Learn - ファッションビジネス講座

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FB基礎講座/宝飾編

2001/07/31

《ジュエリースタイル−2》

アールヌーボー−自然の主題とデフォルメ

 アールヌーボーは、産業革命によって、ものが合理的に大量生産され、人々の暮らしが便利に豊かになっていった時代の反動で、手作りの良さを見直そうという一面がありました。その先駆けとなったのが「アーツ・アンド・クラフト運動」です。でも、この運動は挫折してしまいます。量産品と違い、手作り品は時間とコストが掛かります。当然、出来上がるジュエリーは高価なものになります。そして、産業革命による市民階級の台頭は、ブルジョワ層を薄くさせ、高価なジュエリーを求めるスポンサーが少なくなってしまったのです。
 アーツ・アンド・クラフト運動主導者であったラスキンやモリスの影響を受け、自然を写実するという基本的な美の表現を、装飾美術の分野で展開する運動が活発になります。それが「アールヌーボー」です。
 アールヌーボーを代表する作家の一人に、ルネ・ラリックがいます。彼は、自然と人間のかかわりを独特の雰囲気で表現しています。つまり、ありのままの自然を写すのではなく、自然を主題に取りながら、ジュエリーとしての完成度を表現するために、ラリック流のデフォルメがなされているのです。
 ここに掲載したジュエリーは、アンティークジュエリーではなく、れっきとした現代のジュエリーです。アールヌーボーを見慣れた人には、このジュエリーはモダンな息吹を感じるでしょう。アンモナイトはぞうげで作られ、金の象眼が施されています。アンモナイトの口から人魚がパールを伝って外に出ようとするしぐさは、上品なエロチシズムを漂わせています。女性のボディーはアールヌーボーには欠かせないモチーフで、この出来いかんで価値が決定されるといっても過言ではないでしょう。
 しかし、アールヌーボー様式は初期と後期では、その表現手法がかなり変化します。後期では自然と写実の世界に円や長円、四角や三角といった幾何学模様が加わってくるのです。そのために金属が多用され、造形も抽象化のイメージが強くなってきます。このことは、やがて来るアールデコへの助走にほかなりません。

(資料協力=株式会社東峰/増渕邦治=宝飾品評論家)
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