FB基礎講座/宝飾編
2001/10/22
《ジュエリースタイル−12》
シードパール−日本では「ケシ真珠」
私たち日本人は、真珠といえば養殖真珠と思っています。いや養殖真珠という意識は持っていないかも知れません。でも量こそ少ないのですが、天然真珠は立派に市場に出ています。コンクパールやフェザーといわれるアメリカのミシシッピーで採れる淡水真珠がそれです。
天然真珠は文明が起こる前から、私たちの生活とともに身近な存在として、あるいは権力の象徴として大切にされてきました。そして養殖真珠が発明される前までは、ペルシャやインド・スリランカが天然真珠の産地であり、歴史の繰り返しの中で何度も主役を務めたのです。
そのような貴重で高価な真珠は、大粒のものはもちろん、どんなに小粒のものでも貴重品だったのです。小さい真珠をヨーロッパの人々はシードパールと呼んでいました。シードとはseed=種という意味です。
また日本で養殖真珠が発明されると、養殖の過程で天然と同じような小さな真珠が採れました。これを「ケシ真珠」と呼ぶようになったのです。
養殖真珠が発明された後も、戦前戦後を通じてアコヤの芥子(けし)真珠はたくさん作られてきました。芥子でしか味わえない独特の雰囲気が多くの需要を生んだのです。
また現在では、養殖の無核真珠も、大きさと種類に関係なく「ケシ」と呼ぶことが一般的です。アコヤゲシ、南洋ゲシ、黒ケシなどと呼ばれて取引されていますが、どれも普通サイズの真珠です。
天然のシードパールが幻の真珠になりつつありますが、この微細な真珠を使った数々のすばらしいジュエリーは、アンティークジュエリーの世界でしか見ることができなくなってしまうのでしょうか。
写真のジュエリーは、そのシードパールを葡萄(ぶどう)に見立ててボリューム豊かに作り上げたブローチです。1840年から50年にかけて、イギリスで製作されたヴィクトリアンジュエリーの典型的なデザインです。
(資料協力=穐葉アンティークジュウリー美術館/増渕邦治=宝飾品評論家)
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