FB基礎講座/素材編
《快適性素材−10》
2001/06/05
衣服圧−動作に必要なゆとり生む
動作に追従する衣服 動作によって皮膚が伸びる時、衣服との間には〈皮膚伸び〉=〈ゆとり〉+〈ずれ〉+〈服地の伸び〉という関係がある。皮膚伸びを、まずゆとりで吸収しようとするが、これだけでは不足の場合は、ずれが生じる。ずれには限度があるので、服地が引っ張られる。服地の伸びが少ない場合、動作に追従するには、服にゆとりが必要となる。二十数年前まで野球のユニフォームは綿織物でできており、伸びが少ないためゆとりの大きいダブダブのスタイルであったが、合繊の伸縮加工糸から成るニットが使われるようになり、今日見るような体にぴったりしたものになったのである。
衣服圧 服地が伸ばされる時、服地の伸びが少ないと、服地が皮膚を圧迫する。この力を衣服圧と言い、ある値(値は部位により異なる)以上になると不快に感じる。パンストでは、太腿部の衣服圧は小さめに、足首部は大きめにしたものが快適であるとされる。
衣服圧が大き過ぎる(一平方センチ当たり四十グラム以上)と、血流量が抑制されるなどの生理的な負担がかかると言われる。
衣服圧には、重い衣服を着た時に肩部に感ずるような拘束によらないものもある。
衣服圧の測定には、エアバッグ方式の測定機器が使われることが多い。
皮膚伸び 動作による皮膚伸びの量は様々である。動作前に五〜十センチ間隔で標点を付けておき、動作後に標点間の変化から皮膚の伸び(縮むこともある)を測定した。例えば後肘部を曲げると水平方向に四二・〇%、垂直方向に六二・〇%も伸びる。しゃがむと臀部水平方向に一五・五%、垂直方向に三二・二%も伸びる。腕を垂直に上げると脇部は垂直方向に一一・五%伸びるが、水平方向には三・〇%縮む。
水着やレオタードのように体に常に密着している衣服では、これらの複雑な変化に追従するために、よく伸び、しかも元に戻るストレッチ素材が必要となる。
腕を前に抱き抱えるようにした時の衣服の必要ゆとりを考えるような場合には、右の腕の付け根から左の腕の付け根までの間隔というように、長い間隔の変化量(この場合は二四・〇%)が必要となる。
(原田隆司=御幸毛織技術顧問)
|