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FB基礎講座/素材編

《快適性素材》−9

衣服内気候−吸汗・速乾素材〜汗を吸う役

2001/05/29

 高い気温や、運動により体温が上昇した時、体温を下げるために発汗が起こる。発汗量が多い場合や外気の湿度が高いときには、蒸散せずに汗が皮膚に残る。衣服が汗を吸わないと衣服内の湿度が上昇し不快となる。
 汗の処理においては、親水性である天然繊維といえども必ずしも満足できない。綿は吸湿性にも吸水性にも優れるが、放湿速度が遅いので、多量に汗をかくとぬれぞうきんのようになり不快となる。羊毛は吸湿性には優れているが、吸水性が無い。

吸汗・速乾素材
 汗を吸う役割と汗を外気へはき出す役割を考えて作られた多層構造ニットや多層構造ヤーンといわれる複合素材である。肌側は汗をよく吸うように綿を密な組織にし、中間層は肌側と外気側を分離する意味で合繊を使い、粗な組織とし、外気側は汗を発散しやすくするために粗な組織にした三層構造ニットが開発された。
 外気側に綿、肌側にポリエステルを使い、ポリエステルの毛細管現象を利用して汗を吸い上げるという考え方の二層構造ニットがある。また樹木が毛細管現象により高いところまで水を吸い上げる原理にヒントを得て、肌側は太く、外気側は細い糸からなる合繊一〇〇%のニットも開発されている。
 多層構造ニットの考え方を一本の糸で実現した多層構造ヤーンが開発されている。肌触りも大切であり、合繊が直接肌にあたることを嫌う人もある。
 環境条件や発汗量によって最適素材を選ぶ必要がある。ポリエステルが入っている方が汗の処理が良いということが消費者には分かりにくいようだ。実際の流通過程では、作り手の思いが消費者に伝わらない場合が少なくない。
感覚計測技術
 快適性の良否を人による着用テストに頼るとすれば、評価に手間がかかりすぎる。吸汗・速乾素材が開発された背景には、感覚計測技術の進展がある。この技術は感覚としてとらえられる量を機器により計測することをめざすもので、消費の実態に即した計測法の開発によって実現できる。商品開発で感覚計測技術は重要な役割を果たすのである。
(原田隆司=御幸毛織技術顧問)
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