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FB基礎講座/衣服編

2002/03/25

《ジーンズ辞典−9》

オーバーオールズ−中の服を保護する

 主としてデニムを素材とした胸当て付きの作業ズボンのこと。オーバーオールには「端から端までの」、あるいは「全部の」といった意味がある。しかし、「オーバーオールズ」と複数形になった場合には「胸当て付き作業ズボン」を指す。『オックスフォード英語辞典』によれば、「オーバーオールズ」の言葉が登場したのは1782年ごろのことであるという。言うまでもなく、中に着た服を保護するのがその目的であった。
 リーバイス社が正式に「ジーンズ」の名称を使うようになったのは1955年以降である。それ以前にはジーンズのことを「オーバーオールズ」と呼んだのである。さらに時代をさかのぼるなら「ウエストハイ・オーバーオールズ」と言った。つまり「ウエスト位置のオーバーオールズ」と定義したのだ。そしてこれを略して「オーバーオールズ」と称したのである。いささかややこしいことであるが、本当の話なのだ。
 ところで、「ジーンズ」を最初に公称したのは、ラングラーである。1947年に「オーセンティック・ウエスタン・ジーンズ」と命名したのだ。当時、「ラングラー」はブランド名で、会社名はブルー・ベル社であった。そしてこの会社の始まりは1904年、C・C・ハドソンが興した「ザ・ハドソン・オーバーオール・カンパニー」が前身である。恐らく主としてオーバーオールズを生産したものと思われる。
 一方、リーの歴史はさらに古い。ヘンリー・ディヴィッド・リーの創業による「H・D・リー・アーカンタイル社」は1889年に始まっている。実はこの会社、高級食品を扱う会社であった。アスパラガスの缶詰などで成功し、数々の食品を百貨店に卸してもいたのだ。ひとつの転機が訪れたのは1911年のこと。当時扱っていたオーバーオールズの入荷が大幅に遅れた。これでは納入先の百貨店に迷惑がかかってしまう。よし、それでは自分たちで作ろうじゃないか、とオーバーオールズの生産を始めることになったのである。

(出石尚三=服飾評論家)
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