FB基礎講座/素材編
《快適性素材−5》
衣服内気候−軽く、薄く、しかも暖かい
2001/05/01
熱伝導率の最も低い(保温性が高い)物質は空気で、これを基準とするとプラスチックや木材は約10倍、陶器は50倍、金属は1000倍(銀は2000倍)に達する。保温性を高くするには空気を多く含む構造にすればよいことになる。
- 古来からの防寒衣料
- 寒さから身を守る防寒衣料を、人は毛皮、羊毛、獣毛、羽毛など動物に求めた。これらいずれも空気を多く含む構造をしている。綿は麻に比べ空気を多く含み、保温のための中入れわたなどに用いられた。
- 断熱保温素材
- 合成繊維で空気による断熱効果を高める素材として、次のものが開発された。
- バルキーヤーン=羊毛の構造にヒントを得、アクリルでは捲縮(けんしゅく)ファイバーや高収縮ファイバーを混紡して糸に膨らみを与え、保温性を高める。セーターなど。
- 極細繊維のシート=空気を多く含み、しかも対流が起きないようにするため、細い繊維で空気を分断する。太い繊維を混ぜて圧縮に耐えるようにしてあるものもある。
- 中空繊維=繊維の断面が中空になったもの。軽さも特徴。
- 発熱保温素材
- 水分の吸着は発熱を伴う一種の化学反応であり、この発熱現象は羊毛の暖かさの理由の一つになっている。アクリルを化学変性したアクリレート系繊維は吸湿性が高く、不感蒸泄による水分を吸着し発生する熱を衣服内に蓄熱する。
- 太陽光蓄熱保温素材
- 炭化ジルコニウムのように太陽光の光エネルギーを熱エネルギーに変換可能なセラミックスを合成繊維に練り込む(原糸・原綿改質)。
- 輻射(ふくしゃ)熱反射保温素材
- 体内から放射される輻射熱を衣服の外に逃がさないようにするもので、アルミニウムやチタンなどの金属を織物などに塗布する。
- 遠赤外線蓄熱保温素材
- 酸化チタンなどのセラミックスを練り込む原糸・原綿改質により、常温域で遠赤外域の放射特性などを利用。
- 軽く、薄くても暖かい衣服
- 新たに開発された保温性素材を用いて、軽くて、薄くても暖かい冬季スポーツ衣料や婦人用保温肌着が世に出回っている。婦人用保温肌着は「オバシャツ」ともいわれ、薄いため、表に現れないことが評価されている。
(原田隆司=御幸毛織技術顧問)
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