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FB基礎講座/素材編

《快適性素材−12》

2001/06/19

肌触り

 快適性の主要因の三つ目は、衣服と皮膚との接触による肌触りであり、接触感と接触温冷感とがある。接触感は手で服地を変形させた時に感じる感覚で、狭い意味の風合い(広義には視覚と聴覚を含む)のことであり、接触温冷感は皮膚から服地への瞬時の熱移動現象をとらえたものである。
 風合い 風合いを判定する時の手の動きには十を超える方法がある。また風合いを表現する言葉も多い。いずれにしても手で服地を変形させて、それを触覚としてとらえ、言葉で表現しているのだから、服地の力学特性と関係が深い。
 服地の力学特性 服地の力学特性は次の五つであることが理論的に導かれている。
 (1)曲げ変形(両端を持って曲げる)
 (2)せん断変形(バイアス方向に引っ張る)
 (3)伸張変形(両端を持って引っ張る)
 (4)圧縮変形(厚み方向に押さえる)
 (5)表面摩擦(表面のすべりやすさ)
 これに(6)厚み、(7)目付けを加える。計測する機器としてはKESが知られている。
 通常、言葉として表現される風合いは複数の力学特性を反映する場合が多いので、手の動きなどを観察し、判定者が何を言っているのかを理解した上で、力学特性と結びつけることが肝要である。

ソフトの内容技術
曲げてやわらかい極細繊維、細い糸
圧縮してやわらかいふくらみのある糸
バイアス方向に変化しやすい減量加工、低張力加工
すべりやすい低摩擦加工剤
表面羽毛の状態起毛
薄い織設計

 ソフト風合い 全般に風合いがソフトになる傾向がある。一口にソフトといっても、いろいろな内容を含む。具体的には(1)曲げてやわらかい(2)圧縮してやわらかい(3)バイアス方向に変形しやすい(4)すべりやすい(5)表面の毛羽の状態(6)薄い――がある。
 ソフトな風合いのものを得ようとする場合、それぞれで対応する技術が異なるので、顧客が何を望んでいるかを的確に把握した上で対処しないと満足すべきものは得られない。
 仕立て映え、ドレープ性と力学特性 視覚で判定されるドレープ性や仕立て映えも服地の力学特性を反映する。良い風合いとこれらとは、力学特性の望ましい範囲が共通する点がある。
 接触温冷感 寒冷時に服地と接触すると「ひやっ」と感じるのは、手から服地への瞬時の熱移動量が多いからである。服地の温度が低い(気温が低い)ほど、服地の水分率が高いほど、密な組織ほど冷たく感じる(瞬時の熱移動量大)。毛羽があると温かく感じる。

(原田隆司=御幸毛織技術顧問)
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