FB基礎講座/宝飾編
2001/08/28
《ジュエリースタイル−6》
ピクウェ−幻の技法日本人が再現
ジュエリーの歴史をひもといてみると、ミステリーじみた話題に事欠かないものが多いのに驚かされます。特に、その技術が一家相伝であったりすると、なかなか後世に伝わるということができません。
長く幻の技法と言われてきた「ピクウェ」もそのひとつで、十九世紀末に流行から遠ざかると、いつとはなしに忘れられてしまい、アンティーク市場でしか見ることのできない技法であったのです。
ピクウェはもともと、フランスのキリスト教の一派であったユグノー教徒の間で、聖職の道具として発達しました。その技法は「象嵌(ぞうがん)」の一種で、主として鼈甲(べっこう)に金属をはめ込んで装飾を施しました。
日本でも象嵌は工芸の分野で大いに発展し、平象嵌、高肉象嵌、切嵌象嵌などの技術がありますが、決定的に違うのは、鼈甲と金属という異素材同士を象嵌することです。金属は金やプラチナを使いますが、いずれも純金、純Pを使用します。
ピクウェは長い間、幻の技法と言われてきたのですが、実は日本人が再現することに成功したのでした。ここに掲載したジュエリーはもちろん現代のピクウェですが、アンティークジュエリーと比べると、現代のテーストに合った、モダンなデザインになっています。
このピクウェ、ベースは鼈甲、象牙、蝶(チョウ)貝(白蝶貝や黒蝶貝)などを用います。いずれも有機素材であることにお気づきでしょう。この有機素材を使うことが、何とも言えず優しい感じがして、他のジュエリーとは違った味わいがあります。
鼈甲というと、何か古臭いものという印象を受ける方が意外に多く、どちらかというと年配向きととらえがちですが、いまのシンプル系のファッションにはベストマッチング、何よりもその存在感が年齢を問いません。このピクウェを見ていると、つくづく良いものは時代を超えるものだと思ってしまいます。ジュエリーとは元来そういうものであるし、古いという印象を持っているとすれば、それはあなたが古いのです。
(資料協力=株式会社東峰/増渕邦治=宝飾品評論家)
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