FB基礎講座/宝飾編
2001/08/14
《ジュエリースタイル−4》
リガード−秘かに託した愛のメッセージ
愛というものは、時代とともにさまざまなカタチで表現されてきました。
美術史上で「ロマン主義運動」がありますが、これは十八世紀後半から十九世紀初頭のヨーロッパの芸術運動であり、それまでの新古典主義、合理主義の反動として起こりました。このロマン主義を代表する画家に、イギリスが生んだ最大の画家ターナー、スペインのゴヤ、フランスのジェリコー、ドラクロアら、私たちになじみ深い画家たちがいます。
ここに掲載のジュエリーは、弓と矢それにハートがぶら下がっており、そのハートに矢が刺さっているというデザインです。文字通り、愛をテーマにしている意匠なのですが、矢が入っている入れ物を注意してみると、左からルビー、エメラルド、ガーネット、アメシスト、ルビー、ダイヤモンドの順に宝石が並んでいます。
この宝石の頭文字を並べると「REGARD」となります。リガードとは尊敬、敬意、好意などの意味がありますが、このジュエリーは非常に上品で婉曲(えんきょく)な愛を表現しています。
このジュエリーの持ち主だった人はオリジナルで発注し、自分の愛する人にそっとプレゼントしたに違いありません。これを受け取った、恐らく女性だと思いますが、秘(ひそ)かな愛のメッセージになんとこたえたのでしょうか。
このような行為は、何か私たちがとっくの昔に忘れてしまったものを思い起こさせてくれます。そういえば私たち日本人も万葉の昔、歌を交わして愛のメッセージとした時代がありましたね。ヨーロッパでも、フランスの劇作家ロスタンの「シラノ・ド・ベルジュラック」は、ロマン主義的英雄を描き出した傑作です。
リガードのほかにも、親愛を意味する「ディアレスト・dearest」というジュエリーもあります。これはダイヤモンド、エメラルド、アメシスト、ルビー、エメラルド、サファイア、トルマリン(トルコ石)の順に並べられています。
(資料協力=ギャラリー・トイダ・ギンザ/増渕邦治=宝飾品評論家)
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