【新春特別】消費の背景へのまなざし育成 | 繊研plus

【新春特別】消費の背景へのまなざし育成

  • 2017年1月1日 6時30分更新

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【ファッションビジネスが続くために これからの幸せのかたち】

 社会や環境に配慮したエシカル(倫理的な)ファッションが、教育の現場でも広がっている。

 お茶の水女子大学付属高等学校の葭内ありさ先生は、その第一人者。エシカル元年と言われる11年、家庭科の授業で初めてエシカルファッションを取り上げた。将来を担う10代の学生に、「社会をより良くする」視点の種まきを続けている。

 

エシカルファッションを家庭科の授業で初めて取り上げた

お茶の水女子大学付属高等学校教諭 葭内ありささん

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〝自分事化〟で心動かす

■家庭科では元々フェアトレードや児童労働、子供の権利といったことを扱っており、衣食住だけでなく福祉なども学びます。中でもファッションはわくわくするものなので、楽しみながら学ぶのにいい題材です。

 授業で大切にしているのは、生徒の消費の背景へのまなざしを育てることと、実践的に学んで〝自分事化〟してもらうこと。体験を通して自分事として感じないと、生徒の心は動かない。同世代の子供の児童労働の実態を描いた映画も見せますが、もっと楽しみながら、気軽に考える機会も作りたい。授業ではオーガニックコットンやリサイクルの布を使って実際に服などを作って、カタログ撮影したり、ファッションショーを開いたりします。

 ある研究によると、(異文化や多様性を理解・受容する)グローバルマインドセットを身につけるには、高校生までが勝負。小中高、もっと言うと幼稚園でその思考の種まきをすることが重要です。エシカルファッションも、大学生になると関心がある人しか興味を持ってくれません。

 教科書で取り上げることで、一気に広がります。私が編集委員を務める文部科学省検定高校家庭科教科書(東京書籍)で、12年の改訂時に初めてエシカルファッションを扱ったところ、シェアナンバーワンになりました。特に若い先生は関心や好奇心が強く、キャッチ力もある。家庭科という必修教科を通して、意識を底上げしたいと考えています。

 

100年先までもたない

■今の若い世代は、買い物を通し、ただ物を買うのではなく、人とのつながりや体験に喜びを感じる傾向があります。目の前にある物が、どこで誰が作った物なのか想像する姿勢こそ、これからの社会に必要なもの。ネイティブアメリカンには「セブンスジェネレーション」という7世代先のことまで考えて暮らしなさいという教えがありますが、そういう思考がないと、社会は100年先までもたないのではないでしょうか。

 現時点では、エシカルファッションを知らない生徒もたくさんいます。ですが、頭が柔らかいので、知ればいろいろと実践してくれる。教育を通して、少しでも考え方を広げていきたいです。

 

■プロフィル
お茶の水女子大学付属高等学校教諭、お茶の水女子大学非常勤講師、エシカルラーニングラボ代表。消費者庁「倫理的消費」調査研究会委員。日本エシカル推進協議会発起人。お茶の水女子大学卒業、同大学院修了。慶応義塾大学法学部卒業。

 

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