タータンと並んでツイードを作り続ける小規模業者が連なっている。このあたりのツイードを「ボーダー・ツイード」という。そして北部スコットランドの産出ツイードをまとめて「ハイランド・ツイード」と呼び、海を越えたへブリディス諸島の中のハリス&ルイス島で作られる特産ツイードを「ハリス・ツイード」と規定している。「ハリス・ツイード」は英女王の勅許が与えられ、島で作られたツイードにしかその呼称を名乗ることはできない。つまり日本国内産のハリス・ツイードは絶対にありえないのである。同じことがデザイナー・ネームを冠した「シャネル・ツイード」にも言える。シャネル・ツイードとか、シャネル・スーツの「シャネル」は登録商標でありシャネル以外が勝手に使うことはできない。
スコットランドのツイード業者は口をそろえて、環境の良さがツイード・デザインに最適という。美しく澄み切った青空、これ以上ないというほど透明な水、ヒースなど地上にあふれる草花。これらの集合体がツイードのデザイン・ソースだ。ただしツイードはスコットランドの専売特許ではなくなった。同じケルト文化圏のアイルランドにも「アイリッシュ・ツイード」があり、とくに北アイルランドには「ドニゴール(ドネガル)ツイード」という特産品がある。
日本やイタリアでもツイードは作られているが、そのほとんどは“調”ツイードであることに注意したい。
(ザ・ウールマーク・カンパニー業務統轄部長=大内輝雄)
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