FB基礎講座/素材編
《快適性素材−3》
衣服内気候−皮膚と衣服間に空間作り出す
2001/04/17
・移動可能な快適空間としての衣服
衣服内気候の快適域
人が裸で快適に過ごせる気温は28〜32度の範囲である。人は衣服を着ることによって寒冷時には体温を保ち、砂漠では太陽や地表からの輻射(ふくしゃ)熱を防ぐなどして、皮膚と衣服の間に快適な微小な空間を作り出し、どこへでも移動できるのである。
寒冷から暑熱までの様々な外部環境条件や、静止から激しい運動まで様々な人の活動状態に対応して、快適な微空間を作り出すことが衣服の役割である。従って衣服を環境〜衣服〜人体のシステムのなかで考える必要がある。
実験によると、人が快適と感じる衣服と皮膚の間の微小空間の温度・湿度の範囲は意外に狭く、温度は32±1度、相対湿度は50±10度といわれている(図参照)。寒冷時には衣服内の温度が低くなるので、温度を上げて快適域にもっていくように、また暑熱時には衣服内の湿度が高くなるので、湿度を下げて快適域にもっていくように工夫する。
体温−深部体温と皮膚表面温度
人には体温を一定に保つ体温調節機能が備わっているが、全身同一ではない。頭部や内臓のある体中心部の体温は暑くとも寒くとも一定に保たれている。この深部体温は直腸で測定されることが多いが、約37度である。体熱の放散が行われる皮膚表面温度は深部体温より低く、快適である状態の皮膚温は33〜34度といわれている。寒冷時には熱放散を少なくするために、血管が収縮する。逆に暑熱時には熱放散を多くするために皮膚への血流量が増加する。
手足の皮膚温は外気の影響を受けて変化する。汗は、身体から絶え間なく一日当たり約850グラムの気相の水分が蒸発しているが、自覚的に感じないので不感蒸泄(ふかんじょうせつ)という。暑熱時にかく発汗は液相の水である。汗には興奮したり怖がったりした時にかく精神性発汗(手のひらと足裏にかく)と体温調節機能と関係が深い温熱性発汗がある。汗が蒸発する時に皮膚表面から蒸発熱を奪い体温を下げる効果があり、暑熱時には必須(ひっす)なものである。体温、血流量、発汗量などを測定し体温調節機能を解明する学問を温熱生理学という。
(原田隆司=御幸毛織技術顧問)
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