FB基礎講座/宝飾編
2001/08/21
《ジュエリースタイル−5》
モーニングジュエリー−故人の形見として身近に
冠婚葬祭の中でも、葬に関することになると、皆さん一様に悩んでしまうようです。それは、何を着けたらよいか、どこまでなら派手にならないか、色は地味にしたほうがよい、光のあるジュエリーは避けるべき、などといったことなどでしょう。
和服の場合、ジュエリーはかなり限定され、せいぜい帯留めか指輪ぐらいのものです。しかし昨今、洋服をお召しになる場合が圧倒的に多く、参列者の立場では控えめにしていればまず間違いはないのですが、喪主の場合、迷ってしまうことが多いでしょう。
ひとつはっきり言えることは、あまり気にすることはないということです。つまり、故人の形見で、そのジュエリーを着ける意味があれば、基本的にどのようなジュエリーを着けてもいいのです。
モーニング(葬)ジュエリーの歴史は古く十五世紀ごろから見ることができます。そして十七世紀になると、ジェットやヘア・ジュエリーが登場してきます。しかし、何といってもこのモーニングジュエリーが大きな流行を見るのは、十九世紀のイギリスでした。
ビクトリア女王が十八歳で王位に就き、その三年後にアルバート公と結婚します。しかし十年の結婚生活の後アルバート公が亡くなると、長い喪に入ります。この時代に流行したジュエリーのひとつに「ヘア・ジュエリー」があります。このジュエリーは十七世紀ごろから作られていましたが、一八四〇年から五〇年代にかけて大流行します。そのほとんどは死者の髪の毛を使い、故人の形見とします。愛する人の一番身近なものを、自分の身近に持っていたいという精神の表れです。
またジェットは、古代の松や柏(かしわ)の木が化石化してできた漆黒の石で、比較的柔らかいので加工がしやすく、また非常に軽いので、年配の方には大変重宝するジュエリーです。このジェットは主に一八六〇年以降に流行を見ますが、最近、中国でジェットが大量に発掘され、再流行しています。
(資料協力=穐葉アンティークジュウリー美術館/増渕邦治=宝飾品評論家)
|